自由連合召喚   作:暁司令官

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結成《黒の騎士団》

 

後世日本 帝都

首相官邸

 

異世界へと転移し、自由連合との接触に成功すると同時に加盟を果たした後世日本。

しかしその独特の世界観に首相である大高と高野はある人物達を呼び寄せていた。

 

大高と高野のいる応接室の扉をノックする音と共に2人の男女が入ってきた。

中性的な容姿の整った顔立ちの少年、栗色の長髪と榛色の瞳が特徴の美少女であるが服装はコートにドレスアーマーと全く日本的な要素は無く、差し詰め何処かファンタジー地味ていた。

 

大高「桐ヶ谷さん、結城さん。わざわざ御足労をお掛けします」

 

「全然問題ないですよ。俺もアスナもここ最近何処にも行けなくて退屈してましたし」

 

「でも他の皆はちょっと羨ましがってましたけど……」

 

高野「確かに。君達…特に桐ヶ谷君の周りには女性が多いからな。相変わらず思うが何故なんだ?」

 

「俺が知りたいくらいです…」

 

両者の元を訪ねて来たのは桐ヶ谷和人(キリト)結城明日奈(アスナ)の2人であった。

席に座ると大高が話を切り出す。

 

大高「さて…お二人に来ていただいたのは他でもない。自由連合の構成国である日本についてです」

 

キリト「話には聞いてましたけど、なんか大分違うらしいですね?」

 

大高「左様。我々や貴方方の記憶と認識では日本は昭和20年8月15日。 無条件降伏をした…というのが共通認識です」

 

高野「だが例の日本はその前年である昭和19年のレイテ沖から狂っているんだ」

 

アスナ「レイテ…沖…?」

 

高野「君達の時代では"レイテ沖海戦"と呼ばれている。この戦いで当時の我が連合艦隊は組織的な戦力を失い、文字通り艦隊も壊滅した………が」

 

大高「本来ならこの海戦で大和の二番艦である武蔵が沈み、栗田長官の独断による反転で成功寸前までいった作戦は失敗。しかしあちらの日本では武蔵ではなく長門が沈み、あまつさえその栗田長官以下の第二艦隊司令部も壊滅した」

 

「「⁉︎」」

 

歴史の相違点を聞いた2人は驚きの表情を浮かべていた。

 

高野「本来ならその時点で作戦は中止されてもおかしくなかったが、その時点で最高指揮官となった一士官の判断でその後が大きく変わった。艦隊はレイテ湾へと突入し上陸していた米軍を悉く粉砕した」

 

大高「ですが、敗戦は避けられないようであちらでは昭和20年9月2日に日本は降伏」

 

キリト「結局歴史は何処の世界でも同じって訳なんですね…」

 

高野「いや。問題はその戦後だ」

 

「「え?」」

 

高野の一言に二人は思わず垢抜けた声を出してしまう。

 

高野「戦後同じ敗戦国であるドイツが東西に分断されたのと同じように、あちらの日本は南北の思想の異なる二つの日本に分断された」

 

アスナ「ぶ…分断……⁉︎」

 

大高「謂わば東西冷戦の最前線でもあったのです。詳細はまだ我々も掴みきってはいませんが、自衛隊もその規模を史実より拡大させ大戦を生き残った大和を近代化させつつ現在でも運用しているとのことです」

 

キリト「そ……そんな事って……」

 

高野「ある。歴史というのは必ず何処かで分岐している。今回の日本の歴史も、君達や我々の知る歴史からは大きくはないが大分ずれている。もしもあのとき…そう考えるだけでも並行世界というものは存在してもおかしくない」

 

キリト「……」

 

それを聞いた彼はある事を振り返った。

それは時空転移する以前、まだ"アンダーワールド"と呼ばれる仮装世界にいた頃の話だ。

そこで彼は親友であるユージオが目の前で命を落とす夢を見た。

知り合いに相談してみると、それは別の時空の描写であると聞かされた彼は改めて並行世界について考えるようになった。

 

大高「それにどうやら文化についても大分差があるようです。お二人が居た世界では"ブイアールエムエムオー"とやらが普及し始めていたと?」

 

キリト「はい。俺とアスナ、他の仲間達と出会った《SAO》がその先駆けでナーヴギアから始まってアミュスフィアが…」

 

高野「残念だがあちらの日本にはそれらが存在しないどころか、まだ研究・開発の域を出ていないそうだ」

 

キリト「えぇ⁉︎」

 

アスナ「同じ2020年代の筈ですよ⁉︎」

 

大高は静かに頷きながらゆっくり口を開いた。

 

大高「さらに興味深い事が分かりましてな。お二人はともかく朝田さんや直葉さん、他の七色さんやユウキさん、ユージオさんといった皆さんはどうやらその()()の有名人だそうです」

 

キリト「界……隈?大高さん、何を言ってるのか全然分からないんですけど…」

 

高野「総理」

 

大高「おっとこれは失礼。実は…」

 

そう言って大高は懐から一つの文庫本を取り出して二人の前に出した。

徐にその表紙を二人は見た。

 

そこにははっきりと黒のコートに黒剣を持った中性的な少年と栗色の髪に榛色の瞳に白地に赤のラインが入った服を着た見覚えのある少女が描かれていた。

 

アスナ「……キ……キリト君……これって…」

 

キリト「嘘……だろ……これ……」

 

そして何よりその本のタイトルを見て二人は驚きを隠せなかった。

何故ならそのタイトルは《ソードアート・オンライン》とはっきり記載されていたからだ。

 

「「俺⁉︎/私⁉︎」」

 

高野「あちらの日本にそのようなゲームは存在しない代わりに本が、小説がある。つまり君達は」

 

大高「あちらの日本では桐ヶ谷さんと結城さん、ひいては他の皆様は空想上の人物……と認識されているそうです」

 

「「えぇぇぇぇぇぇぇ⁉︎」」

 

余りにも予想外であった。確かに並行世界についてはある程度理解しているつもりが、今度は自分達が空想上のキャラクターであると言われたのだ。キリトの頭の中は「皆になんて伝えればいいんだ…」という事で一気に頭が一杯になった。

 

アスナ「え…ちょっと待って…?私達の見聞きした事が物語になってるって事は……」

 

その瞬間、彼女の脳裏にはかつて《SAO》に囚われキリトと初めて一夜を共にした第65層セルムブルクでの出来事がまざまざと頭に浮かんできた。

 

『こ、こっち……見ないで…///』

 

あの時彼女は《そういう意味》と捉えて服を脱いで下着姿になったのだが、キリト自身全くそういう意味は無かった。まぁその後ちゃっかりやる事やったのだが…

 

アスナ「ぁ……ぁぁ……///」

 

キリト「ア……アスナ…?」

 

彼女は気づいた。自分の下着姿を愛する彼だけでなく何千、何万人という読者に晒したという事実を知り赤面した。

 

アスナ「いやぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」

 

キリト「ふべぇぇ⁉︎」

 

『スパーンッ‼︎』という快音と共に彼女に顔を近づけていたキリトは思わず引っ叩かれた。

 

高野「桐ヶ谷君⁉︎」

 

大高「結城さん‼︎何を⁉︎」

 

アスナ「へ⁉︎」

 

我に帰ったアスナはふと横に目をやると床に頬を赤く腫れさせて倒れるキリトが目に入った。

 

アスナ「あぁ…キ…キリト君‼︎」

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

大高「それでだ桐ヶ谷さん、ここからが本題です」

 

キリト「前置きが随分と長すぎやしませんかね…?」

 

アスナに叩かれた頬をさすりながらキリトは話を聞いていた。

 

高野「まぁそう言うな。我が後世日本も加わった事で《自由連合》はその戦力を格段に向上させつつある。だがそれと同時にこの世界で注目を集めるようにもなっている」

 

大高「当然、我々に協力を仰いで問題を解決しようとする部族や国家も現れて来るのは間違いなし。だが重要なのはその問題の内容です」

 

アスナ「問題の内容…ですか?」

 

高野「うん。凡その事態には対処するのは我々も承知だ。だが内容によっては《軍》という組織が足枷になる場合もあってだな」

 

頭を掻きながら言う高野に合わせて大高が続ける。

 

大高「それにここは《魔法》が常となる世界。大抵の敵性生物や敵に対しては我々の火器で圧倒する事もできますが、場合によってはこちらの世界のやり方が功を奏す事態も考えられる。また連合でも把握しきっていない地域や種族というのも存在する。そこに一々軍を送り込むようであっては、国家としては出費が激しい」

 

キリト「確かにこの世界はALOやオリジン、アンダーワールドみたいなファンタジックな世界って言っても差し支えません」

 

アスナ「それと私達がどう関係するんです?」

 

大高「そうですな。我々が欲するのはこちらの世界で様々な制約を受けずに行動ができ、魔法やそれに関する知識を多少でも有し、尚且つそれに類似する脅威に対処が可能な実力を持った者……」

 

高野「君達だ」

 

キリト「つまり……俺達に各地を回って問題を解決したり、その地域を調査してきて欲しい……と?」

 

大高「回りくどい言い方をして申し訳ない。あくまでも調査と解決です、決して皆さんを戦地に送るような事をするつもりはありません」

 

アスナ「私達に非正規組織、としてこの世界で動いて欲しいって事でいいんですね?」

 

高野「そうだ。無理にとは言わんが……」

 

キリト「いいですよ」

 

大高「宜しいのですか…⁈結城さんは…」

 

アスナ「私もキリト君と同意です。私達じっとしてろって言われても無理な体質なので」

 

キリト「幾つか条件はありますけど、引き受けますよ」

 

高野「すまんな…」

 

大高「ありがとう…桐ヶ谷さん、結城さん」

 

アスナ「いえ、お礼を言われる程は」

 

キリト「住む場所まで与えてもらってるんですから、家賃みたいなもんですよ」

 

 

後日大高によってキリトをリーダーとする非正規組織《黒の騎士団》が後世日本で密かに産声をあげた。

 

彼らの最初の任務はグラメウス大陸にいる魔獣の討伐であった。

当初は長くて1〜2ヶ月はかかるだろうと後世陸軍桂虎五郎元帥は思っていたが、彼らはその半分である半月で9割以上の魔獣を討伐せしめたのだった。

 

その後、ファルマート大陸に渡った彼らは部族紛争に介入。

そこでアリスが予想以上の活躍をしてみせた結果、後の世に「金木犀の竜騎士伝説」として彼女の事が語られるのだった。

 

その裏で伊丹二尉がテュカ達と動いていたのは知るよしも無かったが

 

 

 

 

 

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