都市の右腕   作:プティパット

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もうちょっとでラストですねぇ...ここまで見てくださった皆さんのために、最終話を投稿すると同時に『ご褒美』を作っておこう


図書館、そして再会《前編》

 

 

遡る事、数時間前...総記の階......

 

 

アンジェラはそこでいつも通り本を読んで、接待をした後の本を整理している彼女の召使い兼たった一人の友達、ローラン... そんな彼にアンジェラは本を読みながら話しかける

 

 

「ねえローラン、少しいいかしら」

 

「少し待ってろ〜?...よっと——、ふぅ...で?なんだアンジェラ?」

 

「あなたはヌベスという人物を知ってるかしら?」

 

「......なんか似たような展開あった気がするな、結構前に」

 

「『灰の煙雲』って呼ばれていたはずだけど......」

 

「やっぱ見た事あるなこの展開......そして勿論知ってるさ、アイツははっきり言って『最強』だ... 煙戦争の時遠くから目があった時はヒヤッとしたよ......認識阻害仮面つけてたはずなんだけどなぁ...」

 

 

アンジェラは本をパタンと閉じた後に立ち上がってローランの前に歩み寄り、話し続ける

 

 

「それで、他に何か無いの?」

 

「あー、強いて言うなら、あの『掃除屋の波』を単独で全滅させたって噂を、俺がまだチャールズ事務所にいた頃にオリヴィエやアストルフォから聞いたな......改めて考えると規格外だな...」

 

「......そう」

 

「それで?なんで急にヌベスの話を?」

 

「そういえば、まだローランには話してなかったわね......彼、ヌベスはまだ司書達の第一の人生......つまり今から10年以上前になるわね...ヌベスは『赤い霧』、カーリーの()()だったわ」

 

 

それを聞いたローランはフリーズしたかの様に一瞬ネツァクが担当している芸術の階の幻想体ページ『宇宙の欠片』が出てきた様な気がした...しばらくして正気を取り戻したローランはまた問いただす

 

 

「ちょっっと待ってくれ?......聞き間違いか?あの灰の煙雲と赤い霧が相棒って——」

 

「ああ、少し訂正するわ... 彼らは恋仲でもあるわ」

 

「...........は——」

 

 

——はああああああああああ!?!?

 

 

ローランは思わず大声を出して、それにイラついたアンジェラは本で結構強めに頭を叩く... そして正気に戻ったローラン(2回目)はただ困惑に包まれて居た

 

 

「はぁ...あなたがこのままだと埒があかないわ......簡潔に言うと、あなたには図書館の司書達からヌベスの情報を聞き出して頂戴」

 

「は-はあ...なるほど——、って待てよ?アンジェラ、お前は確かカルメンの脳内の情報で設計された機械なんだよな?...ヌベスの事を知っているお前がなんで今更司書達から聞き出す必要があるんだ?」

 

 

アンジェラはそれを聞いて、どこか悪〜い笑顔をニヤリと浮かべる...そしてローランに話す

 

 

「そういえば...あなたは情報収集が得意なフィクサーだってこの前言ってたわね?」

 

「え——、あー...まぁそうだけど」

 

「じゃあ決まりね。私は読みたい本があるから、先に席を外すわ......それじゃ」

 

「あっ!おい——」

 

 

パチンっとアンジェラが指を鳴らすと、彼女はどこかへ消えてしまった... ローランはめんどくさい事を押し付けられた気がした

 

 

「はぁ......強引な友達を持ったもんだな」

 

 

ローランは淡々と口ずさみながら、そのまま司書達がいる階層へと歩き出していった

 

 


 

 

———しばらくして...

 

 

あれからローランは分かったことがある、司書達から話を聞いた限り、ヌベスはこういう人物だったと

 

 

一つ、ヌベスはカーリーと同じく優しい... なんでも聞いた話だと、カーリーと23区の裏路地で出会って一緒に過ごして以来、性格が似通っていたこと

 

 

二つ、ヌベスはカルメンの護衛にカーリーよりも熱心だった... カーリーと同じくE.G.Oが使えようとも、カーリーの持っている『ミミクリー』とは違って普通の工房武器だ... だからカーリーよりも多少劣っているその装備でみんなを守る事に人一倍努力していた

 

 

最後に、ヌベスは全て1人で抱え込んでしまう人物だということが分かった... 司書達の第一の人生、つまり数少ない研究所の職員だった時代にみんなが死のうとしていた時にヌベスは止めようとしたり、元気づけようとしていたが...... みんなは耐えきれずに自ら命を絶った...

 

 

特に最後のやつから推測するに、ヌベスは現在精神的に参っているということが分かる... ローランはあの時のクソッタレの『ピアニスト』でアンジェリカが死んだ時... ヌベスが駆けつけてアンジェリカの死を慰めて労わってくれた事を思い出した...... そんな彼の忠告を無視していた事を思い出した

 

 

「そんな事もあったっけな......つまり俺も加害者の1人って訳か...... 都市じゃ思ったよりこの現象があるんだな...... まあ、それはそれとして——」

 

 

ローランは今、危機的状況だった... ローランが司書から話を聞く際に、ゲブラーだけを除いて情報を聞いていた...... そしてローランは今言語の階の入り口前にいる

 

 

「落ち着けローラン?...お前ならできる、仮に死んでもアンジェラが図書館の力で生き返らせてくれる、うん!そう信じよう!」

 

 

ローランはそんな言葉を自分にしばらく言い聞かせた後、ようやく部屋に入る

 

 

「おーいゲブラー?起きてるかー?」

 

 

ゲブラーはいつも通りソファーに座って目を瞑り、瞑想していた... そんな彼女がローランの声に目を開き、彼の方を見る

 

 

「なんだ、ローラン。またネツァクの奴が酒の席に誘ってきやがったのか?...それともあの青髪のボンボンがまたコーヒーでも淹れたから来いと言ってきやがったのか?...... 生憎、今の私はそんな気分じゃないんだ」

 

「今日はそんな誘いをしにきた訳じゃないし、今日は珍しくネツァクの奴が素面なんだ」

 

「あいつが?...まあ理由はともあれ、早く要件を言え」

 

 

ローランの背筋が少し凍り、肝を冷やす......そのままローランは意を決して質問する

 

 

「ゲブラー、お前の相棒...ヌベスの話を聞きたい」

 

「.........っ」

 

 

ゲブラーの表情は暗くなり、彼女の片方の目が黄色くギラリと輝く

 

 

「ゲブラー... 何か無いか——」

 

 

ローランは突然、何かが滴る音が聞こえた......ポタ...ポタと...

 

 

「?...おい、ゲブラー-...ッ!?

 

 

ゲブラーの握り拳から血が滴っている... しかもかなり量が多い、相当な怒りで握っている... ゲブラーは歯が軋むくらいに歯ぎしりをしながら、目を瞑って落ち着かせようとする

 

 

「悪いなローラン... 今日は帰ってくれ...... なぜだか急に機嫌が悪くなった」

 

「ゲブラー、話だけでも———」

 

 

ブオンッ!ガキィンッッ!!

 

 

「うおっ——!?」

 

 

ローランは手袋から辛うじてデュランダルを取り出して、ゲブラーのミミクリーによる一太刀を防ぐ... ゲブラーは鋭い眼光でローランに詰める

 

 

「それはそれでこれはこれだろ?...ならさっさと帰れ......これ以上その質問をする気なら、私は抑えられない」

 

「っっ...おいっ、ゲブラー!」

 

「聞こえなかったのか?...早く出ろ」

 

 

ゲブラーはミミクリーを下げて、またソファーに座って落ち着かせるために瞑想を続ける... ローランも流石に部屋を後にするしか出来なかった......

 

 


 

 

——総記の階

 

 

「おかえりなさい、ローラン。どうだったかしら?」

 

「アンジェラ... お前は分かっていたと思うが、ゲブラーの奴は答える気はなかった... 質問しようもんならミミクリーで切り掛かってきたし、災難だったよ」

 

「そう... それで結果は?」

 

 

ローランはひとまず司書達から聞いたヌベスの印象を話した... アンジェラはその話を聞き終わった後、話す

 

 

「ローラン、司書達の第二の人生...... つまりセフィラとしての人生の話を覚えているわね?」

 

「あぁ、その頃と何か関係があるのか?」

 

 

アンジェラは少しして本を読みながら話す

 

 

「みんなセフィラになりたての事は、記憶は不完全で研究所での思い出はモザイクがかかったように一時的に忘れるの... そんな時にヌベスはみんなの前に現れた...... ヌベス自身はとても深く傷ついた上に、精神的にも参って研究所から離れていった」

 

「そういう事だったのか、通りでこの質問をするたびにみんな少し辛そうで切ない顔をしてた訳だ... 勿論ビナーは別としてだ

 

「......彼は機械として作られた頃の私にまでも優しくしてくれた、あの頃の私はヌベスが出ていくのを止めようとした... けど結局ダメだったわ」

 

 

アンジェラは珍しく悲しげな雰囲気を浮かべながら本を閉じて、ローランに向かって話す

 

 

「みんなヌベスに謝りたいと思ってるはずだわ...... 仮にそうでなくても、少なくともゲブラーはそうでしょうね」

 

「......そうか」

 

 

そう2人が話してると、突然黄色い光のページが上から舞い降りて、ローランとアンジェラにある景色を見せる... このページはゲストが来る直前に出てくるものだ

 

 

「ん?ゲスト... こんな時間に来るなんて珍し——」

 

 

そうしてローランとアンジェラが見たものは、驚愕するものだった...... そう、ヌベスだ... ヌベスが図書館前まで歩いてきている

 

 

 

「郊外に放棄されたとは聞いてたが......よりによってこの場所にか......()()()

 

「.........はぁ、どうせ俺の人生、もう何も残されちゃいねえ」

 

 

ヌベスは両手にガンブレードのリボルバーとショットガンを構えて歩み出していく... そんな景色が映され、その景色が途切れた

 

 

「.........マジかよ」

 

「.......................」

 

 

2人は突然の出来事に黙り込んでしまう... アンジェラこそ顔色ひとつ変わらなかったが、目を見る限りかなり驚いていることが分かる

 

 

「どうする、アンジェラ?」

 

「......やむを得ないわね、図書館がこの景色を見せたということは、すなわちゲストとして迎え入れようとしている」

 

「接待の準備はしておくか?」

 

 

アンジェラは首を横に振った後、ゲストを向かい入れる場所へと歩き出す

 

 

「私やセフィラ達はおろか、あなたとの面識もあるはずだから... 彼らのセフィラとして人生の時の謝罪を含め、できる限り話し合いだけでやってみるわ...」

 

「そうか......何かあれば呼んでくれ、すぐに行くから」

 

 

ローランがそう言いながら、アンジェラはその場所へ歩き出す......向かうのは破滅かあるいは罪悪か....

 

 

 

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