「.............フゥー」
今日俺は護衛の任務を終え、ただ研究所内を煙管を吸いながらただただ歩いていただけだった...
「おっとと!どいてどいて〜!」
「よっと...大丈夫かエリヤ?」
そして俺は大量の資料を抱えていたエリヤとぶつかりそうになったが俺は彼女が倒れる前に受け止めた
「あ-ありがとう、ヌベス」
「いいって事よ...それより最近忙しそうだな?」
「うん......カルメンが死んじゃったから...私達が何とかしないと...」
「......そうか」
その場の雰囲気が重くなってしまい、俺は咳払いをした後に彼女の肩をポンと叩く
「悪いな...俺やカーリーだって力になりたいんだが...」
「別にいいよ!守ってくれるだけありがたいし...それなら私だって—」
エリヤは何かを言いかけて、飲み込むが、俺はそれに気づいてエリヤの肩を掴む力を無意識に強める
「なぁエリヤ...俺はお前みたいに抱え込む人間が一番嫌いだ...だから飲み込まずに吐け...頼むから」
それを聞いたミシェルが俯いたまま目を合わせずそのまま理由を話した
「私ね...コギト実験に参加できなかったの...理由は私の体とコギトの相性合わなくて死んでしまう可能性があるって...アインが言ってたの」
そして気づけば彼女の目から涙が溢れていた...
「っ...私だって...私だって...!カルメンやみんなの力になりたかったの!...なのにっ...なのにっ—」
その時、俺は指で彼女の涙を拭い、そして彼女の目をじっと見つめた
「っ...え...?」
「少し落ち着けエリヤ...こういう時は息を吸って...スーッ」
「スーッ...」
「ハァーッ...吐いて」
「... ハァーッ」
しばらくこうしていると、段々とエリヤの表情が暗くなくなっていく
「どうだ?少しは楽になったろ?」
「...うん、ありがとう」
「問題ねぇよ...別に感謝されることもないさ」
そう言って俺は新しい煙管に火と着けて吸う...そしてエリヤがそれを見て気になったことを言う
「ねぇヌベス...それを吸ったら楽になったりするの?」
俺はその予想外の質問を聞いて少しだけむせた...だが気を取り直してその質問に答える
「まぁ、人によるかもな...俺とカーリーは楽になるが...実際は人の肺や臓腑を真っ黒にするだけの毒さ...」
「じゃあ...何でヌベスは吸い始めたの...?」
そして俺は幼少期のことを思い出す...だがこれはただのしょうもない記憶だ
「忘れた...正確にはただあまりハッキリしないだけだよ...」
「...そう」
「何だ?吸うなら俺は全力で止めるぞ?...俺はお前含め研究所の奴らをこの煙に依存させたくはないからな...」
「分かってるわ、その位ね!」
エリヤが笑いながらそう答えて資料を持って歩き出した
「じゃあまたね、ヌベス!」
「おう、また明日」
そう言ってすれ違いで歩き出し...そのまま俺は部屋に戻り、先に待っていたカーリーとさっきエリヤと話した話題について相談などをして寝た...
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「...また明日...か」
エリヤは部屋に戻り『COGITO-0798』と書かれた注射器を手に取って呟いた
「ごめんね...ヌベス...約束破っちゃうかもね...」
その2日後、研究者の1人がエリヤが最近見かけないと思い彼女の部屋に行くと、コギトによる苦痛にまみれて死んだエリヤの遺体が見つかったそうだ...
エリヤが死んでしまい、俺はどこか虚無に包まれながら研究所の屋上で煙管を吸う
「..............」
コツコツと、階段の方から足音が聞こえる
「ここに居たか、ヌベス」
「............」
カーリーが階段から登り、そして隣に座った後に煙草に火を着けようとした
だがカーリーのライターのオイルがなくなっていた
「ちっ、運がないな」
横目で見ていた俺はコートのポケットからマッチを取り出し、火を着けてカーリーの煙草に運ぶ
「ほらよ...」
「ん......」
火を着けた後、重い空気の沈黙が続いた...カーリーは何もない表情で夕陽を見ながら煙草を吸い、そして俺を見た
「エリヤは...元気な奴だった...見る限りじゃ実験には人一倍尽力していたみたいだぞ」
「...そうか」
俺は空を見上げた...そして地下にあるカルメンだった物を思い出す...今じゃ見る影もクソも無いアレを...カルメンと呼んでいいのかはわからないが...次は絶対に......
「.................」
「どうした?」
「いや、何でもない...」
「...先に行ってるぞ」
そう言って煙草を強引に素手で握りつぶして火を消した後に、カーリーは階段から降りていった
「特に問題は無いか...結構前に盗聴器やら盗撮やらでトラウマになったのを覚えてるよ*1」
俺はあの後屋上から降りて、研究所を隅々まで確認して部屋に戻ろうとした...だが俺は遠くから何かが聞こえる
「っ...おぇ...ぇぇ...!」
「!この声は...」
俺は即座に駆け出して、そいつの部屋に入ろうとした...鍵がかかっていたので、俺は無理矢理ドアを蹴飛ばして部屋に入り、トイレの前で過呼吸で倒れているガブリエルを見つけた
「おい!おい、
「っ...はぁっ!......ぉぇ...ヌベ...ス...?」
「何があった!?クソッ!」
俺は無理矢理でもガブリエルを運び、ソファに寝かせる
「待ってろ、今水を持ってきてやる...薬も—」
「いや...大丈夫ですから...」
「そんなんで大丈夫な訳ねえだろ!すぐ持ってきてやる!」
俺はそのまま駆け出して、ガブリエルはただきょとんとしながら壊れたドアを見つめて俺のことを待った...
しばらくして...
「で?...何でドアを壊したんです?」
「いや、ほんっと悪い...お前の事が心配だったから...つい」
「“つい”じゃありませんよね?“つい”じゃ...ねえ?」
「...ハイ」
俺はこいつのドアを蹴飛ばして壊した事に腹を立てて、俺は正座を強制されて説教を喰らっていた
そしてガブリエルは溜め息をついた
「まぁ、今回は緊急だったので大目に見てあげましょう...頭を上げてください」
「あぁ...本当にすまなかった...」
「...あの...薬、ありがとうございます」
「え...ああ、いいっていいって...なんかお前、最近調子悪いのか?」
「...................」
俺はガブリエルと同じくらい鋭い目つきで睨む
「................」
「嘘を言っても、信じないでしょうね...」
ガブリエルはコップの水を一口飲んで続ける
「精神的なストレス...最近判明したんです...私は常に平静を保ち、装っていると思ってました...」
ガブリエルは自分の震える手を少し見つめて、そのまま続ける
「カルメンが死に、エリヤも死んで...最終的にはそれらの犠牲によって幻想体が増えるばかりです...」
「.................」
「もうどうすることもできないんです...私は...私は—」
俺はマズイと感じ始め、すぐに近寄ってガブリエルをなだめる
「おい、落ち着けバカ」
「っ...はぁっ...すみません...私とした事が...」
「...今日はもう休んだほうがいい...アインからは俺が伝えとくから...何ならお前が生まれ育った巣...いや、お前の実家に送り届けてやるから」
「...お気遣いありがとうございます、では時間も時間ですし」
「おう、元気出せよ」
そう言い残してヌベスはガブリエルの部屋の外から出ていった
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ヌベス...すみません...」
ガブリエルはそう呟いて、かなり高い研究所の屋上の上で下を眺める
「もう耐えられないんです...」
そして深く息を吸い、そして飛び降りた
「......さようなら」
ドシャッ...
翌日...偶然外にいた研究員がガブリエルの遺体を見つけて、飛び降り自殺で亡くなった事が判明した......
俺はその話を聞いた後、俺はただ憂鬱と哀悼...そしてひしひしと感じる怒りにまみれながら外の外郭を歩き回る...
「.......なんで、みんな死んでいくんだ」
そう呟き、目の前の化け物の方へゆっくりと歩く...
グオオオオ-
俺は奴がまだ戦闘態勢に入っていないにも関わらず、間合いを詰めてゼロ距離でショットガンを奴の脳天目掛けて撃ち抜く
バァンッ!!
そして化け物は一瞬で倒れて死骸と化し、俺は煙管を吸いながら眺めて呟く
「悪いな...俺は今気が立ってんだよ...」
そう言いながらその死体を蹴り、そしてその場を去った....
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ヌベスの自室
「っ...はぁ...クソ...どこだったっけな...」
俺は棚の中を漁ってある物を探す...
「...っ、あった...!」
俺は『精神安定剤』を取って蓋を開けて中にある大量(5~10錠)に錠剤を口に含んで飲み込む
「ゴクッ...っっ...はぁ...はぁっ...!」
俺は頭を抱えてベッドに腰をかけ、呟く...
「俺が...耐えねえと...カルメンが耐えれなかった分...俺がみんなを守って耐えねえと...」
錠剤を飲んでいる理由は二つ...
一つ...俺はもうカルメンやエリヤ、ガブリエルを含む多数の研究所のみんなが死んでいき...気が気じゃなくなってきた...
二つ...俺はあの日からずっと...同じ悪夢を見る...みんなが目の前で亡き骸として転がり、目の前でカーリーが...あのクソッタレな調律者に殺される...あの夢を...
以上を踏まえて...俺はこの薬を飲まなければ耐えられる自信がねえ...だから飲んで耐えねえと...
「おい、ヌベス?」
外からカーリーの声が聞こえ、俺は錠剤を棚の中に隠して出る
「よお、カーリー」
「大丈夫か、ヌベス?」
「あー、平気だ...へーきへーき絶好調さ!」
...流石に薬を取りすぎたか...俺の頭がラリっちまってる...
「ほ-本当に平気か...?」
「あっははは!本当にへーk–」
「オラッ!」
ゴッ!!
瞬間、俺はカーリーから渾身の頭突きをもらって一瞬倒れそうになるが喰らった部分を押さえて痛みを堪えながらカーリーを見る
「ちったあ目が覚めたか?」
「痛っつつ...ああ、悪い...少し寝ボケてたみたいだ」
俺はそのまま何事もないように話す...薬の事は言いたくない...確定で心配されるからな
「寝不足か?もしそうなら今日は休んだ方が」
「いや、お前の頭突きで目が覚めたから大丈夫だ...ありがとうな」
「...別に感謝されるような事はして無いんだが...まぁいい、先に待ってるからな?」
カーリーが部屋を出ていき、俺はほっと溜め息をつきながら薬を取り出して眺める
「悪いな、カーリー...俺が耐えなきゃダメなんだ...」
そう呟いて薬を隠してカーリーの後を追うように外を出た...
数時間後...
俺は珍しく今回の護衛でめちゃくちゃ疲れた...カーリーもとてもじゃ無いが疲れのあまり先に部屋に戻って風呂入って寝るというレベルだ...
そして俺はふらふらと廊下を歩くと...そこには人影があった...
「うっ...はぁ......よ-よお、ヌベス」
「......ジェバンニ?」
ジェバンニ、カルメンの会社の入院患者であり...この研究所でコギトの実験台である...
今、俺が目にしているのはジェバンニの疲れ切った顔と腕に見える痣や注射後があった...
「おい...その痣...」
「ああ......コギトの実験でな...」
そう言いながらジェバンニは痣と注射痕を隠すような仕草で苦笑いをしながら続ける
「...やっぱ痛いな」
「なぁ...ジェバンニ」
「言いたいことは分かる...どうせ実験台になるのをやめろとか言うんだろ?」
「.............」
「図星だな...はぁ...」
ジェバンニは溜め息をつきながら俺に近づいて答える
「頼むから...邪魔はしないでくれ...」
「...ジェバンニ」
「...すまん、ヌベス...カルメンのために出来ることはこれしか無いんだ...」
ジェバンニはゆっくりフラついた足で俺を通り過ぎていった
「.......じゃあな」
「.......................」
ジェバンニは歩き続けて、俺は廊下で1人残された
「クソが...何でだよ...」
そしてただひたすら...みんなを守れず、今までの奴らの行動をとめられなかった自分自身に怒りが湧いた
...みんな死んでいくのか?
...嫌だ
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ
.............
ざ-雑ぅ...ジェバンニだけ雑ぅ...申し訳ない...