25:ゆうえんち!
「いやぁ、ポップスターは魔境でしたね。うん。……いや一応我、崇高に至ったんだけど? ガチャとかだったら☆3雷帝(崇高)みたいな感じだったんだけど? 攻略サイトとかで我だけランクEXとかつけられて『絶対引いとけ』って言われるレベルだよ? なのになんでこう、いわゆる雑魚敵にすら勝てないんですかね???」
「マルコ、しーるすき! かわいいの! まんまるなの!」
「……リオ? この不法侵入者とずっとシール眺めてる私らのリーダーを叩き直すメカ作れないかい?」
「馬鹿に付ける薬はないわ。ロボも同様、資源の無駄よ。」
「…………サクラコっ! 成敗!」
「え、あ、はい! 出力最大! せいっ!」
「「ぎゃぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!」」
私と雷帝の頭に、赤く光るライトセーバーが突き刺さる。
あぁ、はい。桃玉マルコだよ!
トリニティとゲヘナの戦争からちょうど2週間。まだまだ戦後処理が残っているんだけど、ようやく時間が取れたってことで『秘密のお茶会』。いわゆる私主催でキヴォトスの危機に立ち向かおうの会を開催することにしたんだけど……。いや~、行きの車の中で雷帝拾ってね? 面白かったから連れて来たの!
ちなみに私は2週間前からずっと、シャドウ様に貼り付けて頂いたシールをずっと眺めてます! 見てこれすっごくかわいいの! たーくさん貰った(いたずらで張り付けられた)からシールブック買って永久保存するの!
……え? 顔に書かれた落書き? 永遠に残そうというか『もう一生顔洗わない!』しようとしたんだけど、婆やが『お嬢様? お顔洗いましょうね?』って言いながらメイドさん全員引き連れてきて無理矢理落とされちゃった。168時間ぐらい抵抗したのに負けたッ! もう婆やと口きかないもんね!!!
「マルコさん、幼児化してますねこれ……。強く切り付け過ぎたでしょうか?」
「元々よサクラコ。というか車の中で拾ったの?」
「うん。なんか私の横の座席に転移して来た。」
「その時キヴォトスで一番大きい神秘がマルコだったからな、もう早く帰りたかったから無我夢中で転移して来た。あ、余だよ? 余。本物の雷帝ぞ?」
「セイアさん、これ色々と不味いんじゃ……?」
「特大に不味いよ! 本当にね!!!」
サクラコ様の問いに悲鳴のように大声を上げるセイア様。……実際色々思い返してみると、かなりヤバいのだ。
現在ゲヘナの立ち位置は、ちょっとややこしいことになっている。
トリニティというか、私とナギサ様は『戦勝国としてのゲヘナの統治権利』を手放している。正確に言えば現地に親トリニティ派の人間を置いた後は、大まかな指示を出した後に放置といった形だ。そもトリカスとゲヘナっぱりって相性最悪だから暴動とかを避けるためにも色々関わらない方がお得なんだよね。だからその穴を埋めるように、『これ以上戦争とかしちゃだめだからね~?』って制御するために連邦生徒会が出て来たんだけど……。
現在、荒れに荒れているのだ。
連邦生徒会会長に成りそうな水色髪の子、別に防衛室所属でもなく治安維持がメイン業務ではない子が拳銃片手に治安維持を執行している様子がクロノスに激写される程度には追い込まれている、といったら解りやすいだろうか?
「なんか『温泉掘るんだ』ってやつらが地面穴ぼこにするし、『このお店クソですわ~!』って言いながら飲食店爆破する人とか、『雷帝陛下を取り戻せー!』って叫んで突撃してるヤバいのとか……。おい雷帝! 何とかしろ!!!」
「キャラブレてるぞセイア殿。というか我が出たら余計不味くならない?」
ゲヘナがぶっ壊れると困るってことで、以前からセイア様に渡していた『聖ワドルディ学園・理事』っていう立場を使ってセクシーフォックスが介入してたみたいなんだけど……。もう色々酷いみたい。恐怖政治での抑圧、そこからの解放ってことではっちゃけているのもいるんだろうけど、特に最後の『雷帝回帰』の暴動が凄いんだって。
仮にも雷帝って呼ばれるぐらいだからカリスマはある。それに心酔しちゃったのがどんどん暴れているようだ。……なんかガンダムのデラーズ・フリートみたいだな。核弾頭奪って行軍式典とかにぶっぱしてこない? あとコロニー落しとかしない?
「あ、そう言えば勝手に月面基地作ってマスドライバーとか作ってたな、我。兵器乗せた人工衛星は処理が面倒だろうってことで、ポップスターに行く前に大気圏突入させて破壊したし、核とかプラズマコアはもう残ってないと思うが……。」
「もう全部廃棄して来い! すぐに!!!」
そう叫ぶセイア様。……いやお前なんでそんなヤバいもの作ってんの?
「いやポップスターの存在に気が付くまで、我ヒマだったからさ……。色々作れば気が晴れるかと思ってな? まぁ確かにキヴォトス内外に於いて特級呪物に成りうるものばっかりだが。ま、本気でヤバいのはこっちで廃棄しておいたし、残りはマコトやヒナが上手くやるだろうよ。」
「……自分で後処理もしなよ?」
「あぁ。だが全部消すことはせぬぞ? マコトあたりが勘付くだろうしな。」
雷のような金の髪を弄りながら、そういう雷帝。どうやら私の想像以上にマコト様のことを評価していたようで、全部雷帝が自分で処理してしまえば『まだキヴォトスに奴が残っているのでは?』ということを勘付いてしまう可能性があるようだ。
まぁあのギレン崇拝クソハゲみたいな集団もいるみたいだし、そもそも『雷帝が失踪した』ことを前提にゲヘナとトリニティの停戦は為されている。今コイツを表舞台に戻しても良いことは一つもないだろう。
「そういう訳だ。後で月面基地の方は処理しておくから安心するといい、セイア殿。」
「……ならいい。あぁそれと、後でお前を崇拝してる奴らの止め方を教えてくれ。」
「もちろんだとも。」
叫び過ぎたせいでちょっと息切れしているセイア様に、良い笑みを浮かべながらそう答える雷帝。まぁ今後のゲヘナに関しては今も奮闘しているらしい連邦生徒会会長サマや、セイア様に任せておけば何とかなるだろう。なんか雷帝もこっちに居るっぽいし……。ん?
「そういや雷帝。お前どうすんの?」
「……悪いが適当な身分を用意してくれぬか、マルコ? ポップスターの世界に永住するつもりで出て行っちゃったからちょっと色々処分しちゃって、な?」
「それは良いけど……、お前本気で永住を考えてたの? 死ぬぞ???」
「もう何度か死んだが??? いや不死性を獲得できたから死にはしないのだが、運悪くピエロ帽子の薄紫な悪魔に捕まってな……、延々とオモチャにされた故、しばらく行きたくないのだ。ほんとヤバかった……」
そ、それはご愁傷様……。え、不死性? なんか初日に頑張ったら手に入った? バケモンかお前?
何でもプププランドに到着した後、現地統治者? である大王陛下にお目通りを願い捧げものをすることで滞在許可をゲット。その後は良い感じに生活したり、現地の雑魚敵にボコボコにされながらも楽しんでいたそうなのだが……。まぁちょっと騒ぎすぎてあの薄紫の一頭身に捕捉され、狙われたそうだ。最終的にぽよ様に擦り付けたというか、助けてもらって何とか逃げ延びたようなんだけど……。え、お前御大に擦り付けたの?
「結果的にそうなった、という感じだな。悪いがそちらから詫びを入れてくれぬか?」
『ぽーよ! はぁーい!』
「あ、気にしてないって。……にしても身分か。」
一応私が自由に出来て役職も無から生み出せる『学園』があるから……。そこで適当に作る感じでOK? ちょっと仕事とかはしてもらうことになるだろうけど、給与は発生するし福利厚生も充実はしてる。でもポップスターより刺激的ではないから退屈しちゃうかもよ?
「……退屈するかあそこ? いやまぁよい。頼むぞマルコ。顔と髪を隠し雷帝と解らぬようにする故安心するといい。」
そういう雷帝ちゃん。
どこかからかマスクド陛下の仮面と大王陛下の帽子を取り出して装着しているあたり、結構お前ノリノリだな? というかソレ……。あ、捧げものした時に返礼品としてもらったのね。まぁ確かに外部から来た人になんかもらうって陛下も新鮮だっただろうしな。基本侵略か洗脳されてるわけだし。
「っと、じゃあそろそろ本題に入って行くとしましょうか。なんか雷帝いるけど、特に問題は……。まぁないだろうし、進めていきましょ? 確か今日はリオちゃから何か議題があったんだよね?」
「えぇ。」
雷帝が『我最初からメンバーでしたよ?』って顔で座っているが、まぁセイア様もあきれ顔を浮かべるだけで何も言わないし、リオちゃも『仕方ないわね』の雰囲気を出していられる。サクラコ様は新メンバーが嬉しいのかニコニコ暗黒オーラを出していらっしゃるが……、ま、雷帝は平気そうだし大丈夫でしょ。
と言うことでリオちゃの議題を聞くために、そちらに意識を集中させる。
「といっても、そこまで緊急性のあるものではないんだけどね? マルコは把握していると思うのだけど、現在『学園』の方で行われていた地下空間の掘削作業が……。」
「え、ちょ、ちょっと待って? 今なんと?」
「え、掘削作業……。もしかして無申請?」
淡々と進めようとするリオちゃの言葉を、つい遮ってしまう。
ちょ、ちょっと待って? 確かに学園地下に研究スペースとか地下建造ドック作るために掘削作業とかの指示は出した覚えがあるけど、それもう3年前ぐらいに終わってなかった?
「……終わらずにずっと掘削し続けてたわね。」
「誰が!?」
「わにゃちゃんよ。」
「「わにゃちゃん!?!?」」
同時に声を上げる、私とセイア様。
え、あの。その。わにゃちゃんってもしかして一頭身でオレンジで『わにゃわにゃ』って喋る……?
「それ以外にいないでしょう?」
「確か、ワドルディさんでしたか。可愛らしい方々ですよね。」
「え、もしかしてマルコにセイア。把握してなかったのか? 我ビックリ。」
「……となると例の遊園地も無許可なわけね。アリウスの跡地に作るということだからてっきり貴女かセイアの指示かと思ったのだけど。」
「「ちょ、ちょっと待って!? 今アリウスって言った!?!?!?」」
◇◆◇◆◇
視点は変わり、わにゃわにゃへ。
時間はワドルディたちがこのキヴォトスへとやって来た時期までさかのぼります。
彼らはそれまでプププランドで毎日楽しい日々を送っていたのですが……。何故か急にキヴォトスにやってきました。
謎の空間に吸い込まれたり、誰かに連れてこられたり、洗脳されたり改造されたりした記憶はありません。普通の生物であれば困惑するでしょうが、彼らはその道のプロフェッショナルです。全く知らない土地に飛ばされるのは慣れっこですし、そこにいる現地民と仲よくしたり、そこで新たな生活圏を整えるのは大得意でした。
そんなわけで『聖ワドルディ学園』に住みついた彼ら。
自分たちよりも弱い生徒という存在に驚いたり、自分たちの知らない建築方式に驚愕したり、食べても神秘が薄すぎて体力が回復しないけどおいしい不思議な食材に出会ったり、沢山のことがありました。なんだか色々不思議なルールがあるようで特段賢い子でなければ理解できない難しいこともありましたが、彼らは適応し、学園で楽しい日々を過ごしていたのです。
けれど突如、とある問題が起きます。
「わにゃ!」
「いやそう言われてもな……。こっから先は別の自治区なんだ。私らの土地じゃないんだよ。」
「わにゃ?」
「他の奴の持ち物。あ~、ダメだなコレ。土地の所有権についての概念自体がないのか。しゃーない。ちょっとまってろよ? 今からロープ引くから。」
そうです。土地の拡張限界に到達してしまったのです。
マルコは極大のお金持ちでこれまで勝手に拡張する学園の尻持ちのため、拡張した分だけ土地を買いあさっていたのですが……。ついに限界が訪れます。ワドルディたちからすればちょっと荒れている廃墟や延々と続く平地にしか見えなくても、その先は別の学校の土地です。それ以上勝手に建築することは法的に許されませんでした。
ですがワドルディたちに“土地の所有権”という考え方は少々理解が難しいのです。流石に建物が立っていれば『ここは○○さんのおうち!』と納得できるのですが、誰も使っていない土地に建物を建てちゃダメ、といわれても難しくて理解できません。
仕切りのロープが引かれて『ここから先は建築禁止!』とポップスターの言語で書かれ理解は出来たのですが……。ちょっと退屈になってしまったのも確か。お昼寝が大好きな子や、学園の生徒と遊び回る子がいるのも確かですが、建築好きな子も沢山いるのです。
こうなったらもう建物の上に建物を積み上げる、違法建築タワーバトルをするしかないと思ったとき……。とあるものを発見します。
「え? あぁこれ? 地下の建造ドックに繋がる階段だよ。地面掘って色々作ってるんだって。」
「……わにゃ! わにゃにゃ!!!」
そう、“地下”の概念です。
これまで地下洞窟などの存在は彼らも把握していましたが、星自体を真っ二つにしても何か元通りに成っているのがポップスターです。彼らの常識では『地面に穴掘ってもなんか元に戻ってるし……』という感覚でしたが、このキヴォトスでは違います。
なんと、掘ったら“残る”のです。
これは衝撃でした。
即座に学園の図書館に突入したワドルディたちは、司書さんに『地下建築の仕方』の本を頼んで貸してもらい、わにゃ語の解る生徒のお友達や言語学の教授さんに頼んで、一生懸命翻訳してもらいました。一部待ちきれずに単に穴を掘って大崩落を起こしてしまった子がいたので、その反省としてちゃんと学習してから建築することにしたようですね。
そんなこんなでキヴォトスでの地下建築のやり方を覚えた彼ら。もう途轍もない速度で掘削を進めます。
「わにゃ~♪」
「わにゃわにゃ!」
「わにゃ?」
そもそも彼らの建築速度は、ポップスターという定期的に全部ひっくり返されて更地になっちゃう土地で培われたものです。重機を使用する生徒たちよりも素早く物資を運び、パソコンを使って図面を書く生徒よりも早く頭の中で設計図を引いてそのまま紙に書きだします。すぐさま『学園』の地下全てにもう一つの町を生み出し、どんどんと拡張を続けていきました。
途中面白がった生徒が参加したり、急に倍以上になった学園面積に泡を吹いた『聖ワドルディ学園生徒会』の介入やらがありましたが、楽しく建築し続けたワドルディたち。勿論地下に“仕切り”などないわけですからあっちこっちに好き勝手掘り進め、既に生徒会はどこまで掘削されたのか把握できていません。
そしてついに彼らは……。
「わにゃ?」「わにゃ!」
「あ、やべ。地面出ちまった。頼むから変なところに出ないで……、ありゃ? 廃墟だな。」
「わにゃにゃ。」「わにゃ?」
「一応地図じゃトリニティの範囲……、いやアリウス自治区? どこだソレ。」
気ままにわにゃわにゃと掘り進めていた生徒とワドルディは、たまたまアリウス自治区へと到達します。
そう、悪い大人であるベアトリーチェによって占拠されてしまった、ばにたすで著名なあの場所です。原作におけるエデン条約編にて色々と関わっている場所ですね。
「あー、とりあえずバレる前に埋め直すか。よく解んないけど国境侵犯? だっけ? なんか危ないんだって。」
「わにゃ。」
そう言いながらせっせと埋め直し、証拠隠滅を図ろうとした彼らでしたが……。
その時ワドルディが、誰かの苦しそうな声を聴きます。法は解らぬ彼らですが、心優しきかわいい一頭身。もしかしたらお腹が空いているのかもしれないと思い、今日持ってきたお弁当のおかずを分けてあげようと、みんなで飛び出して行ってしまいます。
「あ、ちょ! ぁ~、これバレたら怒られるんだろうなぁ。しゃあね。最悪学園と無関係で押し通すか。」
走って行ってしまったワドルディたちを追いかけようとした生徒でしたが、許可なく他学園の人間が自治区に入ることは結構問題です。地下通路を勝手につくって侵入したとなれば最悪学園のみならず、理事長にも迷惑が掛かると判断した彼女は、即座に自身の学生証と『学園』のトレードマークであるオレンジのベレー帽を穴の中に。
即座に埋め直してワドルディたちを追うことにしました。
そんな彼女を待っていたのは……。
「……ぁ…。」
「ちぃ! 怪我人か! おいわにゃ、救急箱!」
「わにゃ!!!」
何とそこには、武装し先ほどまで戦っていたらしい生徒たちの姿が。
制服に刻まれた校章からアリウスの生徒らしいですが、もう少し来るのが遅れていればそれこそ息絶えていたようなほどの大けが。その不死性のせいか“死につながる様な大けが”に慣れておらず慌て始めるワドルディを一喝した生徒は、即座に処置を始めていきます。
一応『学園』は厚生施設ではあるのですが、彼女はたまたま軍事訓練を受けていた生徒。負傷者の救護も訓練の一つとして行っていたおかげで、的確な処置を行い、またワドルディたちに指示していきます。けれどかなりの大けがであることは変わりありません。近くの大病院にでも搬送しなければと彼女が思ったとき……。ワドルディたちが秘密兵器を取り出します。
「わにゃ!」
「……さくらんぼ? あ、農業部の奴らが作ってた奴か! すぐに潰して果汁だけ飲ませろ!」
そう指示する生徒の彼女。マルコの指示によってポップスターの作物を再現できないかと実験し続けた結果、一応それっぽいものに成ったのが、それです。ただまぁ保有神秘量が多すぎるせいか、一般生徒が口にした瞬間文字通り球体になるレベルで太ってしまうという欠点がありますが、大けがしたのであれば即座に回復してくれる便利アイテムと化すでしょう。
指示に従い、お手手できゅっとしてその果汁を飲ませるわにゃ。すると明滅していたアリウス生徒のヘイローがすぐに強く灯り、完全回復まで持って行くことが出来ました。
「……ここ、は。」
「おい、大丈夫か! 誰にやられた!」
どうやら話を聞いてみると、彼女たちは“落ちこぼれ”であり、その成績の悪さからベアトリーチェに処分の沙汰が下された存在だったそうです。何とかアリウスから逃げ延び生き残ろうとしましたが、追手にやられ死亡寸前までのダメージを喰らい、放置されていたそうな。
そして更に彼女の口から語られる、アリウスの現状。
悪い大人であるベアトリーチェがこの自治区を支配し、変な思想教育を施し、兵士としての教育を無理矢理受けさせられているという状況。
「……わにゃっ!」
「わにゃわにゃ!」
「わにゃー!」
「あぁ! 腹が立つぜ! んなもん許せるわけがねぇ!」
怒った顔をするワドルディたちに、声を荒げてしまう学園の生徒。わにゃちゃんたちは普通に悪い人が嫌いですし、生徒の彼女もそういう“理不尽”には怒りを覚えるタイプです。自分が理事長であるマルコから拾い上げてもらったという意識があるためか、自分も誰かの為に何かしたいと感じる子でもありました。
「こうしちゃいられねぇ! すぐにこの学校を解放すっぞ! わにゃども!」
「わにゃ!」
「わにゃわにゃ!」
「わにゃー!」
そんなこんなで、動き出した彼女たちは30分もしないうちに兵力をかき集めました。
まず何時の間にこんなに移住していたのかと思うほどわにゃたち、千以上の子達がフライパンや謎のビームガン、丸っこい爆弾を片手に結集。そして生徒ちゃんのモモトークによって呼び出された10数人のスケバン時代の同期たち。
ここにアリウス解放軍が結成されたのです。
あ、ちなみにここにいる子たちは帰宅部で学園の一般生徒に当たります。まぁ航空部とか警護部みたいな軍事組織の所属なら直属の上司や、マルコに通達しますもんね。
まぁつまり、“大量のワドルディと一般生徒”がアリウスに攻め込んだわけです。
「な、なんかまるっこいのが攻めて来たぞー!」
「わにゃー!」「わにゃわにゃ!」
「ぎゃー!」
「ばにたすばにたすうるせぇんだよ! 何がすべてが虚しいだ! このわにゃを見ろよお前!」
「わにゃ!」
「すべては楽しいんだよ! おらスケバン魂見せてやるぜぇ!!!」
ガスマスクをしたアリウスの部隊のみならず、未だ練兵途中であったアリウススクワッドの面々すらも何も言わせず撃破した彼女たち。ほぼすべての兵力をワドルディの謎パワーと数で制圧したアリウス解放軍は、遂に敵首領の本陣。ベアトリーチェの元へとたどり着きます。
「どうやらコバエが入り込んだよう……」
「うるせぇー! しねー!!!」
「手榴弾ヲナゲロ!>(^q^)」
「わにゃ!」「わにゃー!」
何か言おうとしたベアトリーチェでしたが、見敵必殺とばかりに突入した瞬間に一斉に“ボム”を投げつけるワドルディたち。それもキヴォトス製の手榴弾ではなく、正真正銘“ポップスター産”の爆弾です。一瞬にして閃光が世界を包み込み、ベアトリーチェは何も語れずに爆殺されてしまいました。
そしてそして……。
「はッ! ッ! ここは! いや何故私は縛られて!?」
「あ、おーい。お前ら! この婆起きたぞ?」
「ま! いいじゃんいいじゃん! ほらアリウスのお前らも! もっと騒げよ!」
「い、いえーい?」
「あの、これ本当に大丈夫なんでしょうか?」
「ひ、ひぇぇぇ。」
なんとベアトリーチェが次に目を覚ましたのは、『砲台』のなか。
そう、ポップスターでよく見かける『なんか空中に浮かんでる砲台で、入ったら色んな場所に吹き飛ばされる』アレです。火をつけないタイプの砲台で、赤が自動タイプ。緑が手動で進行方向を定めるアレですね! そしてベアトリーチェは、その中の緑に放り込まれてしまっていたのです。
そしてその砲台の先は、アリウスの空中に浮かぶ、真っ赤な砲台たち。
そうです! 撃ち出されれば最後、赤砲台にキャッチされて一回転のちに音速で発射、また赤砲台にキャッチされて一回転して音速で発射。これが延々と続くまさに三半規管を破壊し尽くすための装置! 誰かが射線上に入らない限り文字通り“永遠”に砲台リレーを続けさせられる拷問施設ですね!
最初はワドルディたちが宇宙空間にポイしようとしたみたいですが、スケバン生徒ちゃんが悪いこと思いついてこの“反省”機械を生み出してしまったそうです。人の悪意って怖いですね。あ、もちろんベアトリーチェごときがポップスター産の神秘を打ち破れるわけがないので、脱出は不可能です。死ぬがよい。
どうやらそれを彼女もなんとなく理解したようで……。
「ひ、ひぃぃ!! やめ! やめなさいお前たち! こんなことすればどうなるか解っているのですか! こ、後悔、いや後悔ではすみませんよ!」
「なーんか喋ってら。まぁいいや。わにゃー、起動して♡」
「わにゃ♡」
「ぎゃ、ぎゃぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」
そうして、吹き飛ばされたベアトリーチェ。
最初は悲鳴を上げる元気があったようですが、どうやら途中からもうそんな元気も無くなったようで……。百回を繰り返すころには、もうすっかり静かになっていました。
まぁこんな感じで幕を閉じたアリウス解放大作戦。
ですが元凶を倒しておしまいというわけにはいかず、そこには崩壊した廃墟と、何もやる事のないヒマなアリウス生徒が残ってしまいました。何せ何年も前からベアトリーチェの言いなりで過ごしてきたのです。「vanitas vanitatum, et omnia vanitas」と教えられ、虚しい虚しいと言っていた彼女たちは、一部を除き命令がなければ何もできない様な状態になってしまいました。
かといってそれまで命令を下してきた赤いババアは“反省”を促されていますし、アリウスを解放した彼女たちは、なんかスッキリして帰ろうとしています。
そんな様子を見かねたワドルディの一人が、彼女たちに声をかけました。
「わにゃ?」
「……わ、わにゃ? とは?」
「ん? あぁそいつがお前に、遊ばないのか、って。」
「遊ぶ……。」
「そ! 確か『全ては虚しい。どこまで行こうとも全ては虚しいものだ』だっけ? なんか戦闘中に言ってたやつ。私らにすればんなもんマヤカシだね。言い換えるなら……」
全ては楽しい。どこまで行こうとも全ては楽しいものだ。
「てかぁ?」
「おいおい、学ねえのがバレるぞ?」
「うるせ! ラテン語じゃなくてわにゃ語なんだよ時代は!」
そう言いながら、楽しそうに笑う学園の生徒たち。
「あ、そうだ。やることないならこいつらと一緒にアレやれば、アレ。」
「あ、アレ……、とは?」
「ほらあれよ。わにゃどもがさ、遊園地作りたいんだって。けど土地無くてどうしようかって言ってたみたいだからさ、貸してやってくんね? 見た感じ廃墟しかないし、飯の種手に入れるのにはちょうどいいんじゃねぇの?」
「ゆ、ゆうえんち……。」
「わにゃ!」
「わにゃわにゃ!」
「わにゃー!!!」
そんなことがあり、建築をワドルディが。テーマパーク職員や運営がアリウス生徒として始まった『わいわいアリウスアイランド』計画。ワドルディたちがこれまで建設やお商売で稼いできたお金をこれでもかとつぎ込み、同時にマルコが脳死で決裁書を押したことで莫大な予算が組まれて生み出されていくまさに“娯楽”の世界。
先日無事アリウス生徒とアリウス解放に関わったわにゃ&生徒を対象としたプレオープンが終了し、本格営業に向けた準備が進められているとのこと。
「てなわけでリオ理事! アリウスの奴ら今度遊園地開くんでどかーっと広告打ちたいんすよ! うちら元スケバンなせいで何も伝手ねぇですけど、リオ理事や理事長だったらなんか良い方法あるかなーって!」
「理解したわ。確かにマルコの予算案に入っている事業みたいだし、既に何か動いているかもだけど、今度『お茶会』で取り上げておくわ。それに、場所的に入場者の輸送方法も必要そうだし……、飛行バスの手配もしておきましょう。」
「あざーっす! ほら“サオリ”! お前も礼言え!」
「か、感謝します……!」
「いえ、気にしないで。今度友人と遊びにいかせてもらうわ。頑張ってね。」
〇マルコの一週間戦争
シャドウカービィがイタズラでつけた顔への落書きを「一生落さない!」と言い張るマルコと、「桃玉家のご令嬢にして次期当主のお嬢様が洗顔為されないのは色々とまずいというか、不衛生というか……」という婆や率いるメイド軍団によって勃発した戦い。お屋敷の敷地内(私有地)で行われたため正実などが介入できず長期化し、婆やのアッパーが決まり手でマルコノックダウン。お風呂で全身洗いの刑となった。マルコは三日ぐらい泣き喚いた。ぽよ様は特に何か不味いことが起きている様ではなかったためお昼寝していたそうな。
なおセイアは鼻で笑った後放置しゲヘナの戦後処理に。ナギちゃん様は戦争の理由を聞いて宇宙猫に、ミカ様は帰り道にわざわざマルコ邸に顔を出し「まだやってるじゃんね☆」と数時間ほど毎日観戦し続けたという。ハーちゃんにツーちゃん? 憧れの存在っぽいのからサイン書かれたようなもんだしマルコの気持ちも解るけど、流石に一生顔洗わないのはね……。って言って通常業務に戻ったみたいですよ?
〇ベアトリーチェ
いちごじゃむになりました。
基本的にわにゃがなんか近くにいて監視? しているのでゲマトリアも助けることが出来ない状態。というかあんまり仲が良くないので黒服たちの救出モチベーションが低く、若干放置されてる。
ベアトリーチェは、考えるのを、やめた……。
エデン条約編! だいたい完!
〇わいわいアリウスアイランド
廃墟群になり再建が難しい所をわにゃの不思議パワーで完全復興させ、同時にテーマパークとして再建した。兵士だった彼女たちは立派なテーマパークの職員さんに。キヴォトス最大の遊園地(千葉ネズミランドの3倍)となっている。マルコが「まぁ学園生徒会の子達がチェックしているだろ、ヨシ!」ってしながら予算案を適当に通し続けた結果こんなにデカくなっちゃった。普通のテーマパークにあるものはもちろん、ポップスターでのミニゲームも遊び放題な夢の施設。現在テーマパーク長募集中。……雷帝さん? 立候補するの?
〇アリウススクワッド
まだ中学生の彼女たち。一応ベアトリーチェによってまとめられていたが、全部ないなった。基本的に何のお仕事をしてもいいし、お仕事しなくてもいいのだが、本人たちの何かしたいという思いからちょっとだけしている。本人に希望がなかった場合はワドルディがいい感じに決めた模様。
現在サオリはコースツアーの案内員さん、アツコはガーデニングでパーク内の景観を整えるお仕事、ミサキはお土産屋の売店員さん、ヒヨリは飲食店のお運びさん、アズサは着ぐるみの中の人のお仕事を選択中、専用の教育をワドルディから習ったりしている感じ。アリウス解放軍の元スケバンたちから結構可愛がられてる。まいにちたのしいね!