「え? 呼んだかって? いや呼んでないですけども。そもそちらから声かけてくださるのは珍しい……。は、はァ!? 鏡ないなってたァ!? ……あ。」
その場にいた全員の視線が、私に集まる。す、すいません急に叫んじゃって……。
「マルコちゃん鏡いるの? 手鏡貸してあげよっか?」
「……『私達』案件かい?」
「あぁ、いや。ミカ様大丈夫です。あとセイア様、多分大丈夫かと。ナギサ様もごめんなさい。」
「いえ、ただ何かあれば共有を。ですが、正直、脳が……。」
ま、マジすいません……。
ってぽよ様! マジなんですか! 鏡がどっかいっちゃったって! あれプププでもガチでヤバい存在でしょう!? ぽ、ぽよ様は悪へのカウンターみたいな側面があるから気が付かなくても仕方ないかもしれませんけど! 半ばポップスターの守護者みたいな大王様と仮面騎士様は何してたんですか!? もしかしてもうやられたか洗脳済み!?
『ぽよ、ぽーよ!』
『カービィ、誰かいるのか?』
『はぁ~い! ともだち!』
……え、その喋り方は……。ほわぁ!? メタ様そこにいるの!?!?
わ、わ! 確かになんかぽよ様の横からでっかい神秘感じる! 騎士道感じちゃってる! ほわ! ほわわわ!!! ほわぁぁ!!!!
『君の体から少女の叫び声がするのは、なんとも言い難いな……。』
『ぽよ! ぽーよ!』
『む、すまない。姿は見えぬが君の友ならば伝えてもよいだろう。何か知っているのであれば、教えてほしい。』
そこから始まる、ぽよ様を通じての卿の説明。
どうやらポップスターに存在する秘宝の一つ、“ディメンションミラー”と呼ばれるものがまた盗まれてしまったようだ。ご厚意でプププの国をパトロールをしていらっしゃる卿がそれを発見し、一応ということでまんまる様に情報共有をなさったようである。
ま、まぁあの鏡。厄ネタ以外の何物でもないからね……。
ディメンションミラー、『鏡の大迷宮』と呼ばれる作品に出て来た一種の“願望器”。その鏡に映し出された願いを実現させるという夢のような鏡だ。つまり私がその前に立つと、キヴォトスから脅威が消え去り無限にご飯が生成される土地となり、毎日惰眠を貪りお友達と遊べるような場所になるって寸法だ。
けどね? そんな凄いもの、あっちの世界の悪者たちが利用しないわけがなくて……。
(Fateとかである、汚染された聖杯が近いのかなぁ? まぁアレよりも酷いことが起きそうなんだけど。)
詳細は省くが、現在あの“鏡”は作り替えられてしまっている。
仮面卿がぽよ様に情報共有をしているあたり、元凶である敵は排除された後。つまり鏡の在り方は『悪意のみを反映する』ようになったままということだ。しかも作中の描写を鑑みるに、おそらく『悪意を強く増幅した状態で』世界へと反映するようになっていると思われる。
(つまり私が今の鏡の前に立てば……、ダークマルコちゃんみたいなのが生み出されて、文字通りキヴォトス全部をもぐもぐすることになるんだろうなぁ。神秘の差を考えればもしかしたら星までもぐもぐしちゃうかもしれない。というかアレって一度生まれちゃったら“一つの生命体”として成立するっぽいし。倒しても消えないんだよね?)
そんなヤバい代物が盗み出されてしまったのだ。
下手人として真っ先に考えられそうなのは……。やばい、思いつき過ぎて絞れねぇぞ? 一頭身ピエロ悪魔みたいな本当に何考えてるのか解んない奴もいるし、ちょっと全部ハルカンドラが悪い気しかしない終身名誉裏切りフードもいますし、それ以外にも沢山沢山……。まぁぽよ様ならぶん殴って解決できそうではありますが。
とにかく、トリニティもポップスターも、大変な状況ってわけだね。
すいませんメタ様! 私なんも知らないです! というか多分その鏡が一瞬でもキヴォトスにあったらみんな瞬時に蒸発すると思うんで! 多分まだそっちにあると思います!
ぽよ様ー! こっちのことはこっちで何とかしますんで! 気にしないでくださいな! あと最初に大王陛下殴りに行くのはやめてあげてくださいね! 応援してますよー!!!
『ぽよ! はぁ~い!』
……さて、こっちもこっちで頑張らないと。
意識をあちらから、この世界に戻し軽く周囲を見渡す。ティーパーティーの現ホストによって用意された会議室の中にはいつの間にかトリニティの中心人物たちが集められていた。
現在ティーパーティーの席に座る三年生のお姉様たちはもちろん、その背後から指図する立場である三大派閥の長であるナギサ様たち。後は私みたいな単体で影響力の強い人間や、トリニティの戦力である正実の面々も。確か今日パトロールの担当だったハスミことハーちゃんの姿は外に出ているせいか見えないが、さっきから私にとても強い視線を送っているツルギことツーちゃんは参加しているようだ。
あ、もしかしてコレ? 確かにお部屋についてからずっとモグモグしているけど……。
現ホストであるフィリウス分派のお姉様にちゃんと許可を頂いてるからね? 食堂から全力で輸送してもらってるから少しうるさいかもしれないけど、“婆や”たちを呼んだから無駄に高い技術で無音配膳してくれるはずだ。
だから皆さんの真剣な表情を崩さないよう頑張りますので、ご容赦のほどを……。
(いや私は我慢しろって言って……。いやお前がそうしてるってことは我慢すら出来ない状況なのか。朝から様子が変だと思っていたが、後でハスミ含めてちゃんと私らに説明しろ。)
(さっすがツーちゃん解ってるぅ! ちゃんと話すからね! ……後なんで私らテレパシーできてんの?)
(眼だけで会話できるよう符丁決めただろうが。ほら、食っててもいいから集中しろ。)
……だね。
口は一切緩めないが、どうやらここにいる皆さんも私の状況を“そのようなもの”として一旦横に置いてくださるようだった。まぁ、私のことなんて気にしているような状況ではないのは確かだ。
なにせ、ゲヘナから宣戦布告を受けたのだから。
「……皆様お集まりになったようですので、始めさせて頂きます。」
現ホストである彼女が、口を開く。
「既に共有済みかと思われますが、ゲヘナから宣戦布告を受けました。既に正義実現委員会の皆様の働きによって、国境線への対応と市民の避難誘導が始まっています。まずは委員長、適切な判断に感謝いたします。」
「はっ!」
ホストお姉様の言葉に、短く返すウチの委員長。
最近私やツーちゃんどころか、ハーちゃんにも負け始めて『先輩の威厳ないなった!』とよく号泣されている方ではあるのだが、経験に基づいた判断と指揮能力に関しては欠片も勝てないと思えるような人。上からの指示を聞かずに動いたのは指揮系統を考えれば誤った行動ではあるが、ホストから礼を送られることで“事後承諾”という形にしたのだろう。
「歴史を紐解けば、我らとゲヘナの関係はよろしくありません。先ほど『司書』殿に問い合わせたところ、幾つかの争いは未だ停戦されておらず、また同時にどちらかの奇襲によって始まったものが多かったのことです。……つまり、わざわざ“宣戦布告”という手段を取ったと言うことは、『敵はこちらに勝ち切る』想定で動いているものと考えています。」
「ホスト、情報部は何か?」
「なにも。既に捕縛されたか、処理されたと考えるべきでしょう。これまでのような小競り合いなどと考えている場合ではありません。」
確かパテル分派の人が、ホストお姉様に質問を投げかけるが、返ってきたのはそんなお言葉。
トリニティってお嬢様学校って言うこともあるんだけど、イギリス系が元ネタなせいか諜報に関しては結構な予算と労力を割いている。各派閥子飼いの諜報員はもとより、ティーパーティー直属の情報部となれば学外ですら大活躍する猛者ばかりだったはずだ。
実際、卒業した子を『学園』で囲い込んでいる手前、その実力は強く理解している。確かにウチの人たちみたいに『トリニティで三年間学びきった』ような人には劣るだろうけど、直属となれば練度の方も問題はない筈。
けれどそんな人たちからの連絡が途絶えたということは……。ゲヘナさんもかなり本気みたいだね。
(そう言えば、ゲヘナの情報部ってかなり優秀だったな。今の時期ならゲヘナシロモップことヒナちゃんもいるだろうし。無事だったらいいのだけれど……。とりあえず今は制圧されたとして考えるしかなさそうだ。)
そんなことを考えていると、ホストお姉様がこちらに視線を向ける。
「我らはこの地を守り悪魔を排除するために、一丸とならねばなりません。ナギサ様、ミカ様、セイア様、マルコ様。これよりトリニティは戦時体制に移行し、現ホストである自身に一旦全指揮を集めるべきかと愚考致します。よろしいでしょうか。」
「えぇ、よしなに。」
「いいよー! お願い!」
「異論などないとも。」
「んんっ! ……お任せします。我が社としても支援は惜しみません。」
急に話を振られてびっくりしたけど、そう言えば今の私ってトリニティを二分している片割れのトップだったわ。咄嗟に家業の方で答えたけど、セイア様これで大丈夫でした? あ、OK。なら良かった。
いやぁ、たまに自分の立場忘れそうになるよねぇ……。
けどまぁ今回のお相手はあの“雷帝”様だ。原作においては情報が少なくてなんとも言えないけれど、彼女が残した『遺産』を思い浮かべれば、最大限の警戒をしておいて損はない。ほんの少しだけ語られたあの“列車砲”、それと同様のレベルの危険物を大盤振る舞いしてくるだろうし、ね。
「感謝いたします。……つきましてはナギサ様子飼いの戦力、マルコ様が運営為されている『学園』もこちらの戦力として指揮権を委譲して頂きたく。お二人が持つ“航空機”は、特に。……よろしいですね?」
「あら。把握為されていましたか。そこの丸顔サマのご趣味にお付き合いするために隠していたのですが……、よいでしょう、“トリニティのため”なのです。存分に使い潰してください。その方が『彼女たち』も経験をつめるでしょう。」
……え、ナギサ様も戦闘機用意してたの!? あ、えっと。次私の番か! えっと、えっと! 解んないからセクシーフォックスにパス!!!
「セイア様。」
「マルコの代わりに私から返答しよう。おそらくゲヘナにこちらの動きが読まれていたようでね……。『学園』は昨日大規模な作戦行動を終えたばかりだ。マルコもこの通り補給中、陸上戦力のトリニティへの集結は時間がかかる。無論指揮権の委譲には同意するが……、マルコ。アレはどうする?」
ちょっとどう返答したらいいか解らなかったのでセイア様にお任せすると、するするとお言葉が流れ出てくる。
そもそも私達『秘密のお茶会』の目的はトリニティを危機から救うためにあるのだが……。同時にキヴォトスのことも守らなくちゃいけない。つまりこの世界生まれの厄ネタである『デカグラマトン』を放置して新たな危機を呼び込むのは絶対に避けなければいけないのだ。
昨日作戦に参加していた子たちは現在ビナーの搬送作業に追われている。モノがモノだ、ゲマトリアあたりが欲しがってもおかしくないし、カイザーとかの悪い大人に手に入れられても困る。そのため、あの場に派遣していた子たちで回収し、学園の地下奥深くに封印処置をする予定だった。この場にサクラコ様がいないことからご理解いただけるだろうが、その指揮を彼女が執っている。
(私が外装をもぐもぐ出来ていればもっと作業が簡単になっただろうに……。ごめんなさいね、本当。)
あぁ、それと。アレって“戦艦”のことだよね?
ちょっと過剰過ぎるし、まだリオちゃが調整中って言ってたから多分駄目。私が預言者の一人を倒しちゃったことでデカグラマトン側から動きがあるかもしれないし、残しておく方が適切だと思う。ウチの技術部が頑張り過ぎたのか、『ワドルディ』って名前のせいでどこかから技術が流れ込んだのか本当に『星外決戦用』になりかけてるでしょ、アレ。まだ試作段階なのに。
あぁでも、“戦闘機”は良いと思うよ。航空部の隊長ちゃん空戦出来なくて消化不良っぽかったし。すぐに飛び出してくれるはず。
「よし、それでいこう。……失礼、ナギサの所に比べれば数は劣るだろうが、とっておきを4機ほど出せる。少なくともウチだけで航空優勢は確保できるはずだ。そこにナギサの手勢が合わされば頭上のみならず、地上の心配もなくなるだろう。『見た』限り、戦闘機レベルの航空戦力を保有しているのはトリニティだけみたいだしね。」
「感謝します、ナギサ様、セイア様。」
私達に向かって、柔らかな笑みを浮かべるホストのお姉様。
フィリウス分派の方だし、どちらかというとナギサ様寄りな彼女。悪く言えばナギサ様の操り人形みたいな人だと思っていたんだけど……。既に覚悟を決めた目をしていらっしゃる。雷帝がどんなもんかは知らないが、この人ならばトリニティを任せても良いと思える目。……トップがしっかりしてくれると、私達は全力で戦うだけでいいから、安心できちゃうよね。
そんなことを考えながら、ふとナギサ様の方を見ると、あちらも私のことを見ていたようで、つい目が合ってしまう。
(凄い目、吸い込まれちゃいそう。)
ミカ様が関わらなければ、ずっと維持し続けているソレ。制御不能と言えど未来視を持ちサクラコ様のフォローが入っているセイア様ですら、『勘を最大限使いながら死力を尽くして』動かなければ飲み込まれてしまうほどの、“政治力”。
追い込まれていた状況ですら“大事な物を切り捨てる”ことが出来るお人だ。覚醒し成長し覚悟してしまえば本当に誰も止められない人になってきている。
「なにか?」
「んーん。なにも。ただ、“ちゃんと同じ方向”を向けるのは初めてかな、って。」
「……あぁ、確かに。そう言えばそうでしたね。」
でしょう? 中1の時からずっといがみ合ってきたようなものだし。仲良くはしたかったんだけど、色々とね……。まぁ思い出せば各方面への申し訳なさで爆散して塵になりそうなのでたまにしかしませんが。
「普段は全て投げ出したくなるほどに厄介な敵ですが……。味方であれば頼もしい、でしょうか。私は後方から、貴女は前線で。ゆめゆめ、皆さまの足を引っ張らないように、お願いしますね。」
「もっちろん!」
あはー! 初めて応援の言葉貰っちゃった! うっれし!!!
おそらく顔に出せばナギサ様が私に抱えるイメージ的に、途轍もなく気持ち悪がられる気がしたため、精一杯感情が顔に出るのを防いでいると……。全権を委任されたホストのお姉様が、諸々の必要な指示を出し終えたのだろう。トリニティの首脳陣が集まるこの場で、最後の“指示”を出すために声をあげられる。
その目の先は、正義実現委員会の長。
「……委員長!」
「はッ!」
「現ティーパーティーホストである自身から、正義実現委員会の委員長である貴殿に全軍の指揮をお預け致します。後方での通常任務などの治安維持活動はもちろん、内外への民意形成の働きかけや、連邦生徒会への圧力は全てティーパーティーが行います。後ろは全て任せてください、万全なサポートをお約束します。……トリニティに、勝利を。」
「拝命いたしました。」
おぉ、かっこよ。さっすがホストと委員長だ。私、覚悟決めてる人のお目々大好きなんだよねぇ。
さぁって! 私も一応正実だ! ゲヘナの子たちに悪いけど、戦争になっちゃったのなら仕方ない! お互い命を取り合うようなことにはならないだろうけど、全力で泣かしに行っちゃおう! 特に雷帝! 宣戦布告なんて原作で影も形も出てこなかったのやり始めたの絶対お前だろ! 食堂でソレ聞いたとき死ぬほど驚いたし慌てたんだからね! 私も精神がぶっ壊れすぎて例の全裸事件の時みたいにぽよ様が出動しかけてたし! セイア様とか真っ青になって尻尾の方から色々抜け落ちていたんだよ! ゆるせぬ!!!
「それではすぐに作戦行動に移らせて頂く! だが私に航空機の指示など解らん、……ナギサ殿! 多数“運用”しているのであれば指揮は可能か!?」
「えぇ、人は揃えています。では指揮所を設置させて頂きますね。……セイアさん?」
「橋渡し役だね、了解だ。」
「よし、では地上は正実を主力に動く! ツルギ! 他の奴らをすぐに搔き集めてこい! 前線で待ってる奴らを迎えに行くぞ! ……んでマルコはいつまで飯食ってるッ! お前も正実だろうが! さっさと動けッ!」
「ぎゥ! ぐびねっこ! 首根っこつかまないで! まだご飯食べてるのにぃ!!! あ! セイアちゃんウチの会社と学園のこと任せたからねぇ! もっもっもっもっ……!」
「だから緊急時に飯食ってんじゃねぇ! 行くぞッ!」
あ、あいさー! マルコちゃん仕事します!!!
……かなり神秘不足だけど、現地調達で何とかなるか?
◇◆◇◆◇
これより、ブリーフィングを始めます。
貴君らも知る様に、我らトリニティにゲヘナが宣戦布告を行いました。
国境線付近の状況を知る方であれば、いつもの小競り合い程度に思ったかもしれません。けれど既に国境線付近で戦闘中の正実部隊からの報告を鑑みるに“本腰”を入れてきていると判断して良いでしょう。周辺の他自治区の反応や、日和見主義の連邦生徒会からの返答はまだありません。もしゲヘナ側に付いた瞬間『どうなるか』は解りませんが、皆さまは目の前の敵だけに集中すればよいでしょう。
その件に関しましては、この『桐藤ナギサ』がお約束いたします。
……失礼、前置きが長くなりましたね。
先ほど、我がトリニティに設置されていたレーダーサイトが接近する所属不明機群を通報してきました。おそらく、敵本群進攻の為に放たれたドローン兵器か武装ヘリでしょう。直後、当該レーダーサイトからの通信が一切絶たれたことから、こちらの地理はゲヘナにある程度理解されているのだと思われます。
どこまで“抜かれた”のかは解りませんが、空を放置すれば市民の避難所、正実の集結地点、また前線指揮所が危機にさらされるのは事実です。
本来、貴君らはお互いを仮想敵と扱う間柄だったとは思いますが……。
「え、そうなんすか? 隊長?」
「黙れハイドラ2。」
……少なくともこちら側は『聖ワドルディ学園』が持つ航空戦力を脅威とみなし、配備を進めていました。けれど互いに大本の所属はトリニティです。互いに高め合ったその力を出し切り敵の企みを撃破して頂けることを期待します。
まずテレーズ隊全12機には当該空域に存在する敵航空戦力の撃滅を命じます。その猛禽の名に恥じぬよう空を制し地上と後に続く友の助けとなりなさい。フーベルト隊全12機には同時展開される地上部隊への支援を命じます、兵装も対地戦向けに固めさせました。ゲヘナを狩り尽くし、敵の継戦意志を叩き折りなさい。
そしてそちらは……。
「あぁ、すまない。これまで部隊名など必要なかったのでな。……そうだな、エアライド隊とでも。」
かしこまりましたドラグーン1。ではエアライド隊の皆さまには遊撃戦闘をお任せします。初めてのことですので連携は難しいでしょう。我らも初の実戦、フォローに回って頂ければ幸いです。
では、各機の整備が済み次第即座に……
「ッ! すまないナギサ! 国境線から映像が送られてきた! 共有させてくれ!」
畏まりました、管制官。すぐにセイアさんのものを。
えぇ、中央の画面に。
「……は?」
「これは……、砲台なのか?」
「ゲヘナお得意の8.8㎝。FlaK系列だと思うが……、セイア様。これは倍速がかかっているのか?」
「いや、等速だ。現在毎分600発だと判明している。“8.8cmの砲台”が、だ。今の所確認されているのは100を下らん。」
「ば、化け物創り出してきますねゲヘナは。ドラグーン1、アレ私らでも命中したら不味いよ?」
「そうだなハイドラ1。一発は耐えられるだろうが、連射となればな……。私らは絶対に落ちるわけにはいかん。作戦行動に合わせた速度にする予定だったが、最大速で進むべきかもしれん。遊撃にされて良かったなこれは。」
静かに。
国境線付近の市街地が“耕された”と聞いていましたがこう言うことでしたか……。確かにゲヘナが砲撃地区に対して『避難勧告』を出すとは礼儀が成っていると思っていましたが、納得です。これが残り続ければ地上部隊の全滅もあり得るでしょう。
……作戦目標を一部変更します。対地戦を行う部隊は当該砲台、もしくはその後方に位置すると思われる弾薬保管地区の破壊を命じます。これだけの発射レートを維持出来ると言うことは莫大な量の弾薬が用意されているはずです。
空への備えもしているでしょう、テレーズ隊及びエアライド隊の制空戦闘機は地上への爆撃を行う友軍の援護に回りなさい。
「保管庫メインで、弾が余れば砲台って感じっすね! りょっす!」
その通りです。
……かの雷帝とやらの隠し玉がこれで終わるとは思えません。各機十分に注意して作戦に当たって下さい。
幸運が貴君らの上にあることを願います。
〇鏡
プププランドの上空に存在すると言われる大型の鏡、ディメンションミラー。マルコが言ったように、ポップスターが存在する世界にある、願望器の一つ。“鏡の国”と呼ばれる世界へと繋がる扉の側面も持っているためその重要度は仮面騎士卿がたまに様子を見に行くほど。
黒幕であるダークマインドによって作り替えられ、悪意のみ反映し願いを叶えるものへとなっている。メタナイトやカービィも被害にあっており、闇の側面が増大された邪悪な分身(一個の生命として確立)が生み出された。まぁその生み出された『シャドーカービィ』はちょっとイタズラ好きの可愛い奴で、“鏡の国”の平和を守るために日夜頑張っているらしいので、ポップスターで何か問題が起きたとしても何とかはなるだろう。
だが持ち出された結果、その構成情報が流出し、どこかの世界へと消えてしまったようなのだが……。
〇元ティーパーティーホスト(フィリウス分派所属)
ホストお姉様、在任期間中にゲヘナが攻めてくるという特大の厄ネタを被ってしまった人。
家柄的にはナギサ&マルコに一歩劣るレベルで、同学年のフィリウス分派の中に自分よりも上の存在がいなかったため、ホストの席に座ることになった。通常時は日々の業務を進めながら派閥の長であるナギサ様の顔色をうかがう中間管理職のようなことをしている。
トリニティ上層部では本当に珍しい“中立派”であり、ナギサとマルコの仲を取りまとめようとして爆散している人でもある。マルコちゃんの性格的に自分がトップじゃなくても構わないみたいだし、ナギサ様が受け入れたらもうトリニティ一本化しますよねコレ? 今でも彼女たちの世代黄金期って言われてるのに合体したらトリニティ一強時代に突入しますよね!? 私間違ってないですよね……!?
だがその動きのせいでナギサ様からの信頼が薄くなってしまい派閥からの印象は悪め、マルコ派からも蝙蝠のように思われているので何ともお労しい立場になられている。マルコからは『とってもいいお姉ちゃん』、セイア様から『こどもビール仲間』扱いされているのは、まだ幸いなのだろうか。
指揮系統を一本化し、指揮能力の高い正実委員長に委任することで混乱を治めながら、同時に各団体やトリニティ外への停戦に向けた働きがけをしていることからも政治能力は高め。どうやら“戦後”も考えマルコとナギサの仲を少しでも改善できないかと足掻いているようだが……。
〇テレーズ隊/フーベルト隊
ナギサ様がマルコの作る航空戦力に対応するために設立した部隊、12機編成で計24機となっている。
本来『学園』に送り込んだスパイから各種兵器の情報を手に入れることで技術レベルの向上を図ろうとしていたナギサだったが、マルコが引き入れた元諜報員による妨害や、マルコの視界以外のどこにでもいるワドルディたちがスパイちゃんをじぃーと見つめていたため、作戦は失敗。ドラグーンやハイドラの情報を手に入れることは叶わなかった。
そのため故にキヴォトス外部から仕入れそれを改良することで対抗する方針に変更。F-22で揃え、機体と共に連れて来たキヴォトス外の技術者と、ミレニアムからナギサ様が引き抜いた技術者によって大幅な改造が施されてる。本来は制空戦闘機ではあるが、半ばマルチロール機と化しているようだ。
パイロットたちはマルコが操る航空戦力がトリニティに向いた際のカウンターとして用意された生徒で、士気も十分だったのだが……。仮想敵である“エアライド隊”からすれば『え、うちらってキヴォトスの危機に立ち向かう部隊であって、リジチョの母校であるトリニティとか殴る気ないっすよ? いやまぁトリニティが全学園に向けて宣戦布告とかしたら爆撃しに行くっすが……。』であるため結構すれ違ってる。
なおモノがモノなので配備するまでの費用とこれまでの維持費でナギサ様は白眼をむいた。
〇連邦生徒会で結果を積み上げ始めた超新人こと“超人”
に、にぎゃぁぁぁ!!! 私が連邦生徒会長になる前にゲヘナが変なことしてるぅ!!! エデン条約! エデン条約しようとしてたのにぃ! というかこの前雷帝さんに会いに行ったとき前向きだったじゃないですかぁ! なんか無気力ではありましたけど、エデン条約してくれるっていったじゃないですかぁ!!! やだー!!! アロナちゃんお家帰るぅ! ホットドック被るぅ!!!!!
えぇえい! もうこうなったら“先生”のガチャ運全部使って確率操作してやりますぅ! 雷帝さんが勝っちゃったら絶対キヴォトス征服し始めちゃいそうですし、まだトリニティが勝つ方向で動けばい感じの方向に持ち込んで、雷帝さんが辞任するだけで収まるようにも……。
え、え! ちょっと待って! なに! なにこのヤバいの! トリニティにもゲヘナにもなんかヤバい存在がいっぱいいるぅ! せ、せんせぇぇぇ!!! まだ色々早いけどもう来てくださいぃぃ!!!