自由連合召喚   作:短号司令官

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north storm attack

 

アイルランド島 ベルファスト

 

今次対戦において質と量が安定した国の軍隊は何処か?と問われると真っ先に思い浮かぶのは「米軍」だ。

 

現在ベルファストには《アイオワ級》《モンタナ級》《フロリダ級》と言った名だたる主力戦艦に加え、《ミッドウェイ級》《キティホーク級》《エンタープライズ級》正規空母群が勢揃いだった。

 

無論後発の日本海軍や自衛隊も近日中に到着との予定だが、米軍側はある不安を抱えていた。

 

ニミッツ「それで?本当なのか、敵の主力が我が方に接近しつつあると言うのは?」

 

旗艦:エンタープライズの会議室ではニミッツとその幕僚や各部隊の指揮官らが一同に会して何事かを話していた。

 

レイトン「間違いありません。北海に展開していた我が軍の原潜がアムステルダム及びブレーマーハーフェンに敵の主力と思われる艦隊が集結しつつあるのを確認」

 

ニミッツ「艦種は?やはりH級やO級あたりか」

 

レイトン「無論それらも含まれます。ですが不確定ながらドイツの戦艦と特徴が一致しない艦艇が複数確認されました」

 

ニミッツ「何?では何処の艦船だ」

 

リー「提督。私の推測によりますが、意見を宜しいでしょうか?」

 

手を挙げて発言を求めたリーに視線を向けたニミッツは静かに頷き、彼は話始めた。

 

リー「結論から申しますと"イタリア"と"フランス"の艦ではないかと私は考えております。それと言うのも我々が戦っているナチスのいるヨーロッパ半島はこの世界とは別の世界からやってきた全く別の欧州です。それならそこに同盟国ないし従属化した国もいると…」

 

ハルゼー「なるほど…それがブラック野郎(フランス)ウォップ共(イタリア)という訳か。それなら納得だ」

 

ニミッツ「確かに、今までの我々は【ナチス】という存在が大きすぎるが余り両者の存在を見落としていたな……フランス艦とイタリア艦の詳しい資料はあるかね?」

 

レイトン「……残念ですが、自衛隊(SDF)から取り寄せた資料を見ても不足ないし資料に無い艦も」

 

ハルゼー「それがどうしたっていうんだ⁉︎目の前に現れたヤツは何処のどいつだろうと叩きのめす!アンタもそう思うだろピート?」

 

ハルゼーはそう言って隣に座るピートことマーク・ミッチャーの方に顔を向ける。

 

ミッチャー「確かに。我々は眼前に()()()を控えているんだ。ここで戦力をすり潰されたら堪らん」

 

ニミッツ「では決まりだ。ハルゼー、君はスプルーアンスと共にアイラ島沖で待機しててくれ。北から回り込まれる可能性もある、奇襲対策を頼む」

 

ハルゼー「そう言われたら仕方ない。おいレイ足を引っ張るんじゃないぞる」

 

スプルーアンス「まだ北から来ると決まったわけじゃないだろう…?」

 

ニミッツ「リー、君はミッチャー提督と共にダブリン沖で待機だ。可能性としては最も敵との接触が濃厚だからな」

 

リー「了解しました」

 

ニミッツ「フレッチャー、君は私と共にマン島沖で遊弋して待機だ。どちらが本命にしろベルファストを無防備にする訳には行かん」

 

フレッチャー「分かりました」

 

翌日、ハルゼー提督座上の空母ミッドウェイを旗艦とする第16任務部隊と同じくスプルーアンス少将の乗る空母キアサージが旗艦の第18任務部隊は指示通りアイラ島北西200kmで待機。

 

その翌日にはリー中将座上の戦艦フロリダ以下高速戦艦部隊とミッチャー中将麾下の第15任務部隊はダブリン沖に到達。

 

最後にニミッツ座上の原子力空母エンタープライズとフレッチャー少将の空母キティホークはマン島近海に艦隊を展開させる形で防備を固めていた。この頃には既にアムステルダムを出港した仏伊艦隊とビスケー湾にいた独艦隊がそれぞれ北海回りのルートとそのまま北上するルートで出港していた事はベンジャミン・フランクリン級原子力潜水艦によって補足され、ベルファスト沖の全艦隊に通報されていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

ハルゼー「さて、フロッグ野郎達は何処から来るつもりかな?え?ヤマグチと俺、どちらが先に沈めるかな?」

 

ハルゼーはミッドウェイの艦橋から闇夜に包まれた北大西洋の海を睨んでいた。

通報は既に全軍にも行き渡っており、アイルランド島レイキャビクにて待機していた山口中将麾下の第二航空艦隊も既に出港、全速力で南下していた。

 

『提督、偵察機が敵艦隊を補足しました。本海域より北北東240海里です』

 

ハルゼー「ビンゴだ‼︎よぅし野郎共発進だ‼︎奴らに教えてやるんだ、我々合衆国海軍を敵に回して生きて帰った敵はいないという事をな!」

 

ハルゼーの飛ばした指示を受け、甲板上で待機していたF-18とEA-6が暖気運転に入り、準備の整った機体から順にカタパルトの方に進んでいく。

 

『全く、ウチのオヤジは敵を見つけたらすぐこうだ。逃げやしないってのに』

 

『ボヤくな。やらなかったら逆にキレられるぜ?』

 

『へーへー分かりました。戻ったらマクドナルドかスターバックスどっちにするか勝負しようじゃないか?』

 

『いいぜ。その勝負乗った!』

 

征途日本から逆輸入でアメリカに齎された『マクドナルド』と『スターバックスコーヒー』は海軍の中でも特に人気であり、空母や戦艦といった大型艦の中には必ず両店舗が存在しており戦闘後の癒しとして乗組員らの士気向上に寄与していた。

 

発進した攻撃隊のパイロンにはSLAMとアムラームが合計4発搭載し、伊仏艦隊のいる海域へと進んでいった。

 

 

 

ヴィシーフランス所属 戦艦ガスコーニュ

 

『レーダーに高速で接近する飛行物体を補足。敵です!』

 

「例のアメリカ海軍の連中か…対空戦闘用意!ジョッフル、アクィラに直掩機を上げさせろ!」

 

レーダーて伊仏艦隊も接近する敵を補足していたが、それは敵では無かった。いや正確に言うなら半分は正解だった、それと言うのもレーダーが捉えたのは攻撃隊から発射されたSLAMだったのだから。

 

応戦した仏伊艦隊の乗組員らの士気は決して低くは無かった、だが相手が悪かったとしか言いようがない。

個艦防空ミサイルはともかくバルカンファランクスすら持たず手動操作の対空砲にしか頼らざるを得ない彼らの努力は火線と共に虚しく空を切る代わりに飛来したSLAMのほぼ全てが仏伊艦隊に炸裂する。

 

一部が信管不良で作動しなかったが、敵の主力である【リシリュー級】【ヴィットリオ・ヴェネト級】を葬るには充分であり仏伊艦隊はハルゼーら米艦隊を目にする事なく冷たい北大西洋の深海にその艨艟を沈めるのだった。

 

唯一生き残った旧QE級戦艦改め戦艦【ペタン】は残存艦を率いて退避を試みたが、混乱に乗じて前進していた大型巡洋艦【アラスカ】【ハワイ】そして戦艦【モンタナ】と【ルイジアナ】より一方的な艦砲射撃を浴びせられて航行停止、そしてトドメと言わんばかりに原子力潜水艦【カメハメハ】より発射された魚雷によって残存艦も含めて全艦が沈められた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

アイラ島沖戦闘開始から30分後。

 

ダブリン沖

 

「司令、アイラ島でハルゼー中将麾下の艦隊が敵艦隊との交戦を始めたようです」

 

リー「そろそろだと思っていたが、やはりか。CDC敵の情報は?」

 

『警戒機と空軍からの通報によりますと敵はセント・ジョージ海峡を突破、ブリタニア連邦の連中は壊滅だそうです』

 

リー「所詮素人、そうなって当然だ。全艦に通達!これより本艦は敵主力との砲戦に入る。レーダー射撃の腕がどっちが上かナチ共に教えてやる」

 

リー中将は自身の乗る【フロリダ】と同級の【アリゾナ】【ニューハンプシャー】【オハイオ】【メイン】【アイオワ】【ミズーリ】【ウィスコンシン】【グアム】【フィリピン】を引き連れて前進。

 

対するナチス側は【フォン・ファルケンハイン】を筆頭に【クネルスドルフ】【ティルピッツ】【シャルンホルスト】【グナイゼナウ】【シュリーフェン】【ビューロー】が参戦。

 

10対9とほぼ互角にして空前絶後の戦艦同士の一大砲戦が幕を開けんとしていた。

 

「射撃レーダーが敵艦隊を補足!左に回頭を始めました!」

 

リー「我々の頭を抑えるつもりだな?そうは行かんよ、CDC聞こえるか?」

 

『ハッ!既に照準完了!御命令あればいつでも撃てます!』

 

リー「ではpartyの始まりだ!撃ッ(Fire)!」

 

前部甲板に備え付けられた合計六門の20インチ砲が爆音と閃光を放つと同時に重量1t以上もの砲弾を敵へと放り投げた。合計27発。

 

放たれた20インチ砲弾は寸分の狂いなく先頭をゆく【シャルンホルスト】に吸い込まれるように炸裂。

無論それ程の巨砲に耐えうるよう設計されていない彼女は接敵から僅か3分で大炎上、機関が停止したのかみるみるうちに艦隊から脱落していくのが見えた。

 

だが相手側もただ黙っているつもりはないようで果敢に撃ち返してきた。

 

飛来したのはどれも15〜16インチ級の砲弾ばかりで大きな被害は無いが、流石ゲルマン魂と言うべきか8割以上が夾叉しており【グアム】と【フィリピン】が機関室と艦首にそれぞれ浸水を受け速力が低下した。

 

リー「手負いを連れて戦闘する暇はない。両艦には後方でニミッツでも守っているよう伝えておけ」

 

「Yes Sir」

 

リーなりの後退命令のつもりであったが果たして両艦の艦長がどう受け止めたかは分からない。とにかく命令を受けた2隻は速やかに戦線を離脱しようとするが、最後っ屁と言わんばかりにハープーンを合計8発発射。

 

これにより大炎上していた【シャルンホルス】にトドメが刺され、【グナイゼナウ】【ビューロー】までもが被弾大破した。

 

リー「苦し紛れとは言えやるな。帰ったらビール1ダースは艦長に奢ってやらんとな。砲撃の手を休めるな!」

 

速力、乗組員の質はやや米艦隊が上回っていたがレーダー照準の精度が砲撃を増すごとに敵も正確になりポツポツと被弾する艦が出てきた。

 

リー(マズいな…このまま長引けば我々もいつまで保つか…せめて差し違えてでも敵を)

 

彼がそう思った瞬間突然船体を大きく揺さぶるような振動と共に爆発音が辺りに響き渡った。

 

リー「何が起こった⁉︎被害報告!」

 

『敵弾がハープーン発射筒に命中!8発全弾が誘爆!消火不の…ぐぁッ‼︎』

 

通信が途切れると共に再び小さな振動と爆発が艦を揺らしたのをリーは感じた。

 

リー「ハープーンをやられたか…このままではトマホークに誘爆するのも時間の問題か」

 

「航空隊はどうした⁉︎ミッチャー司令は⁈」

 

『艦載機は発進させたものの、敵の戦闘機の妨害に遭い到着困難と!』

 

リー「やってくれたな…だが砲戦に集中できるだけマシだ!」

 

手負いとなりながらもリーの乗る【フロリダ】の砲声は衰えることは無く続けて【ティルピッツ】と速力の落ちていた【ビューロー】を葬った。

だが直後、再び振動と共に鉄の軋む音がリーの耳へと届いた。

 

リー「何事だ⁉︎」

 

『後部3番砲塔天蓋を撃ち抜かれて爆発炎上中!弾薬庫注水間に合いません!』

 

「馬鹿な…バイタルパートはともかく砲塔の天蓋を易々と貫通するなんて、そんな戦艦何処に⁉︎」

 

リー「一隻だけおる。本艦と同クラスの戦艦が…」

 

彼の脳内には【フォン・ファルケンハイン】の姿がハッキリと浮かんでいるのが見えた。現状【フロリダ】の砲塔天蓋を抜けるのはこれぐらいだろう。

 

リー「ようやく私に相応しい敵が来たな…!」

 

【フロリダ】は残された三基の砲塔で反撃を開始した。

しかし先程の衝撃で機関室にも若干の被害が出たが為に速力は25ノットにまで低下。おまけにボックスランチャー系もハープーン破壊時に電装系の一部がやられた上、誘爆の危険性をある為不用意に使う事ができなかった。

 

そこからさらに長い砲戦は続き、東の空が明るくなり始めた頃に到着した航空機隊が目にしたのは黒煙を噴き上げて辺りを漂流するかつて戦艦()()()物達だった。

 

中にはまだ辛うじて応戦を続ける戦艦も居たがそれも敵味方合わせても数える程度しか居なかった。

 

戦艦フロリダ

 

「艦長!司令!」

 

艦橋に飛び込んだ副長は目の前の光景を目に思わず吐きそうになった。

艦橋の半分は完全に吹き飛んで無くなり、幕僚らだと分かる身体の一部がそこら中に血と共に散らばっていた。

 

「そ…そんな……」

 

そんな彼が目にしたのは司令席に座りぐったりと項垂れる司令官の姿があった。慌てて駆け寄るがその姿を見て彼は戦慄した。

左手は完全に吹き飛び、腹部には大きなガラスの破片が刺さっていた。

 

リー「ぅ……ぅ…」

 

「し…司令!」

 

微かな呻き声を聞きリーに顔を寄せた。

 

リー「やぁ……副長…」

 

「司令、もう少しの辛抱です!衛生兵が間も無く来ます!」

 

リー「バカを言うな……こんな体たらくで助かる見込みなど…ゲホッ…あるわけなかろう…」

 

口から血を吹き出した彼の顔にはもう僅かしか生気を感じられず、長くないと副長は察した。

 

リー「このままでは……指揮もできんな……ノーマン……スコット少将に指揮権を……」

 

「そ…それが、スコット少将乗艦のニューハンプシャーは敵弾を艦橋に直撃し、艦長らと共に全滅……しかし!各艦が独自の判断とはいえ各個の判断で見事に敵を撃沈しました。無論被害も出ましたが…」

 

それを聞いた彼は吹き抜けになった艦橋から辺りを眺める。

 

リー「無事な……艦はおらんな……」

 

「はい…しかしミッチャー提督の航空隊が先程到着しました」

 

リー「ふ……遅すぎると……送っておけ…」

 

「分かりました。尚現在本艦はCDCで操艦しております。しかし…被害が大きすぎる余り総員退艦の許可を……」

 

リー「許可する……」

 

「ありがとうございます…司令」

 

リー「……副長…我々は…私は勝ったか…?」

 

「はい。本艦フロリダの乗組員も艦隊の水兵らも立派に…!」

 

リー「そうか……それは…よかっ……た」

 

ウィリス・A・リー中将 戦死:享年62歳

 

その後駆けつけた衛生兵らによって彼の遺体は運び出され、退艦命令発令と同時に降納された星条旗に包まれて内火艇に乗せられた。

 

そして乗組員らは総員退艦から3分後、ゆっくりと船腹を見せながら力尽きていく【フロリダ】を見送った。

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

後に《ダブリン沖海戦》と呼ばれるこの戦いは《史上最大規模の艦隊決戦》と呼ばれる事になる。

 

米艦隊突破を試みたナチス艦隊は【ビューロー】と【クネルスドルフ】と駆逐艦数隻となり撤退。

 

対する米艦隊は【フロリダ】【ニューハンプシャー】【メイン】【アイオワ】【ミズーリ】【ウィスコンシン】が撃沈。

 

【アリゾナ】【オハイオ】が中破もしくは大破

 

【グアム】【フィリピン】が小破

 

戦死傷者は合計で3万4756名

 

戦後リー中将は名誉勲章を受賞すると同時に2回級特進で元帥へと昇格した。

 

この戦いは自由世界でもニュースとして報じられ、合衆国ではリー中将の死を悼む声が広がると同時に打倒ナチスの意思がより強まった。

 

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