都市の右腕   作:プティパット

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煙の様に曇りあれ(クズ)


可能性...そして再会...

 

「...ベンジャミン、今お前なんつった?」

 

「これから私たちが新しい翼となる為に、君にはある戦争に参加してもらいたいのです」

 

「...断ると言えば?」

 

俺はカーリーが亡くなった後も...カルメンの願いの為に俺は今日も護衛を続けていたが、ベンジャミンがこの研究所を新しい翼にする為にと()()()を折って欲しいとの事だ...そしてベンジャミンはある提案を持ちかける

 

「......確証はありませんが——」

 

「あ?何だよ——」

 

「——カーリーを生まれ変わらせることができます」

 

「っ!?...なんだと?」

 

「一応言っておきます...今回は都市の禁忌を犯す訳ではありません...ただ義体技術の応用でカーリーを生き返らせることが可能です」

 

「...本当なんだな?」

 

「っ!...はい」

 

俺はジリジリとベンジャミンに近づいて...俺に残された右片方の目の眼力とドスの聞いた声で圧をかけ、そして話す

 

「その言葉に...嘘は一つもないと誓え...」

 

ベンジャミンは息を呑み込んで、覚悟を決めた眼差しで誓う

 

「誓います...私は必ず彼女を...いや、今までに死んでいったみんなも生き返らせます」

 

「.............」

 

俺は一歩下がってマッチに火をつけて煙草を吸う...

 

「分かった...その提案に乗ろう」

 

「ほ-本当ですか!?」

 

「ああ...敵はどこの翼だ、言ってみろ」

 

ベンジャミンは俺が協力してくれる事に感謝しながら今回の戦争の相手の詳細を話す...

 

相手はL-社...あの都市の12区にある都市唯一のエネルギー会社...しかしそのエネルギー源から排出される「煙」がL-社の周辺区域に悪影響を及ばしている...そしてベンジャミンは()()()()()と手を組み、これから戦争を起こす為に宣戦布告の準備を進めているらしい

 

「その協力者と情報源は?」

 

「それは流石に言えません...それについての発言は私には許されてませんから...」

 

「そ...うか...」

 

「強いて言うならその協力者がR-社を雇用して私達に加担してくれると言うことだけ教えておきます」

 

「R-社か...オーケー、十分だ」

 

そうと決まれば俺は戦争に参加する為の準備をする...最低限の荷物と...煙草とマッチ、コレは必須だな...後は奮発して弾丸をかなり多めに購入してコートの内ポケットに入れていつでも装填できる様にする...その他は武器のメンテともしもに備えて強化刺青を入れ直す...

 

そうして準備万端だが...俺には行く前にやるべきことがある...

 

....................

 


 

....................

 

———?????

 

俺はコツコツと階段を降りて地下室の扉を開く...そこにはベンジャミンが居た

 

「あれ、ヌベスさん。まだ行ってなかったんですか?」

 

「ああ...少し()()をしにな...」

 

「...そうでしたね、()()()なら、あの部屋にいます」

 

「恩に着る...終わったらすぐに出発するから...」

 

「分かりました...」

 

そうして部屋の扉を開くと...そこにはみんなの亡骸が綺麗な状態で保存されていた...K-社のアンプル液が入ったカプセルなのだろう...そして俺は1人1人のカプセルに手を添えながら通り過ぎていき、最終的にには元の真ん中の位置に戻って来た

 

「なぁ、みんな...俺は少し用事が出来てな...少しここを離れるけど...ベンジャミンやアインが居るし...人工機械のドローンや警備ロボットの導入したってアイツらも言ってたけど、一応この場所はお前らに託す...」

 

そして俺はカーリーがいるカプセルの方へ向いて、そのカプセルを抱きしめる様に身体を添えて、口ずさむ

 

「行ってくるよ...カーリー(相棒)...」

 

そして俺はその部屋を出て研究所の外へ行き、心の中で呟く

 

「(相手が誰だろうと構わん...俺自身がどうなってもいい...みんなの為ならどんな翼だろうが、あの憎き「頭」だろうが———)」

 

———俺がこいつらに代わって、全て根絶やしにしてやる...!

 

....................

 


 

....................

 

12区、戦場キャンプ...

 

俺はキャンプに到着し、自分が想像していたよりも遥かに兵士が集まっていて、その中には見知った顔が1人...リウ協会直径フィクサーのサルヴァドールが居た...色々話したいが別の機会にしよう...

 

他にもあの一級事務所のウアジェトやリウ協会...そしてI-社とK-社が雇用した数多くのフィクサー達がおり、その中でも目を付けたのは黒いスーツに認識阻害仮面を付けたフィクサーで、年齢こそ15〜16そこらの青年だが...俺のフィクサーとしての勘が言っている...こいつはいずれデカいフィクサーになるってな

 

「...精鋭揃いが多いな」

 

「お-おい...あれって...」

 

「本物か...?」

 

「眼帯?特色でも傷が付くのか...?」

 

俺がキャンプに足を踏み入れて俺の気配に気づいたフィクサーや兵隊たちがざわつく...俺はそれらを無視して淡々と進む...

 

「ここか...」

 

そして俺は『R』と書かれたテントの前に来て、そして恐る恐る立ち入る

 

「失礼する——って...」

 

「あー!もうこんな時に誰——...え!?」

 

俺はテントに入るとすぐに白髪の女の子と目が合う...そして俺もこの子も面識がある...

 

「「ミョ/灰の煙雲!?!?」」

 

「なぁルドルフ...こいつが例の——」

 

「ええ、ミョも彼をそう呼んでいる通り...彼が『灰の煙雲』です」

 

「まさかあちら側から本当にあの伝説のフィクサーを寄越してくれるとはな...こいつだけでもR-社の一個小隊分の戦力はあるぞ」

 

「そんなに強いのか?その特色ってのは」

 

マキシムがそう尋ねると、ルドルフが振り向いて説明する...

 

「ヌベス...通称『灰の煙雲』はあのもう1人の特色、『赤い霧』に匹敵する程の実力があり、彼はその『赤い霧』の相棒として特色としての名を挙げている...まぁこの情報を知っているのは僕達R-社第4群と、それ言いふらしているミョなんだが...それは別として、この2人は規格外の中の規格外で『最強』の呼び名まで噂されているほどだ」

 

ルドルフがマキシムにそう説明している間、俺はミョと戯れていた

 

「しっかし、あのじゃじゃ馬フィクサーのミョがまさかR-社のウサギチームの隊長だなんてな!」

 

「も〜、やめてよ!アタシも灰の煙雲と赤い霧に憧れたから強くなれたんだから!...強いから生き残ったんじゃなくて——」

 

「——生き残ったから強くなる...俺が言うのも何だが、アイツ(カーリー)の至言だったな」

 

「あ!そうそう!さっきから気になってたんだけど、今日は赤い霧と一緒じゃないの?」

 

ミョのその言葉に...俺は思い出す...彼女の生暖かい血液...彼女の最後まで絶やさなかったあの笑顔と...冷たくなってしまった彼女の体温...その記憶は俺の脳裏に焼き付けられて吐き気がして、俺は冷静さを欠こうとしていた

 

「っ...カーリーは...その、別の任務が...あるからよ...」

 

「そっかー!赤い霧は別行動かー!一緒にいればそれこそ本当に『最強』だからね!」

 

知った様な口を聞くな...アイツは...アイツは俺のせいで...

 

「今日も赤い霧はみんなの為に守ってくれる、英雄!そうでしょ?」

 

俺は...そんなアイツを守れなっかったんだよ...!脳裏にチラつき、蘇るその記憶は...数ヶ月に渡ってもハッキリと思い出す...吐き気がする...黙っててくれ...!

 

「っ...はぁっ...!」

 

「?どうしたの、灰の煙雲...どこか具合が悪いの?」

 

「あ-あぁ...平気だ!こんなんでへばる程俺は弱くないって知ってるだろ?」

 

「そう...それでね、赤い霧は——」

 

「てめえは黙って——!!」

 

俺は遂に冷静さを保てなくなり彼女を殺す勢いで咄嗟に殴りかかろうとする...だが俺が動くその前に俺とミョはひょいとマキシムに持ち上げられた

 

「よっと!そこまでだ!ヌベスの旦那だっけか?アンタはコレから作戦会議に付き合ってもらうからお喋りはそこまでだ、ミョも伝説のフィクサーの武勇伝語りはこの作戦会議が終わってからだ!」

 

マキシムがそう言い終えると、彼はルドルフとニコライにアイコンタクトを行ってフォローする様に伝える

 

「その通りです、『灰の煙雲』のヌベスさんにとっては優先事項でしょう。油を売っている暇があるなら戦力の情報を整理した方が効率的だと僕は思います」

 

「ミョ!お前はさっきからうるさいぞ!少しは黙ることができないのか!静かにしないと独房にぶち込んでやる!」

 

そうして俺は少しだけ頭を冷やして持ち上げられたまま心の中で反省した...いくらミョに悪気はないとはいえ...このデカブツが止めてくれなかったら俺は...ミョを殺していたかもしれない

 

そうして持ち上げられていることに自覚を持ち始めた俺とミョはジタバタと降ろす様に言う

 

「ちょっとマキシム!さっさと降ろしてよ!」

 

「このっ...おい!デカブツ!さっさと降ろせ!コレじゃ作戦会議どころじゃねえだろうが!!」

 

「おっと、悪い悪い!」

 

そうしてマキシムは俺とミョを地面に降ろして、コレで本格的に作戦会議に集中できるってモンだ...

 

「さて、まずはこちらの戦力を確かめてもらう」

 

ニコライはそう言いながらそれ達に資料を手渡し始めて俺達はそれらを覗く...

 

「まずこちら側に着いてくれる味方は新生企業のロボトミー社、リウ協会、I-社とK-社が雇用したフィクサー達、私設一級事務所のウアジェト、そして我々R-社第4群がこの戦争に参加する...なお、今回ロボトミー社から特色のフィクサー『灰の煙雲』の臨戦、もとい参戦が許可された」

 

俺はニコライの説明を聞き流しながら敵戦力の資料を覗く...敵戦力はあの煙によるエネルギー生産会社のL-社、そしてそれに加担するのはE-社、G-社、そして...俺の1番のトラウマと言っても過言じゃないあのF-社がいる...「頭」(アイツ)見たいな傷口を開く様な武力支援は見た感じなさそうではあるが...仮にそうであるなら...

 

「...................」

 

「旦那、大丈夫か?」

 

「あぁ...マキシムだっけか、問題はない...」

 

「へへっ!アンタとは案外いい飲み仲間になりそうだな?」

 

「期待を裏切るようで悪いが、俺ぁ下戸なんで酒は一滴も飲めん...煙草なら付き合ってやらんこともないが」

 

「なーんだ、そうだったのか...ちと残念だ」

 

「おいそこ!私語を慎め!」

 

ニコライが俺とマキシムが集中していないことの気が立って俺とマキシムに怒鳴った後、作戦についての説明を続けるが...俺はそれを無視して考えに浸る...

 

「(カーリーが蘇る...俺の望みはただそれだけ...この戦争に勝ったらI-社やK-社からの『巣への移住権』が貰えるらしいが...俺はただこの世でたった1人の相棒、そして同時に恋人であるアイツを蘇らせる...それだけが俺の唯一の望みなんだよ...)」

 

そんな考えに浸りながら俺は我を取り戻して再び作戦内容に集中した...

 

........................

 


 

........................

 

戦場キャンプ、某所...

 

キャンプのとある敷地で、俺は煙草に火をつけて吸う...ただただ煙草を吸っているだけなのに何故か懐かしさすら感じる...

 

「何でだろうな...ただただアイツと同じ銘柄吸ってるだけなのに...」

 

そう口ずさみながら吸い続け、昔を思い出す...俺はカーリーと出会い、共に笑い、ケンカして、恋をした...だけど最終的に俺は彼女を——

 

「——守れなかった」

 

今でも思い出す...アイツの重症を負った痛々しい姿...そんな姿になってもアイツは...俺を安心させる為に死んでも尚絶やさなかった、あの優しい笑顔...俺はアイツを守れなかったのに...

 

俺は自然と涙を流して、その涙を拭う...俺は煙草を捨てて立ち去ろうとした時、突然背後から声が聞こえる...R-社第4群隊長のニコライが立っていた

 

「煙草休憩か?」

 

「そんな所だ...アンタは?」

 

ニコライは鉄柵にもたれて懐からパイプを取り出して吸う

 

「同じだ...お前は煙草派の様だな」

 

「いや...数ヶ月前までは煙管だった」

 

「そうか...」

 

俺は立ち去ろうとしたがニコライの隣に立って、彼女は問いただす

 

「先程の『守れなかった』と言うのは——」

 

俺は溜め息を吐いて彼女が質問を言い終える前に答える

 

「言葉通りの意味だ...それ以上でもそれ以下でも無い」

 

「...誰を」

 

「...............」

 

「噂通り口が堅いな...」

 

そうニコライがパイプを吸いながら言い、しばらくの沈黙が流れる...そうしてニコライが口を開く

 

「フゥ...私達R-社の特異点、それは『クローン製造』だ」

 

「!?おい、何言って——」

 

「お前は口が堅い...だからこそ信用できる」

 

「...俺がその特異点の情報を売り捌くと言えば?」

 

「それは無いな...私にはお前の様な人物がそんなカネや権力に釣られる様な奴じゃない...違うか?」

 

「..................」

 

「続けるぞ...」

 

 

そうしてニコライからR-社の特異点について聞かされた...それはクローン技術によって自信を何人も複製させる...だが都市の禁忌の一つで『7日間以上、都市に2人以上同一の人物が存在してはならない』というのもある、そこでT-社の特異点を使用して何十...何百年という時間をかけてクローン同士を殺させ、そして熟練の兵士を実質短期間で作り上げることが出来る...尚殺されていても記憶と遺伝子情報のバックアップがある為死んでもまた別のクローンとして生き返らせる...それがR-社の技術だ

 

 

「——まぁ、そんな所だ」

 

「...質問してもいいか?」

 

「言ってみろ」

 

「アンタ...というか、お前らは自分自身を殺しても何も思わないのか?」

 

「...何故そう思う」

 

「仮にでもお前らは何百年というクソみたいな時間を掛けて何百もの自分自身を殺す...それを承知の上で平然と居てられるってのか?」

 

ニコライはパイプをもう一度吸い終わった後、パイプの灰を捨てて溜め息をつき、振り返る

 

「確かに残酷で厳しいものだった...だがそれらを乗り越えてこそ我々R-社は短期間で熟練の兵士達を作り上げることが出来る...無論、私だけでなく、ミョ、ルドルフそしてマキシムだってそうさ」

 

俺はただ黙って聞いていた...だがそれでも納得出来る気がしなかった

 

「イカれてるな...R-社ってのは」

 

「次はお前の番だ...お互い腹を割れば文句はないだろう」

 

「はぁ...分かった、俺の負けだよ。お手上げだ」

 

そう言い終わった後に俺は話した...ロボトミーの研究所の仲間達が死んでいった事、頭の襲撃、そして俺の相棒のカーリーが死んだ事...全て話した

 

「——そういう訳だ...この話をロボトミー社以外の奴に話したのはアンタが初めてだ」

 

「そうか......」

 

「この話はできる限り内密で頼む...特にミョに知られたらまずいからな」

 

「分かっている...ではそろそろ解散といこう」

 

「ああ...またな」

 

そう別れを告げて、俺は自分が寝る場所に帰って明日の準備をした...

 

 




なんか俺最近終わらせ方が雑になってるんだよなぁ...嫌な癖ではある
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