自由連合召喚   作:暁司令官

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バーニング・ワールド

 

『日向灘空戦』と呼ばれる事件から数日が経過した頃、首脳陣はテレビ電話による会談を行なっていた。

当初は独軍に扮した何処かの勢力であろうと考えられていたが、回収した残骸や漂流していたパイロットに尋問したところそれらの考えは崩された。

首脳陣が頭を抱える中、一人事態を冷静に分析する人物がいた。

 

 

後世日本

帝都 東京 首相官邸

 

大高「よもやこの世界に来てまで、独軍の脅威に直面するとは……」

 

高野「総理の心中お察しします。しかし事が起きてしまった以上、対処せざるを得ません」

 

大高弥三郎と高野五十六。この二人は転移前の後世世界にて『神聖欧州帝国』とその総統《ハインリヒ・ヒトラー》との戦争を経験し、独軍に対する知識・経験は共に随一であり先の事件について思考を巡らせていた。

 

大高「彼の国がもし本当に独国だとした場合総長、貴方はどう分析しますか?」

 

高野「そうですな…戦った搭乗員の報告によると相手は誘導兵器を難なく使っております。その点を踏まえると彼の国は我々の戦った独国と同じか少し下の技術力を有していると考えます」

 

大高「確かに戦闘機が違う。だが年代にもよるが……」

 

高野「となると、襲撃を受けた彼女から聞くしかない…と。その例の子は?」

 

大高「うむ。実はだな総長、日本国からの情報によるとあの方は魔法が使えるようだ」

 

高野「は?」

 

大高「それと言うのもですな、あの方が足につけていた装置を解析したところ……」

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

マイラス「ふむ……なるほど……」

 

「マイラスさん、何か分かったので?」

 

新田原基地にて芳佳がつけていたストライカーを解析していた技術者達に混じってムーから訪れていたマイラスがいた。

 

マイラス「えぇこれは魔導エンジンです」

 

「「……え?」」

 

それを聞いた各国の技術士官らは目を丸くし、素っ頓狂な声を出した。

 

マイラス「ですから、魔導エンジンと申したのです。最もミリシアルが使っている物とは大分異なりますが似通っている部分があります」

 

「と言われますと…?」

 

マイラス「私も一度見た事があるのですが、ミリシアルの魔導エンジンは魔石と呼ばれる物からエネルギー…謂わば動力を得ていますが、これは魔法を使える人間から直接魔力を吸収し、それを動力として使っている」

 

「なるほど…」

 

一同が納得する中、ある士官がふと気づいた様子でこう言った。

 

「待てよ…?てことはあの少女は魔法が…」

 

「使えるって事か⁉︎」

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

高野「なるほど……そのような事が」

 

大高「ですので、それを詳しく調べてもらおうと桐ヶ谷さん達を現地に向かわせております」

 

高野「確か…日本もアルヌスに協力を要請していたような……和人君達にその事は?」

 

大高「敢えて伝えてはおりません」

 

高野「はい?」

 

予想外の返答に高野は思わず聞き返すのだが、大高には何やら考えがあるような様子だった為彼はそれ以上聞こうとはしなかった。

 

大高「ともかく、今は独国の調査だ。いずれ戦端を開く事になるでしょうから…」

 

高野「はい……」

 

両雄は近く訪れるであろう第三帝国との再戦とその対策に奔走するのだった。

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

芳佳の身柄は自衛隊で保護された後、より精度の良い場所で検査を受けるとの事から自衛隊福岡病院へと移された。

 

一時は出血多量により命の危機が危ぶまれたが、輸血や迅速かつ丁寧な治療により一命を取り留め意識も回復していた。

 

そんな彼女が魔法を使えると分かり、大高はキリト達を現地へと向かわせていた。

 

 

 

福岡自衛隊病院

 

キリト「疲れたぁ〜!」

 

アスナ「そうだね、こんなに隠れながら移動なんて生まれて初めてだったし」

 

リーファ「まぁ私達が世間に知られたら大混乱っていうので仕方ないけど。ユージオさんは大丈夫?」

 

ユージオ「僕も大丈夫だよ。寧ろ楽しかったな、こういうのリアルワールドでは…えっと……」

 

アリス「スリル満点……と言うのでしたね、キリト」

 

キリト「あぁそうそう」

 

『ソードアート・オンライン』がアニメや漫画、小説として日本で展開されている以上、その中からそのまま出てきたようなキリトやアスナ達が一度街中に入れば混乱を及ぼしかねない。

それを案じた大高は事前に藤堂に連絡を入れ、特殊なルートで彼らを現地へと派遣していた。

 

シノン「それにしても、久しぶりに現代社会に帰って来たって感じね…」

 

キリト「そうだな…改めて考えるとあっちは戦前でこっちは俺たちが知る世界に大分近い訳だし……」

 

アスナ「室蘭のログハウスはSAOの時みたいな感じだったけど、こうして見ると私達ってやっぱり日本人なんだなって…」

 

世界が異なろうと、日本人として生まれたのであれば彼らも日本人である。キリト達は改めてそれを実感した。

 

キリト「ん?」

 

ふと視線を前に向けると人影が見えた。

目元はよく見えないが、ゴスロリチックな見た目の服に何故かハルバートを持った少女がいた。

違和感を感じていると相手が目を覗かせ、舌舐めずりをしていきなりこちらに向かってきた。

 

キリト「ッ‼︎」

 

その瞬間キリトは本能で危険を察し、背中に抱えていた『夜空の剣』を引き抜いた。

 

キリト「アスナ‼︎皆下がって‼︎」

 

「「⁉︎」」

 

次の瞬間、見かけによらない脚力があるのか飛び上がってハルバートを振り下ろしキリトはそれを受け止めた。

 

キリト「ぐっ……!」

 

アスナ「キリト君‼︎」

 

アスナ達も剣を取り出し、少女へと剣を振るうが相手はそれを読んでいたのかハルバートを使って交わして距離を取る。

 

「!」

 

ユージオ「ハァッ‼︎」

 

背後に回ったユージオが攻撃を仕掛けようとするもそれを受け止められ、逆に彼を弾き飛ばした。

 

ユージオ「ぐっ!」

 

「ふふふ…貴方、なかなかやるじゃなぁい」

 

距離をとって出方を伺うが、ここは病院の敷地内。あまり派手な技は使えない。

 

アリス「お前は何者ですか‼︎私達に何の目的があってこのような事を⁉︎」

 

整合騎士としての性か、アリスが金木犀の剣を突き出して問いかけるが相手は不適な笑みを浮かべたままだった。

 

キリト「アイツ…只者じゃない…」

 

アスナ「え…?」

 

キリト「ハルバートを受けて分かった。アイツは人間じゃない…」

 

リーファ「てことは……⁉︎」

 

相手を冷静に分析し、次の一手をキリト達は考えていた。

まさにその瞬間だった。

 

「おい何やってんだよロゥリィ⁉︎ここが何処か分かってんのか⁉︎」

 

「あらヨウジィ。遅かったじゃない?」

 

「遅かったも何もお前がいきなり居なくなるから…」

 

突然現れた私服姿の男が彼女と平然と話し始めた事に一同は唖然としていた。

 

シノン「これ…どういう…状況…?」

 

キリト「さ……さぁ?」

 

困惑するキリト達の所に更に混乱がやってきた。

 

「お父さぁーん‼︎」

 

「あぁレレイにテュカ、やっと見つけたよ」

 

「もうロゥリィ!勝手に居なくならないで」

 

「ふふふだってぇ〜なんだが面白い気配をあの坊や達から感じたのよ?今までにない…そうヨウジに似た感じね」

 

「まぁ何を感じたかさておき……」

 

男が申し訳なさそうな表情でキリト達の所にやってきて謝罪をした。

 

「ごめん‼︎ウチのロゥリィが迷惑を…!怪我はないかな…ッ⁉︎」

 

顔を上げた途端アリスが剣を彼の鼻先に突きつけ、物凄い眼光を放っていた。

 

アリス「貴方も仲間なら容赦は…」

 

キリト「まぁまぁまぁ‼︎アリス!一旦剣を納めて…!」

 

彼女を宥める形でキリトが割って入り、彼女を抑えた。

 

キリト「すいません…!アリスが…」

 

「いやいや、こちらこそ。俺は伊丹耀司。こう見えても自衛官だ。でこっちは…」

 

「ハイエルフのテュカ・ルナ・マルソーです。よろしく」

 

「レレイ・ラ・レレーナ。魔導士だ」

 

伊丹「…で君達に襲いかかったのが…」

 

「エムロイの亜神。ロゥリィ・マーキュリーよぉ。よろしくね、坊や達」

 

アリス「あ…亜神…⁉︎」

 

キリト「それは一旦置いといて…俺は桐ヶ谷和人。キリトって呼んでください」

 

アスナ「結城明日奈です。私はそのままアスナです」

 

リーファ「桐ヶ谷直葉です。訳は後で話しますけど、リーファって呼んで」

 

シノン「朝田詩乃、シノンでいいわ」

 

アリス「整合騎士アリス・シンセシス・サーティです。宜しく……」

 

ユージオ「僕はユージオです」

 

伊丹「宜しく。キリト君だったか、もしかして君達が大高首相の所から来るって言ってたメンバーかい?」

 

リーファ「大高さんのこと知ってるんですか?」

 

伊丹「あぁ一応、話は聞いてたけど……あれ?君達は知らないのかい?」

 

シノン「私達は特にここに行く事以外は……」

 

キリト(あの人はもぉ〜……)

 

伊丹「まぁともかく目的は一緒みたいだし、入ろうか」

 

伊丹達と思わぬ形で出会ったキリト達はそのまま院内へと入って行く。

その間、アリスはずっとロゥリィの事を警戒している様子だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

部屋に案内されると窓際のベッドから外を眺めている1人の少女が居た。

キリト達に気づいたのか軽くお辞儀をし、彼らもそれを返して近づいた、

 

アスナ「えっと……宮藤芳佳ちゃん…ですか?」

 

名前を聞かれた彼女は直ぐにアスナの問いかけに答えた。

 

芳佳「はい。宮藤芳佳は私です」

 

一通り自己紹介を終え、ある程度の事情を話した。

内容は芳佳の使う魔法がどのような物なのか、彼女が居た世界についての事だった。

 

レレイ「少し良いかな?」

 

芳佳「はい……」

 

早速レレイが杖を彼女にかざして目を閉じる。

すると杖の先端からほのかな光を放ち、しばらくして光が収まりレレイが目を開ける。

 

伊丹「どうだレレイ?」

 

レレイ「だいたいの事は分かった。彼女が使っている魔法はこの世界のものとは大分違う」

 

芳佳「違う…?」

 

シノン「どう違うの?」

 

レレイ「例えば、基本的な物を浮かせたりする魔法。この子もできるけど呪文を詠唱したりする必要はない。でもそれを形にする事ができる…」

 

キリト「形に……?つまり魔法を視認できるようにできるのか?」

 

レレイ「うん。そう思ってくれていい。あと魔法力が大分少なくなってる」

 

それについては芳佳は心辺りがあるのか苦笑いしながら答えた。

 

芳佳「実は…この世界に来るまでの飛行で使いきったみたいで……」

 

リーファ「それだったら、私ができないかな?」

 

「「え?」」

 

伊丹達が呆気に取られるがなんの事かキリトは直ぐに理解した。

 

キリト「そうか、テラリアの!」

 

アリス「地神テラリアは無限の天命回復。それを応用しようというのですね?」

 

リーファ「はい!芳佳ちゃん、手を出してくれる?」

 

芳佳「こう…ですか?」

 

差し出した手を握りしめ、瞳を閉じる。

すると芳佳の身体がほのかな光を放ち始めた。

 

レレイ「おぉ…」

 

テュカ「凄い…!魔法力が回復してるのが分かるわ」

 

リーファ「はい、終わり。どう?何か変わった?」

 

芳佳「はい…!なんだか身体が軽くなった気がします」

 

リーファ「良かったぁ‼︎」

 

 

 

場が明るくなり、タイミングを見計らって伊丹が彼女に元居た世界で何があったのかを聞いた。

 

少し表情が暗くなったが、彼女は話した。

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

事の始まりは1945年。

 

人類がネウロイとの戦いを繰り広げていた最中、欧州全体に暗雲が立ち込める事態が発生した。

 

そこから突如『神聖大ドイツ欧州帝国』を名乗る軍隊が欧州各地に出現し、統合軍を攻撃し始めた。

 

ネウロイではない同じ『人間』が敵に立つという事態に統合軍は混乱に陥り、見るも無惨な敗北を重ね忽ち欧州各地は帝国軍の占領下となった。

 

当初ロマーニャに拠点を置いていた501JFWもブリタニアに後退。

しかし帝国軍の侵略主義は留まる所を知らず、ブリタニア本土引いてはリベリオン大陸へと上陸。

未だに人類同士の戦いというショックを受け止められていない統合軍は不安を残しつつ迎撃、戦線を持ち堪えさせるもウィッチや将兵の多くが命を落としていた。

 

また帝国軍に「反ウィッチ」と呼ばれる勢力が加担ないし、帝国軍に加わる事もあり余計に統合軍を苦しめていた。

 

陸では敵の戦車が縦横無尽に暴れ、空ではウィッチの視認外距離から仕留める誘導兵器が飛び交い、海では潜水艦の雷撃で艦艇は沈められ砲戦ではあの大和すらをも太刀打ちできない戦艦が闊歩する有様だった。

 

そんな中で彼女は師であり上官の坂本美緒から母国扶桑海軍への援護を要請する命令を伝えるべくブリタニアの基地から発進した。

 

艦隊には無事命令を伝え帰路についた所で敵と接触、彼女もまたショックを受け止めきれていなかった。だが怒りを露わに応戦しなんとか一機は堕とすがそこで弾が尽き、一転して逃走。

 

逃げる最中、心の中で強く助けを求めた所目の前に光が現れ敵と共に飛び込むと………前回のようになった。

 

 

というのが事のあらましであった。

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

伊丹の纏めた報告を聞いた首脳陣らは対策会議を開く。

また芳佳本人からの強い要望もあり、自由連合は参戦を決意。

 

芳佳の世界とこの世界を繋ぐ為の準備が急ぎ進められるのだった。

 

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