Fate Staynight The GrimReapers 作:怪人k
今回で幼少期編が終わり次回から学園編に入ります。
ちなみに今回のサブタイトルの和訳間違いであり間違いではありません。
その理由は、本編でお確かめください。
「・・・正義とは、人の数ほど存在する物だ」byハンク
SIDE 士貴三人称
士貴が衛宮邸に来てから五度目の夏を迎えていた。
五度目の夏・・・・・・・
そうこの世全ての悪の呪詛によって呪われた切嗣の死期が迫っていたのだ。
士貴のうやむやにされた原作知識でもこのことは、しっかりと覚えており士貴としては、今まで育ててくれた切嗣に恩を返す思いで最期の時までそばにいようとしていた。
そしてとある真夏の夜、切嗣が衛宮邸の縁側にて士道と軽く雑談をかわした後、今度は士貴を呼んだ。
「それじゃ、じいさん俺は寝るから・・・・・兄貴おやすみ」
「・・・ああ」
士貴が縁側に来ると切嗣との雑談を終えた士道が士貴を見ると寝るのを口実にこの場から離れた。
実のところ士貴と士道は、仲が良いとは言えず切嗣が居る時は表面上仲良くしているが二人きりになると会話が一切無い。
別に士貴は、士道のことを嫌悪に思ってはいないが士道の方が士貴を警戒してか、いつも一歩引いた立場にいるため士貴も近づかないだけである。
「ははは、相変わらず仲が悪いな君達は」
士道が去った廊下を眺めながら切嗣が呟く。
「・・・気づいていたのか?」
「ああ、僕の前では仲良くしているふりをしているけど雰囲気で嘘だと解るよ」
切嗣は、苦笑いをしながら仲良くしたらと言った。
「・・・向こうが距離を置くんだ此方から近づく理由もメリットも無い」
士貴が冷たく言い放つ。
「士貴は、現実的過ぎるその性格を直した方が良いよ」
切嗣が呆れながら言う
「・・・善処しよう」
此処で会話が途切れ二人は静かに庭を見つめる。
数十分が過ぎた辺りで士貴が話を切り出した。
「・・・話したらどうだ切嗣、別に世間話をするために呼んだ訳ではなかろう?」
「士貴、君は鋭いね・・・・・・・・そうだな・・・・・・・・・」
切嗣は、士貴の鋭さに参りながらしばらく考えた後言葉を発した。
「少し昔話をしようか・・・・・・・・」
今此処に理想主義者と現実主義者の一夜限りの対談が実現した。
SIDE 切嗣三人称
「僕はね、正義の味方になりたかったんだよ」
「・・・過去形だな」
「ああそうだね・・・正義の味方になって全ての人を救いたいと思っていたけど、現実は残酷でね多数を救う為には、少数を切り捨てなくては、いけなかったんだ最初僕も頑張ったんだけど少数を切り捨てるのが辛くてね、正義の味方は廃業したんだよ」
「・・・もう少し詳しく聞かせてくれ」
切嗣は、自身の過去を語った。
自身の父親が作った薬のせいで初恋の少女が死徒と呼ばれる吸血鬼になってしまい少女に殺すことを懇願されるもそれを拒否し少女を治そうとして奔走が大勢の人が犠牲になったことそしてその原因を作った父親を殺したこと自身の師匠が乗った飛行機が死徒に汚染され被害を食い止めるために師匠が生きているにも関わらずスティンガーミサイルで飛行機を撃墜したこと願いを叶える聖杯を巡って魔術師達と殺し合いをしたこと等多数を助けるために少数に対して自身が何をしたかを話した。
(僕は何故年端も行かない子供にこんな話をしているんだ?)
切嗣としては、先ほど士道に話したようにオブラートに包んで話すつもりだったが何故か自身が今までしてきたことを話していた。
まるで教会の懺悔室で自身の犯した罪を告白し懺悔する咎人のように・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・」
切嗣が話終わると辺りは、静寂に包まれた。
「・・・・・成る程な・・・・・・衛宮 切嗣・・・」
「なんだい?」
静寂を破った士貴は、切嗣を見ると語り出した。
「・・・次は、俺の話をしよう」
士貴は、自身がこの世界の人間では無いこと前の世界での行いそして死んで転生してこの世界に来たことを話した。
(もちろん神様のことやこの世界がアニメの世界であることを伏せたが)
(道理で子供らしく無い訳だ・・・)
切嗣は最初、士貴の話に驚いていたが士貴の今までの言動から納得した。
「・・・俺も全てを救う正義の味方に憧れて軍に入隊した
・・・だがそこに正義はなくあるのは、一部の権力者の利権を守る為の任務だけ、俺は任務を遂行していくうちに正義の味方はいないと思うようになり正義の味方になるのをやめて任務を遂行するだけの機械になっ成り下がった・・・・・」
士貴は、自虐的に笑った。
「・・・最期に関して正義の味方を諦めた筈なのに自身の自己満足の為に一人の少女を助けて自分と仲間が死ぬ羽目になった・・・・・・少女一人を助ける為に人が八人も死んだ・・・・・・・・飛んだお笑い草だッ!!」
切嗣は、今まで此処まで感情剥き出しにした。士貴を見たことが無かったのでまたもや驚いていた。
「・・・済まない、感情的になり過ぎた。」
士貴は、直ぐに自身を落ち着かせ切嗣に謝罪した。
「いや、僕は大丈夫だよ」
「・・・済まない」
そこからしばらく沈黙が続いたが士貴が口を開いた。
「・・・とにかく切嗣、貴殿は自身の行いを恥じることはない・・・確かにお前は、大勢の人間を殺した・・・しかし
それ以上に多くの人間を救っている・・・人を救った数より殺した数の方が多い俺よりマシだ・・・・・」
士貴は、切嗣の目を見ながらそう語った。
(僕と同じ目をしている・・・・)
切嗣から見て士貴の瞳は多くの絶望を間近に観てきた瞳だった。
それは、切嗣の瞳と酷似していた。
「・・・それに全てを救うことが正義とは、限らない」
「!・・・それは、どういうことだい?」
「・・・正義は、人の数ほどある・・・・迷子になって泣いている子供に手を差し伸べて一緒に親を探す通りすがりの一般人も正義、義理と人情の名のもとにシマとカタギを守るヤクザも正義、・・・・・・正義とは、人々の一人一人が正しいと思い貫く信念のことだ」
切嗣は、思った自分と士貴は、似ているが自分には到達出来ない境地に士貴は達していると痛感した。
「・・・故に俺から見たら切嗣・・・・・貴殿も正義の味方だ」
士貴は自信を持ってそう締め括った。
(まさか、最期の最後に励まされるとは、・・・)
切嗣は、励まされたお返しに士貴に言った。
「なら、僕から見たら君も正義の味方だね」
「・・・どういうことだ?」
士貴は、一瞬驚いた表情を浮かべたが直ぐに普段からしている無表情に切り替わり質問した。
「僕が多数を救う為に少数を切り捨てる正義の味方なら、君達は見ず知らずの少女を助ける為に自分たちの命を惜しまずに戦ったんだ。それを正義の味方と言わずなんと言うんだい?」
「・・・つまり俺は、少数を救う為に多数の犠牲を惜しまない正義の味方と言いたいのか?」
「そういうことだね」
切嗣の肯定の言葉を聞いて士貴は考える素振りをした。
「・・・成る程そう言う考えも有るのか・・・・・」
しばらく考える素振りをした士貴は、そう結論した。
そして最期の時だと言うのに二人は他愛のない世間話をしばらくの間続けた。
(僕もそろそろ限界かな・・・・・・・・)
「士貴・・・・・最期に2、3質問しても良いかな?」
切嗣は自身の時間が無いことを悟り士貴に一番聞きたかったことを聞こうとした。
「・・・構わない」
士貴は、軽く了承した。
「君は、この世界で正義の味方になる気はあるかい?」
この質問の答えに士貴はしばらく迷う素振りをした後簡潔に答えた。
「・・・一応は・・・」
「ならどんな正義の味方になるんだい?この世界でも全てを救う正義の味方になろうとしているのかい?」
切嗣としては、士貴そのような茨の道に進んで欲しく無かった。
「・・・いや、流石に不特定多数の見ず知らずの赤の他人を助けるほど俺は超人でもお人好しでもない・・・そうだな・・・・・今は、まだいないがいずれ出来るであろう大切な存在を守るくらいの強さを持った正義の味方になるよう努力するつもりだ」
士貴は、切嗣に答えるというより自身に対して誓うように言った。
「はは、今の君の強さなら十分に守れると思うんだけどな」
「・・・俺はまだ未熟だ」
士貴の返しに呆れながら切嗣は、最後の質問をした。
「なら最後の問いだ・・・・・」
「僕も輪廻転生出来るかい?」
「・・・・・・」
切嗣の予想外の問いに一瞬、黙り込んでしまったが正直に答えた。
「ああ、恐らくな・・・・・だが俺と同じように前世の記憶があるとは、限らない。」
士貴の転生は、特別であって他の転生も士貴と同じく前世の記憶を継承しているとは、限らない。
「いや、転生出来るたけで十分だよ」
切嗣は転生出来ると聞いて嬉しそうな顔をした。
「・・・転生先今度こそ全てを救う正義の味方になる気か?」
「いや、もう[その正義の味方]になる気は無いよ今度は僕も君と同じように大切な存在を守るだけの正義の味方になるつもりだよ」
切嗣は、初恋の少女シャーレイ、師匠のナタリア、アシスタントの舞弥、そして妻のアイリ・・・・切嗣は今は、亡き大切な人達を心に思い浮かべそして誓った
(次の世界で生まれ変わった彼女達に会えるとは、限らない僕も今の世界の記憶があるとは、限らない・・・・・
それでも・・・・次こそは、彼女達を守る正義の味方なってみせる!!)
「・・・そうか、頑張れよ」
士貴は、相変わらず無表情だったがどこか嬉しそうだった。
(僕は、士貴のことを似た存在だと思っていたが・・・・・どうやらその考えは、改めた方がよさそうだね・・・・)
切嗣は、再び士貴の顔を見た。
士貴の瞳は、確かに切嗣と同じように多くの絶望を間近に観てきた瞳だったが切嗣と違いその瞳の奥は、自身の信じた道を突き進む覚悟があった。
(やはり士貴は僕とは違う存在だ・・・)
切嗣は、自身と士貴の違いを悟った。
切嗣が理想を追い求め現実という壁に敗れ屈した理想主義者なら、士貴は現実という壁を十分に理解していながら諦めず理想を追い求める現実主義者なのである。
「そうか、・・・・それを聞いて安心した・・・・ハァー・・・・どうやらもうお別れのようだ・・・・」
ついに別れの時が来た・・・・・・・・
「士貴・・・君との別れを残念に思うよ・・・・」
「・・・・衛宮 切嗣、俺も貴殿という人的資源に会えて光栄に思う・・・・この五年間はとても有意義だった・・・・・」
「はは、僕としては嬉しい限りだ・・・・・じゃ、もう逝くよ・・・」
「・・・俺の主義的にさよならは、言わない故に言わせてくれ・・・また会おうと・・・・」
「ああ・・・そうだね、また会おう・・・士貴」
切嗣は、優しく微笑むと空を見上げ闇夜に光る満月を見た。
「ああ・・・・・良い月だ・・・・」
切嗣は、そう呟くとゆっくりと目を瞑り永遠の眠りに付いた。
SIDE 士貴三人称
「・・・逝ってしまったか・・・・・」
士貴は、穏やかな表情で旅立った切嗣を確認後、縁側から立ち上がると切嗣に向かって敬礼した。
理想の為に戦った正義の味方に対する士貴なりの敬意の表れだった。
一分程、敬礼をした後士貴は、再び座り込み空を見上げた。
空には相変わらず満月が士貴と切嗣を見守るように存在していた。
「・・・ああ、良い月だな・・・切嗣」
士貴は、思った。
切嗣と自分は、似たような存在だが自分と違い最期は幸せだったと・・・・・・
何故なら最期に見た光景が自分と違って鉛色の曇り空ではなく夜空に浮かぶ美しい満月だから・・・・・・・
今回のサブタイトルは、アニメとある魔術の禁書目録のある回のサブタイトルを引用したものです。
そしてついに次回から学園編に突入します。
駄作者も改めて頑張る所存です。
皆さまよろしくお願いいたします。