ピンク玉の神秘   作:サイリウム(夕宙リウム)

27 / 31
27:ちょこ?

 

「クックック……、というわけでバレンタインなのでチョコを頂けませんか?」

 

「昨日な上に、捕まってる身分で良く言えるなお前。……さっきのお土産屋にあった贈答用の奴でいい?」

 

「えぇえぇ、ありがとうございます。」

 

 

口がどこにあるか解らないが、とりあえずゲマトリア男3+1人組のそれっぽい所にチョコを放り込んでやる。というかデカルコマニーの口ってどこなん? まぁ投げときゃ後で拾って食うだろ。

 

そんな目の前にいるのは、炭素繊維ケーブルでぐるぐる巻きにされた彼ら。黒服にマエストロに『そういうこった!』さんたちだ。あ、なんか雷帝が暇つぶしに作ったケーブルだから私でも引きちぎれない意味不明強度の最強ケーブルだよ! さっき振り回して地面に叩きつけたら大地が割れちゃうぐらいには頑丈! すごいね!

 

……というかお前らなんでここ来てるのさ。一応関係者以外立ち入り禁止だぞ、ここ? まだ開園してないし。

 

 

「いえいえ、関係者ですとも。ほらこちら資金援助の証明書類になります。」

 

 

そう言いながら縛られた腕で自分の胸元を指差す彼。

 

彼の言う通りそこに手を突っ込んで引っ張り出してみれば、結構な量の書類が。そこには確かに資金援助と物資提供をする代わりに園内への立ち入り自由という契約内容と、ワドルディの手の跡のような物が残っていた。……拇印か?

 

 

「……わにゃ太郎、コイツから金とか物資貰った?」

 

「わにゃ。」

 

「知らない大人からもの貰うなってお母さんからよく言われるだろうがッ!」

 

 

そう言いながら元気よく『もらった!』って返事してくれるワドルディに拳を叩き込む。

 

神秘を込めなかったせいで私の指の骨が砕ける音がするが、今は叱る方が先だ。あのねぇワドちゃんたち。こいつら悪い大人だからね? ポップスターでいう薄紫ピエロとか青フード王冠タマゴみたいなドノツラフレンズなんだよ? まぁそっちの価値観だと基本攻撃してこない限りはどんな悪者でも対等で仲良くしようぜ、みたいな所あるけどさぁ……。とりあえず今後こいつらから資金&物資援助受けるの禁止ね?

 

 

「わにゃ!」

 

「はい良いお返事。……んで、どこまで介入したの?」

 

「我らは資金と物資を援助しただけですともマルコ殿。彼らに手を出すなど傑作を汚す行為に他ならない! 確かに多少心得はあるが、かの神秘を前にすればすべてが児戯!」

 

「キヴォトスにおける一般的な市場にあるものをそのままお渡ししています。マルコ殿の懸念するようなことは一切ないと我らの名に誓いましょう。」

 

「そういうこった!」

 

 

……普通にわにゃたちが何してるか観察してただけってこと?

 

 

「クックック……、その通りですとも。彼らは“かの地”に於いて最弱に等しい存在と聞きます。けれど実際に見て理解できるこの神秘量。我らが想定していた『崇高』の遥か高み……。彼らが生み出す品々ですら、これまでゲマトリアが積み上げて来た法則を逸脱しているのです。」

 

「つまり。私の目の届かない学園外、しかもベアトリーチェっていうゲマトリアが元々統治していた場所だから覗き見し放題だし、文句言ってきそうな統治者はあそこで虚無になってるから観察し放題だった、ってこと?」

 

「「「Exactly!」」」

 

 

仲いいなぁお前ら。

 

……ワドルディたちが真っ先に排除しようとしていないことからも、こいつらに敵意がなくまたワドルディたちに危害を加えたことはないのだろう。彼らの性格的に一度危害を加えた瞬間こっぴどく叩きのめすだろうし、周りにアリウス生がいてウチの元スケバンな学園生がいるのならあそこでイチゴジャムになったベアトリーチェがもう幾つか増加しているはずだ。まぁアレを見て自重したのかもだけど。

 

そも、神秘量の差的にワドルディを連れ去ってどこかで研究するのは難しいだろう。格が違い過ぎるのだから。

 

今日初めて見たけれど、既にぽよ様の強化を受けていない私よりも強いのが見て取れる。雷帝ですら『崇高化』しなければ勝ちの目が見えてこない理不尽さ。ポップスターの魔境具合が伺えるよねぇ。

 

 

「あ、でもゲマトリアが出資者だと色々ダメだから今から取り上げるね? 対外的にも不味いし、アリウスの子達の心情からしてもベアトリーチェの関係者が関わるのはダメでしょ。というわけで創立……、面倒だからもう株主総会始めまーす、マルコちゃん一人で『わいわいアリウスアイランド』の株全部買い占めってことで!」

 

「マルコさんに比べれば少額ですが、少数株主権を発揮できるだけの投資はしているはずです。ここは権利を……。(マルコの振り上げる拳)……クックック。何でもありません。」

 

「はい、じゃあ異議がないようなので総会これで締めますね。決定!」

 

 

そう言いながら閉会を宣言する。ほら、非公開どころか存在自体周囲に認知されてないのがアリウスだから……!

 

いやでも後で色々手配しなきゃだな。一応アリウスの土地ってトリニティの自治区内にあるんだけど、人の寄り付かない廃墟というか、地図上には『何もない』指定されているんだよね。ウチの学園内で流通させてる地図には『古文書とか見る限りこのあたりだろうなぁ』って感じで、上の許可なく立ち入らないようにしてねと通達の上記入してたんだけど……。やっぱり対外的には『トリニティ』なのだ。

 

ナギサ様がお政治力をぶん回しているけれど、まだまだ私達の影響力も強いのだ。ちょっとティーパーティーに掛け合って最初から『私の土地』だったことにして、連邦生徒会も巻き込んで色々問題ないようにしないと……。最悪アリウスのみんなが不法滞在者になっちゃうもんね。急ぎませんと。

 

 

(最近超人ちゃんが頑張ってるせいか、連邦生徒会に札束ビンタが効かなくなってきたのも確かなんだけど、今彼女ゲヘナの戦後処理で忙しいみたいだからね。今の間に色々と進めさせてもらいましょう。……ついでに防衛室あたりにもう唾つけとくか? 勝手にクーされるぐらいならこっちで手綱握っといた方がいいだろ。)

 

 

利き手の方がワドルディをパンチしたことで砕けてしまっているので、近くにいたわにゃ太郎にタブレットを持ち上げて貰いながら、各所に指示を送っておく。ついでにセイア様たちにもアリウスの現状報告を済ませておく。とりあえずこれで……、んどうしたの雷帝? あ、回復してくれるの。感謝感謝。

 

 

「ポップスターで拾った骨付き肉だ。未だに地面に置いてあるブロックを破壊することで入手できるという法則が理解できないが……。骨折ぐらいすぐに治るだろう。」

 

「あぁ、アレね。というかあっちをキヴォトスの常識で理解しようとしちゃダメでしょ。あるがままを受け入れなきゃ。ということでわにゃちゃんたち? こいつら外に捨てて来て? あと今後出禁ね。」

 

「わにゃわにゃ。」

 

「クックック、少しお待ちいただけませんか?」

 

 

そう言いながらいつの間にか集まってきていたワドルディたち、テーマパークの制服なのか特徴的なバイザーを頭にした彼らに輸送の指示を送ろうとすれば……、黒服が口を開く。何? マルコちゃんたち忙しいんだけど。あ、資金援助とか物資提供の代金? あとでお前が毎年送ってきてくれてるお年賀の住所に送っとくけど?

 

 

「いえいえ、その件は単に投資させて頂いただけですので返して頂く必要はありません。ですが同時に、我々の処遇を決めるのは少し待っていただきたく……。」

 

「申し開きでも?」

 

「えぇ。資料の方をご覧いただければご理解いただけると思うのですが……。彼女達、アリウス生の皆様の“学業支援”を行っていたのは我らゲマトリアです。あぁもちろんベアトリーチェは除きますが。」

 

「学業支援……? おいおいまさかッ!? わにゃ太郎ッ!」

 

 

お前まさか……、アリウス生にお勉強の指示出してなかったのか!?

 

 

「わにゃ?」

 

「むぅ、そもそも学びというものは強制されてするものではないだろうという顔をしているな……! まぁ確かにその意義は理解できるが。」

 

「キヴォトスじゃ違うんですよ……ッ!」

 

 

雷帝の言う通り、本来の“学び”というものは自身の周囲にあるもの全てから経験や気付きを得てそれを自身の知識として昇華していくものなのだろうが……。この学園が密集し国家を為す様なキヴォトスというか、近代教育はちょっとそれじゃダメなんすよ……! え、もしかしたら今のアリウスって結構ヤバい? 識字率とか大丈夫?

 

 

「クックック……、こちら先日実施した試験成績になります。我らも暇ではありませんので基本の五教科に絞って行いましたが……。かなり不味い状況でしたね。現在は小学生から中学生向けの教材を主にお渡ししている状況になります。あぁもちろん、そもそもの学習習慣がないようでしたので、BDではなく我ら主導で行わせて頂きました。」

 

「……マ?」

 

「クックック、マですよ。確かにゲマトリアらしからぬ行いではありますが、これも一種の“契約”です。マルコさん、貴女は恩を理解し忘れぬ方でしょう?」

 

 

そう言いながら手渡されるアリウスの子達の成績表を雷帝と一緒に流し読む。

 

綺麗に纏められている上に、学年ごとに分けられ五十音順に並べられているからこれだけで『戸籍』。キヴォトスにおける学生名簿としての扱いも出来るだろう。……軽くしか見ていないが、そもそも紛争地域な上にベアトリーチェが学兵育成施設としていたせいでほぼ全員がヤバいことになっている。

 

けれどゲマトリアが介入し始めた辺りから……、徐々に成績が伸び始めている子が多い。個々人の推移などが纏められたページを見る限り、私達が出会うだろう『先生』のような生徒に対し無償の愛を注ぐような存在でないことは解るが、少なくとも『契約に基づき“目的”を達成するために最適な行動』をとっていることは理解できる。

 

 

「少し個々人の趣味が出ているようだが、学習指導要領の方もおかしくはないな、うむ。」

 

「本来ならば芸術を為す時間を社会科の授業に強いられてしまうのですぞ? 美術史を細かく扱っても許されるものでしょう。」

 

「多少“作文”に力を入れた程度です。むしろ彼女たちの場合であれば自身で何か作り上げる経験が今後の糧になるでしょう。確かに我らは『悪い大人』ではあるでしょうが、同僚や後に続く若人に経験を共有することもあります。社会人でも新人教育などあるでしょう?」

 

「そういうこった!」

 

 

……つまり今後もワドルディたちが出来ないアリウス生への学習支援とかしていくから、テーマパークの出入りぐらいは認めてほしいってこと?

 

 

「「「Exactly!」」」

 

「それ気に入ってんの? はぁ。まぁ確かにそこは必要だろうしやってくれるのならありがたいんだけどゲマトリアだからなぁ。……雷帝、面倒見れる?」

 

「ん? あぁさっき言っていたアレか? ベアトリーチェの監視含めてここの長にとかなんとかっていう。まぁある程度監視は出来るが、教育は専門ではない故な……。既に『先生』が来ていれば投げつけることも出来ただろうに。」

 

「だよねぇ……。とりあえずこっちからも人出す方向性でなんとか。」

 

 

私が運営する『学園』は高等専門学校の体を取っているから5年制なのだが、数年前に無理矢理大学と大学院も併設して『生徒』でいられる期間を限界まで引き延ばしている。このあたりはちょっとややこしいんだけど、キヴォトスの『テクスチャ』を壊さないように『大学生の枠組みではあるんだけど、“高校”の中にある大学生コースだから、実質的に高校生』な感じにしているのだ。

 

だからその中にいる教育関連の勉強をしている子に頼んで教育実習の名目で派遣するのは簡単だし、大学教員として呼んできた教授たちに任せるという手もある。でもまぁアリウスの子達は結構デリケートだろうし、可能ならカウンセラーとかも用意した方がいいだろう……。

 

うん、この辺りは『お金&武力』担当のマルコちゃんじゃ無理だね。セイアちゃんはセクシー過労フォックスだし、リオちゃはミレニアムでちょっと面倒ごとの対処中。私もそっちに手を貸さないとだし……。まだ比較的時間があるサクラコ様あたりにお任せしちゃおうか。

 

 

「……はぁ、まぁ一応悪いことはしてないみたいだし、こっちの利になることもしてる。なら対価を渡さなきゃ、ね? いいよ。出禁処分はやめておいてあげる。でももし少しでも怪しいことしたら……。アレよりももっとひどい目に遭ってもらうよ?」

 

 

そう言いながら指差すのは、今もなお砲台に弄ばれているベアトリーチェの姿。たぶんここが開園しても“オブジェ”として置き続けるだろうソレ。こっちには私どころか雷帝もいるのだ。逃げ延びることは不可能。ちゃんとその意志が伝わったようで、ゲマトリアから強い頷きを頂けることになった。

 

ま、彼らにとってもワドルディという特大の神秘を観察できるし、その作ったものを容易に手に入れることができるわけだ。そうそう裏切ることはないでしょ。

 

 

「クックック、感謝を。……それはそれとして雷帝殿? 以前マルコさんとの決戦時に使用していた『崇高』状態、可能ならばデータを取らせて頂きたく……。」

 

「あとでな。……さてマルコ、かのベアトリーチェは問題ないようであったし、ゲマトリアはいたがほぼ無害と言っていいだろう。そして我らの前には、かの地で大いに民を沸かせた“ミニゲーム”たちがある。今後キヴォトスに合致したものに変化されてしまうだろが……。『オリジナル』、満喫したくはないかね?」

 

「あたぼうよッ!」

 

 

んじゃとりあえず……

 

 

「「刹那の見切りから」」

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

「いやー、メタ様は強敵でしたね……。まぁ正確にはメタ様の仮面を被ったわにゃだったんだけど。」

 

「そっちも大変だったのね。」

 

「リオちゃには敗けるって。セミナーに研究に、大忙しなんでしょう?」

 

 

遊園地の件から数週間後。サングラスと帽子という軽い変装をした私は、リオちゃこと調月リオと一緒にミレニアムの地を歩いていた。彼女からの呼び出しを受けてこっちまで足を運んだってわけね?

 

 

「忙しいのは確かだけど……。パフォーマンスは常に最大を維持しているわ、セミナーでの実績も十分だし。このままいけば1年早く“生徒会長”の座につけるはずよ。」

 

「お、流石リオちゃ。」

 

 

彼女はこれまで、私達『秘密のお茶会』の技術面を単身で補って来てくれた。確かに学園の方でサポートしてくれる他研究員や昔のリオちゃに教えを説いていたあの戦闘機の開発者ネキとかいたんだけど、その統括は全て彼女がやってくれていたのだ。

 

今はその継続に、セミナーの仕事。更に今後やってくるだろう危機に『自分が矢面に立って』素早く対応できるようにミレニアムでの政治活動もしている。私からの資金援助や、セイア様の未来視による補助でかなり優位にことを進めているらしいが、その仕事量はかのセクシーフォックスにも劣らないだろう。

 

それを涼しい顔でやっているあたり、ほんと凄いよねぇ。

 

 

「……まぁ、早めに『コレ』を完成させたいからというのもあるわ。貴女のおかげで資金の問題は無くなったけれど、生徒会長でなければ手を出せない領域もあるもの。万全を目指すのであれば、そちらからの強化も試さないと。」

 

「もう十分すぎる気もするけどねぇ? にしても、壮観だなこりゃ。」

 

 

そう言いながら立ち止まる私達の前には、大きく広がった平地が一つ。見渡す限りすべてが真っ白な地面だが……、まだここは“建設途中”の場所だ。リオちゃによると生徒会長に就任後正式にミレニアムの資金でこの地に要塞を立てていくつもりのようだが……。私からすれば既に過剰なような気もしてくる。

 

ま、確かに仮想敵を“ポップスター”にまで広げれば私たちがどれだけ用意しても“過少”にしかならない。私の知識や、セイア様の予知夢を度々共有しているのだ。彼女が強く危機感を持ち続けているというのも仕方のないことだろう。

 

 

(原作みたいに“追い込まれている”わけではないもんね。まだ余裕のある表情してるし。)

 

「では、起動するわ。」

 

 

彼女がそう言うと、私達を地響きが包み込んでいく。

 

そしてその発生源は……、私達の目の前。ただ何もない真っ白な地面だったそこが、ゆっくりと開いて行き徐々に地下から伸び出てくるのは、大きな都市群。数えきれないほどのビルが立ち上り、それを囲う様に全てを守る鉄の城壁が伸び出てくる。

 

 

「要塞都市、エリドゥ。その地下部分よ。ここから見えるすべてが『演算領域』。城壁の耐久力はかの第三預言者ビナーの口部レーザー砲を耐えきる設計で構築、都市上空にも同様のエネルギーバリアを張れるわ。内部の居住区は最大で10万人、まだ非常食の運び込みはしていないけれど、試算では内部だけで5年間の生存が可能よ。」

 

「……な、何と戦うつもりなんですかねぇ?」

 

「キヴォトスの危機よ。ここから地上部分の建築が終われば+10万の合計20万人が半永久的にここで生存し続けることができるようになるはずよ。貴女たちの話からすると、私達人類種そのものの生存が危ぶまれる相手が多々存在するのでしょう? まだ足りないけれど、備えるに越したことはないわ。」

 

 

まぁ、ねぇ?

 

この世界では多分存在しないだろう、いやしないでほしいと願うばかりだが……。ポップスターの存在する世界では、様々な厄ネタが存在している。かの裏切りフードタマゴが狂った元凶にあたる王冠を生み出した文明に、星々を無理矢理開拓していく企業、そして未だぽよ様でもその全貌を把握しきれない上に“彼でも勝てるかどうか解らない”と私が思ってしまうほどの上位存在である『ディスカバリー』の“文明の担い手”。

 

上記二つはまだぽよ様をお呼び出しすれば何とかなるだろうし、既にある程度解決済みのようだが……。最後はマジでヤバいのだ。リオちゃがこの星にいる人類種の絶滅を可能性の一つに入れ、“生き残る”ためにこんなものを作るのも、理解できてしまう。

 

 

「マルコ、貴女の懸念も理解しているわ。おそらく私だけでは、危機の大きさを抱えきれず余裕を得ることなどできなかったでしょう。でも、今は違うわ。まだ打ち明けられていないけれどミレニアムでの交友関係は良好だし、貴女たちもいる。まだまだやれるわ。……それに、“ソレ”を理解しているから貴女は資金援助をしてくれたのでしょう?」

 

「まぁ、ね?」

 

 

まだこの世界では、リオちゃは横領をしていない。というか『秘密のお茶会』関連の事業における資金の出所は、9割近く私の懐からだ。流石にこの規模はお財布が泣き叫びそうになったんだけど……、リオちゃも大事なお友達だからね! サポートするのは当然ってことよ!

 

それに、ずーっとお世話になってるからねー!

 

 

「私が出来るのってお金と武力だけだからねぇ。雷帝みたいにリオちゃに技術提供とかできないし。だったらもうできることを全力でやるべきでしょう? ……まぁ調子乗って事業拡大したせいで、またナギサ様からの視線がヤバいんですけど。」

 

「……そちらも大変ね。」

 

「ま、私のやらかしが発端だからねぇ。しかたないよ。……さてリオちゃ! 今日はわざわざこれを見せるためだけに私を呼び出した、ってわけじゃないんでしょ?」

 

 

本題にいこうよ、本題。

 

 

「えぇ……。見てもらった通り、このエリドゥは『都市全体』が演算領域となっているわ。これだけではまだ不安だったのだけれど、あの可愛らしい子達。ワドルディのおかげで生み出された新たなプログラミング言語『わにゃ語』を扱うことでおそらくキヴォトスの存在では凌駕出来ない地点に行きつくことが出来た。」

 

 

わにゃ語ってなに?

 

そんなことを考えていると、彼女がこちらを向きほんの少しの不安の色を乗せて、私の目を覗き込んでくる。

 

 

「プロトシリーズ、ドラグーンの限られた領域でビナーのハッキングを軽く凌駕した実績を考えれば、おそらく『名もなき神々の王女』を抑えることも可能。そしてもし失敗したとしても、貴女がいる限りそれは“危機”足りえない。……セイアの見た未来より2年も早いけれど、時間に余裕がある今対処すべきよ。手伝って、くれるかしら?」

 

「あはー! 私がYES以外言うと思う?」

 

「……確かに、それもそうね。既に場所は割り出してあるわ。行きましょう。」

 

 





〇アリウスの学力

内乱が続いた場所な上、ベアトリーチェが真面にお勉強を教えるわけもなく……。なんとか識字率は維持しているがそれ以外はかなりひどい状態であったアリウス。そしてワドルディたちがキヴォトスでの教育を教えれるわけもなく……。ゲマトリアたちも確かにワドルディの確保やアリウスにおける姫の確保を考えたが、ベアトリーチェの末路を考えた結果『悪い大人』であったとしても方針の転換をすべきと考え直し、恩を売る方向に切り替えたようだ。その結果として学業支援を行っている模様。

マルコとの契約によって悪いことは出来なくなったが、多分研究はこれまでの比ではないレベルで進んでいるのでキヴォトスで一番楽しんでる奴らかもしれない。ベアトリーチェ? まだ砲台で遊ばれてるよ?



〇地下要塞都市エリドゥ

キヴォトス最大の演算領域にして最堅の城塞都市。構成するそのすべてが演算領域として使用可能でありながら、防壁や住居として使用可能な調月リオの最高傑作のひとつ。しかしながらまだビナーの砲撃に耐える程度の防御力しかなく、その演算力もキヴォトスにおける頂点でしかない。本来であればサンクトゥムタワーなどのオーパーツに劣る程度の力しかないはずだがポップスター由来の神秘である『わにゃ語』によってとんでも強化を受けている。

リオの考える危機は既にキヴォトス内のものから外へと移っており、ダークマター族・ハルカンドラ・ハルトマン・ディスカバリー文明などを想定している。マルコや雷帝、そしてそのバックにいるぽよ様の存在は彼女も理解しているため強い危機感に苛まれているわけではないが“もしも”を考えるのが技術者。と言うことで人類種の存続のために使用できるシェルター的な役割も兼ねているようだ。今後も増築及び強化が予定されている。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。