自由連合召喚   作:暁司令官

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パリは輝いているか?

 

フランス パリ

 

連合軍の脅威的な侵攻スピードの前にドイツ軍は対応が遅れた。

手始めに空爆によって付近の空軍基地は壊滅させられ、次いで米装甲歩兵師団と戦車部隊が市街地へと突入。

 

ビル内に潜んでいた敵兵を掃討し、現れた敵戦車を残らず殲滅。

3日間の戦闘の後ドイツ軍は降伏。しかし残り半数は健在であり、ランス川付近まで後退した。

 

政府官邸には連合軍が資料の接収を行う傍ら最前線基地とするべく新しく機材の設置を行っていた。

 

安達「案外時間が掛かるものかと思っていましたが、なんとかこれましたな」

 

作業がひと段落し椅子に腰掛けていた安達二十三が湯呑みのお茶を飲みながら牛島満と話していた。

 

牛島「ドイツの戦車は強力だと聞いていましたが自衛隊の対戦車兵器がかなり活躍したおかげで兵達が"鈍ってしまう"と嘆いていたな」

 

安達「私の部下達もそうでしたな。陸軍全体に誘導弾や無反動砲が行き渡るようになるにはやはり時間がかかりますかな?」

 

牛島「もう当分掛かるだろうな。何せ我々はアメリカとは違う、彼の国のように大量生産はできんし、かと言って質を落として大量生産して現場で事故が起こって欲しくはない」

 

安達「もっともです」

 

帝国陸軍でも誘導弾や無反動砲を最前線で戦闘する主力部隊を中心に配備が進められているが、末端の方に目を向けてはまだまだだった。

牛島や安達も上層部に幾度か相談しているが、帝国日本の工業力を考えると無理がある。ならば自動小銃や機関銃だけでもと彼らも努力しているのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

さて場面は変わってパリの名所【ルーヴル美術館】

戦前も戦後も有名な観光地だが、今はガラリとしている。

人影は無く窓ガラスも戦闘の影響で割れて床に散らばり、美術品を護る警備の姿もない。

 

そんな美術館の中を竹内琴音/フィリアは一人ふらついていた。

 

フィリア「一度は来てみたいと思ってたけど、こんな風に来るなんてなぁ…」

 

彼女の知る21世紀程設備が整ってる訳ではないが、内装は確かに綺麗だった。しかし中には倒れてバラバラに砕けた彫刻や装飾品などがあった。

 

フィリア「あー!あったモナリザだ‼︎」

 

現代でも誇れる名品も幾つかは無事であり、フィリアは誰も居ない事を良いことに近付いてマジマジと見て回った。

 

そんな中彼女の目に一つ止まったものがあった。

それは一見すると綺麗な装飾の施された聖杯で中央には中々大きなルビーのように赤い宝石が嵌め込まれていた。

ただおかしな事に他の展示物が床に落ちている中、それだけは何事もなかったかのように静かに佇んでいたのだった。

 

フィリア「なんでこれだけ無事なの?」

 

徐に手に取ってを見ていると内側に何やら文字が刻まれているのが見えた。何処の文字か分からずしばらく見ていると突然辺りを振動に包まれるのを感じた。

 

フィリア「な…何⁉︎」

 

慌てて窓から外を見ると何処かで爆発が起きたように黒煙が噴き上がるのと同時にその中からネウロイが現れるのが見えた。

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

突然現れたネウロイは「OX-3」と統合軍が呼んでいた個体だが、唯一違いがあるとするなら頭部に赤いハーケンクロイツが刻まれている点であろう。

 

OX-3は子機を放ち歩兵や戦車を次々に破壊、ミサイルを受けても意に介さない様子だった。

 

 

市街地には多くの病傷人がおり、その殆どが教会や地下で休んでいたが敵はそこにも襲いかかっていた。

 

その内の一つをキリト達は救助に向かっていた。

 

キリト「間に合いそうですか?」

 

同伴した自衛官にキリトが話しかけ状況を聞いた。

 

「なんとか。敵が来なければ」

 

お年寄りや子供、重症者を優先する一方で軽傷者は神聖術で回復させてそのまま避難してもらっていた。

その瞬間、地面の僅かな揺れと同時に教会の壁が崩れてOX-3が襲来した。

 

咄嗟に自衛官らは手にしていた小銃で応戦し、キリト達は救助者を避難させていた。

 

キリト「アスナッ!」

 

視線の先には子供を抱えたアスナが出口に向かっていたが、天井の梁が崩れて二人に直撃する寸前だった。

本能で飛び出した彼はアスナを突き飛ばし、瓦礫と共に落下した梁の下敷きになった。

 

アスナ「キリト君ッ!」

 

瓦礫に近づこうとしたが目の前には敵が、そして自分は子供を抱えておりそれどころではなかった。

 

「結城さん!早くッ‼︎退避を!」

 

応戦する自衛官らを横目に彼女は崩れた瓦礫に背を向けてその場を去った。

 

アスナ「キリト君…絶対に……絶対に助けるから……!」

 

子供を預け、隊員らが退避できるよう彼女は剣を抜いてネウロイに敢然と挑んで行った。

 

 

同じ頃、戦闘区域に到達したフィリアは物陰でシノンやユージオ達と合流していた。

 

フィリア「なんでネウロイがこんな所に⁈」

 

シノン「分からないわ、ともかく街の人が避難できるよう私達で戦うしかないわね」

 

リーファ「自衛隊の人達も到着できそうにもないみたいだから…」

 

フィリア「やるしかないのね…」

 

ユージオ「ところでフィリア、それは?」

 

ふとユージオは彼女が手にしていた聖杯を指差し、彼女はそこで自分があのまま美術館から飛び出してきた事を思い出した。

 

フィリア「あ……えっとこれは……」

 

セブン「あなたまさか…!」

 

フィリア「だ大丈夫よ!後でこっそり戻すか、敵のせいにすれば!」

 

リーファ「それはそれで駄目な気が……」

 

シノン「?…ねぇフィリア、中に何か文字が…」

 

気が付いた彼女は中の文字をシノンに見せてみた。

 

フィリア「シノン読めるの?」

 

シノン「えぇ……これ呪文みたいね」

 

しばらくマジマジと見つめたシノンはこれが何かしらの呪文だと言い、それをフィリアに伝えた。

 

ユージオ「なんだか、パッと聞いた感じ何かを呼び出すような感じだね」

 

レイン「う〜んでも何か変なものだったら嫌だなぁ…」

 

フィリア「ともかく…試してみるわ!」

 

飛び出したフィリアは敵の背後で聖杯を掲げた。

 

フィリア「いくよ…!黄金の力守りし勇者よ!今こそ蘇り我が前に現れ出でよ!」

 

呪文を唱えた直後、気がついたOX-3は光線を放ち彼女は死を覚悟したが聖杯のルビーが眩い光と共にそれを弾き飛ばすと同時に閃光が辺りを包んだ。

 

光が収まるとフィリアの目の前には金色のスポーツカーがいつのまにか現れ、フロント部分が割れて腕が車体後部が脚へと形を変えいつのまにかロボットになっていた。

 

レイン「せ…聖杯が…」

 

セブン「ロボットになった……」

 

「我が名は黄金剣士ドラン。レジェンドラの勇者だ」

 

ドランと名乗るロボットはフィリアの目の前に降り立つと膝をついて腰を抜かした彼女に膝をついた。

 

ドラン「君が私の()()()主人か?」

 

フィリア「あ…主人って…私が?」

 

ドラン「そうだ。詳しい事は後で話すが君が私の主人だ。どんな命令でも言ってくれ」

 

フィリア「命令……ねぇ!貴方戦えるの⁈」

 

ドラン「勿論、勇者だからな」

 

それを聞いた彼女ははっとした表情を浮かべて立ち上がってドランに言った。

 

フィリア「じゃあ!あのネウロイを倒して!」

 

ドラン「心得た‼︎」

 

彼女が指差した先のOX-3を認識したドランは腰に下げていた刀を抜きそのまま飛びかかった。

 

未知の敵に戸惑う様子も無くOX-3は光線を放つがドランはそれを巧みにかわして懐に飛び込むと脚を一本切り落とした。

 

ドラン「そこだ!稲妻斬り!」

 

姿勢を崩した所を見逃さず今度は頭から一刀両断し、OX-3は爆散した。

 

セブン「やったー!」

 

ユージオ「凄い…!」

 

シノン「いや、まだよ!」

 

彼女がそう言ったタイミングで彼らの元に子機を放った本体が現れ、出会い頭ドランに大量の光線を浴びせた。

 

ドラン「うぉッ‼︎」

 

フィリア「ドラン!」

 

吹き飛ばされたドランは地面に激突するが直様起き上がる。

 

ドラン「案ずるな主人よ!この程度で倒れる程私はヤワではない」

 

フィリア「でもどうするの?あんなのじゃ…」

 

ドラン「心配無用。ゴルゴォン‼︎」

 

彼が叫ぶと突然地面が割れ、裂け目から黄金の怪獣が迫り上がるように現れた。

 

フィリア「怪獣…⁉︎」

 

ドラン「ゴルゴン!黄金合体だ!」

 

ゴルゴン「ー!」

 

ドランの呼びかけに応えるかのようにゴルゴンと呼ばれた怪獣は徐々に形態を人形へと変化させ、胸部に空間を作った。

そこへドランが変形して飛び込むと両者は合体を果たした。

 

『黄金合体‼︎ゴルドラン‼︎』

 

ユージオ「がっ……たい……?」

 

シノン「もうなんでもアリね……」

 

ゴルドラン「貴様のような奴、生かして返す訳にはいかん‼︎スーパー竜牙剣ッ‼︎」

 

刀を抜くと刀身に稲妻が当たり電撃を浴びた。

 

ゴルドラン「一刀両断斬りッ‼︎」

 

電撃を浴びた刀を突き出し、彼はスラスターを噴かして一気に間合いを詰めた。

 

ゴルドラン「でぇやぁッ‼︎」

 

余りにも一瞬すぎた為、OX-3は対応が遅れコアごとゴルドランによってまさに一刀両断されて爆散した。

 

フィリア「これが……勇者……!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

キリト「う……⁉︎」

 

目を覚ましたキリトは周囲を見渡して驚いた。

自分が今居るのは瓦礫の中では無く、何もない不思議な空間。それも身体が宙に浮いていた。

 

キリト「ここは……一体……?」

 

その瞬間、頭の中に誰かから呼びかけられて振り返ると背後に雫の形をした石が浮かんで妙な光を放っていた。

 

キリト「これが……俺に……?」

 

石が不可思議に点滅する度にキリトの頭の中に誰かが呼びかけ続けてくる。

 

キリト「世界が……危ない……?……生命の危機……?古の力が……蘇る……?」

 

一方的とはいえ慌てる様子も無く、キリトは話を聞き続けた。

 

キリト「星の……大自然の……全ての命の……意思…?アンタは……オーリン?護る力を……俺に?」

 

彼が石を手に取ると強烈な閃光が辺りを包むと同時に意識が遠のいて行くのが分かった。

 

 

 

再び目覚めると自分がどうやら教会の地下に落ちていた事に気がついた。

左手にはさっきの石がしっかりと握られており、夢だったのか一瞬疑ったがアレが現実だったのか今となっては分からなかった

 

キリト「とにかくここから出ないと…」

 

辺りを見回すと薄暗いが礼拝所だと分かった。

尤も長らく使われていないのか人がいる痕跡はなかった。

 

キリト「な…なんだ………⁈」

 

突然、手に持っていた石が光を放ち始め持ち上がるように彼の手を引き上げた。

すると石から一筋の光が目の前に飾られた十字架の中央にはめ込まれた宝石に当たってその宝石が緑色の光と共に形を変えて一台のパトカーへと変貌した。

 

キリト「パ……パトカー……⁉︎」

 

だがここからさらに驚くべき事態が起きた。

突然亀裂が入ったかと思えば後部が腕へ、フロントが伸びるようにして脚へと変形していき仕舞いには頭部や手が生えて起き上がった。

 

キリト「あ……ぁ……?」

 

驚きの余り言葉が出ない彼の方に振り向き、ロボットはゆっくりと跪いた。

 

「私の名はダ・ガーン。命令を」

 

キリト「め……命令…?」

 

ダガーン「君は私に命令を下す事ができる。それによって私は行動を起こす」

 

典型的なロボットかと思ったが案外そうでもないと理解したキリトは早速試してみる事にした

 

キリト「じゃ…じゃあ。ここから俺を地表に出してくれ。そしたらそこに敵がいるかもしれない。俺の大切な人がそいつと戦ってる筈だ。その人も助けてくれ!」

 

ダガーン「了解!」

 

 

 

 

同じ頃、地上で奮戦していたアスナは劣勢に立たされていた。

当初は一体だったOX-3の元に別の個体である本体が現れて苦戦を強いられていた。

 

アスナ「まだ…負ける訳には……!」

 

傷ついた身体に鞭を打って立ち上がって剣を構えた。

だがその瞬間、背後にある教会の瓦礫が吹き飛ぶと同時に何かが飛び出し彼女の目の前に着地した。

 

キリト「アスナ!大丈夫か⁉︎」

 

アスナ「キリト君!無事だったのね……ってそれは⁈」

 

キリトが無事で一安心したが彼がロボットに抱えられて出てきた事に彼女は驚きを隠せなかった。

 

キリト「コイツの事は後で話すよ。ダガーン!」

 

ダガーン「了解!とぅッ‼︎」

 

飛び上がったダガーンは華麗な飛び蹴りを子機に浴びせて転倒させ、続いて攻撃してきた本体の光線を交わしつつ右腿部から銃を取り出した。

エネルギー光線銃なのか発射されたのはビームのようにも見え、起き上がりかけていた子機に穴を開けていく。そしてコアに当たったのか粒子状に弾けて子機は爆散した。

 

キリト「次はアイツか…!」

 

アスナを安全な場所へと連れてダガーンの戦いを見守っていたキリトは自分も出ようと夜空の剣に手をかけるが再び石が光を放ち始めた。

 

アスナ「キリト君それは…?」

 

キリト「え?…また⁈うおっ⁉︎」

 

手に取った瞬間、強烈な閃光を放つとそれにダガーンが反応して雄叫びをあげた。

 

ダガーン「おぉぉぉぉぉ‼︎」

 

それに呼応するかのように突然何処からか、大型の戦闘機に新幹線が赤い光の道と共に出現した。

 

ダガーン「とぉぅ‼︎」

 

現れた新幹線と戦闘機がそれぞれ下半身、上半身を構成するように変形しその間にダガーンが挟まるように空中で合体し滑り込むようにして着地した。

 

「合体ッ‼︎ダガーンX‼︎」

 

名乗りと同時に胸部の宝玉から「X」を示すように光が迸る。

 

突然同サイズの敵が現れた事に流石のOX-3は困惑する素振りを見せるが、直様攻撃態勢に入る。

 

ダガーン「そうはさせん!ダガーンブレード!」

 

左腰のスカートから持ち手を取り出して刀身を伸ばして構えると、ダッシュしてすれ違い様にOX-3を容易く横一文字に両断、Xを描くように剣を直すと同時にOX-3は爆散しその後にはダガーンXが立っていた。

 

アスナ「アレって……ロボット…?」

 

キリト「だと思う……」

 

その後、通報を受けた501がパリに到着した頃にはネウロイはダガーンとゴルドランによって一掃された後だった。

凱旋門や官邸付近で防衛態勢を整えていた軍は誰が倒したのかも知ることは無かったものの安堵するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パリでの戦闘が終わって数時間後のベルリン総統官邸。

 

ヒトラー「……パリは……奪還できずか……」

 

彼は度重なる敗戦報告に頭を痛め、悩ませていた。

 

ヒトラー「なぜだ……何故余は負けた……⁉︎アドミラル・オオイシ…?オオタカ……?いや違う、奴らだけではない……!なのに何故だ⁉︎」

 

ここまでの惨敗を許した理由としては彼が連合の脅威度を見誤った事、旭日艦隊に固執し過ぎて他の勢力への対策を疎かにした事であった。

 

それは陸にも同じ事が挙げられた。

幾ら優秀な士官や兵士を配置しようが、所詮は普通の人間。初めて見る兵器の前には何ら手も打てず次々と倒れ徐々に数を減らした。

 

最精鋭たる部隊は未だリベリオン大陸にいるがそれもつい先程降伏したと聞いた。

だが彼にはまだロンメルや改造兵士、制御準備中のネウロイがいる。

 

ヒトラー「これを使えば……まだ…」

 

そう呟いた瞬間、突然部屋の扉が開くと同時に武装した兵士が入り込み彼に銃口を彼に向けた。

 

ヒトラー「な…何の真似だ⁉︎私は総統だぞ‼︎SSは!親衛隊は何をしている⁉︎」

 

「残念ですが総統、親衛隊も警備もゲッベルスも…私が始末しました」

 

そう言いながら入って来たのはヒトラーが最も信頼している筈のロンメルであった。

 

ヒトラー「元帥……これはどういうつもりだ⁉︎」

 

ロンメル「総統、一言申し上げます。我々はもう疲れました…」

 

彼の言い出した事が信じられずヒトラーは顔を顰める。

 

ロンメル「我々は前の世界で日本…アメリカ…イギリスと対峙し、世界を変えて再び各国と戦端を開き…勢力を各地に広げた……いつまでこのような事を続けるのですか…?」

 

ヒトラー「余の夢…アーリア民族主義を世界に波及させるまでだ‼︎」

 

ロンメル「…その為に若きドイツ人民の命を散らし、罪もなき世界中の子供達が血を流しても構わない…と」

 

ヒトラー「前線で兵が幾ら死のうとドイツ国民が無事であれば良い!それに後者は遅かれ早かれ滅びる存在だ、どうなろうと構わぬ!」

 

ロンメル「……総統、私は幾度と前線を駆け巡り戦果を上げました。ですがそれと同時に多くの命が散っていくのをこの目で見て来ました。兵士であろうと市民であろうと関係なく……仮に戦争に勝っても我々アーリア民族は多民族を虐殺したというレッテルからは逃れられんでしょう。それが軍人ならまだ良い、ですが!それが何も知らぬ赤子にまで貼られる事は私は我慢ならないッ‼︎」

 

ヒトラー「君らの手は既に血で汚れているだろう?無論私もだ」

 

ロンメル「そうですな。しかしその具合はどうですか?直接手にかけた我々の方がもっとドス黒く汚れている‼︎ベルリン(ここ)で机や電話の向こうの連中に命令を飛ばす貴方方よりも!ここに居る彼らもそうだ。前の大戦から私と共に前線で戦い続けて来た者もいます。しかし彼らが求めるのは勝ち負けや勲章ではありません!家族や仲間、友人達と平和に過ごせる時間と空間…彼らはそれだけで良い……だが戦争は続く……もう充分です…」

 

ヒトラー「……その為だけに余を手にかけるのか……⁉︎」

 

ロンメル「はい。"その為だけに"」

 

直後、総統執務室に一発の乾いた銃声が響くと共に独裁者の命は幕を下ろした。

 

ロンメル「……」

 

「閣下。海軍司令部、陸軍司令部、および宣伝省の制圧完了しました」

 

運び出された遺体と入れ替わりに入って来たのはロンメルの腹心の部下であるクラウス・シュタウフェンベルク大佐だった。

 

ロンメル「……ご苦労だ大佐。特使の用意は…?」

 

クラウス「シュパイデル中将が明後日にでも降伏宣言の為パリへと向かいます」

 

ロンメル「ご苦労……」

 

クラウス「……閣下…」

 

ロンメル「言うな。言うな大佐、これで良いんだ」

 

クラウス「……はい」

 

ロンメル「……すまないがしばらく一人にさせてくれないか…」

 

クラウスは黙って頷き、取り巻きの兵士達も静かに執務室を離れロンメルは窓の外に広がるベルリンの市街地を何処から寂しげに眺めていた。

 

 

 

 

 

後日、ロンメルが起こしたクーデターによって政権交代を果たしたドイツは正式に降伏を宣言。

この行動に一番驚いたのは最前線にまで来ていた連合軍であったのは他ならない。

 

10月2日

ハンブルクにて遡上して来た戦艦常盤の甲板上にてドイツ全権大使兼新首相となったロンメルが降伏文書に調印。

 

連合側としては1年にも満たなかったが、大戦は終わりを告げた。

 

戦後、ヨーロッパ半島はそのまま統合世界の各国の手で自国領として復興、統治が進む中ドイツは国民の半数を引き連れて自由世界へと大移動。

空いたそこにはカールスラント帝国が新たに国家として再建された。

 

自由世界に移ったドイツは長らく空席だったグリーンランドにて「ドイツ連邦共和国」として再出発する事が決まるのだった。

 

 

 

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