東部諸侯団壊滅から一日が経過した。
クワ・トイネ政治部会ではノウ将軍からもたらされた報告に、誰もが唖然としていた。
カナタ「これは本当なのか………日本がエジェイの後方5キロ地点にある基地から強大な爆裂魔法を使った遠距離攻撃で、敵先遣隊3万人を全滅させたと言うのは」
「はい。報告書とノウ将軍を含めた、エジェイの全将兵が目撃しております」
特科連隊の攻撃を自分の知る限りの知識を使って分かりやすいように作成されたノウの報告書に、皆、信じられないといった表情となる。
「ですが、これで敵の出鼻は挫く事は出来ました。先のロデニウス海戦の報告と合わせて日本の実力は分かりました」
クワ・トイネ首相『カナタ』は取りあえずその場を抑えて、次の議題に入った。
「連合軍から提案が書かれた資料があります。ご覧ください」
そう促され、全員が手元の資料に目を通す。
カナタ「これは……」
資料を見た彼らは衝撃的一文を見つけた。
「「ロウリア王捕縛作戦だと!?」」
そこには、日本の特殊部隊によるロウリア王国国王で、今回の戦争の首謀者でもある『ハーク・ロウリア34世』を逮捕するという前代未聞の作戦の内容書だった。
「連合軍はロウリア王捕縛の任務を行う特務部隊を乗せた鉄龍を飛び立たせ、首都ジン・ハークにある王城に強襲、ロウリア王を今回の戦闘の首謀者として捕縛したいとの事だ」
カナタ「なんと無茶な………首都やその回りには守りを固めている防衛部隊が居るというのに、そこへ飛び込むと言うのか」
「連合は敵主力の目を引き付けるために、ダイダルに居る部隊のほぼ全てを首都目前まで進出させるそうだ。特務部隊はその隙に突入すると言ってきている。そこで我が国に、敵首都への攻撃許可及び、自軍の大移動とロウリア軍との戦闘の許可を求めてきている」
その提案に暫くその場はザワついたが、結論は意外な程に早く出された。
「別に良いんじゃないか?我々に代わって日本が戦争を終わらせてくれるなら」
ある議員のこの言葉に、一瞬唖然としたが皆は次々と賛成意見を出した。
「そうだな……被害を出さずに済むに越した事は無いしな……」
「ロデニウス沖…エジェイとああも簡単に敵を殲滅したんだしたな……うん、私も賛成だ」
満場一致でロウリア首都への攻撃許可が出された。
ロウリア軍東部諸侯団壊滅より3日後の早朝。
ダイダル基地では、ロウリア王逮捕に向けた作戦のため陸海空の全部隊がギム奪還と、越境、首都ジン・ハークへ向けての進出のため作戦行動を始めていた。
滑走路からは、ギムにあるロウリア軍のクワ・トイネ侵攻部隊本部への爆撃のため、B-25・B-17・F-2、護衛のF-15J・隼・鍾馗が発進していき、陸上自衛隊第7師団・第23軍・米第3軍が基地警備のための空挺部隊を残し、全ての地上部隊とヘリ部隊が基地を出て、西へ向かっていく。
「師団長、全作戦部隊、行動を開始しました」
大内田「うむ」
師団指揮の82式指揮通信車車内で報告を受けた大内田は作戦が上手く行くよう祈りながら、全部隊の指揮に専念した。
上空
先行して飛び立っていた爆撃隊と護衛戦闘機隊は高高度を維持し、E2Cホークアイによる航空管制を受けながら、ギムに向けて飛行していた。
「実にいい眺めだ」
B-17の操縦席に座る隊長が辺りを見回しながら言う。
爆撃隊の左右には信頼のおける日本陸軍の
「羨ましい……隊長、自分達もあんなジェットファイターならぬジェットボンバーに乗る日は来るんですかね?」
「さぁな。それは日本次第だな、段階を踏んで俺達に技術を与えてくれるそうだ」
「ちぇっ。それじゃあ俺が退役する頃になりそうじゃないですか」
「まぁそうぼやくな、本国じゃあジェット機じゃないが新型の爆撃機を開発・製造してるそうだ。早ければ来年の5月ごろには俺たちのところにも来るそうだ」
「新型が⁉︎それは楽しみだな……!」
一方で603飛行隊所属のE2Cからの指令で、爆撃隊の護衛に就いていた201飛行隊所属のF-15Jは、高度を下げる。何故なら敵のワイバーンを捕捉したからだ。
E2Cからのデータリンクにより、ギム周辺を飛行するロウリア軍のワイバーン部隊の状況はリアルタイムでF-15全てに伝わっている。
『こちらモール1、目標を補足。これより攻撃を開始する』
F-15に搭載されたレーダーが、ギムを周回するワイバーン部隊を補足し、ミサイル攻撃のため火器管制システムを起動、全機がワイバーンに向けてレーダーロックを掛けた。
『レーダーロック、Fox-1、fire!』
パイロットが操縦桿のトリガーを引くと、F-15の胴体下の半埋め込みステーションに搭載されていた99式空対空誘導弾『AAM-4』中距離ミサイルが発射され、超音速で目標に向かって飛び去っていった。
その頃、ギムにあるロウリア軍本部では…………
「まだ偵察隊からの連絡は取れないのですか⁉︎」
本日何度目となる副将『アデム』の質問に部下達は冷や汗をかいて応える。
「現在、調査中でして……」
アデム「具体的にどのように調査しているんだ⁈」
「それは……現在、別の偵察隊を向かわせる準備をしております…!」
アデム「だったら早く出さんかぁ‼︎これでは全く状況が分からないではないかぁ⁉︎」
既に冷静さを失っているアデムを宥めるように、侵攻軍の指揮を努める『パンドール』将軍が口を開いた。
パンドール「落ち着くんだアデム君。ここで冷静さを欠いていてはどうにもならん」
アデム「ははぁ!大変失礼しました、閣下…」
パンドールの言葉にアデムは冷静さを取り戻し、指揮所内は静まり返る。
パンドール「兎に角今は出来る事をしよう。直掩のワイバーンはどれくらい上げている?」
「はい、50騎程上げております」
パンドール「50騎も………少し多くはないか?」
「いいえ。先遣隊や偵察隊が相次いで消息を絶った事を考えますと、敵は何らかの力を手に入れたのかもしれません。万が一にも我々が壊滅してしまっては、今回の作戦は破綻してしまいます。ここは念には念を入れて掛かりましょう」
パンドール「………………そうだな。用心する事に越した事はないな」
パンドールは今までの事態から、本格的に事を構えないと足元を掬われると感じ、ギムに駐留する全部隊に警戒体勢を敷くように命じる。
ここで一度休憩を命じ、外の空気を吸おうとパンドールは指揮所から外へ出た。
パンドール「50騎のワイバーンか………壮観だな」
上空を警戒するワイバーンの数を見て、少なくとも負ける事は無いだろうと心で思った。
その瞬間までは
突然、警戒飛行をしていたワイバーンが突然、爆発し炎と煙に包まれ落ちていく。
パンドール「⁉︎」
「何だ!?」
上空に居たワイバーンが一気に20騎近くが落とされ、本陣は一瞬で蜂の巣を突いたような騒ぎとなった。
パンドール「何なんだこれは……一体何が起きたんだ⁉︎」
パンドールの目の前で精鋭のワイバーン部隊が、何も出来ずに落とされていく現実に、彼は理解が追い付かなかった。
『こちらエクセル、敵航空戦力消滅を確認。爆撃隊は目標へ突入せよ』
ギム周辺の航空脅威を排除した201飛行隊に変わり、F-2・B-17・B-25が高度を下げてギム上空に到達した。
『骨董品のアメさん達、遅れるなよ』
「誰が骨董品だ‼︎そっちこそ失敗するなよ、バイパーズ‼︎」
正史なら対艦攻撃をメインにF-2は開発されたが、本世界線では海自が空母を保有してる為対地攻撃・爆撃に重きが置かれて開発され対艦攻撃力はおまけ程度につけられたに留まる。
速度差で先行したF-2はエアインテイクの右に取り付けられているレーザー指示目標ポッドのカメラがギムにある敵司令部に向けてレーザー光線を照射する。
『用意……投下‼︎』
F-2の主翼下のパイロンから、GBU-54LJDAMレーザー誘導爆弾が投下され、目標からのレーザー反射を捉えて誘導装置とリンクした制動翼が小刻みに動き、爆弾本体を目標に向けて落下させていく。
投下されたLJDAMは、見事に敵司令部を直撃した。
LJDAMの熱波と爆風はパンドールやアデムを含めた軍幹部ごと、この世から消し飛ばしてしまった。
『こちらバイパーズ、敵司令部は壊滅した。後は任せた!』
F-2が翼を翻して飛び去っていくのと入れ替わりに、今度はB-17・B-24の大群がギム上空へと到達する。
「なんだよ敵の司令部は丸潰れじゃねえか」
「隊長、いいですね?街までやる事になりますよ⁉︎」
「構わん!どうせ後で日本がインフラ整備するんだ。やりやすいように更地を増やすだけよ‼︎」
機首の照準席に座る爆撃手が照準機を覗いて地上に残る敵の兵舎や物資に狙いを定める。
「ターゲット視認‼︎ready……go‼︎」
投下スイッチを押して機体の爆弾倉から定番の落下音と共に大量の爆弾が落下していく。
「に…逃げろぉぉ‼︎」
それを見て危機を察した兵士達であったが、時既に遅く次々に炸裂する航空爆弾に身を隠した家屋ごと吹き飛ばされたり爆風で人体をバラバラにされていく。
その日の正午にはギムは完全に奪回され、ロウリア軍クワ・トイネ侵攻部隊は生き残った数百人の捕虜を残し壊滅…いや、消滅した。
ロウリア王捕縛作戦の第1段階は無事成功を納め、次なる段階へと移った。
ロウリア王捕縛作戦の第1段階であるギム奪還を成功させた連合軍は最前線基地をダイダル基地からギムへと移した。
ギムの町を作戦終了まで使用する目的から施設科による、爆撃で発生した建物の瓦礫の撤去、地面に空いたクレーターを埋める作業が行われていた。
ギムに設置された前線指揮所へと移動した大内田達は次の作戦へ向けてのブリーフィングを行う。
「師団長、作戦決行時間については当初の予定通り、本日正午に開始しますか?」
大内田「あぁ。我々の任務はロウリア王を逮捕する連合空挺部隊の突入に備えての囮だ。ここはひとつ、目立つよう派手に動こう」
「了解しました。では正午に作戦を実行できるよう、各部隊に伝えます」
大内田は自分達の任務は飽くまで敵主力の目を引き付けるための囮であるとし、当初の予定通り敵が自分達に目が行きやすいよう正面から堂々と仕掛ける事を各部隊に徹底させる。
そしてその日の正午、南雲忠一中将が座乗する大型巡洋艦『蔵王』を旗艦とする第一水雷艦隊がジン・ハーク港への突入を開始。
敵は殆どが帆船であった為艦砲射撃のみでこれを制圧。
また随伴していた空母龍驤より発艦した零戦により首都の防空戦力は壊滅させられたのだった。
海軍基地壊滅と、首都の防空戦力を失ったロウリア軍の目線は完全に地上へと向けられていた。
軍の指揮を執る『パタジン』将軍は、敵が正面から攻めてくると読んで、首都の東にあるビールズと呼ばれる町に伏兵を置いて、侵攻してくる敵の側面を突いて相手を混乱させようと画策する。
彼から説明を受けていたハークはパタジンに質問を投げ掛ける。
ハーク「パタジンよ、40万の諸侯はどうなっておる?」
パタジン「再召集には応じず、傍観を決め込んでおります」
ハーク「では彼らを動かざる得ないよう差し向けろ。最早手段は問わん」
パタジン「はい」
ハークは後の事をパタジンに任せると、自室に籠ってしまった。
パタジンの命令により、ロウリア軍は敵がビールズに向かってくると読んでビールズ近郊に軍を集結させ、侵攻してくる敵を待ち受けた。
だが、第7師団はパタジンとロウリア軍の予想に反した行動を取っていた。
夜明け前の薄明かるい光と、厚い霧が立ち込め視界が悪い中、広い荒野の中に作られた首都ジン・ハークの正面から、第7師団第71戦車連隊所属の10式戦車・86式戦車、アメリカ陸軍M3中戦車、日本陸軍一式戦車の集団がエンジン音を絞りながら接近していた。
パットン「囮とはいえ、この距離にまで敵の本拠地に近づくってのはかなりのストレスだな」
牟田口「現代戦ではまず有り得ない距離ですからね」
指揮車に乗っていた大内田らは霧の切れ目から見える敵首都を見る。車内に戻ると、机の上に置かれたノートPCに表示されるジン・ハークの地図を見ながら最初の攻撃目標を定める。
パットン「敵をおびきだすには、此処にある塔を攻撃するのがベストだな」
牟田口「ですがこの位置から戦車砲を撃てば砲弾が市街地戦に突入する可能性があります、榴弾砲を撃ってもらい、破壊してもらいましょう。曲射で撃てば塔だけをドンピシャで破壊できるかと」
大内田「民間人に犠牲者を出さないならそれが一番か。特科に砲撃を指示。我々はこのままギリギリまで接近するぞ」
「了解」
戦車隊は敵に気付かれないようにライトも点けず、乗員達は暗視装置を頼りに霧の中をエンジン出力を絞り低速で接近し徐々に距離を詰めていく。
「師団長、特科から砲撃準備完了と連絡あり」
大内田「全車停止」
連隊はその場で停止。エンジンも切られ、辺りは完全な静粛に包まれた。
間も無く上空で待機していた航空自衛隊所属のEC-1電子戦訓練機が敵の魔力通信に対しての妨害電波の発信を開始した。
それに合わせて後方でスタンバイしていた特科の99式が敵の通信室と塔を吹き飛ばした。
パタジン「何だ!この音は⁉︎」
パタジンは突然聞こえてきた轟音に目を覚まし、自宅の2階から城門を見る。
パタジン「馬鹿な……敵はビールズを迂回して広い荒野を突き抜けてしてきたと言うのか?それにしても速すぎるぞ!」
第7師団による予想外の展開速度にパタジンの元に部下が慌てた様子で報告にやって来た。
「将軍、敵襲です!正門の塔が魔導攻撃で破壊されました。敵は正門から4キロ地点に展開中!」
パタジン「見張りは何をしていたのだ!直ちに当直の騎兵隊を迎撃に出せ!」
「それが、先程の攻撃直後から各部隊の魔信機が麻痺してしまい、命令伝達に支障をきたしています」
パタジン「何だと!?原因は?」
「現時点では分かりませんが、敵が攻撃してきたと同時に起きたので偶然では無いかと。おそらく何らかの方法を使って魔信が無力化されたものかと思われます」
パタジン「ならば伝令を出せ!騎兵隊には迎撃と威力偵察を指示し、攻撃を受ければ直ぐに下がるよう伝えよ!」
「はっ!」
パタジンの命令は伝令兵によって直ちに騎兵隊に伝達され、約400騎の騎兵隊が正門より強襲偵察を兼ねた迎撃戦闘に出た。
「正門より敵が来ます!」
「迎撃する!機銃攻撃始め!」
戦車連隊各車は騎兵隊に向けて機銃攻撃を開始した。
一斉に放たれたた大小の銃弾は、向かってくる騎兵隊の鎧を易々と貫いていく。
「敵騎兵、後退していきます!」
「攻撃止め!」
思わぬ打撃を受けた騎兵隊は直ぐに後ろに下がり、城壁の奥に撤退した。
ロウリア軍全体の目が正面に向けられている頃、壊滅したハーク港のある北の方角より、闇夜に紛れながらロウリア王逮捕を目的とした自衛隊・帝国陸軍の合同空挺部隊を乗せたC-2が飛行していた。
久米「作戦通り、敵は第7師団に釘付けだな」
若松「しかし敵側の兵力も凄いですね」
久米「そりゃあ敵も首都に敵が来られたんなら、必死になるわ」
「隊長、間も無く降下地点です!」
若松「よし!各員、降下用意!」
機内に居た隊員達は席から立ち上がる。同時に機体後方のランプドアが開き、外からの外気が入ってくる。
首都の遥か上空から目標の城を確認した。
久米「総員降下‼︎」
ブザーと共にランプが緑に変わると次々に連合空挺部隊は飛び降りていく。
中庭に降り立った部隊は身軽になりそれぞれ89式小銃・九九式小銃を構えて辺りを警戒する。
久米「これより本隊はロウリア王確保に向かう。残りの者は要所を制圧・確保せよ」
「「了解」」
中庭を確保した後、城内へ続く裏門の確保と警備詰め所の制圧を開始した。
「発破!」
警備詰め所の扉を爆薬で破壊し、中に居た警備兵を排除してから、他の部屋も同時に確保、突入口を確保した。
久米・若松ら数名の部下を引き連れて城内へと突入する。
1階は容易く制圧できた為対象は2階に居ると判断し、突入する。
「うぉぉぉぉ!!」
「ロウリア王万歳ぃぃ!!」
階段の上からは、剣や槍を構えたロウリア兵が姿を表して、突撃を仕掛けてきたが、隊員達は小銃の引き金を引いて、向かってきたロウリア兵を始末していく。
2階へ入ると部屋を1個ずつ虱潰しに制圧していく。1個1個の部屋には数人程のロウリア兵が待ち構えていたが、圧倒的な装備の前に反撃する隙すら与えられず制圧される。
若松「居ませんね…」
久米「残すは奥の王の間のみか…」
部隊は警戒しながら王の間へと進む。
扉を開けて中へ入ると蝋燭の僅かな光のみの王の間が広がっていた。
「広いな」
中へ入ると、目の前には高い位置に設けられた王座へ続く高い大階段があった。奇襲に備えて全方向を警戒しながら階段をゆっくりと登る。
登り終えた先には派手な飾りの付いた銀色の鎧に身を包んだ男が一人立っていた。
久米「貴様、何者だ」
「これはこれは日本国軍の皆さん、はじめまして。私は近衛隊大隊長のランドと申します。お見知りおきを…」
若松「近衛隊大隊長……ロウリア王は何処だ?」
ランド「あなた方がお探しのハーク・ロウリア陛下はこの先にいらっしゃいますが、陛下を一体どうするおつもりでしょうか?」
久米「その下手な時間稼ぎに付き合う義理はない!武器を捨てて、両手を挙げながら腹這いに!」
彼の言葉に従いランドはその場で腹這いになり、結束バンドで両手と両足を縛られる。
若松はその間に部下二名に合図を出して奥に向かわせた。
それを見たランドが口を開いた。
ランド「君みたいな人間は嫌いだよ………」
その言葉の合図だったかのように、左右の壁が回転し、その奥から武装した30人程の騎士が姿を現した。
「「⁉︎」」
久米「っ!貴様、謀ったな⁉︎」
ランド「奴らを始末しろ!」
ランドがそう叫ぶと、騎士達は一斉に駆け出す。
「「うぉぉぉぉぉ‼︎」」
「っ‼︎」
部隊員の1人が手にしていた一〇〇式火焔発射機の開閉ハンドルを開いた事で強烈な火焔が騎士達に襲いかかった。
「ギャアア‼︎」
「ア"ヅイィィ助けてぐれぇぇ」
「ア"ア"ア"‼︎」
忽ち火焔に飲み込まれた数人の騎士はその場に倒れて辺りをのたうち回った。
「まっ魔導士か⁉︎」
若松らはその隙を逃さず瞬時に射撃命令を出した。
若松「今だ‼︎撃てッ‼︎」
すかさず持ち直した部隊は小銃を残りの敵に向けて発砲、久米も手にしていた一〇〇式短機関銃を撃ちまくる。
「ぐぉっ⁈」
「ギャッ‼︎」
伏兵達は突然始まった射撃を前に、ドミノ倒しのように倒れていく。
久米「撃ち方やめ!」
射撃を終えると伏兵達は全員頭を撃ち抜かれ地面に倒れ伏していた。
火焔発射機で焼かれた数名はまだ燃えていたがその内まる焦げの焼死体になる筈だ。
ランドは切り札があっさり破られた事で力が抜け、項垂れているしかなかった。
久米「二名はここに残ってくれ」
2人をランドの監視に残し若松達は王の自室の壁にある隠し扉の鍵を解錠、中へ突入した。
中に入ると、広さ10畳程の広さの部屋の奥にある椅子にハーク・ロウリア34世は青木達を待っていたかのように恐れる様子を見せる事なく堂々とした出で立ちで座っていた。
久米「ロウリア王国国王、ハーク・ロウリア34世で間違いありませんか?」
ハーク「……無論だ」
若松「貴方をクワ・トイネ王国へ対する重大テロ行為の実行を指示したテロ等共謀罪、ならびに破壊行為指示と殺人を指示した破壊活動防止法違反・殺人教唆の罪で逮捕状が出ております」
若松は裁判所が発行した日本語と大陸共通語で書かれた逮捕状を見せる。
ハーク「好きにするがいい。覚悟は出来ている」
若松「では御同行願います」
両手に手錠が掛けられ、遂にハーク・ロウリア34世は逮捕された。
久米「総員撤収ッ‼︎」
この数時間後、ロウリア軍は連合軍から国王の身柄を拘束した事を伝えられた。パタジンはこれ以上の戦闘は無用と判断し、降伏。
こうして誰もが予想しなかった速さでロデニウス大陸戦争は終結に向けて動き出した。