俺とカーリーはあれから数日、いつも以上に護衛に力を入れた...今じゃ前に戦った化け物だろうが完全武装した襲撃者どもが襲ってきてもE.G.Oの力を使わずとも追い払えるレベルになっていた...少し鍛えたという事実もある
そんな事を実感しながら休憩でカーリーと煙管や煙草を吸っていた時にアインが部屋に入ってきた
「ヌベス、少しいいか?」
「急にどうしたんだアイン?」
「いや...少し見せたいものがある...お前はこの中で口が堅くて信頼できるからな」
俺は少し困惑しながらカーリーの方を見る
「行ってこいヌベス、後は私でも何とかなるはずだ」
俺はその言葉を信じてアインに着いて行った...
——????
俺はアインに着いていき、奥へ奥へと続く階段を降りていく
「...なぁアイン、そろそろ話してもらってもいいんじゃないか?」
「......これから向かう場所のことか」
「そうだ、そろそろ頃合いかもだし、教えてもらってもいいだろ」
「...すぐに分かる」
アインはそのまま歩き続けて、俺も溜め息をつきながら着いていく
...そして階段を降りた先には廊下があり、奥には扉がある
「これは...」
「....................」
アインは無言で扉を開けて、俺は見てしまった...
「アイン...コレは.......」
そこには緑色の液体が入ったガラスカプセルに入っている謎の植物の様な根の生えた脳があった
「ヌベス...分からないのか...彼女は
「...おぉ、面白い冗談を言う様になったな、アイン」
俺は鋭い目つきでアインを睨む...その目には微かな怒りが宿っていた
そして俺はアインに近づいてさらに睨む
「その冗談...二度と言えねぇ口にしてやろうか...?」
「冗談でも何でもない...彼女は生きている...それ以上でもそれ以下でも—」グイッ
ドンッ
「ふざけた事抜かしてんじゃねぇぞクソが!!」
俺はアインの首を掴んで壁に押し付ける
「ぐ...うぅ......っ!」
「カルメンはこんな事望んじゃいねぇ...んな事はお前も分かってるはずだろ!」
俺がそう言うと、アインは苦しみながらもニヤリと笑う
「カハッ...くっ...面白い事を言う...」
「あ"ぁ"!?何ほざいてるクソが!!」
「カルメンが...望んだ事は...まさにコレじゃないか......!」
アインはそう言いながらカルメンだった物に目線を向ける
「彼女の望み...それは都市を蝕んでいる心の病を治す事......彼女がやっている事はまさにそれだ...!」
「遺言はそれで十分か?...俺はお前を-」
俺が首を絞める力を強くした時、何者かが俺の首に謎の装置をつけて...そして
カチッ!
バリバリバリィッッ!!
「うぁぁぁぁぁあああああ—!?」
「ア-アイン!大丈夫ですか!?」
「カハッケホッ...問題はない」
「べ-ベンジャミン......てめぇ...!!」
俺の声に気づいたベンジャミンは少し気弱な目で俺を見つけて手を貸す
「その装置はこの部屋を出次第では壊しても大丈夫です...ほら」
「...ちっ、...ん」
俺は潔くベンジャミンの手を取り立ち上がる...そしてまた怒りを宿した目でアインを見つめる
「そんな目で見るな...他にも見せたい物はあるんだ...それだけでも見ていくといい...」
「.........あぁ」
俺は静かにそう答えてアインに着いていく...そして着いた先には蒼白い肌と髪の色をした人物が装置の中に入っている
「...コイツは?」
「まだ名前は無い...だがコイツはカルメンの記憶と脳から設計した
俺はその言葉に衝撃を受ける...そしてアインに問い詰める
「お前...やってる事分かってんのか?...都市の禁忌を犯そうとしてんだぞ?」
「分かってるさ...だがコレからやることにコイツは必要だ...連れてきた理由は無論、カルメンとコイツを護って欲しい」
俺はカルメンだった物の方へ振り向いた後に再びこの機械を見る
「...まんまとハメられたってとこか?...お前らコレを作り、関わってしまった俺も同罪...そうだろ?」
「その通り...だがコレはお前にしか頼めないんだ...」
俺は顔をしかめながら俯く...そしてカルメンだった物の方へ歩み、そして心の中で話す
「(なぁ、カルメン...あんたが俺達に託した事は...これのことなのか...?」
俺は静かに見上げてカルメンだった物をじっと見つめた後にまたアインの方を見る
「分かった...引き受けよう...ただしお前らがカルメンの望んだ事を完遂出来なければ...俺はカルメンの名の下にこの施設をぶっ壊してカルメンを自由にする...異論はねぇな?」
「.......好きにしろ」
アインはそう言った後、俺は振り向いてこの部屋を出て首についた装置を握りつぶした
「上等だ...都市の禁忌を犯しちまったんだ...
そして俺は歩く...そして自分の言った言葉に疑問を持つ
「...
そして俺は思い出す...そう、あの夢に出てきたあいつ...奴はその調律者の特徴に当てはまっている...そして——
——過去に一度...ソイツとすれ違った事があった
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数年前...
俺はその日、とある依頼で巣に来ていた
内容は単純...要するに俺にインタビュアーになって欲しいとのことだった
こういう依頼はかなり珍しいし、報酬もまぁまぁ美味かったから引き受けてそこにいた
そんな感じで俺はインタビューをしている時だった
「それで、その後はどうだったんです?」
「それが——で...そして——」
俺は少し不慣れな敬語で現場にいた奴にインタビューを行う...そしてそんな中で、爪が俺の横を通りすぎる
「うおっ—」
『邪魔だ...インタビューをするなら場所を考えろ』
「す-すいません...(こいつが足爪...噂には聞いていたが凄い覇気だな...)」
俺が少し移動している最中...爪に続いて歩いている高貴な姿をした女が通り過ぎ、俺は少し寒気を感じた...そして振り向いて奴を見た
黒と金色を羽織ったどこか不気味で、全てを見通す様な目をした奴だった...俺は目があってしまった
だが彼女はただニヤリと笑って、歩き去って行った
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なぜ俺はこいつの事を忘れていたのかは自分でも分からない...そして思い出した今はあの不気味な笑顔が脳裏に浮かぶ...
そして...そして仮にもあの"夢"で見たのが奴なら...研究所のみんなは...カーリーはみんなこいつに
俺は気付けば拳を握り締めていた...
「だぁっ!クッソ!...今考えてもしょうがねぇ...とりあえず今日の事は誰にも言わずにカーリーの所に戻って護衛を続けるか...」
そして俺はまた歩き続けた...
「...............................」
そして俺は知らなかった...俺とアインの密談を聞いていた人物がいる事を...
その裏切りは一体誰だろうか...ヌベスはまだ知らなかった