自由連合召喚   作:暁司令官

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はためくは自由の旗

 

中央歴1654年 

自由歴*12032年

 

太平洋 ハワイ諸島 カウアイ島近海

 

宮藤芳佳からナチスドイツの異世界侵攻を聞き、はや一ヶ月が経とうとしていたこの日。

 

カウアイ島近海に造られた人工島『パシフィックベース』には空前絶後の大艦隊が集結し、ひしめき合っていた。

それが何を意味しているのか、そう遂に別世界への進出の準備が整ったのだ。

 

 

 

「これだけの数の艦艇が集まるとはな……」

 

『護衛艦やまと』の艦橋から周囲を眺めていた伊藤はぽつりとつぶやいた。これでもまだ半数も行っていないがそれ程あちらの世界の状況を危惧しての事だろう。

 

レレイや良識のある魔道士や魔術士達、そしてイタリカで造られた『門』の技術を応用した『門』が島の湾内に作られた。

幅7km、高さ80mにも及ぶ代物を建造できたのもアメリカの人材と物資、日本の技術力あってのものだが、それは今は置いておこう。

 

『門』は繋がったが、イタリカと銀座のように何処に出るかは分からない。下手をすればいきなり敵の聖域である地中海に出る可能性だってある、用心するに越したことはない。

 

参加兵力は日本、帝国日本、後世日本、アメリカ、イギリス、カナダ、台湾、オーストラリアの八カ国とほぼ連合の構成国の全てが集まっていた。

 

 

伊藤「カナダと台湾はほぼ初めての実戦参加だろ?大丈夫か…?」

 

能村「確かに不安はあります。ですが装備は我々が元いた時代とはなんら遜色はありません」

 

副長の能村亮介三佐が元気づけるように言った。

 

伊藤「だな…」

 

そして待つ事数分後、遂にハワイ総司令本部から通信が来た。

 

能村「艦長、司令部より通達。作戦開始との事です」

 

伊藤「分かった。全艦前進微そぉーく」

 

ほぼ同時に門の前で制止していた艦艇が

動き出し、ゆっくりと門の闇へと吸い込まれて行った。

 

各艦の将兵達の顔に『余裕』の二文字は無く、『緊張』と『不安』が溢れていた。先に待ち構える泥沼の争いに対しての………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウィッチ世界 1945年末

北大西洋

 

 

「一体……一体どれだけ戦えば気が済むの……⁉︎」

 

息を切らしながらリーネはボーイズ対装甲ライフルを降ろす。

『ドイツ軍』を名乗るカールスラント軍に酷似した軍隊が現れて半年、人類統合軍は各地で惨敗を重ねていた。

人と人が争う事にウィッチや兵士達は疲れていたが、そのような暇は無かった。こちらが幾ら対話や話し合いを持ちかけようが、あちらは有無を言わせずに侵略を続け、遂に欧州から統合軍を押し出し遂にはブリタニアにも手を出した。

 

ネウロイはいつしか居なくなり、代わりに人間が相手になった事により前線で戦う各地のウィッチ達には精神障害を引き起こしてまともに銃や魔法が使えなくなる者も居た。

ブリタニアに拠点を移した501JFWは比較的まだ安定していた。

だが宮藤芳佳が消息を絶った事にはそれなりのショックを受けた、それでも彼女達は銃を手にとって戦っていた。

 

この日はブリタニア戦線への補給物資を載せた輸送船団の護衛を担当していた扶桑艦隊からの救援要請に応じて出撃した。

 

しかし敵は相変わらず強力な兵器に物を言わせて次々と味方戦闘機を落とし、艦隊へと攻撃していた。

 

無論彼女達も応戦したが数が多すぎてカバー出来ず、個人個人を守るのが精一杯。魔法力もこの日殆ど使い果たし、飛ぶのが精一杯の状態だった。

 

バルクホルン「リーネ前だ‼︎」

 

リーネ「ッ‼︎」

 

ミーナの掛け声で敵の誘導弾がこちらに向かっているのに気づいた。

回避は間に合わないと判断して防御魔法を張ろうとしたが、魔法力が殆どなく展開することすらできなかった。

 

リーネ「そ……そんな……」

 

そして誘導弾が目の前にまで迫った瞬間、彼女の脳内には今までの人生が走馬灯のように流れた。

 

リーネ(いや……いやだよ……芳佳ちゃん……!)

 

もう駄目だと思った次の瞬間だった。

彼女の身体には痛みや爆風は一瞬たりとも襲って来なかった。

確かに爆音は聞こえたが自分の遥か手前だった。

 

恐る恐る目を開くと、その光景に彼女は目を疑った。

 

芳佳「大丈夫!リーネちゃん⁉︎」

 

リーネ「よ……よし……芳佳ちゃぁぁぁん‼︎」

 

目の前の彼女が例え幽霊でもなんでもよかった。

だがリーネは彼女に抱きついて分かった、彼女は、自分の親友は間違いなく生きている……と

 

リーネ「芳佳ちゃん‼︎本当に芳佳ちゃんなんだよね⁉︎」

 

芳佳「うん、遅くなって…心配かけてごめんね」

 

ミーナ「リーネ!だいじょ……う……嘘…」

 

美緒「宮藤……お前……なの…か」

 

駆けつけたミーナと美緒、バルクホルンら3人は芳佳を目にして驚いた表情を浮かべた。

 

芳佳「ミーナさん、坂本さん、バルクホルンさん。心配をおかけしました。宮藤芳佳、只今帰りました」

 

バルクホルン「ッ……‼︎」

 

涙を流しながらトゥルーデは芳佳に近寄って彼女の頬を引っ叩いた。

 

バルクホルン「バカァ‼︎どれだけ心配したと思ってたんだ⁉︎…本当に……本当に……!宮藤ッ……!」

 

涙でぐしゃぐしゃになった彼女を見て芳佳は申し訳ない気持ちになりつつも優しく彼女を抱きしめた。

 

美緒「宮藤……ッ‼︎」

 

ミーナ「……ッ‼︎」

 

だが感動の再会を許す事ないかのように、そこへシードラッヘンが襲い掛かろうとしていた。

 

ミーナ「下がって‼︎」

 

いち早く気づいたミーナがMG42を構えて照準を合わせようとするが、上空から黒い影が現れて両者の間に止まる。

それを見てミーナは驚いた。

目の前に現れたのは人間だ、それもウィッチなどでは無く背中から透けた黒光りの翼と白い翼を生やした人間だった。

 

「「ハァッ‼︎」」

 

二人は手に持っていた剣で敵とすれ違い様に主翼を斬り落とした。

片翼になった敵は操作を失ってそのまま下の海へと落ちて行った。

 

ミーナ「い……一体…」

 

芳佳「キリトさん‼︎アスナさん‼︎」

 

声をかけられた二人は鞘に剣を直して彼女達のように近寄ってきた。

 

キリト「よっす、芳佳!」

 

アスナ「芳佳ちゃん、大丈夫?怪我は無い?」

 

芳佳「はい。キリトさんとアスナさんのお陰で助かりました」

 

美緒「…み……宮藤……そちらの方は……?」

 

坂本に聞かれた芳佳は紹介しようとするが、キリトがそれを止める。

 

キリト「悪いが自己紹介は後回しだ…‼︎」

 

視線を向けた先には何処から現れたのか、大量の敵戦闘機がこちらに向かって来ていた。

 

バルクホルン「くッ…まだ来るか!」

 

今にも飛び出しそうな彼女をアスナが止めた。

 

アスナ「大丈夫です。もうすぐ味方が」

 

美緒「味方…?」

 

美緒がそう言った直後、彼女の横をもの凄いスピードで何かが通過し敵に命中し、爆散した。

 

ミーナ「なッ⁉︎」

 

芳佳「来てくれました!」

 

振り向くとそこには敵の倍以上の数はあろうジェット戦闘機の大群がおり、次々と彼らの横や上を通過していく。

 

キリト「ハハッ。やっぱりスゲーな…」

 

『こちらカナリー1。後は任せな!黒の剣士さん達!』

 

かつてロデニウス沖海戦で活躍した榊翔一の駆るF-14SJが上空を通過しながらキリトに向かって通信を入れた。

 

榊『さぁて藤沢。いっちょやるぞ』

 

藤沢『了解ッ‼︎』

 

海自のF-14SJに続いて、カナダ海軍航空隊のF-14Dが後を追って言った。

 

『自衛隊からのお下がりとはいえ良い機体だ‼︎』

 

『派手にやらせてもらいましょう‼︎』

 

海自がかつて使用していたF-14Jのアップグレード版でほぼF-14Dとの差異は無かったが性能は充分だった。

 

『さて、この不死鳥(フェニックス)から逃れられるかな⁉︎Fire!』

 

機体胴体下のAIM-54フェニックスが炎と白煙を吐きながらMe462へと襲い掛かり、標的を吹き飛ばした。

 

『やったぞ‼︎』

 

榊「ほぉー…初めてにしてはやるじゃないの」

 

藤沢「我々も負けてられないですね」

 

目の前には榊機から逃れようとするシードラッヘンがいたが、易々と逃す程彼らは甘くは無かった。

ロックオンのアラームが鳴り響き、榊は操縦桿の発射ボタンに親指を乗せる。

 

榊「酷いようだが、これが戦争だ‼︎」

 

ボタンを押すと胴体下のステーションからAAM-4が発射された。

敵のミサイル警報装置に探知されないAAM-4はモロにコックピット付近で炸裂して敵を爆散させた。

 

 

ミーナ「凄い……」

 

美緒「我々とは次元が違いすぎる……」

 

目の前で繰り広げられる近代航空戦を目の当たりにした二人は感嘆の声を漏らしていた。

 

バルクホルン「…ッ!そうだ艦隊は…!」

 

思い出しように彼女が言う。今まで自分らの事で手一杯だったがここに来て本来の目的を思い出した。

 

美緒「そうだ‼︎味方が…‼︎」

 

アスナ「大丈夫です。そちらも私達の味方が今頃助けています」

 

キリト「おっ。言ってた側から」

 

そう言って下を見ると一群の大艦隊が悠々と航海しており、ミーナ達は釘付けになった。

 

どれもこれもこの世界で最大と称される大和型をも悠に超える戦艦が進んでいるのだから

 

美緒「な……なんだあれは……」

 

彼女がその中で最も目を引いたのは艦隊の最前衛を進む一隻の巨大戦艦だった……

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

少し時間を進め、シリー諸島沖

 

ドイツ軍のジェット攻撃機の空爆に晒されていた扶桑艦隊以下輸送船団はどうにか持ち堪えていたがそれも限界に達していた。

 

特に艦隊旗艦を務める大和の被害が一番大きく、傾斜も増大していた。

 

「さらに左舷に魚雷命中ッ‼︎右舷注水タンク、すでに注水限度一杯です!」

 

「むぅッ…!」

 

注水タンクが限界という事はこれ以上の復元が困難になる事を意味していた。そんな中で艦長の杉田淳三郎は苦渋の決断を下す。

 

杉田「右舷機関室及び罐室に注水……!」

 

「艦長ッ‼︎それでは本艦の推進力の半分を失う事になるうえ、多くの作業員を見殺しにする事に‼︎」

 

副長の樽宮敬喜の言う通りだった。

罐室とは重油を燃焼させ、ボイラーを加熱し蒸気を発生させる区画の事でありそこに注水する事は艦の脚を半分斬り落とす事を意味していた。

 

杉田「これ以上の傾斜を抑える為にはそれしかない。傾斜が増せば揚弾機が使用できず副砲と高角砲が使えなくなる!」

 

樽宮「ッ……了解。右舷注水指揮所!右舷機関室及び罐室注水ッ‼︎」

 

だがそれも一時的な付け焼き刃に過ぎなかった。

逆に敵の雷撃や爆撃は一層激しさを増しつつあった。

 

そこへ敵との交戦を切り抜けた501のメンバーが駆けつけた。

 

ペリーヌ「あぁ……そんな……!」

 

シャーリー「大和が……!」

 

そこら中から黒煙を噴き上げて今にも転覆しそうな大和を目にした彼女達。一言で言うなら絶望の二文字が適切だろう。

 

シャーリー「クソッ‼︎アイツら大和相手にどれだけやれば気が済むんだ⁈」

 

エイラ「まだ沈んでないだけラッキー…とも言えないわね……」

 

そんな彼女らを尻目に独攻撃機隊は最後の仕上げに掛かろうと大和に向かって集中し始めた。

 

「ふっ!俺達が元いた世界の方がまだ保ったぜ。Tschüss ヤマト‼︎」

 

操縦桿の発射スイッチを押そうとしたその時だった。

後方から熱波と光が押し寄せ後続の部隊が一瞬にして木っ端微塵となった。

 

「うぉぉ⁉︎な…なんだ⁈」

 

「なんだっ一体何が起こった‼︎」

 

振り返ると無事な味方の姿は無く、殆どが炎と黒煙を噴き上げて堕ちるか海上に残骸が漂っていた。

 

シャーリー「敵編隊の半分が一瞬で……⁉︎」

 

ルッキーニ「シャーリー…!あ……あれ……」

 

ルッキーニの方に視線を向けた一同は言葉を失った。

そこには目の前の大和がまるで駆逐艦かと見間違う程の巨艦が、これまた重巡と見間違うレベルの戦艦を引き連れてこちらに向かって来ていた。

 

『な…なんだありゃ⁉︎敵の増援か⁈』

 

『隊長‼︎奴らのマストを‼︎』

 

そこには扶桑海軍の月輪紋ではなく

太陽と光線を意匠化した旗(旭日旗)

白線と赤線に青地にの白い星が描かれた旗(星条旗)

そして白頭鷲にオリーブの葉とダイヤが描かれた旗(自由連合旗)を誇らしげに掲げていた。

【挿絵表示】

 

 

『ラ…ライジング・サンに…スター・アンド・ストライプだと…⁉︎』

 

『馬鹿なッ…‼︎アメリカ海軍と日本海軍がどうやってここに…⁉︎』

 

狼狽する彼らは事の詳細を母艦と艦隊に知らせて攻撃に移ろうとしていた。

 

『分かった。直ちにツォルンドルフを旗艦とする部隊が急行する!それまでに艦にダメージを与えておけ!』

 

『了解ッ‼︎全機、目標をヤマトからあのモンスター共に変更だ‼︎』

 

『所詮は戦艦!対艦ミサイルで沈めてやるッ‼︎』

 

Me462-A2、ジェットストゥーカが襲い掛かる。

だがそれが悪夢の始まりだった。

敵をレーダーが捉えたのと同時に甲板上のVLSのハッチが開き、次々とSM-2とESSMが発射。敵編隊へと一直線に突っ込んで行った。

 

『ミ…ミサイルだッ‼︎』

 

『回避ッ回避ッ‼︎』

 

攻撃隊は統率を外れ各個に回避を試みたり、フレアを撒いて逃げようとするがそれを待っていたかのように今度は備え付けのCIWS、Mk-45、SeRAMが一斉射撃を開始。まるで射的の的のように敵機を次々に堕としていく。

 

『くそぉッ‼︎奴らめなんて対空砲火だッ⁉︎』

 

『近づけやしねぇ‼︎』

 

そんな縦横無尽に暴れ回る艦隊の最前衛艦に急降下爆撃を仕掛けようとストゥーカ部隊が襲来した。

 

『いくら対空砲火が激しくたって急降下爆撃で仕留めてやるッ‼︎』

 

煙突に狙いを定めて爆弾倉を開いた。

だがそれを見越していたのか、突如その戦艦の煙突から炎と煙が吹き上がると同時にミサイルが発射された。

 

『え…煙突からミサイルだと⁉︎うぉっ‼︎』

 

回避する間も無く一瞬にして鉄屑に変えられた爆撃隊は無惨に散った。

そして間も無く、扶桑艦隊と護衛船団、501と交戦していた敵機はその殆どが壊滅した。

 

シャーリー「す……凄い……」

 

エイラ「一体何処の艦隊だ……?」

 

驚きと疑問に駆られる彼らに前衛の巨大戦艦から大和に発光信号が送られた。

 

樽宮「艦長、前方の巨大戦艦からです」

 

杉田「読め」

 

樽宮「はッ…"こちらは自由連合艦隊対第三帝国艦隊所属、戦艦常盤なり、貴官らは扶桑海軍で間違いないか?"と」

 

「自由連合…?」

 

「常盤なんて戦艦我々の海軍にいなかったはずだが…?」

 

杉田「対第三帝国艦隊と言ったな…つまりは味方なのか…?」

 

樽宮「分かりません。ですが我々を助けてくれたのは間違いありません」

 

杉田「そうだな。返信、"我々は扶桑海軍である。貴官らの救援感謝す"それと付近の敵艦隊が接近している事も…」

 

樽宮「了解」

 

そう言って通信室に向かう樽宮を見送り、杉田は目の前の戦艦《常盤》に目を向けた。

 

杉田(自由連合……か)

 

 

 

 


 

 

超弩級原子力戦艦常盤

諸元

全長:420m

全幅:70m

最大速力:45ノット以上(推定)

 

兵装

60口径61cm三連装砲4基12門

50口径20.3cm単装速射砲4基

54口径127mm単装速射両用砲12基

30mm高性能機関砲8基

近接防空ロケット弾発射機8基

Mk.41 VLS 60セル×4基 

SM-2

ESSM

トマホーク

煙突型Mk.48 20セル

ESSM

ハープーン4連装発射機×4基

 

 

搭載機

UH-1 2機

SH-2 2機

ハリアーGR.5 4〜8機

 

 

概要

出雲型に味を占めた日本海軍が建造した今世紀最大にして最強の戦艦。

原子力を動力に用いた事により航続距離の心配は無く、その強大な出力に任せてその巨体に似合わない速力を発揮する。

武装の60口径61cm砲の最大射程は5万m以上。また、半自動装填システムが採用されているため、装填時間は23秒と大和型より短縮されている。

装甲面では、自身の主砲と同等の61cm砲に加えて、近い将来に実戦配備されることが予測された対戦艦誘導弾にも耐えうることが想定されており、最も分厚い艦橋付け根の司令塔部の装甲厚は1,800mmに達している。

電子装備はC4IシステムやFCS-3を搭載した事により『ミニ・イージス』と同等以上の性能を有している。

本艦の就役により大和型の退役準備が開始され、各大和型から選抜された乗組員が本艦へと乗り換え、編入が行われている。

実戦投入は意外と早く、以前侵攻してきた中国艦隊残存にトドメを刺したのも本艦である。

 

外観

船体は大和型を拡大、延長した姿。

煙突や艦上構造物は現代風(但し煙突は偽装)

艦橋の形状は大和型そのものだが、第一艦橋下にフェーズドアレイレーダーを装備。司令塔はキーロフ級の艦橋。

 

 

 

 


 

 

 

戦艦日本武尊 艦橋

 

艦橋から常盤を眺めていた大石。

 

大石「でかいな…この日本武尊がまるで赤子だ」

 

原「はい。自衛隊のきいやあちらの出雲、プレジデント級と見て来ましたがそれを超える戦艦にまさかお目に掛かれるとは…」

 

富森「それに各国の戦艦も軒並み51cm砲を装備。ほぼ常態化しつつありますな」

 

大石「あぁ。だが他の艦が力で戦うなら本艦は技術で戦う。この日本武尊にはまだ潜水戦艦としてのアドバンテージが残されている」

 

原「ですな」

 

少し残念そうにも感じる大石であったが、それ以上に常盤を前にあれほど頼もしいと思った事はなかった。

 

 

 

戦艦常盤

 

「ひとまずは済んだか…」

 

常盤の艦橋で後で手を組んで仁王立ちしていた真田忠道少将がぽつりと呟いた。

 

真田「副長。敵戦艦はどうか?」

 

「ハッ、このままいけば30分後には左舷前方に見えます。その頃には全艦の射程に収まっているかと」

 

真田「大いに結構。さて独軍よ、貴様らが有頂天で居られるのも今日までだ……」

 

真田はまだ見ぬ独戦艦群を今か今かと待ち構えていた。

 

 

一方、これから自分達に降り注ぐ運命も知らず独戦艦群は常盤以下自由軍艦隊の待つ海域へとひた海上を走っていた。

 

戦艦ツォルンドルフ

 

「なに?攻撃隊が壊滅?」

 

報告を受けたヴィルヘルム・ヨードルは耳を疑った。

 

「はい。つい先程後方で待機していたナッサウ以下の空母群から…」

 

ヨードル「ふん、構うな。所詮は役立たずだ。戦艦には戦艦だけだ」

 

独軍の陸海空の確執はここにも現れていた。

後世以上にこの世界での独海軍は空母や戦艦の建造に着手する事ができたが艦載機やパイロットは空軍出身者が多く乗組員らとの折り合いは決して良いとは言えなかった。ヨードルもその一人であった。

 

『前方4万に敵戦艦群を捕捉!…お……大きい‼︎』

 

見張り員やレーダー室からの報告を受けた彼も艦橋の窓に歩みよって双眼鏡で敵戦艦を眼下に収める。

 

ヨードル「ッ…⁉︎レーダー手、本当に4万なのか⁉︎」

 

『間違いありませんッ‼︎』

 

ツォンドルフ以下独艦隊が捉えたように、自由艦隊も独艦隊を捕捉していた。

 

 

『敵、左舷前方4万7千!』

 

「全艦主砲砲戦用意ッ‼︎」

 

各艦の三連装砲が持ち上がり、照準を定める。

一方で独艦隊も主砲の仰角をあげて応戦態勢に入る。

 

「司令、射撃準備よろし‼︎」

 

ヨードル「敵に先手を取られる訳にはいかん、砲撃開始‼︎」

 

「撃てぇ‼︎」

 

フリードリヒ・デア・グロッセ級戦艦の42cm砲、改ビスマルク二世級とバルバロッサ級の38cm砲が自由艦隊へと降り注ぐ。

だが至近弾が2、3発あっただけでいずれも被害は無かった。

 

真田「今度はこちらだ。この常盤の主砲とくと受けて見ろッ‼︎斉射開始ぃッ‼︎」

 

「撃ち方始めッ‼︎」

 

常盤、出雲が発砲するのに合わせて日本武尊、きい、フロリダ、プレジデントが砲撃を開始する。

総重量120t以上もの砲弾はツォルンドルフ以下独艦隊に襲い掛かり、半数以上が夾叉、1割が命中。

これによりシュリーフェンが大破炎上。

 

ヨードル「お……おのれッ……攻撃の手を休めるな‼︎」

 

「敵第二射きます‼︎」

 

ヨードル「なんだと……ッ⁉︎」

 

飛来したのは常盤と出雲の61cm砲弾と56cm弾だった。

半数が外れたが、出雲の砲弾がビスマルク二世の後部四番砲塔及び機関部を破壊し、常盤の弾はツォルンドルフの後部艦上構造物を破壊した。

 

ヨードル「ば……化け物か……」

 

戦闘開始数分でこれだけの被害を前にヨードルも困惑せざるをえなかった。だがここで見逃す程彼らは甘くは無かった。

 

大石「出雲に通達。対艦誘導噴進弾を持って敵艦にトドメを刺す!」

 

間髪を容れず各艦はハープーンの発射態勢に入った。

 

「発射ッ‼︎」

 

日本武尊、出雲から発射されたハープーンはツォルンドルフ目掛けて飛翔。

 

「敵の対艦ミサイルだッ‼︎」

 

ヨードル「なんだとッ⁉︎」

 

彼がそう叫んだ直後だった。艦橋に一発、二番砲塔、三番砲塔にハープーンが被弾し弾薬庫誘爆、汽缶爆発を起こしツォルンドルフは爆沈した。

 

富森「敵旗艦、撃沈を確認」

 

大石「宜しい。さて残るは敵空母群……」

 

大石が警戒した後方の敵空母群、E2DとEA3Bによって居場所は特定されていた。

だが敵はまだ残存戦力があるのか、艦載機の発進を急いでいる様子だった。そこで北上していた空母鳳翔に乗る小沢中将は最新鋭機『火狐』を撃沈に向かわせた。

 

 

艦上ステルス戦闘攻撃機 火狐

 

全長:22m

全幅:14.5m

最大速度:マッハ2.5

 

兵装

ASM-1×4

AIM-174

AIM-120

 

固定武装

20mm機関砲×2

 

日本海軍が開発した初の第五世代戦闘機。

アメリカからの技術供与とYF-23ことF-23と並行して開発された艦上ステルス戦闘攻撃機。クリップドデルタ翼を持つ無尾翼機で、長い機首に可変後退機能を持つカナードを有する。高度3万でも戦闘が可能な性能を持つ

 

外観:MiG-31 ファイヤーフォックス(映画)

 

 

発進した火狐隊は超低空の元、北方海域に潜む敵空母艦隊に肉薄するのだった。

 

『全機、高度を70に保て。それ以上は許されんぞ』

 

『宜候!』

 

漆黒の機体に描かれた赤黒い日の丸からは何処と無く恐怖心のようなものを感じさせる。

間も無く機体のレーダーが敵空母フォン・リヒトホーフェン級を捉えた。

外観はニミッツ級に似ており、排水量72000トン、搭載機81機とそれなりの性能を有していた。

転移前の世界で欧州とイギリスの造船所を使えた事により、ヒトラーは()()()()()を元に戦時急造ではなく正規空母として始めから建造させた。

 

『目標捕捉ッ‼︎』

 

『レンジ・オン……発射‼︎』

 

『『発射‼︎』』

 

発射されたASM-1は超低空で敵艦隊へと侵入。

一方で退避した火狐隊は敵のレーダーに捉えられる事無くその場を後にした。

そして着弾したASM-1は『ナッサウ』『ファルツ』『ザクセン』に直撃。うち『ファルツ』は当たりどころが悪くそのまま爆沈するのだった。

 

この一連の戦闘は、後に「シリー諸島沖海戦」と呼ばれ、独艦隊の惨敗で幕を下ろした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シリー諸島沖海戦から一週間後

 

欧州 ドイツ本国 ベルヒテスガーデン

 

「い……以上が先の戦闘の報告になります」

 

ドイツ海軍司令官カール・デーニッツと同じく海軍元帥ヴィルヘルム・フォン・リッペは先の敗戦の報告を総統『アドルフ・ヒトラー』の元を直々に訪れて報告していた。

 

内心二人は落ち着いてはいられなかった。

本心を言えば真っ先にここから逃げたかった。何せここ最近ヒトラーは戦勝報告しか聞いておらず、そんな彼が敗戦報告を聞いたら粛正待った無しのようなものだった。

 

報告を聞いたヒトラーはテラスから周囲の自然に身体を向けたまま一言も発しなかった。

時より友軍艦艇が捉えた敵戦艦の写真を見ていたが、その内の一つを見て一瞬顔を強張らせたがそれからは静かに報告を聞いていた。

 

ヒトラー「………リッペ君」

 

リッペ「は…はい!」

 

彼の低く落ち着きのある声に呼ばれたリッペは返事をした。

 

ヒトラー「敵は確か、"自由連合"とか言ったか?」

 

リッペ「はい、間違いありません。確認されただけでも日本とアメリカは含まれているそうで…」

 

ヒトラー「ご苦労。だが足りん」

 

「「は…?」」

 

一瞬何のことか分からなかった二人は互いに顔を見合わせる。

 

ヒトラー「情報が足りんのだ。如何なる物でも良い、一つでも奴らに関する情報を集めるのだッ‼︎良いな…?」

 

「ハ…ハイル・ヒトラー‼︎」

 

彼が見せた悪魔のような笑みを前に二人は背筋を凍らせた。

資料の片付けをしようとデーニッツがテーブルの写真に手をかけようとしたそのときだった。

 

ヒトラー「あぁデーニッツ君、その写真は残しておいてくれんか?少々研究に使いたいのだ……」

 

デーニッツ「わ…分かりました…?」

 

写真だけをそのままに二人はガーデンを後にした。

 

そして一人になったヒトラーは残された写真の中から一枚の戦艦の写真を取り出した。

 

ヒトラー「……また貴様か……」

 

そう言いながらヒトラーの手には力が籠った。

彼の手に握られていたのは『日本武尊』の写真だった。

 

ヒトラー「……余の行く先々で貴様は必ず出てくる……生まれ変わった余の前にも……だが今度は違う。前と同じ轍は踏まぬ、以前の余と同じだと思わぬ事だ…」

 

そう言いながらヒトラーはライターを取り出し、日本武尊の写真に火をつけ焼き払った。

 

ヒトラー「今度という今度は余が引導を渡してくれるッ‼︎アドミラル・オオイシッ‼︎」

 

 

 

 

何という事か

 

このヒトラーの中身はあの大高らの元いた世界で、『理性の術策』において命を落としたハインリヒ・ヒトラー自身であった。

 

ヒトラー「そしてオオタカよ!貴様らの連合など所詮は弱者共の戯れに過ぎんッ‼︎忌まわしき魔女(ウィッチ)共諸共滅ぼしてくれるわ‼︎ッハッハッハッハッハッハッ‼︎」

 

雨が降り始め、雷が鳴り響く。

雷鳴の光が映し出した彼の姿はまさに悪魔そのものだった……

*1
連合国家側でいう西暦

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