次は本編を進めます。
つ〜か試合の話を書くの難しすぎる!いや、日常回も難しいけど………
ちょうど8時にテレビ電話がかかってきた。
画面には発信者の名前が表示されている。昨日、連絡をもらった時間通りに掛けてくる律儀さが嬉しい。
パパっと髪を整え、服装をチェックしてから出ると青いジャージを着ている優が映った。
「おはようございます、千夏。」
「おはよう、優。」
年を越しても、いつもと変わらない朝の挨拶を交わせるのが何処となく嬉しい。色々と関係性が変わっても、変わらないものがあるというのが。
「新年明けましておめでとうございます。本年も宜しくお願い致します。」
姿勢を正して、改まった口調で新年の挨拶をする律儀な所は今年も変わらないようだ。
「ふふふ、此方こそよろしくお願いします。」
ペコリと画面越しに頭を下げて挨拶をする。
「今何処にいるの?部屋じゃないよね?」
画面に映る風景にそんな質問をする。
「ええ、ラウンジです。朝食を食べ終わって今はのんびり珈琲を飲みながら本を読んでいました。」
「緊張はしていないようで何よりだね。」
優の様子を見ながら所感を伝えると、微笑みながら頷いた。
「ええ。緊張よりも楽しみの方が大きいですね。何で自分が呼ばれたのか理解しているので結果で証明してみせます。」
自信満々に告げる優が頼もしく、頼りになる男を感じさせる。
「皆で観てるから。お父さんもお母さんもお爺ちゃん達も。」
「それは……分かりました。頑張ります。」
「うん、応援してる。優、頑張れ!」
「ありがとうございます。じゃあ、行ってきますね。」
お互いに頷いてから通話を切る。切れて画面が真っ黒になった瞬間に寂しいなと思う気持ちがすぐに出てきた。
「千夏〜〜〜、何時まで寝てるの〜〜〜?朝御飯出来てるわよ〜〜〜!」
「起きてる〜〜〜、今行く〜〜〜!」
お母さんの呼ぶ声が聞こえる。ササッと着替えて布団を片付けて居間に向かう。
「おはようー。」
「おはよう!ちーちゃん!もちは何味がいい?あんこか?醤油か?きな粉もあるぞ。」
居間に入って挨拶をするとお爺ちゃんが怒涛の会話攻撃をかけてきた。
「座る前から急かさないの。」
「千夏は何でも食べますよ。」
お婆ちゃんが制止の声を、お母さんが私を食いしん坊みたいに言う。確かに何でも食べるけど………。
「お雑煮のお汁、直ぐ持ってくわね。」
お母さんがそう言ってお盆に置かれた器を祖父母に渡すとお婆ちゃんが私に渡してきた。
「ちーちゃん、先にお上がんなさい。」
えっと、困ってお母さんに顔を向けると頷いたのでお礼を言ってありがたく受け取った。
「じいちゃんの作った野菜が沢山入っとるから一杯食べなさい。」
「ちーちゃんはよく食べるねぇ。」
「だって美味しいから。」
私が美味しいと言うとお爺ちゃんが嬉しそうな顔をして頷いている。
「そういえばお父さんは?」
お婆ちゃんの分のお雑煮を持ってきたお母さんに尋ねた。
「ご近所に挨拶回りに行ったわよ。」
「帰って来るの久し振りだからな。もっと頻繁に帰ってくればいいのに。」
「アメリカにいるから仕方ないよ。飛行機代も馬鹿にならないし。」
私の言葉に一定の理解を示しながらも、“もう1、2回位”と言っている。
「それよりもちーちゃんの話をもっと色々と聞かせてくれ。部活の方はどうだ?勉強は?」
「しっかりやってるよ。去年は全国に行けたし、来年もっと上に行きたいって思える1年だった。」
私が些か力の籠もった返事をすると、お爺ちゃんもお婆ちゃんも嬉しそうに何度も頷いた。
「そうかそうか。良い1年だったようだな。」
その姿を見ながらお雑煮の汁を啜る。出汁が効いてて美味しい。そんな事を思っていたから急に懐を抉る質問に対処が出来なかった。
「で、恋人は出来たのか?」
うぐっ!汁が喉にっ!コホコホと咳き込んでしまった。
「あなた……最近の子はそういう質問嫌がるものよ。」
「でも心配じゃないかっ。」
お婆ちゃんの制止の声がお爺ちゃんには一定の効果があったようで、言葉尻が幾分か弱くなった。
どうしよう、言っていいのかな?でも帰ってきたら伝えるって優が言っていたから言ってもいいのかな?
「う、うん。いるよ恋人。出来たの彼氏。」
一回認めてしまえば、案外スッと言うことが出来た。
お爺ちゃんとお婆ちゃんは固まっている。お母さんが様子を窺うような感じで尋ねてきた。
「それってもしかして優君?」
「うん。私、優君と付き合ってるの。」
誰憚る関係じゃない。正々堂々と言おうと決意すると驚くくらいしっかりと言葉にできた。
「智と将史さんは知っているの?」
「うん。将史さんは付き合って次の日には気付かれたの。智さんは2人で相談して、その日の夜に伝えた。」
“そう、2人が知っていて容認しているのね。”と一応理解はしてくれたみたいだ。
「私達に伝えなかったのは?」
「私が帰った時に話すって言ってた。お父さんとお母さんにキチンと話さないといけないから、家に私を送りに来た時に直接しっかりと話すって。」
私の言葉を何度も頷きながら聞いていたお母さん。
「分かった。智に似たのか、将史さんに似たのか変に筋を通そうとするのね。お父さんには私から言おうか?」
「ううん。私達の事だもん。私からキチンと言う。今日お父さんが帰ってきたら伝える。」
「分かった。」
私達親子の会話が一段落した所で、お爺ちゃんが申し訳なさそうに入ってきた。
「あの〜〜〜、ちーちゃんの恋人って〜〜〜???」
「あああ、ごめんなさい。今、千夏を預かってもらっている家の子なんです。私の同級生の子供で、今日観ようって言ってるサッカー日本代表の試合に選ばれてる凄い子なんです。」
私が説明しようとする前に、お母さんが全部説明してしまった。
「はいや〜〜〜。日本代表かい?なら年が違うのかい?」
お婆ちゃんの感心した言葉と年齢差があるのを心配する様子の声で私達の交際を少し心配しているのが分かった。
「1個私の方が上なの、お婆ちゃん。」
「ちーちゃんの彼氏が出てるなら、こりゃ今日の試合はしっかりと応援せんとな!」
「そうね。」
私の様子から多分いいお付き合いをしているのが伝わったのだろう。優の応援をしないとと言ってくれた祖父母の様子に嬉しくなった。
切れたスマホの画面を名残惜しく見ていると声を掛けられた。
「何ニヤニヤしてんだよ。」
「してね〜よ。」
反論しながら声のした方を向くと、共に代表に選ばれた川添と中村が2人揃ってカップを持って近寄ってきた。
「体調はどうだ?」
「今万全になったよ。」
尋ねてきた中村に自信満々に応える。
「まあ俺達に出番があるのか分かんないがな………。」
川添の言葉に反論した。
「あれほど試合前合宿で結果を残したんだ。使うさ。」
「だけど俺達高校生だぜ?」
「あの人は使わない人を呼ばないよ。俺達をわざわざ呼んだのは使うためさ。スタメンもありえるぜ。」
俺の考えを伝えると、2人が驚いたが覚悟が決まった表情に変わった。昨年のU-20W杯で世界のトップレベルと戦った事が、いい方向に出ているようだ。
「それにしても、まさか俺達が呼ばれるとは思わなかったよ。」
川添の言葉に中村が頷いた。俺も思う。
「チームが上手く行ってないからな。最初の試合で転けたのが痛かったな。あれでチームがチグハグになってしまった。そこから立て直せていないのが現状だろう。」
俺の言葉に2人も賛同するように頷いている。
「これからどうする?」
まだ8時半になっていない。昼の11時にミーティングをするから何をして過ごすか聞いてきた。
「俺はプールで身体を解しがてら軽く泳いでくる。」
「いいな、それ。俺も行っていいか?」
俺の過ごし方を伝えると川添が乗ってきた。中村も軽く泳ぐくらいなら俺もと賛同してきた。
なら部屋に戻って着替えとかの準備しようと動き始めた。
会議室に全選手、コーチ陣が集まった。試合前のしっかりとしたミーティングはこれが最後になる。後は試合前の軽いミーティングだけだ。
「相手の韓国は、前線からの速いプレスと強いフィジカルでのハイインテンシティで縦に速いサッカーをしてくる。それに対して此方も負けずに当たれ。一歩も退くな。」
相手の戦い方と此方の戦い方、それから相手の警戒するべき選手などの話を終える。
「今日のスタメンは発表する。GK林。」
「うす。」
「DF、右から宮、栗山、佐伯、永原。」
「はい。」
「ボランチは藤峰、中村。」
「はい。」「えっ!あっはい!」
中村が驚きの声を上げるが直ぐに返事をした。
「トップ下は如月。」
「はい。」
当然だ。年末のミニキャンプでも結果を出してきた。
「FWは左に三笠、右に伊原、トップに川添。これで行く。」
「うす。(はい!)」
「ベンチの奴も気持ちを切らすな!さぁ、行こう!」
「「「「「おう!!!」」」」」
皆が返事をし、会議室を出て行く。その時、俺達高校生トリオが監督に呼び止められた。
「お前達を使う意味は理解しているな?駄目なら次からは呼ばん。」
「結果で黙らせろって事ですね。俺らそれが一番得意なんで。」
自信満々に言って、その場を立ち去った。部屋を出て直ぐに川添が話しかけてきた。
「“一番得意なんで”って、大言壮語過ぎるだろ!?」
中村も“うんうん”と頷いている。
「彼処はああ答えるしかなかっただろ。それに実際、この試合で今一つなら二度と呼ばれんよ。お前達もまさかその覚悟無しにここに来たわけじゃあるまい?」
「当然!(ああ!)」
やる気に満ち溢れている2人を頼もしく思う。チームの状態が良くないから攻守に信頼できる奴がいてくれると助かる。
「勝って俺達の価値を証明しよう。」
2人に拳を突き出すと、ゴツンと打ち合わせた。
正午を過ぎた頃にお父さんが挨拶回りから帰ってきて、お昼にしようとなった。うちは正月のお昼におせち料理を食べるのが何時もの恒例だ。
3段のお重に綺麗に盛り付けられている料理がとても美味しそうに見える。他にもいくつかの料理が別のお皿や器に盛られている。
「んじゃあ、冬樹も戻ってきた事だし、新年明けましておめでとう!今年も一年頑張ろーーー、かんぱ〜〜〜い!!」
お爺ちゃんがお猪口を掲げたので皆、お猪口やグラスを掲げて乾杯の声を出した。各々、好きな料理を食べていく。お爺ちゃんがお父さんにもう少し帰ってこれんのかと言っている。お父さんは盆、年末位が限界と言っている。まあ、アメリカからだと飛行機代なんかの交通費が結構な額になるから仕方ないと言えば仕方ない。
皆がある程度飲み食いして、人心地ついた頃にお爺ちゃんがポロリと漏らした。
「ちーちゃんの彼氏の試合、もうすぐだろう。」
「………かれ…し?」
お父さんがギギギッと首をゆっくりと回しながら片言で問いかけてきた。自分から言うつもりだったけど、こうなった以上はハッキリと伝えないとだよね。
「うん。今私、優君と付き合ってるの。」
多分、驚いたのだろう。目が若干大きく開いた。
「そう…か………。直ぐに部屋を用意する。帰ったら引っ越す準備をしなさい。」
「待って!その話は帰ってから向こうの家族と、優君達と話してからにして。私が何で日本に残ったのかは分かってる。お父さんの意見も分かる。だけど優君や智さん、将史さんの考えも聞いてから決めてほしい。私も優も簡単に、軽く交際するって決めたわけじゃないことは分かってほしい。」
「……………。」
私とお父さんの遣り取りをお爺ちゃん、お婆ちゃん、お母さんは心配そうに、でも黙って聞いてくれていた。そして………。
「なあ、冬樹よ。お前さんの心配は当然だ。儂にとってもちーちゃんの事は1人の孫で女の子だ。儂も心配だからな。聞いた話だが去年は全国に出て頑張ったんだ。する事はしっかりやっていたんだろう。だから少しは認めてやったらどうだ?」
「……………。」
お爺ちゃんの言葉に、お父さんがまた黙ってしまった。
「私も少し見守ってあげてほしいと思う。ちーちゃんの様子を見るに、互いにいい方向へ向かう関係だと思いました。冬樹の気持ちは分かるけど、答えを出すのは向こうのご家族と話して決めるのでも遅くはないと思うのだけど。」
「………分かった。去年一年、お世話になった恩もある。如月さん達の話を聞いて、此方の意見も伝えて、千夏にとって最善の道を選ぶ事にする。それでいいな?」
皆にそれでいいかと問うと、お爺ちゃん、お婆ちゃん、お母さんはホッとした表情で頷いた。
「お父さん、ありがとう。」
お父さんにお礼を伝えると、険しい顔をした。
「これからの同居を許したわけじゃない。ただ向こうの話をしっかりと聞いてから、お前の事を決めるってだけだ。」
「うん、分かってる。それでも伝えておきたかったの。」
私の感謝の言葉を聞いて、複雑そうな顔をしている。よく見ると表情に少しだけ出るのが分かるようになっていた。私の事を大切に思っていることを。
「そろそろ試合前の特番がやってるからテレビ変えるわね。」
お母さんがそう言って、空気を変えようと試合前の特番にテレビのチャンネルを変えた。少しだけ2時を過ぎていたので番組が始まっていた。
『サッカーU-23日本代表対韓国代表の試合まで、後1時間を切っております。ピッチの上では両チームが練習を切り上げ、控室に向かっております。ここで日本代表のスタジアム入りの様子を見てみましょう。』
そう言って、映像が切り替わった。選手が荷物を持って通路を歩いているのが映っている。
『此方は、この試合緊急招集された昨年のU-20W杯で大活躍した高校生トリオです。』
サングラスをかけた優が映った。サポーターの応援に軽く右手を掲げて応えた。
『いや〜〜〜如月選手落ち着いてますね。流石は欧州で今一番期待、注目される若手選手と言われるだけありますね。』
『何処か雰囲気がありますよね。』
『ええ、彼は欧州で長い間戦ってきた歴戦の猛者ですから。出場したらこれはと云うのを見してくれるでしょう。』
実況のアナウンサーと解説の元プロ選手2人が優を期待していると言っている。
『さあ、間もなくスターティングメンバーの発表です!』
順番に発表されるスタメン。優の番になると、お母さんがお爺ちゃん達に“この子が千夏の彼氏何ですよ”って紹介している。何か照れる。恥ずかしくなって俯いてしまった。
「いい男じゃないか。」
「優しそうな子ね〜。」
2人の言葉にハッとした。そうだ、恥ずかしがってばかりじゃダメだ。
「うん、誰よりも真面目でストイックで、なのに優しくてカッコいいの。」
自慢するとお父さんは不満気な表情を浮かべていた。それを見たお母さんは苦笑していた。入場行進や国歌斉唱が終わり、写真撮影を行い、ピッチに両国の選手が散っていった。
日本ボールからでセンターサークルの両端にと中央、後方に選手がいる。優は後方にいるみたいだ。
『さあ〜間もなくキックオフです。』
ピーーーーーと音が鳴った。
『川添が大きく蹴り、ボールは最終ラインへ。それを大きく蹴りボールは相手ゴールへ飛んでいく。川添が相手と競る!ルーズボールを伊原が競る!溢れ球に如月の左〜〜〜!ゴールが決まった〜〜〜〜〜!!!ファーストタッチ、ファーストシュートがゴールに吸い込まれた〜〜〜!!』
試合開始直ぐにゴールが決まった事に驚いた。
『コーナーへ走ってジャンプして半回転してスタンドの大勢の観客に背中の番号を指差す〜〜〜!俺が如月だと言わんばかりに自己紹介の一発をぶち込んだ〜〜〜!背中の72が光り輝いて見える〜〜〜!』
興奮しっ放しのアナウンサーの声が居間に響く。
「はいや〜〜〜、凄すぎないかえ?」
お爺ちゃんの感心なのか驚嘆なのか分からない声が漏れる。
『去年の活躍そのままに、今年も主役は俺だと言わんばかりの見事な開始早々のゴールでした。解説の岩下さん、如何でしたか?』
幾分か落ち着きを取り戻したアナウンサーが解説役の元プロの解説に訊ねた。
『いや〜〜〜、彼確かに運を持ってますよ。川添選手の競り合いに三笠選手、伊原選手と共に左右、後方に備えていたんですが、溢れ球が右サイドの伊原選手の方に行ったことで、皆の視線が右サイドに集中したんです。そこを彼だけは周りを確認して冷静だったんです。ボールが飛んできたのは偶然でしょうが前もって準備していたからの見事な左足のミドルでした。』
ゴールを喜んでいる優がテレビに映っている。皆が戻ろうとしているので優が、もう一度背中の番号を指差し、カメラに向かって指を向け、ウインクした。またあんな事をしてっ!また人気が出たらどうするのっ!?
「は〜〜〜。ちーちゃん、あの子と付き合っとるんか。シュッとしててカッコいいね〜。」
お婆ちゃんの褒め言葉に嬉しくなった。
ただそこからは予想外の展開が待っていた。端的に言うと一方的な状態になったのだ。韓国に一方的に殴られ続ける格好になっている。優も守りで手一杯の様相になっている。
幾度もシュートブロックや身体が思いっ切りぶつかり合う競り合いをしている。素人の私から見ても守備的過ぎるのではと思うし、深い位置で、味方ゴールに近い位置で守り過ぎなのではと思う。
『どうも最終ラインの位置が深いですね。適宜上げたり下げたりすればいいんですが、どうも腰が重いと言いますか引けてるといいますか…………。』
前半30分を過ぎた頃に転機が訪れた。韓国の右SBからのクロスを頭で決められてしまった。
優が身振り手振りで何かを伝えているのがテレビに映っている。試合が再開されても修正されないまま一方的に叩かれ続ける試合展開で前半が終了した。
ヘアバンドを外し、ボトルの飲み物を口に運びながら前目の選手達と話し込みながら控室に向かっている姿が映されている。険しい、厳しい表情で真剣に話し込んでいる。まだ終わっていない。終了のホイッスルは鳴っていない。このまま終わらないよね?
控室に戻る道中、川添と中村に両肩を掴まれて“我慢しろ〜、我慢しろ〜”と言われた。鬱憤がこれでもかと溜まっているのが見て取れたのだろう。直ぐに言いに来た。俺ってそんなに分かりやすいかな………?
控室に入るとDF陣がキーパーの林さんに色々言われているが、“はいはい”とまともに取り合わず、流しているのに腹が立った。俺の中で“ブチッ”と何かが切れた音がしたと思った瞬間、我慢が出来なかった。
「っざけんな!ダラダラやりやがって!闘志の無い奴は去れ!勝つ気がないなら代われ!この試合は日本代表戦で、五輪予選だ!やる気が無いなら目障りだ!」
近くの川添が“あ〜〜〜あ”と言わんばかりに顔に手を当てているが全く意に介さず、尚も言い募った。
「ラインを禄に上げずにゴール前にへばり付きやがって!」
「俺達はちゃんと上げている!」
CBの栗山さんが反論してきたが、それに更に腹が立った。
「やってね〜わ!やってたら林さんがここまで言うわけないだろうが!セカンドへの反応も遅い!フィフティのボールを競りに行かない!相手とのディスタンスを極端に広く取る。戦う意志の無い奴はピッチから去ってくれ、目障りだ。」
言うだけ言うとユニフォームを洗濯籠にぶち込んで着替えを持ってシャワー室に向かった。これ以上、この空間にいるのはどちらにとっても悪影響でしかないと思ったからだ。
これでU-23も最後になるかもしれないなと思いながら熱いお湯を浴びた。
「「「「「…………………………。」」」」」
控室の空気が重い。言いたいことを言いたいだけ言って去った如月が居なくなった控室に嫌な沈黙が流れている。
正直言えば、如月はよく言ったと俺は思っている。どう考えてもDF陣のライン調整が全くと言っていいほど良くなかった。なんなら最悪だった。ゴール前にへばり付いていただけだった。監督、コーチも何も言えずに黙り込んでいると、扉が開き分析班のコーチがデータを持ってきてくれたみたいだ。
「お前達、これを見ろ。」
監督がそう言って各選手のヒートマップと走行距離などの守備面でのデータが映し出されていた。動画も動きの無いDF陣が主だって映されていた。
「お前達はやってるやってる言っていたが、実際にデータ、映像で見るとやってないんだよ。やった気になっているだけだ。初戦、2戦目と不運な形の失点とまぐれ当たりの失点で負けた事でお前達の腰が引けたんだ。如月はそれを言ったに過ぎない。お前達が変わらないなら次の試合からはU-20の奴ら中心でやる。お前達はもう呼ばん。何度も切り替えろと言った。アンラッキーだったと直ぐに気持ちを切り替えて、入れ直さないと駄目だったのに、お前達はグダグダグチグチと気にして、不安に駆られてゴール前にへばり付いていた。」
監督の淡々とした事実の提示に、選手が怯んでいるのが分かった。DFリーダーの栗山さんがやっていたと反論するも監督はピシャリと言い放った。
「頭で思っていただけだ。身体は反応していない。相手陣地で戦おうと云う作戦なのにお前達があんだけ引いてたら、そりゃあ中盤にスペースが出来る。相手が好きにボールを持てるんだ。 相手の攻撃の時間が長くなる。悪循環に陥ってんだよ。」
監督の指摘に黙り込んでしまった。
「お前達、一番若い如月が彼処まで走り回って攻守に活躍してんだぞ。見てみろ。」
そう言い、如月のデータを映すとピッチ上を縦横無尽に走り回っているのが分かる。ピッチ全体に色が付いている。敵味方ゴール前も両サイドもセンターサークル付近も、何処もかしこもだ。
走行距離も前半だけなのに、もうすぐ10kmに届こうかという数値だ。確かにカウンターの時に全力疾走で上がってきていた。だから敵ゴール前にも跡が残っているんだろう。両サイドの三笠さん、伊原さんのフォローにも度々顔を出していたし、アイツがどれだけ頑張っていたかが如実に分かるデータだ。ボランチの2人がDF陣のフォローで手一杯だった分、あいつに中盤の攻守の負担を一身に背負っていたのが分かるデータだ。
「ここまで彼奴に頑張らせて、言われて悔しくないのか?もし何とも思わないなら代表を辞めろ。」
全員の心に火が灯ったのが分かった。ここまで監督と最年少の如月にボロッカスに言われたんだ。代表に選ばれた選手なだけある。負けず嫌いもピカ一だろう。闘争心の火が着いた。
シャワーから帰ってきた如月に皆が口々に謝罪の言葉を口にした。後半はしっかりやる。だから攻撃は頼むと。
様子が変わったのが分かったのか、如月は力強く頷いた。これでやっと戦えるチームになった。
後半が始まって少し経った。韓国は前半以上に押し込もうと、前掛かりに攻め込んでいる。日本も前半と打って変わって前掛かりに攻撃的になっている。両チームが主導権争いのせめぎ合い、激しい攻防が続いている。
激しく身体をぶつけ合う状況、優も積極的に参加している。
10分を過ぎ、15分が近くなるとボールが落ち着き出した。体力的にも厳しくなったのだろう。このままでは消耗戦になるとの判断で、自陣地からの守備に移行したようだ。ボールが持てる状況になると、優の卓越したテクニックが活きる。
『さあ、宮からの強い縦パスをピタリと納め、クルリと前を向く!』
優が得意とする形だ。一瞬の隙をついてマークを外してパスを貰う。慌ててマークに付き直そうとする相手を逆手に取って躱す。
『遅れたボランチのイ・サンをダブルタッチで華麗に躱す。さあ〜フリーになった如月に反応し、前の3人が一斉に動き出す。川添へ強いパスを送る!おっと、川添が納めたが直ぐに如月へリターン。如月撃つか!この距離は射程圏内だ!っと、パスだ〜〜〜。伊原が反応している〜〜〜。キーパーと1対1!決まった〜〜〜〜〜!!!後半15分、如月のスルーから伊原が、このビックチャンスをモノにした〜〜〜。日本勝ち越し〜〜〜〜〜!』
テレビにゴールを決めた選手を手荒く祝福する優達が映っている。
『いや〜、見事な崩しからのゴールでした。先制ゴールを決めた如月がゴール前でフリーでしたから韓国の選手達もシュートコースのケアに意識が向いた瞬間に右足のアウトサイドで裏一本、勝負ありですね。先制の左足でのシュートが頭にあったのでシュートブロックに行かざるを得ませんから。』
『元CBの私からすると、あの状況になった瞬間に負けです。川添君にパスが入って両CBがマークにつきます。フリーの如月君にリターンが返った時に、あの状況でCBとしてはラインを上げて川添君をオフサイドポジションにしながら如月君のシュートコースを防ぎに行くしかなかった。彼らの後ろに大きなスペースが出来てしまい、そこを如月君、伊原君に巧く使われてしまったという事です。』
さっきの得点シーンの詳しい解説をしてくれている。リプレイを見ながらなので分かりやすい。
『解説のお二人に聞きたいのですが、日本が前半と違って前線の4人の連携が良くなり、コンビネーションが増えましたが、どういった要因なのでしょうか?』
『前半と違ってDFラインがセンターサークルの方に近い位置に設定されているからだと思います。だから中盤のスペースが小さくなり、短いパスを回すことが出来る。それによって攻撃のバリエーションが増える。それによって必然的にチャンスも増えていっているんだと思います。』
『前半と変わってコンパクトに戦えているからだと思います。そしてその状況で活きるのが如月、三笠、伊原、川添のテクニックのある4人です。有機的に近づいたり離れたり、入れ替わったりしながら連動してゴールに迫る。これは脅威ですよ。全員足もあるので裏ケアも怠れないし、そのパスを出すのは名パサー如月です。致命的な一撃を入れてきますからね。』
『ええ、こうなると韓国の方がラインを下げて対応せざるを得なくなります。前半の日本の状況に韓国が後半はなっているという事です。』
解説の人の説明を聞きながら試合を見ている。センターサークル付近でボールを受けた。優が左サイドの三笠選手にダイレクトでロングボールを送る。そこからサイドを駆け上がっていく。
ニアに川添君、中央に逆サイドの伊原選手が入ってくる。皆の視線が三笠選手の方に向いた瞬間、優がファーに流れて行くのが見えた。手を挙げてパスを要求している。
三笠選手のクロスが伸びていき、優の下へ。それをダイレクトでシュートするも相手に当たってゴールラインを割った。
手応えを感じているのだろう。嬉しそうに手を叩いて、“次々”と言っているのが分かった。よっぽど息が合うのか優が楽しそうにプレーしている。
笑みが自然と溢れているのが分かる。気持ちいいくらいパスが繋がり、自然とお互いにしたいことが分かる。今も伊原さんにパスをするとカットインしていく。それで出来たサイドのスペースへ走り込むとパスが出てきた。深く抉っていくとペナ外に伊原さん、中央からニアに川添、ファーから中央に三笠さんが入って来ている。強いグランダーのパスを送ると滑り込んで三笠さんの爪先でボールがゴールに押し込まれた。
これで3対1。まだ後半は半分残っている。まだまだガンガン攻めましょう。喜びながらそう言うと、伊原さんに三笠さんは爆笑し始めた。
「当然だろ!」
「ああ、まだまだ足んね〜よ。」
そう言って俺の肩をパンと叩いた。
「俺まだ点決めてないからな。俺にも寄越せ。」
そう言い、川添も2人と同じ様に肩を叩いて戻っていった。
そこからもガンガン攻めていく。韓国のカウンターの攻撃もDF陣が一つ一つ丁寧にケアをしていく。勿論、俺や攻撃的な他の3人もカウンターの妨害やプレスバックを行う事により、相手が自由に攻撃出来ないようにする。
伊原さんがパスを受けた瞬間に、韓国選手の激しいチャージがあった。ペナ角より数メートル離れた位置からのフリーキック。
この距離と角度だと直接は難しい。さてどうするか…………。
悩んでいると、キャプテンの藤峰さんが近寄ってきた。
「如月どうする?直接は難しいだろう?」
「ええ。左でゴールに向かって蹴るか右でキーパーから逃げる様に蹴るか悩んでます。」
後頭部の髪を弄りながら漏らした。
「俺が何かしようか?第3の選択肢にはなるだろう?」
その意見を聞いて少しアイデアが思い浮かんだ。
「なら……………ってどうです?」
「それで行こう。」
あっさり乗ってきたキャプテンの顔を見ると、苦笑いをしている。
「こっから入れても韓国の屈強なDFのフィジカルで弾き返されるだけだ。だから変化を加えるという意見に賛成しただけだ。合理的な判断の元な。」
そう言って準備を始めた。キャプテンは右利きで助走を、俺は左足での助走をとった。
キャプテンが動き出すと同時に俺も動き出した。キャプテンがサイドにボールを出し、俺がサイドを駆け上がっていく。
そして速いボールをキーパーと中の人達の間に入れた。唯一反応していた川添がダイビングヘッドで押し込んだ。そのままの勢いで自分もゴールに突っ込んでいった。ゴールの中で皆から手荒い祝福を受けている。これで4対1。
後半もラスト10分にアディショナルタイムを入れた時間になった時。アクシデントが起こった。
セカンドボールの競り合いで韓国選手ともつれ合ってキャプテンの藤峰さんが背中から落ちた。
韓国選手のアフター気味のファウルにはイエローが出た。しかし藤峰さんが立ち上がれない。
「き……きさ…らぎ……これっ………。」
右腕に付いたキャプテンマークを左手で握っている。外して欲しいのか?そう思って外すと。俺の右手を左手で掴んだ。
「今日…残りは…お前が巻け。」
「俺が?最年少で生意気な口を利いた俺がですか?」
「そう……だ!」
更に反論しようとすると、力強く手を握られたことで喋れなかった。
「今日の試合でお前以上にキャプテンマークを巻くのに相応しい奴はいないよ。だろ峰?」
「ああ。」
三笠さんの言葉に、藤峰さんが頷いた。
「分かりました。なら今日は俺が巻きます。」
そう言って、持っていたキャプテンマークを巻こうとすると三笠さんが手伝ってくれた。
「似合ってるじゃないの!」
三笠さんの褒め言葉なのかな?に苦笑してしまった。
藤峰さんとの交代選手が入ってきた。
「さてどうするキャプテン、これから?」
「何も変える必要はありません。監督が藤峰さんと似た選手を入れてきたということは、今まで通りに戦って、相手を圧倒しろってメッセージです。このまま勝とう!点を取られず、更に点を取って!さあ、行こう!」
俺の掛け声に皆が一斉に反応した。
“オッケー!”や“シャーーー!”、“さあ、行こう!”と思い思いの掛け声で気持ちを入れ直した。
そこからも完璧な試合運びで、カウンターからもう一点取ってタイムアップ。
最後の俺のオーバーヘッドは若干吹かしてゴール上に外れていった。そこで試合終了のホイッスル。只々今日は疲れたよ。勝ったから良かったけど。
日本が5対1で勝った。前半の出来からは想像できないような後半の展開での快勝劇だった。
『え〜〜、会場の皆様、テレビの前の皆様、監督インタビューです。監督、先ずは予選初勝利おめでとうございます。』
『ありがとうございます。』
アナウンサーの人が今日の勝利を祝った。
『皆が待っていた初勝利。どんなお気持ちでしょう?』
『1戦目、2戦目と不運な形での失点からの敗北。3戦目も先制からの追い付かれての勝ち越し、同点にされての引き分けでしたから。応援してくれていた方々も色々とストレスの溜まる結果だったと思います。それでも選手達を変わらず応援し続けてくれた事には、ほんっとうに感謝しかないです。』
『その結果を受けて、メンバーを代えました。秋のU-20を戦った高校生トリオを初招集、即起用しましたが利用を聞いてもよろしいでしょうか?』
『理由ですか?単純明快、今一番実力もあって勢いのある選手だからです。』
『なるほど。その3人が皆、今日の試合で大活躍でした。見事な慧眼でしたね?』
『そうですね。彼らは期待していた通りの活躍をしてくれました。』
監督が照れくさそうに、でも嬉しそうに笑っている
『前半の守勢と打って変わって後半は攻撃に転じてゴールラッシュ。ハーフタイムではどんな事をしたのかお聞きしてもよろしいでしょうか?』
『前半の不甲斐ない戦い振りに如月が喝を入れたんです。最年少の子に言われたら大人の彼らも、そりゃあ眼の色が傍目にも変わりました。そのせいかと。』
『どのような言葉を?』
アナウンサーの問い掛けに肩を竦めて笑った。
『いや〜この場で言うのを憚られるような言葉で……、これ以上は勘弁してください。』
『分かりました。次の試合も期待していいのでしょうか?』
『ええ。この勝利で変わると信じています。次も期待していてください。』
『分かりました。次の試合も頑張ってください。監督ありがとうございました〜〜。』
『ありがとうございました。』
監督インタビューが終わった。画面の端に次の選手が微かに映った。
『皆様、お待たせしました。今日のマン・オブ・ザ・マッチ。如月選手です!おめでとうございます!』
『ありがとうございます。』
御礼を言って、軽く頭を下げた。
『見事な先制ゴールでした。五輪代表ファーストタッチが初ゴールになりました。その時のお気持ちを聞かせてください。』
『気持ちですか………やっべ、俺凄くねですかね?』
笑いながら優が感想を言うと、笑いが起きた。
『アハハハ、いや冗談ですよ。幸先良く先制が出来た。どんどん攻めていこうと。』
『しかしその後は韓国の怒涛の攻めに防戦一方となりました。』
『はい、苦しい時間帯が長かったと思います。』
『同点で前半を終え、監督のお話ではハーフタイムに如月選手が激を飛ばしたと、どんな事を言われたのです?』
『え、いや、代表戦なんだから勝ちに行こうと。そんな事を言ったと思います。』
『そこからチームは攻めに攻めまくって怒涛のゴールラッシュ!気合を入れた甲斐があったのでは?』
『そう…なんですかね?とりあえずチームが勝ってホッとしました。』
『途中、藤峰選手からキャプテンマークを託されていましたが?』
『お前が巻けと言われたので………今日だけですよ。』
優が答えにちょっと困っている。
『次の試合も活躍を期待してもよろしいでしょうか?』
『次も選ばれたらベストを尽くします。』
『最後にサポーターの皆さんに一言お願いします。』
『今日は応援ありがとうございました。次も選ばれたら頑張りますので応援よろしくお願いします。』
『ありがとうございました、如月選手でした〜〜〜!』
ワァーとスタジアムからの歓声が聞こえてきた。ここまでの大歓声を受けれる舞台に立っている優。
ドンドンと何処までも進んでいく優。羨ましくもあり、妬ましくもあり、寂しくもある。様々な感情がある。でも一番に嬉しく思う気持ちが来て、それが大部分を占めている。
お母さんが心配そうにぽつりと一言。
「ねえ、千夏。ホントに優君の相手が貴女で大丈夫なの?」
うぐっ、今一番気にしている所を………。
「だ、大丈夫だよ。」
「ならいいんだけど………。」
この後数日、ワカサギ釣りや寺社仏閣を幾つか回ったり美味しいお店に行ったりと実家への帰省を終えた。5日のお昼に長野を出て、夕方に如月家に着いた。家を見た瞬間、帰ってきたと思った。そんな私に気付いたのかお母さんが聞いてきた。
「どうしたの千夏?」
「いや帰ってきたんだと思って、私にとってここがいつの間にか帰る場所になっているんだな〜って思ったら可笑しくて。」
「そう。良い一年を過ごせていたのね。」
お父さんは渋い表情になったが、お母さんは微笑ましく私を見ている。
お父さんがチャイムを押すと、智さんが扉を開けて出てきた。
「ささっ、挨拶は家の中で。寒いから中でしましょう。」
そう言って私達を招き入れようとする。
「ありがとうございます。お邪魔します。」
智さんの勢いに押されながら家にあがる。リビングではお鍋の準備がされていた。前もって夕飯を一緒する約束をしていたから当然といえば当然か。
リビングでは将史さんと優が待っていたようで、並んで立っていた。“どうぞ”と両親に席を勧める。
「お帰りなさい千夏先輩。」
「ただいま優君。」
唯の帰宅の挨拶なのに嬉しくて満面の笑顔になっているのが自分でも分かった。
「さて、じゃあ男3人で喫茶店にでも行ってくるよ。智、1時間位で帰ってくるから後はよろしく。」
将史さんがそう言って、お父さんに行きましょうかと促した。よく見れば優君も出掛けれる服装をしていた。恐らく話し合いに行くのだろう。なら私もと思ったが優に肩を掴まれ、優しく微笑まれた。自分に任せてくださいって事なんだろうけど………。
「分かった。後の細々としたのはやっておくから。」
智さんもそう言って送り出した。玄関へとリビングを出ていったのを確認してから智さんが肩を竦めながら一言。
「大丈夫よ、千夏ちゃん。あの2人、意外と頼りになるから。」
「意外とって智、あなたね………。」
呆れ顔のお母さんに智さんは笑って誤魔化している。
「優を信じてますから。」
私の言葉に、母親2人顔を見合わせて楽しそうに笑った。
1時間後に帰ってきたが、何故かお父さんと将史さんの渋い顔をして帰ってきたのがとても印象的だった。お父さんが同居を認めてくれたのは驚いたけど、最後までどこか納得のいっていない不本意そうな顔をしていた。何を話し合ったのかは教えてくれなかったけど、とりあえず今まで通りの同居が決まってホッとした。
その後は、美味しいふぐ鍋をたらふく食べて温まった。
次の更新は、SEED、銀英伝、アオのハコの予定です。
暫くお待ち下さい。