「うわほんとに遊園地出来てるじゃん、たまげたなぁ。」
「……あのベアトリーチェ生きてるのか?」
「あいつなら死んだ方がマシじゃね?」
「まぁそれもそうか。……最悪我が役割担うか。どこかに行かれるよりこちらに呼び込んだ方が確実だろう。」
というわけでやって来たのはアリウス自治区。
なんかまだベアトリーチェが滞在しているというか、生きているって聞いたから念には念を入れて完全武装をしてやってきたんですよ。本来なら視察って建前で『秘密のお茶会』全員で行っても良かったんだけど、相手はゲマトリアだからね? 何かあった時の為に最大戦力である私と雷帝でまずは様子見に来たんだけど……。
やって来てみれば意味わからんほどにデカい遊園地に、ポップスターご用達砲台で永遠の拷問を受けているベアトリーチェが待ってました。なんて事前に聞いていても理解できませんて……。私はぽよ様にエネルギー充填してもらってるし、雷帝は崇高状態で『最悪私らで殺すか』な覚悟して来たって言うのに。なんでもうエデン条約が終わってるんです???
「あとなんでお前らナチュラルにおるん?」
「わにゃ?」
「3年前からいるよ、じゃねぇんだよこのわにゃ太郎! あとどんだけいるんだよ!」
そう言いながら、近くにいたワドルディを拾い上げ上下左右に引っ張ってオモチャにする。
お前らさぁ! 別に移住するなとは言わないけどさぁ! せめてなんか連絡くらいよこせよさぁ!!! というかなんで私3年間気が付かなかったんですか!? セイア様後ろに吹き飛びながら気絶して病院送りになったんだぞ??? どんだけキヴォトス侵食したら気が済むんだ!!! まぁ私が言えたことじゃないけどもッ!
「あー、後でいい感じにテクスチャ張り替えてキヴォトスが飲み込まれんようにしておくから、落ち着けマルコ。周りの目が、な? ほら警戒されておるし、武器もしまえ。」
「……はぁ、とりあえずワドルディ! あとでこっちに来てる全員を学園に召集させて? 確認したいから。」
「わにゃ!」
雷帝の言う通り周囲に目を向けていると、私らが完全武装な上に神秘を全開放してたせいかめっちゃ警戒されているのが解る。まぁ力で押さえつけられてきた子たちばかりだろうし、そこらへんの配慮不足だったのは完全にこちらのミスだ。私たちによってまたベアトリーチェ時代が戻ってきてしまうかもしれないと思ったのだろう。
とりあえず安心させるために雷帝と同時に神秘を収め、彼女の武器は亜空間へ。私の武器は胃の中に収納……。というか捕食する。なんか化け物を見る様な視線が増えたような気がするが、私の個性なので慣れてほしい。
マルコちゃん怖くないよ~、おててふりふり~?
「ひぅ!」
「だ、大丈夫なのか?」
「たぶん……。」
「それでマルコ、どうするのだ? アリウスと言えばトリニティにとっても難しい存在だろう。ざっと見た感じまだ一般公開は危うい気がするが……。」
「……『聖ワドルディ学園』と同様に私が理事長するよ。資金援助も9割くらい私から出してたみたいだし、ちょっとずつ慣らしていく形になると思う。でも当分学園向けの保養施設扱いかな? 全体公開は時機を見て考えるよ。ま、私が高3になる頃には間に合うでしょ。」
アリウスの子達を眺めながら、そう答える。
どうやらアリウス解放に関わった元スケバンの生徒や、ワドルディたちから『えらいひとくるよ!』とは聞いていたようで、歓待の準備を整えてはくれていたようだが……。私達が武装して来ちゃったってことでやはりまだ警戒心を抱いているようだ。それに、私達の服装も“正実”と“万魔殿”のものになっている。リオちゃから話を聞いて『え、まだベアトリーチェ生きてる上に現地にいるの!?』と慌てて装備整えて来たもんだからさ……。
あの赤いクソオバの教育がどこまで進んでいたのかは解らないが、確実に現トリニティの体制とゲヘナに対する嫌悪感情の植え付けは行われていたのだろう。わにゃわにゃ言ってる可愛らしい奴たちのおかげで行動を起こしたり表情に強く出ているわけではないのだが……。
うん! とりあえず着替えた方が良さそう! 適当な土産物のTシャツ探そう!
「あ~、ちょっと適当な服と更衣室どこにあるか……。ってサオリ?」
「ん? おぉスクワッドのか! 綺麗な顔をしておるではないか。血色も良いな。うむうむ。」
「え、あ、あの!?」
更衣室どこかなー、ってツアーガイドの服着た子に声をかけてみれば何と錠前サオリちゃん。私がまだ高1だから中3だろうけど……! わー! 原作よりもちっちゃくて可愛い上に肉付きが良くなってるねぇ! 沢山ご飯食べてる? 食べてるの! えらいねぇ!
後他のみんなも……、ちゃんと食べてる? 食べてるか! あぁもうマルコちゃん安心したよぉ、ほんとにねぇ! ご飯は毎日たくさん食べないとおっきく成れないし辛いでしょう? これまで私ちゃんと認知できてなかったから色々足りなかったでしょう? たーくさん用意するからねぇ! よちよち~!!!
「~~~//////!!!」
「あぁ、髪もサラサラ……。まだもうちょっと上を目指せそうだね。」
「うむうむ、まだ中学生だろう? 苦労させてはならぬよ。ほれ髪を梳いてやろう。これでも人気だったのだぞ? よくヒナを整えてやったものだ。」
「……それ大丈夫だったの色々?」
雷帝に髪を梳かれるとかストレスヤバくない? ヒナちゃがもっとシナシナになっちゃう……。そう言えば彼女今何してんだろ? もう風紀委員に行ってたら控えるけど、暇そうにしてたら『秘密のお茶会』に引き入れてもいいかなぁ?
……あ、そうだそうだ。忘れないうちに指示とばしとこ。えっと、学園の生徒会に電話繋げて……。あ、はーい。マルコだよ、うんうん、私。ちょっと地下道広げてアリウスまで地下鉄作ってくれない? 資材と金こっちで用意するから。うんうん、直通便ね。食料とかの支援物資送りやすくしてあげなきゃって。大丈夫そう? そりゃよかった。お願いねー!
「頬を触り過ぎだぞマルコよ。可愛いのは解るが……む、顔が赤いな。風邪か? ちとまて、収納空間に風邪薬がある。」
「わにゃ! わーにゃ!」
「あ、更衣室そっち? ごめんごめん。じゃサオリちゃん、後でね~。」
「む? そうか。とりあえずこれを飲むように。後はそうだな、他の者にもよろしく伝えてくれたまえ。」
「は、はぃ……。」
〇マルコ&雷帝着替え中〇
というわけでお土産Tシャツに着替えました! オレンジのTシャツにわにゃの顔が刻印されてるかわいいやつね! ……これお前らが自分でデザインして作ったの?
「わにゃ!」
「……下手な装甲服よりも固いな。流石ポップスター民の手作り。」
「基本的にここの品全部、神秘デカすぎるから販売禁止ね?」
「「「わにゃ!?」」」
私の一声に、近くにいたワドルディたち全員が驚く。
いやだってそうでしょ……。私たちが着ているTシャツだけど、最悪ヴァルキューレが配備している特殊部隊の装備よりも固い可能性がある。肌触りとか質感とか完全に布なんだけど、込められた神秘がヤバすぎて多分ヒナちゃんの銃弾すら跳ね返すレベルに仕上がっている気がする。
それ以外のお土産品の神秘も凄いし、多分食べ物もかなり不味いというか、食べるだけで徐々に強くなっちゃうというか……。いやそれは良いんだけどね? 色々と市場が崩壊するからワドルディの手作りは色々諦めてほしい。
「むぅ、そもそもこの遊園地。“ポップスター基準”で建てられてしまっている可能性があるな。遊具の安全性があちら基準だと、キヴォトス民だと最悪死ぬぞ?」
「実物の爆弾でピンポンしたり、星割ったり、光線銃で撃ち合ったりしてるもんねあっち。……実際どうなの?」
「わにゃ(ぜんぶちゃんとあるよ! プププランドと同じ!)」
「「とりあえず営業停止ね、うん。」」
わにゃ!? と更に大きな驚きの声を上げるワドルディたち。いやそりゃそうでしょ……。というかよく今まで怪我人出てなかったな……。あ、『たまごきゃっちゃ』見せたらアリウスも元スケバンも避け始めた? え、偉いぞ……! アレマジで狂気のミニゲームだからな……!
(というかなんで口の中で卵受け止めて更に孵化させてるんです?)
『ぽよ?』
(あ、解んないのね。)
とりあえず爆弾もビーム銃もキヴォトス製のもの用意するし、他のミニゲームも全部監査受けてから営業してね? ほんとに。爆発しないとスリル足りないじゃん! とかダメだからね絶対。あと『メガトンパンチ』は廃止するから。ミニゲームでキヴォトス崩壊させられたら敵わんのよ。
「本格オープンさせたいのは解るけどいざ運営するとなると手続きとか安全対策とか色々あるんだよ、本当に。後で専門のチーム作って監査させに行くから、それまで待ってね? んでそれが終わったらうちの生徒相手に練習して、慣れたら公開するから。OK?」
「わにゃ!」
「よいお返事。」
あとはその責任者をどうするかだけど……。明らかにここだけ神秘の量が他と比べて段違いだし、なんか無力化されてるけどベアトリーチェもここにいる。ある程度実力がないと任せきるのは難しいと言えるだろう。私が暇だったら付きっ切りで付き合うというか、手伝うんだけど私は私で『学園』の方見に行かないといけないんだよね。
セイア様が復活してからにはなるけど、私達はワドルディたちの存在をこれまで認知していなかった。リオちゃやサクラコ様の反応を見る限り『当然知っているもの』として扱っていたみたいだし、そのすり合わせと今回のアリウスみたいに他でやらかしていないか確認しに行くお仕事がある。
「というわけで雷帝。」
「うむ、構わないとも。他学区と隔離されておるし、そう顔を隠す必要もないだろうからな。デカグラマトンやゲマトリアが来ようとも単身で破壊してやろう。……あぁだが、私抜きで面白いことを始めるなよ?」
「もっちろん。というわけでわにゃ太郎達。一度こっちで監査用の人員派遣するから、その指示に従ってね? 後このお土産もアリウス生と、聖ワドルディの生徒以外には売らないで? 最悪悪い大人が買い占めに……」
「クックック、ではカードでお願いします。」
「わにゃ。(まいどあり)」
「「………確保ォ!!!!!」」
◇◆◇◆◇
マルコと雷帝がいつのまにか来場していた黒服及び他ゲマトリアメンバーの確保のため走り回っている頃……。
アビドス高等学校では、とある二人が沢山のトランクの前で頭を抱えていた。
「ほ、ホシノちゃぁん! これどうしよう!?」
「……ほんとにどうします?」
彼女達の目の前に置かれたのは、幾つものケースたち。いわゆるジュラルミンケースであり、その中には大量の紙幣が納められていた。なんとその額10億円。これまでアビドスが背負っていた借金を全て完済した後の残りであった。
ただまぁそれだけであれば、まだちょっと幼いおじさんことホシノが『ちょっと贅沢しましょうよ』とそそのかしたり、ぽわぽわユメ先輩が『変なもの買っちゃった~!』と騒いだり、荒れた校舎の立て直しや砂嵐対策、砂漠対策への投資と行動を開始していたのだろうが……。
そんなユメ先輩の手に握られているのは、一つの書類群。
アビドスの土地の大半がカイザーグループとホーリーナイトメアグループ、マルコの会社に買い漁られているという事実に、それまでアビドスが借金していた『カイザーローン』がヘルメット団などの不良に投資しており、その資金の出所は自分たちが支払っていた利息から賄われていたこと。そして何よりもマルコから『これ土地の権利書、返すね? あと追加で50億くらいだったらすぐ用意できるから、連絡頂戴な』というメッセージ。
「そ、そんなに一杯言われてもわかんないよぉ! ひぃぃぃん!!!」
「ゲヘナでの戦いの時も思いましたけど、トリニティのお貴族様ってすごいんですね。ちょっと麻痺しそう。」
もう色々一杯一杯になってしまったのか、床に転がりじたばたと腕を振り回すユメ先輩に、現実逃避なのか『そう言えば1000京とか言ってたな……』みたいな変なことを考え始めるホシノちゃん。十数人しかいないアビドスでは、生徒会の人数も2人しかいません。そんな彼女たちが大金と大量の書類群に囲まれている姿は、とてもカオスといえるでしょう。
けれどただ喚いているだけでは何も変わりません。早期に正気に戻ったホシノがユメ先輩を叩き起こしながら、何とか話を進めていきます。
「え、えっと。何から始めて行けばいいんだろ?」
「早急に対処すべきなのは……、『カイザーローン』辺りですか? 連邦生徒会が取り扱ってくれるか解りませんが、とりあえず訴え出ておいた方がいいかもしれません。」
慣れない頭を回しながら、そういう彼女。
知らずの内に私達のことを罠に嵌め、同時に悪事に利用していたという事実は、暁のホルスの怒りに火をつけていました。単に突っ込んで全部吹き飛ばすことも考えましたが、それだと少し“お得”ではありません。折角手元に大きく稼げるものが置いてあるのです。それをどう使うのか、というのはちょっと色々怖くなってしまうので置いておくとして……。彼女の頭脳は、あくどい結論に辿り着いたのです。
「上に垂れ込んだらカイザーも何か反応を返すはずです。もしかしたら武力で黙らせに来るかもしれませんが、その時は私が全部吹き飛ばせば完璧。金でもみ消そうとしてきたら分捕って、ついでに土地の利権全部取り返してやりましょう。」
「ほ、ホシノちゃんがまた悪い顔してる……! で、でも。確かに生徒会としても自治区が自分の土地じゃないのは不味いよね。なんか退去勧告勝手に出しちゃってるみたいだし。」
そう言いながらマルコ、というかカイザーの商売敵である“ホーリーナイトメアグループ”が集めた資料を手に取るユメ先輩。カイザーがどう動くか解りませんが、彼女たちが訴えを出せば確実にホーリーナイトメアも動くでしょう。どうやらそのトップはアビドスに友好的なようですし、手を取り合って上手くやって行くのがいいのかなぁ、と彼女は考えます。
「よし! じゃあ後で連邦生徒会に送る書類書かなきゃ。でもすぐ動いてくれるとは思わないし……。」
「その間に何をするか、考えないといけないですね。とりあえず現金や資料をこの場に置いておくのは危険なのでホーリーナイトメア系列の銀行にでも金庫を借りてしまっておくとして……。やっぱり砂漠の探索じゃないですか?」
「あ、確かに! もう宝探しはしなくて大丈夫だけど、調査しなきゃね!」
ホシノの言葉にポンと手を打ちながら同意する先輩。
彼女の言う通り、最近のアビドス砂漠は少々おかしな状況になりつつある。つい先日まで必ずどこかで砂嵐が起きていたというのに、その数が異様なほどに減少。そして何故かその砂漠に2つの軍事組織が出現しており、定期的に紛争を起こしているとのことだった。過酷な環境である砂漠に出向くのは骨が折れるが、アビドス自治区の統治者である生徒会が原因や問題を起こしている存在を把握できていないというのは、結構な問題だった。
まぁその大半がマルコのせいではあるだが……。
砂嵐の減少はマルコが元凶のビナーを吹き飛ばして回収したからであり、暴れている軍事組織はカイザーの手の者とマルコ傘下の学園が素性を隠し『教団』として喧嘩を仕掛けているというのが真相である。カイザーは砂漠に埋まるオーパーツを探し日夜穴掘りをしているのだが、マルコ達からすれば宝の発覚時期を遅らせたい。ということでサクラコを教祖とした謎教団を生み出しちょっかいをかけているという感じである。
だがまぁユメ先輩もホシノも知らぬこと。とりあえず怪しいのを見つけたらまとめて縛って矯正局にでも送ってやろうというのが、彼女たちの考えであった。
「よーし、そうと決まれば早速準備しよホシノちゃん!」
「はいはい、解ったから引っ付かないでください。あと水と食料ちゃんと鞄に入れてくださいよ? この前鞄の中空っぽで大変だったじゃないですか。」
「解ってるよぉ~! あ、そうだ! とりあえず目指そ? 貰った資料に書いてあったとこ!」
「……なんか誘導されてるみたいでいやですが、闇雲に探すよりマシですか。」
そんなことを言い合いながら、ドタドタと出発していく二人。
その後、マルコの資料に書かれていた“怪しい”地点ことカイザーPMCの拠点を襲撃することになり、たまたまというかスタンバっていた『教団』の者たちと共闘してカイザーを恐怖のどん底に叩き落すことになるのだが……。それはまた別のお話。
あ、ちなみに雷帝が自分で列車砲シェマタの量産工場を破壊して痕跡も消しましたし、アビドスの借金や土地問題が解消した上、ユメ先輩が遭難しなくなったのでアビドス高等学校編も崩壊しました! やったねカービィ!
『ぽよ! ……ぽよ?』
〇雷帝のお掃除計画
とりあえず雷の神秘で全部一か所に転移させるだろう? それで後は亜空間に纏めておくだろう? その後は廃品回収車……、ではなくマルコに『おやつをやろう』といいながら放り投げれば完璧よ。データも全て消去しておるし、残っているのは後輩たちに迷惑の掛からぬものばかり。
確かに我がキヴォトスに戻ってきていることがバレれば問題故“なんかそれっぽくキヴォトスに残ってたら危機を呼び込みそう”だが実際は別に何でもないものを残しておる。ま、心配するな。我はマルコではない故な! はーはっは! ……え、月面基地? いやキヴォトス民があそこに行くのは無理だろうと思って……。あ、はい。マスドライバー片づけます。
〇ゆうえんちのおみやげ
どれもしんぴたっぷり! ゲマトリアのお墨付きだよ! え、黒服が逃げられたかって? あはー! マルコと雷帝に逃げられるわけないじゃん。