ハワイにおいて、ファルマート帝国*1との国交が締結した頃、日本(はいふり)より海上要塞が海賊の手に落ち、ブルマーは横須賀港封鎖により出撃不能と連絡を受けた。
事の詳細を聞いた連合軍総司令部は出撃できないブルマーに変わってハワイに駐留していた各国艦隊が出撃、学生艦隊との合流を図っていた。
護衛艦おわり
「やれやれ……我々は引率じゃないってのに…」
猪口「文句を言うな、副長。まぁあちらの落ち度については言いたい事がないでは無いが……」
連合艦隊は戦艦を主体に構成されていた。
それというのも、寄せられた要塞のデータを見て連合は艦載機による空爆では明らかに威力不足と判断。
学生艦隊同様に戦艦を主体とする艦隊を向かわせるもそれでも不安はあった。
一時はあきづき型の戦術核を使おうという手を上がったが、海賊相手には余りにも過剰すぎるとの事で却下された。
だが艦砲射撃での制圧にもまだ不安があった連合本部は………
真珠湾連合軍総司令部
中央作戦室
巨大なスクリーンに表示された艦隊行動の映像を各国の幕僚らは見ていた。
スクリーンを見ながら不安げな表情でいるカールを見て航空幕僚長の島津忠仲が声をかける。
島津「参謀長、まだ不安が?」
カール「えぇ…やはり顔に出ていましたか。艦隊を信頼していないではない。ただ艦砲射撃でどの程度まで例の要塞にダメージを与えられるか…果たして沈められるのか不安で……」
島津「……」
"航空"に関する知識がない彼の世界の人間が相手であれば艦載機による攻撃も不可能ではない、だがブルマー側の作戦としては駆逐艦一隻を内部に突入させて動力炉を破壊すると言う算段らしい。
流石にこれは連合としても口出しできないと思われたが……
「失礼、Mr.カールにMr.島津」
そう声をかけてきたのは英空軍参謀総長のアーサー・テッダーであった。
カール「アーサー参謀、何か良い策でも?」
アーサー「えぇ実は一つ我々英空軍として見落としていたものがありまして」
島津「見落としていたもの?」
彼は得意げな笑みを浮かべながらその策について話した。
アーサー「例のあの要塞に対して、我が空軍の開発した対要塞用大型爆弾"グランドスラム" "トールボーイ"を使ってはどうでしょう?」
「「‼︎」」
グランドスラム、トールボーイ
それは史実においてイギリスが開発した現代のバンカーバスターの始祖とも言える代物であった。
その威力は堅牢なコンクリート建造物を容易に破壊し、爆発は周囲に人工地震を引き起こす程である。
またアメリカ空軍が開発したMOAB/GBU-43Bよりこちらの方が対装甲目標では若干威力は上である。
島津「なるほど…名案ですが、現物は?」
アーサー「ヒッカムにそれぞれ5発ずつ。問題はそれを搭載できる戦略爆撃機があるかです……Mr.カール」
カール「……えぇ、あれなら……B-47とB-72なら……」
島津「なら善は急げです。今からでも遅くはない筈です」
カール「だが上に許可を…」
アーサー「それならここに来る前に話はつけてあります。ブルマーにはまだですが」
カール「宜しい。では直ちに」
3人の命令で、直ちにヒッカム空軍基地に待機していたB-47ストラトジェットとB-72ブラックバードにトールボーイ、グランドスラムが搭載された。
B-47 ストラトジェット
諸元:史実と同じ
B-36の代替機、そして来たる戦略爆撃機の時代を見越して開発した初の大型ジェット爆撃機。
本作戦ではトールボーイを2発ずつ搭載した機体が合計6機参加。
B-72 ブラックバード
外観:SR-71にB-1ランサーのエンジン&可変翼を搭載。
諸元
全長:48.53m
全幅:41.67m(可変翼最大展開時)/23.84m(最後退時)
全高:10.85m
最大速度:マッハ3.5
武装
搭載量
爆弾など最大38.020tを、3つのウェポンベイに収納。
征途日本と在日米軍協力の元開発された戦略爆撃機。
一撃離脱をコンセプトとして開発した為、最大速度マッハ3.5という脅威的な速さが与えられた。
本作戦では威力を考えグランドスラムを1発ずつ搭載した機が3機参加。
爆弾搭載が終わった9機は管制塔からのアナウンスを受けて離陸するが、B-47は搭載量ギリギリを攻めた為に速度が思うように出なかった。
B-47 機内
「クソッ‼︎積めるだけ積んだら重いこと、スピードが出やしねえ!」
「いいじゃないですか、今回は動く海上要塞といえど相手は鈍足。演習通りやればいいでしょう?」
「だとしても重さに耐え切れなくて、海で泳ぐのは御免だ」
最大積載量9,980kgの機体に合計10,000kgの爆弾を積んでいる為鈍足になりがちで機体を制御するのがやっとであった。
「あっちは羨ましいな、出来立てほやほやの新鋭機でよ」
「爆撃用から航法用に至るコンピュータが新型ですから、そりゃ凄いの一言ですよ」
B-72はこちらのアメリカが「未来を超える」という精神的な目標を持って作られている為B-52やB-1を超えうる機器を多数搭載している。
B-72 機内
「どうだ、ヒヨコ達はついてきてるか?」
「えぇ積載量ギリギリなのに頑張ってますよ」
「大した連中だ。目標まではあとどれくらいだ?」
「4〜50分程。レーダーに機影を確認」
「IFFは?」
「味方です。日本帝国と英空軍の機体です」
機長はガラス越しに合流してきた日帝と英空軍の機体に目をやる。
アメリカが第四世代機の開発に着手したように、日本帝国や大英帝国でも多くの第四世代機が開発されている。
その殆どの出所は北日本軍が保有していたソ連からのライセンス機を解析ないし、それを元にした機体であった。
BAC ライトニング
外観:MiG-21(⁉︎)
諸元
全長:16.84m
翼幅:7.15m
全高:4.71m
最高速度:マッハ2.05
兵装
M61バルカン×1
空対空ミサイル
AIM-9サイドワインダー
AIM-120 AMRAAM
AIM-54フェニックス
誘導/無誘導爆弾
対艦/対地ミサイル
SLAM
概要
イギリスBACが日本から譲渡されたMiG-21を解析、リバースエンジニアリングした事で生まれた戦闘機。
コンピュータ系は日本やオーストラリア製の良質な物に変更。
正史のライトニングであればエンジンを直列配置していたが、こちらはエンジンの性能向上により単発でも問題無く稼働できる様子。
ただ外観がMiG-21に酷似している為空自のベテランパイロット達は複雑な心境だそうだ。
多用途戦闘機 海燕
外観:MiG-29
諸元
全長:17.32m
全幅:11.36m
全高:4.73m
最大速度マッハ2.09
兵装
M61バルカン×1
空対空ミサイル
AIM-9サイドワインダー
AIM-120 AMRAAM
AIM-152 AAAM
誘導/無誘導爆弾
対艦/対地ミサイル
AGM-62 ウォールアイ
AGM-65 マーヴェリック
AGM-84 SLAM
征途日本より日本帝国が技術提供されると共に開発した第四世代機。
純日本製の最新コンピュータ搭載によりかつて北日本が使用していたタイプより性能は向上。
艦載機型も存在。
護衛を受けた爆撃隊はそのまま目標海域へと向かって飛行を続けた。
艦砲射撃によって要塞に対してダメージを与える事に成功した連合、学生艦隊。
そこへ本部からの通信をおわりが受けた。
「艦長、真珠湾本部からです」
副長から電文を受け取った猪口は一読して通信長を通じて全艦に命令を発した。
猪口『全艦に達する、こちら護衛艦おわり艦長の猪口だ。たった今真珠湾本部から通達を受けた。本海域にいる艦隊は直ちに作戦を中止、繰り返す、直ちに作戦を中止せよ‼︎』
「「⁉︎」」
事態を飲み込めていないホワイトドルフィン、ブルマー双方は困惑していた。
真霜「猪口艦長、一体どういうつもりですか⁉︎まだ要塞は行動しています、このままではプラントに合流されます!」
猪口『仰る通りです。しかし、やり方を変える……ただそれだけです』
真霜「……⁈」
戸惑うブルマーやホワイトドルフィンを他所に、現場空域に爆撃隊が到着していた。
「見えました!」
「やれやれ、やっと腹に抱えたBabyを落とせるってか!」
「ホワイトドルフィンの艦船を確認、要塞の出入り口から退避しつつあります!」
「距離に気をつけろ!こいつは本来陸上用だ!海の上じゃあ津波が起きるかもしれねえ」
味方が砲撃に晒されているのを察した護衛戦闘機隊は降下、要塞砲の下へと突っ込んでいった。
『敵要塞砲確認ッ‼︎レンジオン……発射!』
『Fire!』
海燕、ライトニングからAGM-84が発射。
要塞砲の一部を破壊し、ホワイトドルフィンの後退を手助けした。
『聞こえてたら急いで退避しろ‼︎』
翼を翻して上空へと退避する戦闘機隊を見送りつつ、接近していた突入艦隊は急いで離脱。
先行したB-47が要塞の真上に達した。
「爆撃手、外すなよ‼︎」
「この位置から外せって言う方が無理ですよ‼︎」
機体下部の爆弾倉が開き、2発のトールボーイが姿を現す。
「さぁて海賊共、民主主義からの盛大なプレゼントだ‼︎」
投下スイッチを押し、爆弾倉から切り離されたトールボーイは対空砲火の反撃が一切来ない海上要塞へと降り注ぎ爆発を起こした。
「やったか⁉︎」
「……クソッ‼︎なんて頑丈な野郎だ‼︎5t爆弾を受けてもまだ沈まねぇ‼︎」
「だが見ろ、動きは止まった」
確かにトールボーイの衝撃の影響からか要塞は沈黙していた。
「じゃあ後は頼んだぜ‼︎」
身軽になったB-47に変わり、3機のB-72が飛来。
『全機ハッチオープン。目標は要塞のど真ん中だ‼︎』
3機合計で3発しかこの場にグランドスラムは無かったが、威力は充分である。
『レディ……Go‼︎』
切り離された重さ9.9tのグランドスラムは海上要塞へと真っ逆様に落下。
トールボーイと違い、今度はコンクリートに穴を開けて内部へと侵入し炸裂する。
内1発が動力炉で炸裂し、炉へと誘爆。忽ち広大な要塞内部は地獄と化し、海賊達に断末魔を上げさせる前に焼き払い、弾薬庫へも誘爆。
天井を突き破って巨大な火柱と共に爆音が辺りに響き、同時にそれで発生した津波が艦隊へと押し寄せるも、安全圏へと全速で退避していた事もあり事なきを得た。