帝国残党海軍との一戦はやまとの圧倒的は艦砲射撃を持って自衛隊側の勝利で幕を下ろすことになった。
進路を戻して、第一任務機動群は首脳陣の待つハワイへと向かった。
ハワイに到着して、伊丹達はさらなる衝撃を受けた。
真珠湾には海面を埋めつくさんばかりの大量の、多国籍の艦隊がひしめき合い港湾施設はアルヌスの比ではないくらいに発展を遂げている。
倉田「な……なんじゃこりゃ……」
富田「アルヌスが可愛く思える…」
ボーゼス「私はもう驚くのに疲れました……」
一同は陸路で本部のあるホノルルへと向かった。
志乃「隊長」
伊丹「ん?」
志乃「今回、レレイ達に警護つかないんですか?」
伊丹「あぁ…その心配はねぇだろ。こっちのアメリカさんやイギリスさんは40年代とはいえ、俺達より前にこっちに来てるんだ。別に今更魔法とかエルフとかってのは珍しくないんだろうさ」
富田「言われてみると……」
以前自分達の日本に連れてきた際は他国の諜報部員によって連れ去られるのを防ぐのもあり、公安が付いてくれたが今回の相手は先客としてこちらに来ていた為そういった事を今更するような連中ではなさそうだった。
倉田「でも…並行日本に技術力を梃入れさせられてるんですよね…?真珠湾もそうでしたけど、俺たちが知る過去の旧軍やアメリカ以上ですよ」
伊丹「確かに……」
真珠湾基地を見て思った。
確かに旧軍の艦隊も多数あったが、それ以上に自分達も知らない艦艇が多く違和感を感じずにはいられなかった。
ホノルルの連合本部に到着後、ピニャとボーゼスの二人は国交締結等の会談の為別れ、伊丹達はロビーで待つ事に。
伊丹「ん?」
ふと視線を横に向けると一人の海自の隊員がソファに座ってパソコンをいじっていたが、その人物に見覚えのあった伊丹は彼に声をかけた。
伊丹「江田島さん…ですよね?」
「おや、これは皆さん」
彼が話しかけたのは同じく特地派遣部隊の海自派遣駐在部官の江田島五郎であった。
伊丹「どうしたんです?こんなところで…」
江田島「いえ、半月程前こちらの海自さんにお願いして彼らの艦艇や装備を少々見学しにきたのです。二尉は?」
富田「我々は連合日本との国交締結と調査の為一回ハワイに立ち寄ってる最中です」
志乃「終わり次第日本に向かう予定です」
江田島「そうでしたか。私は来週にはアルヌスに戻る予定です」
倉田「早くないすか…?」
江田島「皆さんより早く来てるものですから、当然ですよ」
伊丹「それで、何か収穫はあったんですか?」
そう聞かれた江田島は得意そうな笑みを浮かべてパソコンの画面を切り替えた。
江田島「大有りでしたね。皆さんは確かやまとに乗ってここに来たのですよね?」
レレイ「うん」
江田島「私はその上位互換とも言うべき、きいに乗って来ましたよ」
彼がそういって見せた画面には護衛艦きいが映し出されていた。
江田島「こちらもやまとと同じ40年代前半に就役した51cm砲を搭載した戦艦。砲戦火力はやまとをも凌ぐとの事」
富田「前に前田さんが言ってたやつか…」
江田島「将官の方とも話ました。あのハルゼー提督やニミッツ提督、名だたる名将達だらけでしたよ…」
倉田「てことは、あの山本五十六も⁈」
江田島「えぇ現在は軍令部総長のようですが。あぁそうそう、実は海自の方にかなり変わった経歴の持ち主がいましてね…」
急に思い出したように江田島はある人物の事を話始めた。
江田島「確か、きいの二番艦おわりの艦長の猪口俊介という方でしたね」
伊丹「変わってるって……どういう風に?」
江田島「えぇ…なんでも彼、《特戦群キラー》や《レンジャー殺し》とあちらの陸自から呼ばれているそうです」
志乃「は……はぁ……???」
そこから江田島は猪口の経歴について話し始めた。
猪口俊介
海上自衛隊護衛艦おわりの現艦長。
彼は名前の通り、かの《猪口俊平》の子孫である。
曽祖父に当たる俊平は武蔵の艦長を降りた後、ソ連の北海道侵攻に際して当時紀伊の艦長を務めていた松田千秋からの推薦により、就役したばかりの尾張の艦長をその時から北海道戦争時まで務めた事により、《二つの世界最大最強の戦艦を指揮した漢》*1として海軍史に名を刻んでいる。
彼はそんな曽祖父に憧れて海自へと入隊。
おわり艦長に就任する前の士官時代、陸自との交換訓練制度という新しい試みが行われ、若き猪口は習志野の第一空挺団の下へと足を運んだ。
しかし彼の地でレンジャー達は彼に泣かされた。
何故か?答えは簡単である。
強すぎるからだ。
他の訓練過程はもちろん、一般隊員より数倍のスピードでこなし、格闘技術に関しては1人でレンジャー持ちのベテラン10人をプロレス技や琉球古武術を織り交ぜて圧倒。
なんなら同じ習志野に来ていた後輩の海自隊員がヤクザにボコられた際には単身乗り込んでその組を壊滅させるというエピソードがある。
そんな彼のエピソードはそこで止まる訳がなかった。
レンジャー徽章を授与してから半年後、今度は特戦群からお呼びがかかった。
ただそこでも彼は強すぎた。
特戦群といえば人混みの中からターゲットを見つけ出す、人を殺さない射撃ができる等の逸話がある。
確かに猪口は特定の人物を人混みから見つけるというのは得意ではなかった。
だがそれ以外に関する部分が恐ろしすぎたのだ。
ある特戦群出身の隊員が言うには、「素手で小銃を叩き折る」「格闘技で群長が半べそかかされた」「旧式装備でアメリカ海兵隊員を全滅させた」「幽霊みたいに気配を消せる」等のなんじゃそりゃ的なエピソードが多く存在している。
その後陸上幕僚長から『群長にならないか?』と勧められるもそれを断り、海自へと戻りおわりの艦長を務めるまでに至った。
その為、彼は海上自衛官でありながらレンジャー徽章と特戦群のインシグニアを持つ極めて異例の人物でもあった。
因みに艦砲射撃に関する技量も《キャノン・イノグチ》と曽祖父が言われたように彼にもその才能があり、潜航中の原子力潜水艦に主砲でヒットを与える程らしい。
その為、「第一狂ってる団より狂ってる自衛官」「入る場所を間違えた自衛官」と陸自では噂されている。
江田島「……というのが、猪口艦長の経歴です」
経歴を聞いた伊丹達は言葉を失って、口をポカンと開けていた。
志乃「え……えっと……流石にちょっとは誇張されてますよね……?」
江田島「いえ、本人に確認してみたのですが……大方事実だそうです」
志乃「…バ……バケモノ……」
真珠湾基地
時を同じくして、基地の休憩所に居た猪口はちょうどくしゃみをしていた。
伊藤「猪口、どうした?」
猪口「知るか…どうせ誰か俺の事噂してんだろ……」
そう言いながら手に持っていた缶コーヒーを飲み干そうと頭を上げた時、頭上を三機の異なる米軍機が通過していった。
猪口「そういや、こっちの米軍もついに第4世代に突入か…」
伊藤「早すぎるような気もするけど、やっぱ基礎科学と基礎工業が発達してりゃできないではないのか…」
伊藤はそう言いながら、《F-15 サンダーイーグル》《F-16 ゴーストファルコン》《F/A-18C バトルホーネット》を見送っていた。
《F-15 サンダーイーグル》
外観: フェアチャイルド・リパブリック案
アメリカ空軍初の第4世代戦闘機。
空自からお下がりとしてもらったF-4ファントムの老朽化問題解決の為次期主力戦闘機開発で開発された大型制空戦闘機。
開発には空自から退役モスボール保管されていたF-15CJをリバースエンジニアリングした技術が活かされている。
諸元
全長:20.04m
全幅:13.04m
全高:5.6m
最大速度:マッハ2
武装
M61A1 20mm バルカン砲×1(装弾数:940発)
空対空ミサイル
AIM-9 サイドワインダー
AIM-7 スパロー
AIM-120 AMRAAM
爆弾
Mk.81
Mk.82×6
Mk.83
Mk.84×1
誘導爆弾
Mk.84(レーザー,EO,IR)×1
焼夷弾
BLU-27B/B(フィンあり/なし)×3
クラスター爆弾
CBU-24B/B
CBU-42/A×3
CBU-49/A×4
CBU-57B/B×4
《F-16 ゴーストファルコン》
外観:F-16XL
F/B-105 サンダーチーフMk.Ⅱが爆撃8割、空戦2割という比率に着目して開発された新型の戦闘爆撃機。
こちらは爆撃2割、空戦8割という比率を重視して設計されているが、爆弾搭載能力はサンダーチーフと余り大差は無い。
素材や塗料にステルス性のあるものを使用した事に由来して《ゴーストファルコン》の名が与えられた。
デルタ翼のお陰でコブラ軌道によるミサイルの回避も実演して見せている。
諸元
全長:16.51m
翼幅:10.44m
全高:5.6m
最高速度:マッハ2.0
武装
M61A1 20mm バルカン砲×1(装弾数:940発)
空対空ミサイル
AIM-9 サイドワインダー
AIM-7 スパロー
AIM-120 AMRAAM
無誘導爆弾、誘導爆弾×12
対艦、空対地、対レーダーミサイル多数。
《F/A-18C バトルホーネット》
外観:機首にカナード翼の付いたF/A-18
アメリカ海軍航空隊の新たな艦上戦闘機。
ファントムの老朽化と新たな艦上戦闘機を求めていた海軍に在日米軍第七艦隊協力の下開発された艦上戦闘機。
格闘戦が未だ主流と見る一部パイロット達からの機動性向上の為カナード翼が取り付けられている。
その為一部性能はスーパーホーネットをも上回る。
諸元
全長:17.07m
全幅:11.43m
全高:4.66m
最大速度:マッハ2.0
武装
M61A1 20mm バルカン砲×1(装弾数:940発)
空対空ミサイル
AIM-9 サイドワインダー
AIM-7 スパロー
AIM-120 AMRAAM
空対地、対艦、対レーダーミサイル多数。
無誘導、誘導爆弾多数。