自由連合召喚   作:暁司令官

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望まぬ激突

 

GATE世界との再開通から1年後。

 

自由連合とGATE世界との関係はなんとも言えないものだった。

特に中国はこぞって連合を批判。中でも日本帝国に対する当たりが酷く、連合日本帝国にはありもしない罪状を叩きつけられている様子で連日罵声を浴びせていた。

かくいう日本帝国はフルシカトしていた。唯一出した声明として「そちらの日本帝国の問題を我々に押し付けられても困る。今更過去の事を蒸し返してどうするのだ?」とだけ言い、余計に中国側に癇癪を起こさせた。

 

連合アメリカはGATE側のアメリカを「国際協調というものを忘れ、合衆国の名に泥を塗った馬鹿共」と痛烈に批判。

 

征途紀伊日本や後世、日帝はGATE日本に対しては「銀座事件とその後の行動には納得できるが、自衛官らの命を軽視しすぎなのでは?」と口を尖らせて言った。

 

何も言い返せない日本は連合からの「アルヌス駐屯地の共同活用」の申入れを受け入れざるを得なくなり、これに際してアメリカは連合への支援という名目で再び派兵を提案するも、連合側からキッパリとお断りが来た。

 

これによりGATEにおける国際社会(主に米中)からの自由連合に対する憎悪の感情というのは少なからずあった。

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

後世日本 

首相官邸

 

大高「御足労をお掛けしましたな、藤堂さん」

 

藤堂「いえ、お招き預かり光栄です。大高総理」

 

藤堂はこの日、後世日本の大高の元を訪ねていた。

内容はGATE世界の事でもある。

 

大高「やはりあちらの世界で我々連合はあまり受けが宜しくないようですな」

 

藤堂「特に国際社会。アメリカや中国からは」

 

大高「はぁ…これも先の大戦の影響でしょうな……」

 

藤堂「致し方ありません。大戦の余波というのはどうしても波及するものです。世界の隅々まで、全てを変えてしまいます」

 

大高「勝者は敗者の考えを理解しようとせず、己の力を世界に誇示したがる。まるで子供の道理だ」

 

藤堂「あちらのアメリカがまさにそうだと…」

 

大高「仰る通りです。まだこちらの合衆国の方がいい、勝者である事を知らず。手を取り合う事の重要性を理解している。我々の世界のアメリカもそうあって欲しかった…」

 

藤堂「悔やんでも仕方ありません。逆に我々の世界のアメリカは勝ってもその後が踏んだり蹴ったりで驕る暇もありませんでしたよ」

 

「「ははは」」

 

皮肉混じりの笑いが部屋の中に響き、二人の首相の会談は静かに進む。

 

大高「ところでだ藤堂さん。ファルマート大陸での一件の後、抗戦派はどうなりました?」

 

ファルマート大陸での閉門騒動に起きた講和派と抗戦派の戦い、一応講和派と派遣群、連合軍が勝利を納めたが……

 

藤堂「はい。事態は平定しましたが残党は未だに所々で燻っています。要人の暗殺未遂やテロ…派遣群への妨害も度々耳にします」

 

大高「その残党についてだが、実は嫌な噂を聞きましてな…」

 

藤堂「嫌な噂…?」

 

大高「うむ。まだ確証はないのですが、どうも残党の一部があちらのアメリカや中国のスパイを手引き、ないし魔法関連の情報を流していると…」

 

藤堂「本当ですか……⁈」

 

大高「東機関に所属の者と私のまぁ…私兵部隊の方々からの情報なのですが、まだ確たる証拠は無く」

 

藤堂「他国の首脳陣には?」

 

大高「随時話すつもりです。藤堂さんが最初です」

 

藤堂「ありがとうございます。我々もSRIを通じて調べさせます」

 

大高「頼みます…!」

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

数ヶ月後

 

伊3001潜 亀天

 

紺碧艦隊所属:伊3001潜亀天は大高総理、高野総長の密命により日夜太平洋の警戒監視を行っていた。

 

「艦長!右舷に未確認のスクリュー音を探知‼︎」

 

入江「位置は?」

 

「前方一万七千。複数」

 

入江「距離七千まで接近し、潜望鏡深度まで浮上」

 

亀天の高速性を活かして不明艦隊にまで接近し、潜望鏡深度へと浮上しその眼下に映ったものを見て入江は驚愕した。

 

入江「あれは…⁉︎」

 

艦容はいずれも現代風、さらには大型空母が2隻まで確認された。

そしてマストにはアメリカ海軍の海軍旗が掲げられていた。

 

入江「急速潜航‼︎トリムダウン20!!ハワイ本部にこの事を伝えろ‼︎」

 

「はいッ‼︎」

 

直ちに暗号無線に書き換えられた電文はハワイ本部へと伝えられた。

だが同じ頃、ハワイ北方海域でも正体不明の艦隊が出現したとの報告が真珠湾本部に寄せられた。

 

自衛隊、豪海軍が情報を精査した結果。

ニューギニア付近に確認されたのはアメリカ海軍艦隊、そしてハワイ北方で確認された艦隊は中国海軍であると判明。

連合側のアメリカはニューギニア付近に艦隊を展開していない事、また自衛隊の情報では確認された空母はニミッツ級である可能性が高かった。

 

これらの情報から導き出された結果として、何者かが転移魔法を使い米艦隊と中国艦隊をGATE世界からこちらに呼び寄せたと結論づけられた。

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

報告を受け、ハワイを中心に太平洋地域全体に非常事態宣言が発令された。

 

フィリピン付近に居たニミッツ元帥麾下の第1艦隊とスプルーアンス少将指揮下の第5艦隊、小沢中将麾下の帝国海軍第一艦隊、海自第三任務機動群が合流し『連合第一機動艦隊』となる。

アメリカ艦隊の目標であろうトラック諸島へと急行。

 

中国艦隊に対しては真珠湾より出撃したハルゼー麾下の第3艦隊、山口中将麾下の第二艦隊、英海軍フレーザー中将麾下の第1艦隊、豪海軍第二艦隊、海自第二任務機動群からなる『連合第二機動艦隊』が出撃。

ミッドウェー島付近で待ち構える。

 

ハワイの防衛には高杉中将麾下の第一聯合航空機動艦隊と旭日艦隊、キンケイド少将麾下の艦隊が周辺海域にて待機。

 

 

誰も予想しなかった海戦の火蓋が切って落とされんとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

連合第一機動艦隊

 

原子力空母エンタープライズ

CDC

 

薄暗いCDC内でクルー達が情報を精査しクリアボードに書き込み、レーダーを凝視する中指揮官であるニミッツの顔は浮かないものだった。

 

ニミッツ「………」

 

「司令、浮かない顔をされておりますが」

 

彼に声をかけたのは情報主任参謀エドウィン・レイトン中佐であった。

 

ニミッツ「君か…」

 

声をかけられた彼は重い口を開いた。

 

ニミッツ「正直、私は残念でならない。まさかアメリカ人同士で正面きって殴り合う日が来ようとは……」

 

レイトン「仕方ありません。さらに残念なお知らせで申し訳ありませんが、無線による接触を試みた我が軍の潜水艦からあちらのアメリカ海軍から返答が送られて来たそうです」

 

ニミッツ「……内容は…?」

 

僅かな希望を抱いたニミッツは視線を落としたまま中佐に顔を向けて聞いた。

 

レイトン「はい……"世界の警察である我々は貴官らの要求など知った事ではない。未来からの鉄槌を与える"……と」

 

ニミッツ「……」

 

それを聞いた彼は何も言わず顔を前に向けた。

 

レイトン「……司令……」

 

「……」

 

「……」

 

クルー達も釣られてニミッツの方を見る。

その顔には哀愁が漂っているが、目の奥には海軍軍人としての闘志が燃え盛っていた。

 

マイクを手にした彼は艦内放送を入れる。

 

ニミッツ『諸君。たった今接触を図った我が軍の潜水艦から報告があった。我々の望みは潰えた。我々は南北戦争以来初のアメリカ人同士で武力衝突する事になる。だが我々は精強であると私は信じる。自衛隊、日本海軍もいるが彼らとの絆が我々をより強くしている‼︎我々の落とし前は我々でつけるッ‼︎以上だ』

 

訓示を終えたニミッツはレイトンの方に再び顔を向ける。

 

ニミッツ「中佐。あちらと我々、どちらが先にトラック諸島に到達する?」

 

レイトン「タッチ差で行けばあちらです。トラック諸島には日本海軍の基地航空隊と自衛隊の地対艦ミサイル連隊が現地にいます。我々が到着するまでは持ち堪えてくれる筈です」

 

ニミッツ「だとしても急ぐぞ。手遅れになっては合衆国海軍の末代までの恥だ。東郷元帥からあの世で説教を受ける羽目になるぞ」

 

 

艦隊が一路急行する中、侵攻する米艦隊からF/A-18E/Fが爆装で発進。

目標は勿論トラック泊地だが、ここで彼らが一つミスをしたとするなら護衛をつけなかった事だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

トラック諸島

 

報告を受けた日本海軍の各基地では地下格納庫より海燕と対艦装備をした海竜*1が上げられ、滑走路で暖気運転に入っていた。

 

『こちら管制塔。攻撃隊及び護衛戦闘機隊は直ちに発進し、敵艦隊を迎撃せよ。全機発進‼︎』

 

「宜候ッ‼︎」

 

スロットルを上げ、アフターバーナーを点火した海燕から発進し、遅れて海竜が星空へと舞い上がった。

 

同じ頃、トラック諸島にて訓練中だった陸自第2特科団所属の第5地対艦ミサイル連隊も行動を起こしていた。

 

「まさか本気でアメリカとやり合う事になるとはな…」

 

指揮トラックから連絡を受けた連隊長の城之内雅之一佐は苦い顔をする。

小説やらなんやらで自衛隊がアメリカや中国とやり合うような物があるのは知っていたが、まさか自分がその立場になるとは微塵も思っていなかった彼は歯痒さを感じて居た。

 

「一佐、トラック基地から通達」

 

城之内「内容は?言わなくて分かるが…」

 

「はっ。侵攻する米艦隊は退避通告を無視、また爆装した艦載機の発進を確認したとハワイ本部からもトラック基地経由で来ました。よって彼の艦隊を敵とみなし、迎撃せよと」

 

城之内「仕方ないか……」

 

レーダーディスプレイに映る敵艦隊を前に城之内は覚悟を決めた。

 

城之内「これより米機動部隊に対し、ミサイル攻撃を実施する」

 

命令を聞き、隊員らは素早く準備を整え重装輪車両の後方にある発射筒が直角90度に角度をとり、発射口を天に向ける。

 

「目標捕捉。攻撃準備よし」

 

城之内「攻撃開始ッ」

 

短く言い切ると同時に発射スイッチがONになり、発射筒から重量700kgの地対艦ミサイルが炎と煙を噴き上げながら飛翔していった。

 

 

*1
トーネードADV 日帝、豪、英共同開発

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