サルビアとカトレアがアローラ地方のアーカラ島にある別荘に来た翌日の朝、サルビアは早朝ともいえる時間に起きていた。
(珍しく早く起きたな...)
時間を確認し、体を軽く伸ばすとベットから出る。その気配に気づいたのか、彼の部屋で一緒の布団で寝ていたエーフィも起き上がり体を伸ばしていた。
「おはよう、エーフィ」
サルビアが声をかけるとそれに返すようにエーフィも声を出した。そして彼の部屋にはもう一匹寝ているポケモンがいる。小さめの毛布の上で体を丸めて寝ているキュワワーだ。
(この子は結局帰ろうとしなかったな...)
サルビアのことが気に入ったのか、キュワワーは昨日拾ってから彼の傍を離れようとしなかった。人に慣れているのか、かなり図太い性格をしていて気にしていないのか、はたまた気まぐれか。昨日一日キュワワーの様子を見ていて他のポケモンともめる様子もなかった。
「この子が望むなら、新しい仲間に迎えてもいいかもね」
キュワワーが寝ている様子をエーフィと一緒に見ていたサルビアは少しばかり微笑んだ。エーフィも同意するように声を出す。
サルビアのこの日の目覚めはとても穏やかなものであった。
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寝巻から着替え、部屋を出たサルビアは珍しく早朝に目を覚ましたということもあり、別荘を出てランニングをしていた。彼の周りにはエーフィとガブリアス、更には彼の起床に気づいたコクランのエンテイとヘルガーが一緒に走っていた。
因みに、カトレアのポケモン達は皆、睡眠に物凄く強いこだわりを持つご主人と一緒に夢の中である。それはサルビアの他のポケモン達も同じである。
更に因みにだが、サルビアも普段は朝早くから起きるような人間でないことはここに補足しておこう。
時間帯のこともあり、周りにすれ違う人もおらず一人と四匹のポケモン達は一番足の遅いサルビアのペースに合わせる形で走っていたが、息を上げるのが一番早かったのもサルビアであった。
「はぁ、はぁ、はぁ」
距離にして別荘からおよそ1㎞弱、というところ。サルビアは立ち止まり膝に手を付けていた。並走していたポケモン達は特に疲れた気配もないが、サルビアが止まったのをみて走るのをやめて彼の周りを囲うようにサルビアの様子を心配そうに見ていた。
(やっぱり、体力は相当落ちているな。最近までポケモンバトルも運動も禁止されてたとはいえここまで酷くなるものなのか)
昔に比べて全然走れなくなっていることにサルビアは落ち込む。身近にあった大き目の木を見つけそこに寄りかかるように座り込んだ。持ってきていた水をポケモン達にも分け与え、残っている分をサルビアは飲み干した。
「君達は疲れていないだろうけど、少し休んだら戻ろうか」
その言葉にポケモン達も同意の声を上げる。ガブリアスが周りを興味津々に歩き回るが、エーフィとエンテイ、ヘルガーは休む姿勢をとっていた。それを確認したサルビアは空を見上げた。
(トレーナーに復帰した後、何をしたいか、か...)
サルビアはこの数日、ずっと悩んでいた。体が不調になる前は様々な地方を巡りジムに挑戦したり、ポケモンバトルの大会に出たりと過ごしていた。全てが順調、とまではいかなくても彼自身、楽しい日々を過ごせていた。ここ数年は体の不調の回復に専念することになり、他に目を向ける余裕がなかったが、体の調子も取り戻しつつある今はそういったことを考える時間も生まれていた。
(また色んな所を旅する?それともジムリーダーや四天王になることを目指してみる?あるいはフロンティアブレーンとか?それとも...)
サルビアは一般のポケモントレーナーに比べると実力があるほうなのは自覚があった。そのため、今まで挑戦者としてバトルをしてきたところを一般トレーナーの壁として立ってみたり、他のトレーナー達の実力を伸ばしていったりするのもよいかも、と考えていた。うまくできるのかはわからないが、何事もやってみないと分からないが彼のスタンスの一つである。
(それにカトレアのこと。ちゃんと向き合ってあげないとね...)
察しの悪い、とよく言われるサルビアではあるが、そんな彼でもカトレアのことに感付かないわけはなかった。十代の若い女性が親元を離れ、ポケモンもいるとはいえ男の人と二人暮らし。四天王や他の仕事もしながらサルビアの回復のサポート。実家にいたときはお嬢様である故か家事が全然できていない彼女がメイドにいろいろと教わり、特に料理はものすごく頑張っていたと彼女の実家の親やメイド達から聞く。後は最近の行動。特に、家にいるときは他の人の目もないからかポケモン達が見ていることがあるとはいえ抱き着いてくることが増えたのだ。
「自意識過剰、なのかな...」
ぼそりと呟いたサルビアの言葉にエーフィも、エンテイもヘルガーも目を見開いて一瞬サルビアを見た後、三匹は目を合わせた。三匹とも驚いているのだが、サルビアが何に悩んでいるかを読めないでいるのだった。
そんな中、周りを散策していたガブリアスはサルビアのもとに戻ってきていた。
「ん、どうしたの?」
ガブリアスは焦っている様子だった。その様子を見たサルビアが立ち上がるとガブリアスは彼の手を取りそのまま連れ出した。
「ちょ、ちょっと!早いって!」
サルビアは手を取られたのが一瞬のことで反応が遅れたが足が縺れてこけそうになりそうなのを何とか姿勢を正して走っていた。他の三匹もその後を追う。
少し草原を進み、途中で立ち止まるとガブリアスは爪である一点を指していた。
「ちょっと、落ち着いてよ...」
ガブリアスの指した先、そこにいるのは一匹のうろこポケモン、ジャラコだった。
「ジャラコだ。何でアーカラ島に...。野生なのか?」
ジャラコにサルビアが近づく。ジャラコがアーカラ島にいることには疑問だが、ガブリアスが焦る理由とはならないと考えていた。が、ジャラコの様子を見て一瞬でその表情を焦り変えた。
「な、だいぶ弱ってる...。なんで...」
ジャラコの様子は息も絶え絶えでかなり弱っていた。ガブリアスが焦っていたのはこれのことだろう。
「兎に角、別荘に戻ろう」
サルビアはジャラコを抱きかかえ、滑空モードに切り替わったガブリアスの背中に乗り、四匹はランニングの時とは異なり猛スピードで別荘に向かっていた。
小説書き始めた後にサルビアという名前のキャラがアニポケにいた事実。その話、見たことあったはずなのに名前を全然覚えてなかった...。
以下、簡易的な登場人物紹介。
・サルビア
体力が昔に比べて落ちたことを嘆いた。後、これからのことで色々と悩んでいる。昨日に続いて野生ポケモンを拾うことになった。普段は起きる時間はあまり早くない。
・ガブリアス
サルビアのポケモンの一匹。性別は♀。特性はさめはだ。作中では言及していないが色違い。動き回ることが好き。
・エーフィ
普段からサルビアの傍にいることが多い。