あれから...数ヶ月が経った
ベンジャミンに俺はついて行く...W-社の技術の「瞬間転送装置」利用して空間転移をした後に、俺は初めて、新「L-社」となる俺が守り続けた「ロボトミー施設: X-394」...そうしてとある部屋に到着して画面をのぞこうとするが、ベンジャミンが俺を止めて先に
「ヌベスさん、まずはこれを......」
「?......なんだこれ」
そうしてベンジャミンは俺にコンタクトレンズを手渡し、続ける
「それは『認知フィルター』です......つけていないと、みんなの見た目が義体のままの姿で映ります......つけてれば生きていた頃のみんなの姿として映るはずです...仮にそれで良いのなら...自己責任でお願いします」
「......ああ」
そう承諾して俺は片目の方にコンタクトをつける...俺は再び画面に目を向けて、みんなの姿をみる
「これが......アイツらか」
みんなの姿は...あの頃と変わってはいなかった......強いて言うなら少し生きていた時から時間が経っている為、姿が少し成長している奴もいた......そして俺は目を向けた...髪と衣装が赤く、俺が...俺が一番愛していた......相棒の姿
「カーリー......」
変わっていた...右目は灰色になり、身体が傷だらけだ......だがミミクリーを持つ時、その勇姿はあの頃と何一つ変わっていなかった...
「......今行くからな」
「ッ!?ヌベスさん、待っ——」
そうして俺は振り向いてすぐさま部屋を出る...ベンジャミンは止めようとしたが俺はすでに部屋を出ていて、俺を止められなかった
上層・コントロールチーム部署
俺はドアをノックする...そして扉が開かれる
「はい......?」
「よお、久しぶりエリヤ......こんなこと言うのもなんだけどな...助けられなくてごめ——」
「あ-あの...
「.........え——」
「それに、私は
「———だ」
「......今、何か言いました?」
俺は冷や汗と恐怖感を抱きながら走り出す...
「ちょ-ちょっと!?」
嘘だ......嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ!!!
「誰かと間違われている様でしたら、お引き取り下さい......それと、私は
違う...こんな......こんなはずが......!
「ごめんなさい...あなたとは面識が無い気がするの.....私は
誰も...誰も覚えてくれて無いのか......!?
「......誰だよあんた、俺は
そんな...頼むからウソだと言ってくれ......!!
「誰よあんた!邪魔しないでくれる!?」
「こら...だめだよ、......すみません、彼女は忙しくて怒っているんです...あまり責めないでください...それと、僕たちは
「人違いならさっさと出てって!こっちも忙しいんだからっ!」
「うぅ...本当にすみません......」
ああ...そんな......ダメだ......
「え?...俺は
......ぁ...あ....そん...な
中層・懲戒チーム部署
俺は意を決してこの部屋に踏み込もうとしていた
...いやだ......カーリーだけは...カーリーだけは......俺のこと、忘れないでくれよ...
そうして開かれた先に、彼女はいた...ミミクリーを片手に持って俺の話しかける
「誰だ...貴様は」
「カー...リー.....俺だ、ヌベスだ!」
「知らん、知った事か......ヌベスだったな、私は忙しいんだ。これから幻想体の鎮圧へ行く......行手を拒むようなら...殺す...だからそこを退け」
ミミクリーを俺に向けたカーリーの目は、明らかな殺意だった...俺は一歩も下がらずに抗弁する
「カーリーッ!!、本当に...覚えてないのか?...俺達は相棒——」
ドッ!
ザクッッ!!!
「———ッッ!!」
カーリーは俺を壁に押し付け、俺の頭の真横にミミクリーは突き刺さる...そうして殺意を宿したカーリーの目を見た後に、カーリーはドスの聞いた声で呟く
「その『カーリー』と言う名で呼ぶのはやめろ...鬱陶しい...!、......私は
瞬間、少しずつ俺の中で支えていた何かにひびが入る......
「2度とそ鬱陶しいツラを見せんじゃねえ......次は本気で殺すからな...!」
そしてその言葉を聞いた時、それらは崩れ落ちた......脳裏に浮かぶのは、カーリーとの...みんなとの思い出......それらが破片になったガラスのように砕け落ちる
「ぁ...っ...う......ぁぁ....」
もう周りの音は何も聞こえない...耳に残るは静寂のみ......
俺は膝から崩れ落ちた......カーリー...ゲブラーは少し驚いた表情をしたが、すぐに俺を見下すような鋭い目つきで見つめた後にミミクリーを担いで歩み去る.....
「...ははっ、そうだ......これも、こ-これもあの夢だ...悪い夢だ......俺は、俺はずっと悩まされてたんだ...ははっ、ハハハハハハハ!」
俺は遂に...いや、完全に狂ってしまい、自分の懐からガンブレードのリボルバーを取り出して頭に向けて引き金を引く...だが
カチッ...
「...は-ははっ......なんだよ、弾...込めてねえじゃねえか......」
そうしてシリンダーを開くと弾は込められていた...そう、銃がメンテ不良を起こしたみたいだ......つまり不発で、現実は残酷ながらも「生きろ」と伝えている...
「こんな生き地獄で...俺はどうしろってんだよ......」
自分の武器を見つめ直す...そしてホルスターにしまって立ち上がり、煙草を咥えて火をつける.....だがライターの火が中々つかない...ついたと思ったら「シュッ...」と音を立てて消える...気づけば俺の目から涙が溢れていた...その涙がライターに火を消していた......
「...っ......クソがよ...っ!」
煙草を胸ポケットにしまい、その場を俺は離れた......
カメラからベンジャミンはその光景を見ていた...彼もまた、ヌベスの苦痛を分かっていた......忘れられると言うのが、どれほど辛いのかと......
その翌日、俺は部屋の中で静かに荷物をまとめてこの場所を離れる準備をする......そんな時にアンジェラが入ってくる
「......なんだ」
「行ってしまわれるのですね......」
「......ああ」
アンジェラは静かに俺の横に立って荷物を片付けるのを手伝う...そして片付けながら質問する
「セフィラ達の記憶は......今は不完全ですが、戻る事もあります。...それでも、この場所を離れるのですか?」
「戻ることもあるのか?」
アンジェラは静かに頷く
「はい...時間はかかりますが、確実です...」
「......そうか」
そう言いながら荷物の入った鞄を背負って部屋を出ようとして、振り返って偽りの憎悪を笑顔に宿した顔でアンジェラに言う
「やだね、俺はこんなクソみたいな場所から結構前から離れたかったんだ。毎日悪夢に悩まされたり、郊外の化け物共とならず者達の襲撃がイヤになったんだ。......やっと解放されるのが清々するよ」
その言葉にアンジェラは少し悲しみながらまた俺を問いただす
「ヌベス......あなたはそんな薄情な人じゃなかったはず...どうして——」
「アンジェラ...」
「ッ!......なんですか?」
「俺からお願いがあるんだ......」
振り返って、今度は本当の表情を見せる...優しい笑顔だが、繰り返された悪夢による苦痛でどこか疲れきっていた上に、切なく、そして昔の生き生きした感情は消えていた
そして...俺は静かに彼女に何かを呟く
「みんなの......カーリーの事を頼む...」
「——!......はい、わかりました」
アンジェラ少しだけ悲しみの表情を浮かべるが、アンジェラは承諾する...その承諾に俺はいつの間にか自然とあんどの笑みを浮かべた......いつぶりに笑顔を浮かべただろうと思いながらその部屋を後にした......
———十数年後...郊外
研究所を離れてから、色々あった......
けれど...毎夜毎夜見る悪夢は...未だに見続けている...
カーリーの...みんなの言葉が頭から離れない...
「......堕ちるとこまで堕ちたな、俺も」
ねじれと呼ばれる「ピアニスト」の事件... それに続いた「黒い沈黙」による連続壊滅事件... 「青い残響」の奇怪な行動... そして都市の星になった「図書館」...
俺は直接的な関与はしていない...一度「図書館」の招待状がポケットの中に入っていたが、俺は読まずに引き裂いた......その頃の俺は未だに怒りに溺れていた...
そんなこんなで...俺は独りになってもクソみたいな悪夢と人生に振り回されていた......
「...確か、ここだったはず......だ...が——」
俺が郊外に来ていた理由は、昔俺がカルメンやみんな達といた研究所で思い出巡り的なそれをやろうとしていた...はずだった......
「郊外に放棄されたとは聞いてたが......よりによってこの場所にか......
噂には聞いていた...頭が図書館を不純物とみなして郊外に追放した事......だがよりによってあの研究所と同じ場所に建っていたのだ...
「.........はぁ、どうせ俺の人生、もう何も残されちゃいねえ」
そう言いながらガンブレードのリボルバーとショットガンは両手に持ち、図書館へ向かうのだった...