自由連合召喚   作:暁司令官

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plasma

 

突然巨大な爆発と煙が立ち上がるのが日本武尊の露天艦橋に居た大石らは見過ごさなかった。

 

原「なんだアレは⁉︎」

 

幕僚らも戸惑う様子を見せていたが、大石はその爆発の規模かある不吉な予感が彼の脳裏をよぎった。

 

大石(要塞砲は粗方吹き飛ばした…だがこれほどの爆発と規模は…まさかゲルマン砲⁉︎)

 

それは後世照和21年1月末の《心臓作戦》8月の《NC作戦》で破壊したヒトラーの切り札とも言うべき列車砲であった。

口径80cmのこの列車砲は如何なる要塞や戦艦であろうと確実に仕留める事ができる筈であった。しかしそれは大石蔵良の奇策によって敗れたが、ここに来て再び彼らに牙を向いたのだ。

 

大石「コイツは……列車砲だ」

 

キリト「れ…列車砲…?」

 

艦橋に上がって上陸の一部始終を横で見ていたキリトが反応する。

 

大石「以前君に話した代物さ。よもやそれがここに来て再び相見えるとはな!」

 

「第二射来ますッ‼︎今度は我が方です!」

 

キリト「なんだって⁉︎」

 

大石「総員何かに掴まれッ‼︎」

 

大石がそう発した直後、縦陣形で進んでいた艦隊の周りに無数の水柱が立ち上がり、日本武尊の艦橋に真上から覆い被さった。

 

大石「やはり…奴のやる事は変わらんな!」

 

キリト「うぇ…しょっぺ」

 

モロに海水を被ったが別に支障は無かったようだった。

 

大石(この分だと次の発射は早くても2〜30分後。それまでに居場所を突き止めねば…)「通信参謀、上空の警戒機に内陸まで飛んで敵列車砲の位置を探れるか頼めるか?」

 

「それが、上空の警戒機は味方の指揮管制で手一杯らしく内陸まで偵察している余裕は無いそうです」

 

大石「クソ……」

 

飛来したドイツ軍戦闘機はいずれもジェット機であり、空爆やレーダーサイトの破壊に躍起になる連合軍の妨害をし管制機はそれらの指揮に対して手一杯でとても離れられそうには無かった。

 

シノン「なら私が行きます」

 

そう聞こえて振り返った先にはソルスの姿に変わっていたシノンだった。

 

大石「朝田君」

 

キリト「無茶だシノン!どっから敵が狙ってるか分からないってのに」

 

シノン「大丈夫。いざって時は女神の力でなんとかするから」

 

キリト「そう言う事じゃ…!」

 

大石「危険が伴うぞ。高高度で行けば上空での乱戦に巻き込まれる可能性がある、それでも行くというのか?」

 

シノン「止めない辺り何か考えがあるんですよね?大石さん」

 

そう言われた大石はそれを示すように耳朶を触りながら苦笑を浮かべる。

 

大石「無いでは無いが……うん……」

 

しばらく考えたのち大石は仕方なさそうにため息をついた。

 

大石「やむを得ない、頼めるか?」

 

キリト「大石さんッ!」

 

シノン「ありがとうございます」

 

大石「但し条件がある。味方となる戦闘機を連れて行くこと、そして君だけでも生きて帰ること、そして交戦は極力避けること。これが守れんというなら行かせはせん」

 

シノン「最低限の自己防衛……分かりました。これならキリトも文句はないでしょ?」

 

キリト「あ……あぁ…」

 

何処かしら納得のいかない様子の彼を見て申し訳なさげに大石が声をかける。

 

大石「許してくれ、彼女が戻らなかったら俺を八つ裂きにするなり何なり好きにしてくれて構わん。参謀長、付近一帯の地図の写しを朝田君に大至急渡してくれ」

 

原「分かりました。警護の戦闘機隊は海上自衛隊からF-35二機が来てくれるとの事です」

 

キリト「もっと頼めないんですか?」

 

原「流石に厳しそうだね。この辺り一帯の制空権の確保も必要だからな」

 

大石「贅沢は言えんさ、朝田君準備を」

 

シノン「分かりました」

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

列車砲陣地

 

『第二射近弾2、遠弾3、夾叉1』

 

ストーシ「やはり海上の目標は難しいな…」

 

報告を受けたストーシ中将は仕方ないといった表情で外で再装填中の列車砲に目を向ける。

一射目は地上の目標だった為、面制圧すれば良く着弾はまばらでも問題は無かった。

ただ第二射は水上の動く艦艇という、やや難易度が上がった物だった。

 

初めての試みに中将は不安を隠さなかったが、やはり難しかった。

密集し、それに砲撃支援の為に沿岸部に接近しているとはいえ移動速度も人よりは速いため当てるのにも苦労する。

だが逆を言えば敵は迂闊に回避ができない為次で凡その照準を図り、その次で命中弾を与えれば良い。

 

ストーシ「それにしても、何故総統は()()()()()()に固執するんだ…?」

 

彼はそう言って識別表に赤く丸が記された日本武尊を見た。

他と見比べてもこれ以上の脅威はいるのに何故かヒトラーは「この戦艦を第一目標にして叩け、他はどうでも良い」と言っていた。

理由を聞いても"乗っている指揮官が問題なのだ"とそれだけしか聞けず、真意は分からなかった。

最も聞いたところで彼らは信じられないだろうが。

 

「司令、次弾装填完了。グループAは再び上陸した敵部隊に、グループBはやはり水上目標を狙いますか?」

 

ストーシ「そうだな。だが今度は幾つか別の艦も狙おう、一隻に固執して他に隙を与える訳にも行かんからな」

 

「了解!」

 

列車砲群はそれぞれに割り当てられた目標に対して仰角をとり、作業員らは安全地帯へと退避する。

 

ストーシ「第三射、第四射一斉射!撃て!(Feuer)

 

火山の噴火と聞き間違うレベルの轟音と爆炎が辺りを包むと同時に、放たれた無数の砲弾は再び空を切って的へと向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

シノン「じゃあ行ってきます」

 

アスナ「しののん気をつけてね」

 

キリト「絶対に生きて帰って来いよ」

 

日本武尊後部飛行甲板で準備を終えていたシノンはキリト達に見送りを受けていた。

 

アリス「どうしてもバルクホルン殿達は呼べないのですか?」

 

ユージオ「あの人達も任務に駆り出されて手一杯らしいし、仕方ないよ」

 

ユイ「インカムは使い捨ての秘匿回線で固定してあるので、ダイアルはいじらないでくださいね」

 

シノン「分かったわユイちゃん。行ってくるわ!」

 

軽く助走をつけて甲板から飛び上がると直ぐに陸地の方に飛んでいき、その後を遅れて二機のF-35が追いかけていった。

 

 

『マジかよ…マジもんのシノンかよ……』

 

『人生何があるか分からないとは言いますが、これはこれで目を疑いますよ』

 

連絡を受けて彼女に追いつきつつあるF-35のコックピット内でパイロット達が呟いていた。

自衛隊の中でもキリト達の存在は噂になっており、特戦群経由で聞いた者や目撃した者など様々であった。

最も上は存在を否定しており、真偽は定かでは無かった。仮に知ったとしても上から口外厳禁が言い渡されるのだが。

 

『あーこちら護衛艦ひりゅう所属の真代吉継と石矢光友、氷の狙撃手ことシノンさんで合ってますか?』

 

シノン「あ!はい。聞こえます」

 

石矢『上からの御命令でエスコートしに来ました』

 

真代『推しを護衛できるなんてオタク冥利に尽きますなw』

 

石矢『一尉引かれますって…』

 

シノン「お…推し……?」

 

真代「あー失礼失礼、我々の方の話ですので気になさらず」

 

F-35の護衛を受けながら発射予測地点へと急ぐシノン。

低空を飛行した為敵のレーダー網に掛かることもなく、難なく突破。

 

そして彼女はついに見つけたのだった。

 

シノン「あれは…!」

 

開けた平野に無数の塹壕、その中に巨大な列車砲が半没式に埋められ砲身を上げているのが見えた。

 

石矢『ビンゴ。見つけました』

 

シノン「大石さん、聞こえます?目標を見つけました!場所はペルシェ自然公園のある場所です!」

 

その場で滞空し地図を見ながらインカム越しに場所を伝えるがそれを発見したのか陣地側から無数の火線が彼女の方に飛来した。

 

シノン「ッ!」

 

素早く回避し、やるべき事はやったと察した彼女はいち早くその場から離脱した。

振り返ると敵陣地が小規模な爆発を起こしていたが、護衛のF-35がやったのだと理解した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

一方、報告を受けた日本武尊では大石が次の手を打って出ようとしていた。

 

大石「目標は自然公園か…」

 

原「ここからおよそ50km以上、艦砲ではギリギリ届きません」

 

大石「いや、そうとも言えんぞ参謀長」

 

富森「というと如何なさいますか、長官?」

 

大石「例の新兵装を使ってみようと思う」

 

原「まさか…粒子加速装置を…⁉︎」

 

日本武尊砲塔内部には、羅号の積載していた「プラズマ弾」を研究する過程で得られた技術を基にして作られた粒子加速装置が取り付けられている。これはまだ試作段階である為長らく触れられなかったのだが、用途だけを見れば「レールガン」に近いものがあった。

 

元来レールガンとは砲身に流した電気で砲弾を飛ばすというものだが、この装置は既存の砲身をそのまま導電性のものに変える仕組みである。

一からレールガンを作るより遥かにコストも効率も良く、現在後世日本では実用化に向けて動きつつある。

 

大石「あぁ但し使用は一度に留める、何があるか分からんからな。弾種は炉号弾だ」

 

『弾種炉号弾!第1砲塔電磁砲化急げ!』

 

砲塔内では炉号弾を装填するが装薬は入れずそのまま砲尾を閉じ、後部に物々しい装置を接続した。

 

「粒子加速装置、送電始め」

 

一時的に機関部からの電力が第一砲塔に集中し装置のメーターがドンドン上昇していく。

 

「出力70…80…90…砲身電磁砲化完了!」

 

大石「砲塔内部の作業員は直ちに退避。何があるか分からない、身の安全を確保せよ」

 

作業員らが安全区域にまで退避するの確認し、木嶋砲術長が発射装置に指をかける。

 

木嶋『発射、いつでもどうぞ』

 

大石「一斉射で仕留めるぞ。撃ッ‼︎」

 

発射された3発の炉号弾は秒速2万5千mという破格のスピードで目標地点は向け飛翔。

 

そのまま炉号弾は装填作業中だったゲルマン砲陣地に炸裂、強烈な爆風と閃光がストーシ中将以下列車砲部隊に降り注ぎ、自らが死んだ事を理解させないまま塵のように彼らを消し去ったのだった。

 

 

 

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