カトレアと過ごすちょっとした日常   作:あるみーな

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5 VS アイリス

アイリスとサルビアはそれぞれボールを構える。ポケモンバトルの準備完了の合図だ。

 

「使用ポケモンはお互いに3体ずつ。バトル中の交代は自由でいいよね、事務員のお兄さん?」

 

「うん、いいよ」

 

「よーし、それじゃ...えっ!?」

 

瞬間、サルビアから先ほどまで全く感じなかった覇気を感じ取り、アイリスは驚愕した。それは観戦しているジムトレーナー達も同じようで反応を示していた。

 

(何、これ...。さっきまでと全然違う!こんなの、いったいいつから...!)

 

そう思うアイリスだが、そんな彼女も覇気を出していた。

 

(へぇ...。アイリスちゃん、流石だね)

 

サルビアもアイリスの覇気を感じ取り、気を引き締める。

 

「行け、ボスゴドラ!」

 

「ミロカロス」

 

アイリスはボスゴドラを、サルビアはミロカロスをバトルフィールドへ繰り出す。

 

サルビアのミロカロスがバトルフィールドに出たとき、他の人達から感嘆の声がある。ミロカロスの美しさ、煌びやかさもそうだが、何より珍しい色違いだったのだ。

 

だが、そんなことはつゆ知らず先に動いたのはサルビアのほうだった。

 

「ハイドロポンプ」

 

ミロカロスの口から放たれる水のエネルギーの放流がボスゴドラに向かう。だが、それが着くよりも先にアイリスも指示を出した。

 

「ボディパージで躱して!」

 

ボスゴドラがその身を軽くし巨体に似合わない素早い動きでハイドロポンプを躱す。その勢いのままミロカロスに近づいた。

 

「かみなりパンチ!」

 

「ねっとう」

 

ボスゴドラのかみなりパンチの攻撃がミロカロスに直撃するが、ミロカロスはねっとうをボスゴドラに直撃させる。両者ともに効果は抜群のダメージが入るが戦闘続行は可能な状態だった。

 

「ストーンエッジ!」

 

ボスゴドラの周りに鋭く尖った岩が生成され、ミロカロスに向かう。それをミロカロスは動きを最小限にして躱していた。

 

 

「当たらない...。なら、がんせきふうじ!」

 

ボスゴドラの周り先ほどよりも大きな岩が生成される。その際にミロカロスの目が妖しく光るのをアイリスは見逃さなかった。

 

「まずい!がんせきふうじは中止!まもる!」

 

ボスゴドラはがんせきふうじの行動を解き、守りの体制に入り障壁を作った。ミロカロスの目から念波が発されるがそれがボスゴドラに影響を及ぼすことはなかった。

 

(さいみんじゅつに気づいたか)

 

(つ、強い...!この人、ホントにただの事務員なの!?)

 

アイリスに焦りが生まれる。サルビアから発せられる覇気、ミロカロスの動き、技の出し方。そのどれもが彼女の想定を超えていた。

 

「でんじは!」

 

「動き回って躱して」

 

ボスゴドラの放つでんじはをミロカロスは躱す。そのあとに続くがんせきふうじ、じだんだもミロカロスは難なく躱していた。地上で素早く動くミロカロスをアイリスとボスゴドラは捉えられずにいた。

 

(あのミロカロス、地上だというのに相当早い!ボディパージしたボスゴドラが追い付かないなんて。まずは動きを止めなきゃ)

 

「ボスゴドラ、いやなおと!」

 

ボスゴドラから発せられるいやなおと。耳をつんざくような激しい音を聞いたミロカロスは苦悶の表情を浮かべその動きを止めていた。

 

「...っ」

 

「よし、動きが止まった!もろはのずつき!」

 

頭を前に突き出し、ボスゴドラは勢いよくミロカロスに突撃する。そのまま行けば直撃ではあっただろう。だが、いやなおとから解放されたミロカロスはすぐに意識をバトルに向け、思いっきり吠えた。

 

「ハイドロポンプ!」

 

サルビアが指示する。それより先にミロカロスは水のエネルギーを口に貯め、最初に放ったものより強力なハイドロポンプをボスゴドラに向けて発射し、それが直撃した。ボスゴドラはその攻撃に耐えられず、そのまま戦闘不能となった。

 

「な、なんで...。最初のハイドロポンプより威力が上がって...?」

 

アイリスが驚きの中で発した疑問にサルビアはあっさりと答えた。

 

「僕のミロカロスの特性はかちき。いやなおとで防御を下げられたから特殊攻撃が上がったんだよ」

 

「あたし、特性を読み間違えてたの...」

 

(とはいえ、あのもろはのずつきが直撃していたら流石にミロカロスも無事じゃない。負けていたのはこっちだったかもね)

 

ボスゴドラはダウンしたが、ミロカロスも動き回ったことやダメージを受けていたことでかなり息が上がっていた。その様子をみてサルビアもアイリスの強さを認識していた。

 

「ボスゴドラ、お疲れ様。ゆっくり休んでて」

 

「ミロカロス、君もいったん戻って休んで」

 

二人はそれぞれのポケモンをボールに戻す。そして次のポケモンをバトルフィールドに繰り出した。

 

「強敵だよ、サザンドラ!」

 

「ボーマンダ、油断するなよ」

 

アイリスはサザンドラ、サルビアはボーマンダ。二匹のドラゴンが空中を飛びながら出てくる。ボーマンダは目の前のサザンドラを見ると思いっきり吠えた。それを受けたサザンドラは少しびっくりした表情をしたが、気を引き締めていた。

 

「サザンドラ、りゅうのはどう!」

 

「ボーマンダ、りゅうのまいで躱して近づいて」

 

サザンドラの口から放たれるりゅうのはどうをボーマンダは踊るように体を回転させて躱す。そして一気に距離を詰めていた。

 

「ドラゴンクロー」

 

「まもる!」

 

ボーマンダのドラゴンクローがサザンドラを襲うが、それを障壁で防ぐ。

 

「とにかく追い詰められないように距離を取って!」

 

先ほどの攻防でサザンドラは衝撃によって後退していたが、それを利用してボーマンダと距離を離す。

 

「逃がさないで」

 

ボーマンダは更にりゅうのまいを使いながらサザンドラに追い付こうとする。サザンドラは壁や地面に気を付けながらできる限り離れようとしていた。

 

「トライアタック!」

 

「躱してつばめがえし」

 

サザンドラから放たれた炎、氷、雷のエネルギーが三角形状に放たれるが、ボーマンダはそれを躱して目に見えない速度でサザンドラに突進し、ダメージを与える。直撃したもののサザンドラは倒れることなくまたボーマンダから離れるように距離を取った。

 

(あの動き、ボーマンダに対抗するために向こうもりゅうのまいで素早さを上げたか。おまけにさっきのトライアタックを見るにわるだくみも使っているな)

 

「ラスターカノン!」

 

「エアスラッシュで軌道を逸らして」

 

サザンドラのラスターカノンをボーマンダはエアスラッシュで避けると再び距離を詰めた。

 

「こんなに逃げてもすぐに追いつかれるなら!りゅうせいぐん!」

 

「ボーマンダ、げきりん!」

 

サザンドラが咆哮を上げると空からりゅうせいぐんが降り注いでくる。ボーマンダも咆哮を上げると理性を飛ばし、サザンドラにとにかく攻撃していた。その身にりゅうせいぐんを受けても怯むことも立ち止まることなくただひたすらに攻撃を続けていた。そういった応酬続くと二匹のポケモンの体力が尽きたのかどちらも地面に倒れこんだ。サザンドラもボーマンダも戦闘不能となっていた。

 

「サザンドラ、よく頑張ったね。ゆっくり休んでて」

 

「ボーマンダ、お疲れ様。休んでちょうだい」

 

二人がそれぞれのポケモンをボールに戻す。

 

「凄い、凄いよ!事務員のお兄さん!」

 

「え?」

 

アイリスが目を輝かせて言う。彼女はこのバトルの最初は焦っていた。サルビアの実力を知らなかった、ということもあるが、バトルを通じてサルビアが強いことがわかった。更にはポケモン達も彼のことを信用しているということもわかった。追い詰められた状況だが、焦りはなくなり、アイリスはバトルが楽しいという感情に変わっていたのだ。

 

「なんか、言葉でうまく表せないんだけど...。でも、ミロカロスもボーマンダもお兄さんのことを凄く信用してて凄く好きな感情が伝わってきた!だからなのかな、追い詰められたのになんだか楽しくなってきちゃった!」

 

「そっか」

 

アイリスの言葉を聞いてサルビアも安堵する。彼自身もなんとなくではあったがアイリスの焦りを感じていた。サルビアの実力が不明という未知の恐怖ともいうべきだろうか。サルビアはカトレアから以前、アイリスという少女がチャンピオンであるアデクに勝利した、ということを聞いていたためアイリスの強さはある程度把握していたのだ。実際に対峙してみてその実力は想定以上のものと感じたが、何処か納得もしていた。

 

「最後のポケモンだよ、オノノクス!」

 

アイリスがバトルフィールドにオノノクスを繰り出す。それを見たサルビアもポケモンをバトルフィールドに繰り出した。

 

「コノヨザル」

 

サルビアが繰り出したのはコノヨザル。既に戦闘準備は万全だった。

 

「コノヨザル、ちょうはつ」

 

コノヨザルがオノノクスを挑発する。それに乗ってしまったオノノクスは当然怒りだした。

 

(早速動きを制限してきたか...)

 

「オノノクス、ダブルチョップ!」

 

「ビルドアップで受け流して」

 

オノノクスの両腕から放たれるチョップ。コノヨザルは筋肉に力を込めるとその腕を使って攻撃を受け流していた。

 

「ドラゴンクロー!」

 

「れいとうパンチ」

 

オノノクスのドラゴンクローとコノヨザルのれいとうパンチが激突する。押し勝ったのはコノヨザルのほうだった。

 

「ドレインパンチ」

 

コノヨザルはそのままオノノクスの胴体に攻撃し、体力を吸い取った。

 

「くっ!サイコカッター!」

 

オノノクスの牙からサイコカッターを飛ばすとそれをコノヨザルは腕で受け流す。お互いにダメージにはなっているものの決定打にはなっていなかった。

 

「何故躱さないのだ?」

 

「え?」

 

「どういうことですか?」

 

バトルを見ているシャガは疑問に思った。サルビアの今までのバトルスタイルとしてはどちらかといえば躱せるときは躱してダメージを受けないようにするものだった。それが攻撃を躱す指示も出さず、コノヨザルも直撃こそ避けてはいたが、攻撃を躱す動作をしていなかった。

 

「ミロカロスもボーマンダも攻撃をできる限り躱すように指示していた。それが今度は逆に攻撃を受けるような指示になっているのだ。ポケモンごとに戦術を変えることはあるものの、躱せそうな攻撃もあったのにそれをいていなかった」

 

「言われてみればそうですね...」

 

ジムトレーナー達もシャガに言われて気づいたのだろう。細かいところではあるがバトルスタイルが変わっていること。実際に、サルビアがジムトレーナー達とバトルした時も躱せるものは躱すように指示をしていたのだ。

 

「ドラゴンクロー!」

 

オノノクスのドラゴンクローがコノヨザルを再び襲う。コノヨザルはそれを再び腕で受け止めていた。そしてその腕には確実に怒りのエネルギーが、霊気が貯まっていたのだった。それにオノノクスは気づいて距離を取ろうとしたが、もう遅かった。

 

「決めるよ、ふんどのこぶし!」

 

コノヨザルから放たれた相当な量の怒りのエネルギー。それが技となってオノノクスに直撃した。その攻撃に耐えられるわけもなくオノノクスは戦闘不能となった。




なんだか思っていた以上に長くなった...。


以下、簡易的な登場人物紹介。

・サルビア
今回、アイリスに勝利した。しかし、何処か対応を間違えていたら負けていたのは彼のほうだったかもしれない。

・ミロカロス
サルビアのポケモンの一匹。性別は♀。特性はかちき。色違い。アイリスのボスゴドラと勝負し、勝った。いやなおとを受けた後にすぐにでも行動に移れなかったら、あるいは特殊攻撃があがっていなかったら、もろはのずつきが直撃して負けていたかもしれなかった。

・ボーマンダ
サルビアのポケモンの一匹。性別は♀。特性はいかく。アイリスのサザンドラと相打ちになった。だが、相打ちしていなかったらサザンドラに無双を許してしまうかもしれなかった。

・コノヨザル
サルビアのポケモンの一匹。性別は♀。特性はせいしんりょく。アイリスのオノノクスと勝負し、勝った。コノヨザルというポケモンの中では比較的おとなしく冷静なほうだが、変に刺激すると流石に怒る。

・アイリス
もしかしたらサルビアに勝てたかもしれなかった。サルビアのことが最初はわからないことだらけで不安なところがあったものの、バトル中に吹っ切れた。
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