米"懲罰"艦隊
カール・ヴィンソン
CDC
CDC内で指揮を取るジェイソン司令は複雑な心境だった。
大統領及び国防長官直々の命令で北太平洋上に出たかと思えば気が付いたら噂の『特地』の海に出ていた。
その後命令書を見て彼は絶句した『付近にある筈の自由連合の拠点を殲滅せよ』との内容に思わず言葉を失った。
彼自身日本だけが特地と接触ができる事に対して余り良い印象は抱いていなかった。
そして今度は過去のアメリカや日本帝国が自分達の事を好き勝手に言ってくるのだから確かに頭に来ていた。
だが今になって自分達がアメリカ海軍同士で戦おうとしている事にやや複雑な思いを抱いていた。
だが彼はそれを目の前にある「トラック基地」に対して鬱憤をぶつけて晴らそうと画策していた。
「司令、一つよろしいですか?」
ジェイソン「なんだ?」
「攻撃に向かわせた航空隊についてですが、本当に護衛はいらなかったのでしょうか?」
ジェイソン「なぁに心配はいらん。奴らは確かにジェット戦闘機は出してくるだろうが、それは所詮我々からすれば旧型で良くてもファントムだろうさ。護衛はなくても勝てるさ」
彼らの楽観的観測には理由があった。
連合はGATE側に自国の軍事力を開示した際、数年前の第一次異世界大戦時の戦力をわざと現在の戦力と偽って公開した。
これは連合の技術レベルを正確に測らせない目的もあり、自衛隊に関しては難しかったが日帝、アメリカ、イギリスに関しては上手く誤魔化す事に成功。
その為、懲罰艦隊は連合側の技術力を甘く見ていたのだ。
『ケディスバーグがこちらに向かってくる高速飛翔体を確認‼︎地対艦ミサイルですッ‼︎』
ジェイソン「チッ‼︎」
事前に飛ばしていた偵察機の報告により自衛隊がトラック基地に居る事は掴んでいたが
ジェイソン(よりにもよって地対艦ミサイル部隊か‼︎)
「直ちに迎撃させろ‼︎」
直様ケディスバーグ、チョーシン、カーティス・ウィルバーが迎撃の為VLSよりSM-2を発射する。
第一波として飛来した9発は難なく撃破できたが、経験値が違う連合自衛隊は既に第二波も放っており、撃破から1分も立たずに艦隊へと迫る。
カーティス・ウィルバー
「第二波来ます‼︎」
「迎撃急げッ‼︎」
直ぐに迎撃に移ろうとするが今度は行動に出たのが遅く既にSM-2は間に合いそうもなかった。
ESSMの準備をしようとする。
「艦長‼︎接近するミサイルのさらに後方に新たなミサイルがッ……‼︎」
「準備でき次第ESSM発射‼︎」
発射したESSMは真っ直ぐ第二波のミサイルに向かって飛翔し撃ち落とすが、爆炎を突っ切って第三波が飛来した。
「CIWS、主砲で応戦ッ‼︎」
CIWSが20mm弾を夜空にばら撒き、5インチ砲は腹に響く砲声を絶え間なく響せる。
だがそれらを嘲笑うかのように12SSMはカーティス・ウィルバー向けて突っ込んで来た。
「総員、衝撃に備えッ‼︎」
トラック基地
第5地対艦ミサイル連隊
「スタンバイ……マークインターセプト‼︎」
レーダー上に映し出された2つの点が接触と同時に消えたのは相手を撃破した証拠である。
城之内「流石世界は違っても米軍だ。一波、二波は防ぐか」
「敵駆逐艦1、巡洋艦1隻の撃破を確認」
城之内「さぁてどう来る……?」
カール・ヴィンソンのCDC内は蜂の巣をつついたような様相だった。
ジェイソン「損害は?」
「はッ。カーティス・ウィルバー及びチョーシン撃沈、ケディスバーグ大破炎上中…」
ジェイソン「shit……」
第二次大戦以来初めて米海軍艦艇が撃沈されたというだけでも彼らにとっては衝撃は大きかった。
だが本当の衝撃はここからだった。
発進した爆撃隊30機の翼下にはMk.84低抵抗通常爆弾が吊り下げられていた。
『にしても旧日本海軍の一大拠点が最初のターゲットとはな…』
『初っ端ハワイよりはマシか』
パイロット達の間には"警戒"の二文字は無く、全く油断し切っていた。
それを知ってか知らずか、トラック基地防空隊所属の海燕28機が接近しつつあった。
『前方距離四万に敵編隊を捕捉!』
『あちらも我々を捕捉してるだろう……全機、誘導弾で叩き落とせ‼︎』
発射態勢に入った海燕隊はディスプレイに映る白点に目をやるとロックのアラームが機内に響く。
『先手必勝…レンジ・オン……発射ッ‼︎』
翼下に取り付けられたAIM-120 AMRAAMが白煙を吐きながら夜空を飛翔し、敵爆撃隊へと飛んでいった。
『敵機だ!』
『慌てるな。チャフでも撒いてりゃ避けらr』
直ぐ横を飛んでいた味方が次の瞬間には一瞬にして爆炎をあげて夜空の星となり、それを追うように一機また一機と堕ちていく。
『な…なんだと⁉︎』
『ま……まぐれだろ……』
パイロット達は驚きを隠せない中、さらなる衝撃が目の前に現れた。
『ん?……あれは……MiG-29…⁉︎』
目の前のそれがMiG-29をベースにした海燕である事を知る筈も無く、爆撃隊は統率を離れてバラバラに逃げ始める。
『
重量のある爆弾をつけたままでは思うようにスピードも出ず、この場合は爆弾を切り離すのが定石だが冷静に判断できない状態の彼らにはそれができなかった。
「敵に相対したら爆弾や増槽を外すって習わなかったか?え⁉︎」
操縦桿の赤いスイッチを押し、AIM-9が炎と白煙を吹きながら発射。
エンジン部で炸裂を受けたスーパーホーネットは錐揉みに入って異世界の太平洋へとその身を落としていった。
「さぁて艦攻隊。道は作った、たらふく食ってこい‼︎」
空戦場のど真ん中を駆け抜けるように、海竜隊が勢いよく通過していった。
目指すはカール・ヴィンソン以下、米懲罰艦隊。