優香先輩の名字は荒木にしました。
湊崎の設定を色々と変えてます。県内は籠原、全国は湊崎がライバルの設定にしたいためですのでご容赦を
これからインターハイが始まるというのに栄明女子バスケ部はプチ旅行の感じの和気あいあいさだ。
まだ開会式どころか開催県にも宿にも着いてないからピリピリする必要もないけど。
優君から貰った冷凍メロンを皆で食べて、お菓子や飲み物で移動時間を楽しんだ。昼前には宿に着くと、1部屋4人で分かれ、荷物を各自の部屋に置いて大部屋に集合した。
「昼食を食べてから13時にここを出て、最寄りの体育館で軽く身体を動かす。19時から夕食をここで食べるという予定だ。それ以外は自由に過ごしていいが、明日開会式からの昼過ぎに試合があるのを忘れるなよ。………船見。」
「私ですかっ!!?」
渚が驚いた声を出す。
「この中で悪ふざけして怪我しそうなのはお前だろう?」
確かに。
「怪我するような悪ふざけなんてしませんて。」
「………ならいい。他に質問はあるか?……ないなら昼食まで解散。」
各々自室に戻る。私も渚と優香、あかりと部屋に戻る道中、渚が話しかけてきた。
「いよいよか〜。あんまり実感ないけど。」
「だよね。チームの雰囲気も緊張感ないというか自然な感じで驚いた。」
「一回戦は静高か。全国常連だけどそこまで前評判たかくないからホッとしてる。問題は二回戦。」
「湊崎高校。」
「うん。高校日本代表が3人もいる。」
「確か去年からが2人だよね?」
「うん。エースの大平さんとガードの戸柱さん。」
「エースと司令塔か〜〜〜。シューティングガードの成田さんも高精度のスリーで得点を稼ぐし。」
日本代表に選ばれている3人を相手にどうやって戦うのか。冷静に考えても、この3人を抑えないと得点を積み重ねられる。
私とキャプテン、吉谷先輩が相対する事になる。私の相手は大平さんになるだろう。
「先ずは明日の一回戦。そこで勝たないと明後日の湊崎もないよ。気合いいれていこう!」
私が発破をかけると2人も乗ってくれた。
夫と息子を送り出し、リビングで録画したのを見る。知り合いに頼んで手に入れた湊崎の練習試合の映像。
やっぱり今年のチームの仕上がりは他校の数段上を行っている。高校日本代表3人の能力の高さは勿論、他の2人もレベルが高い。
私達の時も全国常連で上位にも入る事があった強豪だけど10年前にヘッドコーチ(監督)に就任した五十嵐さんの手腕で最近は頭一つ抜け出したチーム作りをするようになった。
五十嵐さんとは私も多少縁がある。彼は元々日本代表のコーチを務めていた。ヘッドコーチを務めていた人が退任することになったから、そのままスライドして就任すると思っていたけど、まさかまさかの協会と諸々の問題があって流れ、日本代表から離れて湊崎高校の監督を務めることになった。
正直、日本代表の監督には五十嵐さんがなるべきだと私個人は思ったし、チームのみんなも同じだったと思う。作戦面や試合運びの話は彼としていたから。監督はモチベーターとして能力はあったものの、戦術家としての能力は皆無だった。
ぶっちゃけモチベーターとしての能力もどうかと思ったけど。前時代的なゴリ押しの脳筋タイプと高圧的な言動のマネジメントだった。
五輪予選を勝ち抜き本戦に出場が決定した時も、オリンピックでメダルを獲った時も選手だけで喜んだし、コーチと喜びあったけど監督とは当たらず触らずだった。
協会のお偉いさんの変な力学的エネルギーの人選を見せつけられた格好に後ろ暗い闇を感じたくらいだ。
高校で日本代表に選ばれ、若くして代表キャプテンを務めたけど正直に言えば不遇な時期を過ごした感もある。そこに映像解析から言語化能力も高く、それを指導に落とし込める能力を持った五十嵐さんが入って、チームとしても選手としても上積みを感じる事が出来た。
試合が終了した。相手も社会人でかなり強いのにしっかりと勝ちきった。こういった格上が相手でも創意工夫で勝負して勝たせる手腕は流石だ。多分、栄明の戦い方も丸裸にされているだろう。それを考えると千夏ちゃんには厳しい試練になることが予想できる。
どうかここで折れることなく強く太く硬く柱として成長してほしいと思う。
昼過ぎに一回戦が行われた。静岡高校(通称静高)に78-71で勝利し、二回戦へと駒を進めた。
明日の二回戦であたる湊崎高校の試合を観てから宿へと戻ったが89-53と圧勝していた。
前半はフルメンバーで戦い、後半は控えでとターンオーバーをして盤石の試合運びだった。
夕食前、試合映像を観ながら分析し、ミーティングをした。
「明日の二回戦だが相手は昨年度優勝の湊崎高校だ。正直、厳しい試合になると思う。が勝てない相手ではない。それぞれ集中して臨むように!」
「はいっ!」
力強く返事をして解散となった。
「渚、千夏。明日は頼むよ。一回戦、2人が得点を重ねてくれたおかげで勝てたし。」
「それはっ、先輩たちのアシストのおかげでっ!」
「じゃあ次はアシストなしでもよろしく」
「期待してるよ。」
ポンッと背中や肩を叩いて立ち去った。
「さらっと鬼畜なこと言った?」
“湊崎相手に個人でなんて簡単じゃないって〜〜”と明日のマッチアップの相手を考えて辟易している。
「………そういえば千夏は聞いた?」
「?」
何を聞いたって聞いているんだろう?
「吉谷先輩と小池先輩、インターハイ終わったら引退するって。」
「えっ!?」
「受験に専念するからって。だから私達で少しでも長くバスケ部にいてもらえるようにしないと。」
そっか………
「先輩たちから直接聞いたわけじゃないけど、そういう噂があるから。………どうしたの千夏?」
「いや………優君にもおんなじような事を言われたから。」
「ふ〜〜〜ん、そっか。」
「うん。サッカー部は紅林先輩以外は全員引退したから。」
「そういえばそうだったね。」
渚にパンッとお尻を叩かれた。
「勝つよ千夏っ!」
渚………そうだよね。勝たないと先輩たちとの夏も優君との約束の優勝も出来ない。
「うん。やろう!」
お風呂の時間だから行くよと促す渚に、今日の疲れをしっかり取って明日万全の状態で臨まないと。
部屋に戻ってストレッチやマッサージを互いにしながら身体のケアをしながらテレビを観ている。高校野球やインハイが始まり、簡単な結果が放送されている。
ニュース番組のスポーツコーナーが終わり、最後に天気予報かと思っていると番組後の宣伝が始まった。
『スーパー高校生特集!世界一の価値が付いた男。ヨーロッパで最も注目を集める高校生。如月優の独占インタビュー!!』
そんな煽り文句が踊る。先日行われたチャリティマッチの映像や日本代表での試合映像がいい感じに編集されて、イイ男が更にカッコよく流れている。
去年のヨーロッパでの活躍やFKの得点やアシスト、ドリブル突破の映像、全力でプレスに行く所と色々な活躍を優君も見ているのか照れてる表情や懐かしそうな顔をしている。
インハイの予選準決勝で負傷退場し、残念ながら今回の全国に出れなかったことにも触れた。
『雨のピッチで滑りやすいことも分かっていたのに、あれを予見出来なかったことが自分の課題です。あのピッチコンディションならパスでボールを走らせた方がよかったはずですし。』
両利きになったことも。
『野球みたいに片方の手で投げる。片方の打席だけで済ます事が出来るなら問題ないでしょうが、サッカーは基本的に両足を大なり小なり使ってプレーしないといけないですし、ボールを蹴る場所や身体の向き一つで使いやすい足が変わるので両足を使えるようにしないと思うので、それで両方の足が使えるように練習したんです。』
淡々と質問に答えながら、でもイギリスでの事を偶に思い出すのかフワリと柔らかく微笑んだ顔が印象的で、ちょっと可愛いな。
『モデルとしても活動されていますが?』
アナウンサーの質問にちょっと困惑気味になった。
『モデルとしては活動していないです。』
そうなのかと隣を見ると、千夏も食い入る様に見ている。
『ですがスターダストの専属モデルとして………?』
『それはスターダストの社長がウチの母と同級生で幼い頃からお世話になったんです。私服やスポーツウェアのサンプルや新商品をよくくれたんです。それで恩義を返そうとやり始めたんです。』
『今ではハリー・ウェルズリー、ジェーン・ウェルズリーの3人でしていますが?』
『あの2人も一緒ですよ。自分が10歳位の時に色々と貰ったんです。それを今も恩に感じて、新商品と引き換えにしているんです。』
モデルをしている写真が映った。芝に寝転んでブックカバーの付いた本を胸元に置き、居眠りしているような写真だ。チラリと見えるお腹が鍛えられているからどこかエロイ。
シャツにパンツとラフな格好なのに様になっている。背がそこそこ高くて細身だけど筋肉質でスラリとしている。
ジェーンが始めたきっかけも、たまたま家に遊びに来ていて優君が貰った服を順番に着ていたら、自分も欲しくなって優君が着ていた服を剥ぎ取るように奪ったのがきっかけらしい。
説明された状況のパンツ一丁にひん剥かれた優君と優君から奪った服を着てムフーーーとご満悦なとジェーンの対比が想像するだけで酷すぎる。
そこからジェーンにも、ついでにハリーにもあげると大きくなり、サッカー選手としてそこそこ有名になると自分からやらしてくれないかと言ったそうだ。
今年の目標を聞かれると先ずはU-20W杯の優勝をあげた。若手世界一を決める大会だ。そこでしっかりと活躍し、チームの勝利に貢献したいと。
そし栄明として選手権に出場、そして全国制覇。インハイは予選で悔しい思いをしたのでその分を頑張りたいと言っている。
そしてもう始まっている五輪予選。チームは苦しい時期にあるけどそこに入り、力になりたいと思っていると言っている。
最後にそのインハイで頑張っている同年代の選手にエールをと言われた。
『それぞれの学年に、それぞれの強い思いがあります。多くが最後の大会になる3年生。初めての舞台に挑む1年生。去年の悔しさや経験を胸に刻んできた2年生。』
『学年は違っても、「チームとして、個人として、一つでも多く勝ち進みたい」「上の順位へ行きたい」という願いは一つのはずです。これまで積み重ねてきた努力を信じ、後悔のないよう、力の限り戦い抜いてください。応援しています。』
相変わらず良い事言うなと思う。根っからのキャプテン体質というか、リーダー気質なんだろう。
『ありがとうございました。』
アナウンサーがお礼を言って締めに入る。
そして優君のアップが映され、手を振りながら柔らかく微笑む。ああ、これでファンがまた増えるな。
番組が終わり、CMが流れた。
「さて、終わったし寝よっか。」
優香の言葉に千夏も私も頷き、自分の布団に移動する。電気を消し、横になった。
第一Qが終わり、23対17と押されている。ベンチに座って乱れた呼吸を整えながら監督の指示を受ける。ベンチの選手がタオルで仰いでくれ、蒸し暑い体育館で少しだけ涼しい風がくる。
横目でチラリと見ると湊崎は全員が立っていて、監督の指示が終わったのか選手でボードを使って話し合っている。
「千夏、ガンガン攻めて。フォローやヘルプはするから。」
「はいっ!」
キャプテンの指示に返事をして立ち上がった。第二Qが始まる。
相手ボールから始まる。ガードの戸柱さんがボールを運ぶ。
私は相手エースの大平さんをマークする。彼女へのパスコースを消す。
「貴女、名前は?」
「鹿野です。」
話しかけてきた。名前を聞かれたので答えると“鹿野さんか…”と呟いた。
「いい選手だね。」
「ありがとうございます。」
「でも私より下ね。」
キッと睨むとフッと笑う。その瞬間、“スクリーン!”と声が飛んできた。ハッとした瞬間、スクリーンでマークを外された。ゴール下に走り込んだ大平さんに戸柱さんから鋭いパスが入る。“渚っ!”とゴール前で守る渚にお願いと声が飛ぶ。コースをブロックする渚を躱しにかかると思ったら、大外に張った成田さんにパスが出て、スリーをノーマークで打たれた。綺麗な回転で飛ぶボールを見上げるしか出来ない。
そのボールは入ると確信を持たせた。リングに触れることなくパサッという音を立てた。
そしてすぐに各々のマークにつく。オールコートでプレスをかけてくる。ここでリードを大きく広げにきた。キャプテンと私、吉谷先輩の3人で何とかボールを運ぶ。
ゴール前まで何とか運び、組み立てようにも早くて強烈なマークに四苦八苦する。しまっ!パスカットされ、大平さんの独走を許す。レイアップで決められて点差がついていく。
これ以上離されると厳しくなる。でもどうすれば………。
夕方からサッカー部の芝のメンテナンスで3時頃に練習を終えた。自主練習もピッチが使えず、困った。
筋トレをウェイトルームで1時間行い、体育館に入るとどの部活も上がっていた。
少し赤くなった太陽が体育館の窓から入る。少し寂し気に見えるな。ワイヤレスイヤホンを耳につけ、タブレットと同期させる。栄明の女バスの試合の解説が流れてくる。
母さんが解説をしている。実況のアナウンサーが分かりやすくプレーを説明してくれるのでどちらがどういったプレーをして得点をとったのか分かる。
さっきまで見ながら筋トレしていたが、途中から見るのが苦しくなった。第二Qが終わって52対36と差をつけられ、第三Qは3年生が引っ込み、2年生と1年生が代わりに出てきた。
第三Qを72対52と少し差を詰めたが、それでも大差がついたままだった。
今も第四Qの半分が終わり、86対68とリードを許している。
千夏先輩は相手のスッポンかタコのような絡みつくようなマークを中々振りほどけずに抑えられている。
部室に戻り、ベンチに座りながら後2分の試合を見守る。
優香先輩が外から打つも外れ、渚先輩がリバウンドで飛ぶ。相手も渚先輩を押さえながら飛ぶもポジション取りがよかった渚先輩がボールを取る。その一瞬の隙を突いて、相手がボールを弾く。ボールが外に出て栄明ボールになる。
こういった所がまだ甘いと感じてしまう。サッカーならセカンドボールを取るかクリアされるかの違いだろう。組み立て直すのは変わらないが、相手に陣形を整える時間を与えてしまう。
仕切り直しとなると、やっぱり実力が上のチームが有利だ。
その後、何回かの攻防があり試合が終わった。最終的に95対75で湊崎相手が勝利した。
何も出来なかったとまでは言わないが、相手は確実に得点を重ね、栄明との得点成功率の差でこの得点差になったと母さんが言っている。
泣いている千夏先輩が、悔しそうな渚先輩が、顔を顰めている優香先輩が映っている。
勝つに越したことはないが、全国トップのチームにコテンパンにやられる経験を出来たのは良かったと思う。
中途半端な相手に負けて終えると、全国トップとの差が分からず終える事になる。全国制覇を目標にするならトップとの差を理解しなければならない。この敗戦は経験値としては大きい。
でも悔しいよな。今は泣けばいい。その涙が強くなる為の原動力になるならば。
宿にも帰ると宿の人達が出迎えてくれた。お疲れ様でしたと声をかけられ、ありがとうございますと声を返す。負けたからどこか低く、暗い。
夕方の試合で6時前に帰ってこれた。監督が風呂に入って気持ちを切り替えるようにという。みんなで大浴場や露天風呂に行く。軽く汗の処理をしたけど、身体を洗ってから大浴場に身を沈める。
少し熱めのお湯が気持ちいい。渚と優香の3人横並びになる。
「負けたね。」
「うん。」
「強かった。」
「うん。」
「全てにおいて上回られた。」
「うん。」
「後半2年生に総代えされて悔しかった。」
「うん。」
渚と優香の言葉に返すしか出来ない。
個人としてもチームとしても完璧に抑えられ、抑えきれなかった。エースの大平さんとシューティングガードの成田さんの2人に前半だけで40点も取られた。
また悔しさが込み上げ、涙が溢れてきた。顔を両手で覆って隠し、泣き顔を見られたくなくて俯いた。
「ウィンターカップは勝とう。」
「うん。この悔しさを晴らすには次勝つしかないよ。」
驚いて2人を見ると、覚悟を決めた顔をしていた。
「もっともっと守備をタイトにやらないとだし、ゴール下でリバウンドに得点と色々と積み重ねないと!」
「私も外からの確立を上げて、ドライブや他にも得点パターンを増やさないとこのままじゃまた負ける。」
「頑張ろう千夏。まだ私達は終わってない。」
2人の頼もしく頼りになる言葉を受けて、私も次は負けたくないと思った。
部屋に戻って1人お茶を飲みながら、さっきまでやっていた試合を振り返り反省会をする。
選手個人の実力差もあっただろうが、監督としての差もなかったか?指導者として練習の量、質で差がついていなかったか?と埒もない事を考えている。
今年、来年と良いチームになると思う。特に来年は鹿野を中心に船見、荒木と内と外に頼りになる選手がいる。
欲を言えばもう一人、アイツがいてくれたら森川の代に劣らないチームになっただろう。でもアイツはいない。
そして監督として作戦面でもしっかりと差をつけられた。キャプテン、鹿野、荒木と外がある選手がタイトにマークされ、ゴール下の船見で勝負するしかなかった。といっても船見も競り合いで互角だったから得点が上手く積み上がらず、差がついた。
俺の指導者としての限界がみえた。でも指導者として頂点を目標としているチームを頂点に立たせてやりたい。
その為には何をしないといけないか………心が定まった。
夕食の時間になり、監督、コーチ、選手が全員揃った。
「今日は残念な結果に終わった。引退する選手はお疲れ様と言わせてもらう。本当によくやった。ありがとう。そして帰ってから新チームとして始動する。色々と環境を整えないといけないので、選手個人と色々話したりする事になるだろう。」
今日の結果と引退する選手への一言、そして新チームへの移行を口にされた。
「これからの予定だが宿をとっている都合、明日も泊まることになる。なので明日は7時の朝食後から19時の夕食まで自由行動とする。観光でも何でも好きにしろ。そして明後日の9時にここを立つ。他に確認したいことや質問はあるか?」
監督が周りを見回す。キャプテンも後ろを見て“ないです”と伝える。
「なら夕食にしよう。キャプテン。」
「はい。いただきます!」
「「「「「「「「「「「いただきます!!」」」」」」」」」」」
合掌し、声を出してから食べ始めた。
食べながら話す内容は、“明日どうする〜”や“どうしよっか〜”などだけど、今日負けたばかりだから気の抜けた感じの話になっている。
「千夏、とりあえず明日街に出ようか。」
「うん。」
私も気の抜けた返事をした。
部屋に戻るとスマホにメールがきていた。
智さんは簡潔に“残念だったね。帰ってきたら英気を養うご飯作って待ってる“”と。
将史さんは“冬も、来年もある。また一から頑張ろう”と。
優君からは“帰ってきたら散歩に行きましょう”と慰めの言葉も励ましの言葉も奮起を促す言葉もなかった。
ただ一緒に歩きに行こうと。そんな優君のメールに笑ってしまった。何が面白いのか、何がおかしいのかも分からないけど、ただ笑ってしまった。
渚達と街に出た。九州屈指の都会だけある。どこも賑やかで活気がある。地元の人や観光客、外国の人も多い。
優君に頼まれた智さんへの明太せんべいと将史さんへのお土産、その資金を渡してくれた優君へのお土産も買わないと。
智さんへのお土産はすぐに見つかった。問題は何枚入りがいいのかだ。12、24、36、48と12の倍数で売られている。無難に一番多いのかな?でも優君に貰ったお金の半分近くを使うことになる………ええい、24枚入りの箱を手に取った。これで2000円か。後は将史さんのお酒のあては何がいいかな?色々な明太子のセット、高菜明太、意外と人気なスイートポテト、鶏皮のグルグル巻き。何がいいか店内をぐるぐると回っていると、“冷たいまま食べる手羽から揚げ”が目に入った。これいいな。店員に聞くと発送もしているそうで、注文した。
明後日には届くそうだ。
渚達も思い思い楽しんでいる。ていうか渚は買い過ぎ。両手荷物で塞がってる。これからお昼食べに行くのに。
優香が宿の人に聞いたお勧めのラーメン屋に向かう。朝が早かったから11時過ぎに店に向かい、半前に着いた。
お陰で並ぶことなく店に入れた。テーブルに着くとオススメされたラーメンとみんなでシェアしようと話し、炒飯、餃子、炙りレアチャーシューを注文した。
食べる前にラーメンの写真を撮って如月家のグループラインに投稿する。さてと、お箸を割って、いざ実食!
濃厚なスープが細麺に絡まって美味しい。ネギとキクラゲ、チャーシューに紅生姜がシンプルで美味しい。
餃子は黒豚を使っているようで脂が甘くて美味しい。炒飯も黒豚叉焼がゴロゴロしていて食べ応えがある。
炙りレアチャーシューも柔らかくて煮込んでホロホロの中と炙って少し香ばしくなった外との対比が良し。
つまりは全部が美味しい。
食べ終わると、もうお腹一杯。全てがどうでもよくなる感じになるけどどうしても昨日の試合が頭をよぎる。
「昨日の試合………何があそこまで差になったのかな?」
渚がポツリと呟いた言葉が思いの外、私達には響いた。
「全てが全て、上回られた。チームとしてリバウンド、シュート精度、チャンスの数、パスカット。そして個人の能力も。」
「ここって所でのオールコートやセットオフェンスも効いたよね。こっちは早く差を詰めたいのに、あしらう様に時間を使って攻めてきたりと。」
優香と渚の言葉には頷くしかない。湊崎は強くて強かで早くて上手かった。チームも個人も数段上をいっていた。
「帰ったら練習だね。課題が沢山浮き彫りになった。一つ一つ丁寧に無くして、あの頂上を目指そう。」
2人も大変な道程に苦笑しながらも頷いてくれた。
優香先輩の名字 荒木にしました。
これ、適当に付けてるので。
次の更新予定はSEEDの予定です。
それからアオのハコ、銀英伝を予定してます。