異世界転移してから早数年
連合各国が新型戦闘機、艦船、陸上兵器を開発し著しい進化を遂げていた。ただその一方で日本国、海上自衛隊はある点で頭を悩ませていた。
それは保有する戦闘機の陳腐化である。
F-3やF-35といった機体はまだまだ先の未来でも通用しうる能力を保有しているが、ヴァルキリーやF-2は陳腐化が著しくハリアーに至っては転移前のアメリカでは海兵隊向けの機体が生産を終え、最終号機がロールアウト。情報によると順次F-35へと更新していくとネットニュースに掲載されていた。
ヴァルキリーは湾岸戦争期の80年代後期に配備されて以降30数年経っている。
当時世界初のステルス艦上戦闘機として話題を呼んだが、そのステルス性もF-22には及ばない物だった。
F-35と比べてもお世辞にも良いとは言えなかった。
そこで防衛省は各種機体の改修及び更新を開始した。
まず空自のF-2からである。
一応改修しようという考え事態は転移前からあり、ロッキード・マーティン社と共同で改修計画が模索されていた。
ただそのロッキード社が転移と同時に連絡も何もかも不能となったが、事前に詳細を詰めていたお陰で目指す完成像は見えていた
計画名《F-2 スーパー改》
改修内容
ターゲティング能力の拡張を見込んだAESAレーダーへの換装。
JTIDSまたはMIDS端末搭載によるリンク16/TADIL-Jへの対応。
兵装システム士官 (WSO) 専用化された後席の追加。
AIM-120 AMRAAMの運用能力。
AIM-9X サイドワインダーの運用能力。
AGM-154 JSOWの運用能力。
AGM-88 HARMの運用能力。
誘導型クラスター爆弾(WCMD:風向修正弾薬ディスペンサ)の運用能力。
JDAM及びLJDAMなどの誘導爆弾の運用能力。
JHMCSへの対応。
スナイパーXRの運用能力。
偵察ポッドの運用能力。
コンフォーマル・フューエル・タンクへの対応。
主翼下ハードポイントの4箇所すべてに武装を搭載し使用可能とする。
F110-GE-132エンジンへの換装。
以上の内容に沿って改修を行う予定だったが、誘導クラスター爆弾については日本がウェリントン宣言に署名した為、独自のクラスター爆弾の開発や保有は不可能となった。
この点は妥協するとして防技研と三菱重工により日本における2028年に《F-2スーパー改》が正式採用され、新造すると同時に既存の機体の改修も行われていくのだった。
空自側の梃入れは済んだ。
次に防衛省は海自の主力艦載機である《FV-2ヴァルキリー》と《AV8BJハリアーⅡ》に取り掛かった。
樺太 豊原市
防衛技術研究所の職員はこの日国内有数の企業《大河重工》を訪ねていた。
元々この企業は南北分断時代は《人民日本航空局》という名前で当時人民空軍主力であった《Su-27 フランカーJ》や《MiG-29J スーパーファラクラム》といった有名どころの機体の設計等担当していた。
戦後、三菱や石川播磨*1ら南側の有数企業が支援の元《大河重工》へと名前を変えて存在していた。
応接室で4、5分程待っていると眼鏡をかけた物腰の柔らかそうな老社長が入って来た。
「佐々川社長。今回はお忙しい中お時間をありがとうございます」
佐々川憲一
大河重工の最高取締役である。
佐々川「いえ、防衛省の方とあっては断る訳には行きません。それで本日はどういった件で?」
ソファに腰掛けた佐々川は職員に要件を尋ねる。
「はい。本日お伺いしたのは、海自の新型艦上機とハリアーⅡの後継機の開発を依頼したくお伺いしました」
戦闘機の開発だと理解はしたが、佐々川はやや顔を顰めて聞き返した。
佐々川「えっと……それはそれぞれ別の機体という事で…?」
「はい。その通りです」
内容を知った佐々川は少し呆れた様子だったが、とりあえず詳しく聞いてみる事にした。
まずヴァルキリーの後継としての条件は
《F-3と同等のステルス性を持った第5.5世代機である事》
ハリアーⅡの後継機には
《VTOL機能を有する事》
《ヴァルキリー以上のステルス性を有する事》
《第5世代戦闘機》
である事が挙げられた。
求めてきた内容としては少ないがいずれもハードルが高い物であった。
佐々川「これはまた随分と……」
「無理を承知なのは分かっています……最低どちらか一つだけでも…」
佐々川「……分かりました。両方ともお引き受けしましょう」
「ほ……本当ですか…⁉︎」
職員の希望に満ち溢れた顔を前に佐々川は眼鏡をあげた。
佐々川「但し、一つ条件が。ハリアーⅡの方に関してはオーストラリアとの共同でも構いませんか?流石に我が社で二ついっぺんは、そうなったらあちらも導入する事になるでしょうが…」
「そうですか……分かりました。その方は私が上に報告しておきます。詳細が分かり次第ご連絡させていただきます」
後日、日豪首脳会談でハリアーⅡ後継機の共同開発が両国間で承認された事により計画は大きく動き始めた。
大河重工はF-3心神の開発でも中心的な役割をになっていた部分もあり、エンジン、アビオニクス、ステルス技術に関しては他の企業とは一線を画していた。
ただ設計に関してはやや疎い部分もあった。しかしその点は予想外の方法で打開された。
「外観を空想上の機体から持ってくるのはどうだろうか?」
ある1人の若手社員のこの一言が開発の運命を大きく変えた。
社員達はゲームやアニメ、果てはプラモデルの改造機をあれこれ漁り遂に「エースコンバット」にたどり着いた。
かのゲームには多くの実機が登場するのは勿論、ゲームオリジナルの機体も多数登場しており選択肢は無数にあった。
大河重工はバンダイを設計アドバイザーとして迎え入れ、新型機設計に着手した。
その中で新型艦戦には「CFA-44」ハリアーⅡ後継機には「ASF-X 震電Ⅱ」が選定された。
デザインが決まった事もあり、その後はスムーズに開発は進んだ。
ただどちらも試作1号機がロールアウトしたのが第一次異世界大戦終結直後であった為、実戦配備には間に合わなかった。
以降テストを重ね、遂に両機共に正式採用・配備が開始されるのだった。
CFA-1 ノスフェラト
全高:5.03m
全長:20.04m
全幅:12.74m
最高速度:マッハ3.5
武装
固定武装
GAU-8J 30mm機関砲 2基
ミサイル
04式空対空誘導弾
99式空対空誘導弾
90式空対空誘導弾
AIM-120 AMRAAM
AIM-9XJ
AIM-174BJ ガンスリンガー*2
ASM-3
AGM-84
電子装備
ECM/ECCMユニット
統合電子戦システム
概要
海自が採用したFV-2ヴァルキリーの後継機。
外観は「エースコンバットシリーズ」に登場したCFA-44 ノスフェラトそのもの、名称はバンダイへの敬意を込めて。心神で培ったステルス技術やエンジン技術を活かした事により史上初の第6世代戦闘機として完成した。
無人機との連携も可能であり、MQ-9Jと主に偵察を現在は主としているが防衛装備庁は、MQ-9Jに搭載する為の小型高出力レーザー砲の開発にも着手している。ただAIM-9、ロケット弾ポッドを装備できるようハードポイントが2基設けられている。
また試作機は技術研究所に移管され、噂では航空機用レールガンのテストを行なっているとの噂が囁かれている。
余剰となったヴァルキリーは各機オーバーホール後、順次オーストラリア海軍に引き渡される予定。
FV-3 震電Ⅱ
諸元
全長:17.6m
全幅:13.04m
全高:3.43m(ギア含まず)
最高速度:マッハ3.0
兵装
固定武装
M61 バルカン砲×1
AAM-3
AAM-4
AAM-5
AIM-9XJ
AIM-120
ASM-2
ASM-3
AGM-84
概要
老朽化していたAV-8BJ ハリアーⅡの後継機。
設計当初、エンジンは一般的な左右配列にする予定だったがSTVOL型に対して海上自衛隊が安全上の理由で双発機にこだわったため、上下配列という形になった。珍飛行機の発生元として名高いイギリスの血を受け継いでいるオーストラリアとの共同開発であることから「英国面に染まった」とネタにされることも多く勘違いされがちだが、エンジン配置周りに関してはまったくイギリスのせいではない。
本機が開発された理由として《F-35》の不足問題である。
転移後、生産工場があるとはいえ残されたデータの解析や不足分の補うデータを確保するなどしている内にオーストラリアが転移。
自国だけに供給するならともかくオーストラリアにも供給せねばならなくなり、配備したとしても部品の不足等の懸念に対してである。
ちとせ型対潜護衛艦*3、いせ型護衛艦、いずも型護衛艦、あおしま型強襲揚陸艦*4に配備されている。