グァンタナモを出た第三任務機動群以下の特務艦隊は道中Uボートからの襲撃を警戒しつつ北上。
一週間後の3月15日 ブリタニア連邦はオークニー諸島にて補給を受ける。
「しかし凄いな……自由軍の船は」
補給に参加していた統合軍の兵士らは集結していた特務艦隊の主力艦達を前に驚きを隠せないでいた。
「こっちでいうファラウェイランド……カナダが空母を持ってるなんて信じられねぇ」
正史やこちらの世界でカナダはそれほど空母保有に戦略的意味を持たなかったが、自由連合に参加したこのカナダは違う。
いくらアメリカやイギリス、日本が居るとはいえ異世界国家から「大国に依存した情けない国」と見られるのはどうも嫌だった。
あのオーストラリアでさえ空母を保有しているのだ。
またイギリス本土や北アメリカ大陸の真上にあたる北東方面はまだ調査も済んでいない未開拓の地域もあり、油断はならなかった。
万が一の際に矢面に立たされるのはカナダとイギリスだった。
それを危惧したカナダ連邦政府は空母の保有を決定、アメリカや日本(自衛隊)との技術支援を取り付けて建造を開始した。
手本としてアメリカが保有するミッドウェイ級の航空機運用能力とひゅうが型護衛艦のメリットを掛け合わせる形で『アルバトロス級航空母艦』の建造に着手。
それと同時にアメリカ政府よりキティホーク級5番艦の
本艦は日本からの技術供与であさひ型と同じハイブリッド推進機関を採用しているのが特徴である。
アルバトロス級航空母艦
諸元
全長:305m
全幅:78m
満載排水量:6万9000トン
兵装
Mk.15 CIWS×2基
Mk.41VLS 32セル(ESSM、アスロック)
電子装備
ひゅうが型と同じ物を装備
搭載機
F-14D
EA-3B
SH-60
最大80機
同型艦
アルバトロス
ヴァルチャー
バザード
バーベット
キティホーク級空母準同型艦 ケストレル
諸元
全長320m
全幅76.9m
満載排水量:8万2650トン
兵装
シースパロー八連装発射機×3基
Mk.15 CIWS×3基
搭載機
F-14D
EA-3B
E-2
SH-60
最大90機
同型艦
無し
外観:空母ジョン・F・ケネディ
自分達の保有する空母より大きな空母が目に入る中、一つだけ違和感を拭えない艦があった。
「しかし艦首がソリみたいに跳ね上がったあの空母はなんだ…?」
STOBAR方式を知らない彼らが不思議そうに見つめる先にあったのは台湾海軍の空母八封山だった。
この八封山は観音山型航空母艦の二番艦として建造された異世界初のSTOBAR方式を採用した空母だった。
帝国日本から独立したとはいえ日が浅かった台湾は自前で空母を保有したいと考えていたが、カタパルト等の金のかかるCATOBAR方式の空母を建造する程の技術力も資金もなかった。
そんな時日本の軍用雑誌にあったSTOBAR方式に目が止まった。
これなら金をかけずに空母が建造できると考えた台湾はかつて赤い日本が保有していた「空母ワリヤーグ」こと「統一」の残されたデータや日本との共同作業で本級を建造したという経緯がある。
観音山級航空母艦
諸元
全長:262m
全幅:61.7m
満載排水量:4万0000トン
兵装
SeRAM×2基
CIWS×4基
搭載機
SH-60×5機
JFCK-1 経国×25機
外観:FC-1 梟竜
同型艦
観音山
八封山
阿里山
補給を受けた特務艦隊は再び進路を東に取った。
道中Uボートを狩りつつ、ついにスカラゲック海峡にまで差し掛かった。
空母ケストレル
「やはりやりますか、オスロ空襲」
アンダーセン「やる。
日が落ち、辺りは闇に包まれ始めた中アンダーセンは甲板上で発艦準備を整えつつあるF-14Dを艦橋から見下ろした。
本機は日本がモスボール保管していたF-14J改を元にF-14Dクイックストライクを目指して開発された機体であり、海自のSJ程ではないにしろ一線級の戦闘能力を持っていた。
「まもなく作戦開始時刻です」
アンダーセン「発艦を許可する」
彼のその一声と共にカタパルトで待機していたF-14Dは続々と発進していった。ほぼ同じ頃、八封山からも経国が発艦。
だがこれに先立って30分程前、きりゅうとエアーズロックよりノスフェラト及びヴァルキリーが発艦。
ワイルド・ウィーゼルを決行せんとノルウェー方面へと向かっていた。
「しかし連中、よく扱えるな。元はうちのヴァルキリーとはいえ」
オーストラリアに輸出されたFV-2は主に海軍航空隊が使用しているが、元々の練度が高いだけあって上手く扱えている様子だった。
『隊長、間も無く射程圏内です』
「分かった。全機、アタックポジション」
編隊を組み直した攻撃隊はレーダー、アンテナを探知しウェポンベイからAGM-88を切り離す。
切り離されたミサイルはロケットエンジンが点火し、慣性誘導に従ってレーダーサイトに向かって飛んでいった。
攻撃隊はそのまま翼を翻して離脱していく。
この時代のレーダーであればステルス機を探知するのは事実上不可能に等しいが用心するに越した事はなかった。
結果は敵レーダーサイトの破壊に成功。
そして30分後、オスロ港をF-14SJ、D、経国が強襲。
AGM-84SLAMによる空爆で港湾施設を軒並み破壊、停泊していた艦艇にもダメージを与えられたが主力のビスマルク級やホーフェン級は別所に退避していたのか発見できなかった。
八封山
「クソッ……敵の主力はいなかったか…」
幕僚達が悔しさを露わにする中、唐はただ一人敢然とした面持ちで言い放った。
唐「悔しいのは分かるが我々の目的はあくまでも空襲の成功だ。目的は達成されたんだ、そんな事は後回しにしろ」
「「はッ…」」
唐「通信、おわりに打電してくれ。"機は熟した"とな」
「了!」
八封山からの通信はおわりに伝わる、予定通りと見た猪口は素早く行動に出た。
猪口「全艦に通達。我が艦隊はこれよりバルト海へと突入する!面舵20°」
「了解ッ!面舵20」
機動群に続いて、オーストラリア艦隊が。その後に台湾とカナダが遅れまいと全速力でカテガット海峡に入る。
艦載機隊は航続距離ギリギリではあったが、一機の欠損も無く収容する事に成功。
艦隊は翌朝にはコペンハーゲン沖合にまで到達。
燃料補給の後、再び進路を東に取りそのままスカンジナビア半島を迂回する航路で無事にバルトランドことスウェーデンのストックホルムに到着するのだった。