都市の右腕   作:プティパット

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図書館、そして再会《後編》

 

図書館、入り口前

 

 

ヌベスは図書館の入り口に入り、辺りを見渡す...辺りは本棚と灯で包まれていた

 

 

そんな中ヌベスは新しく新調したガンブレードを購入しておりその剣を構えていた、その理由は10年前にガンブレードが整備不良を起こしてブレードに変形出来ても、リボルバーとショットガン両方とも弾が撃てないという致命的な故障をしたのだ......修理に出すが、店の店主からは無理だと言われ、新しく購入した

 

 

そんな中で、ヌベスは図書館の中を徘徊する......まだ人1人すら見当たらない

 

 

「......やっぱ放棄された場所だからか、人はもう居ないのか?」

 

パチンッ!

 

「歓迎いたします、ゲストの方」

 

「——ッ!?誰だ!?」

 

 

指を鳴らす音が鳴り、瞬きをした瞬間目の前にアンジェラが立っていた......ヌベスは咄嗟に身構えるが、しばらく容姿を見ていると、ふとその姿に見覚えがあるのか話しかける

 

 

「お前... アンジェラか?」

 

「お久しぶりですね、ヌベス」

 

「見た目も...心なしか口調も随分変わったな... って待て待て、何で俺が親戚のおっちゃんみたいな感じになってやがる」

 

「何か言いました?」

 

「あーいや、何でもないんだ... それより、何でアンジェラがこんな所に?」

 

 

アンジェラはその質問を聞くや否や姿勢を改めて自己紹介をする

 

 

「私はここの館長兼司書を勤めさせてもらってます......あなたの方こそ、どのような理由で図書館に?」

 

「......さあな、どのみち俺の人生には何も残されちゃいない。だからハッキリ言っちまえば自殺しに来たみたいなもんだ」

 

「そうですか......」

 

 

そうして再び武器を構えるヌベスだったが、アンジェラは目を閉じて溜め息を吐いた後にまた目を開いてヌベスに話しかける

 

 

「ヌベス、あなたはまだ何も失ってはいません。私はがいるということは、同時にみんな(セフィラ達)もいるという事でもあります」

 

「それがどうした... アンジェラ」

 

「昔話したことを覚えていますか?...あの頃のセフィラ達は記憶が一時的に不完全だっただけで、今はみんなあなたの事を覚えています... みんなあなたに謝罪したいと」

 

「................」

 

「それに...私も謝りたいんです...... 私はあなたを信じて良い事を続けていました... ですがアインが実行しようとしていた計画を進める為にはそれらを捨てて、数多くの犠牲を払ってしまいました。...私はその時の過大な怒りと復讐心に呑まれてしまい、あなたとの約束を守れませんでした......だから、その——」

 

 

頭を下げようとしているアンジェラをヌベスは肩を掴んで止める... ヌベスは優しい笑みを浮かべてアンジェラに話す

 

 

「ありがとう、アンジェラ。俺は気持ちだけで充分だ......だから頭まで下げなくでもいい。じゃなきゃここの館長としての面目が立たない」

 

「......ヌベス」

 

「それに、俺はそこまで短気になっちまうほど精神的に参っちゃいない。...だからアンジェラ、もういいんだ」

 

 

その言葉にアンジェラは少しの安堵を感じた... そして溜め息を吐いた後に感謝の言葉を述べた

 

 

「ありがとうございます......ヌベス」

 

「アンジェラ、無理をして敬語を使わなくてもいいぞ?」

 

「......どこまでもお見通しなのね」

 

「ははっ、俺は人を見る目が良いんだ......そんな事より、案内してくれ」

 

「ええ......図書館へようこそ、ゲストの方(ヌベス)

 

 

そうしてアンジェラは図書館の奥へと招き入れた...

 

 


 

 

総記の階

 

 

ローランは接待の準備を終わらせており、軽く準備運動をしていた時に「パチンッ」と指を鳴らす音が聞こえて振り返るとアンジェラが立っていた... そしてヌベスにも

 

 

「アンジェラ、戻ったか。......話し合いには成功——」

 

 

ローランの言葉を遮ってヌベスはグイグイと近づいてローランの顔を観察する......

 

 

「あ-あの〜......何か?」

 

「スゥー......いやな?お前どっかで見たことあるんだよなぁ......」

 

 

ローランはビクッとなり、少しでも誤魔化そうとする

 

 

「人違いじゃないですかね......ハハハ——」

 

「———あ、思い出した!......お前あの時の『黒い沈黙』の旦那さんだろ?チャールズ事務所の...... それに煙戦争で遠くから目があったよな?」

 

「.........アンジェラ、こいつすっげえ怖い」

 

「.........否定はしないわ」

 

「ええっ!?何で!?」

 

 

アンジェラ並みの記憶力にドン引きされて少しショックなヌベス... そしてしばらくするとローランと話していた

 

 

あの『ピアニスト』の事件以降どう過ごしたのか... どれほどの組織を怒りに任せて破壊したのか... 図書館での日常はどうかなど

 

 

「——と、まぁそんな所だ」

 

「そうか......みんな楽しくやっていけてるみたいだな」

 

 

それに対してアンジェラが珍しく割って入る

 

 

「ええ、ここにいる司書達は郊外に追放されてもなお楽しくやっていけてるわ......あなたの方こそかなり精神的に参ってると思ったのだけれど」

 

「同感だ、俺もあんたが精神的に参っていてもうフィクサー稼業を立ち直れていないと思ってたよ」

 

 

そんな2人の言葉にヌベスは少し表情を暗くするが、そのまま微笑む

 

 

「そりゃ確かに参ってるさ......みんなを守りきれず、カルメンとの約束を破った自分に対して怒り狂った時もあった......実際俺が図書館に来た理由は自殺しに来たみたいなもんだし......」

 

「じゃあ何で——」

 

「はっ、何もクソも無いよ......図書館に来て蓋を開けてみりゃ記憶が戻ったみんながいるし、お前らという知り合いもいる......そんな中で死のうなんざ馬鹿げてるに等しいし、何より——」

 

 

「その弱えツラ、2度と見せんじゃねえ......分かったか?」

 

 

「——ゲブラー(カーリー)との約束......まだ果たしちゃいない」

 

 

それを聞いたローランとアンジェラが互いに目を合わせて少し微笑み、ローランがそのまま続けて言う

 

 

「なら、今からでも遅くないな。アンジェラ、俺は司書のみんなを呼んでくるよ」

 

「えぇ、それが良いわ......ヌベスはそこで私達が郊外で生きているゲストの本でも読んでいてちょうだい」

 

「ああ、それなんだが......今はまだ呼ばないでくれ」

 

「え?何でだよ、会いたがってたんじゃないのか?」

 

 

その突然のヌベスのお願いに、アンジェラとローランは少し驚きの表情を見せた、そしてローランがその理由を聞く

 

 

「それは......——」

 

「——サプライズで登場した方が面白いかなぁって...」

 

「...............」

 

「ローラン、私はもうこのバカについて行けないわ......少し席を外す——」

 

うわぁ!待て待てぇ!!冗談だろぉ!?」

 

 

そんなやり取りでアンジェラからイヤな顔をされるヌベス、ローランはただ呆れた顔をしてまた問いただす

 

 

「で?結局理由は何なんだ?」

 

「その......()()ってヤツを受けてみたい」

 

「え、接待?する必要無いんじゃないか?欲しい情報も特に無いだろ」

 

「それもそうなんだが......図書館のウワサは小耳に挟んでてな。強え司書が本を守ってるって」

 

「まあ......その解釈はあながち間違っては無いか」

 

「だからよ——」

 

 

ヌベスは懐から再びリボルバーとショットガンのガンブレードを取り出し、少しずつ体をほぐしながら話す

 

 

「——今の俺がどれくらい通用するか......まあ腕試しみたいなもんだ」

 

 

その目には、微かな希望と生気で満ち溢れていた......アンジェラが10年くらい前に見たあの辛い目ではなく、心からその気力があふてっているのが見えた

 

それを見かねたアンジェラがため息を吐きながら振り向いて、指を鳴らそうとする

 

 

「ローラン、接待を開始するわよ......準備はしておいたのでしょう?」

 

「え、マジでやるのか?......もう特色との戦いは懲り懲りなんだけど」

 

「弱音は言わないで、さっさとあなたも準備しなさい。司書補達も待ってるはずよ」

 

「あー、はいはい、拒否権ないのね......それじゃ、行きますかね」

 

 


 

 

そうしてアンジェラが指を鳴らすと、場面が変わって辺りは本が山ほど積まれた「ケテル」に転送される......ヌベスは落ち着きながら両手にガンブレードを構えて、対するローランは「黒い沈黙の手袋」を装備した後、周りから司書達も武器を構えて歩いてくる

 

 

「お手並み拝見と行こうか、黒い沈黙」

 

「といっても、俺はそんな本人の跡継ぎみたいなものだけどな」

 

「そうか......それじゃ———」

 

———覚悟しときなよ?

 

 

そう言ってヌベスはとんでもないレベルの速度でローランや司書補に襲いかかる......ローランは攻撃を受け止めて攻撃を弾く

 

 

「——っっ!...っと、流石は『赤い霧』の相棒だ......(速いっ!恐らくゲブラー並みか!...前の接待でまあまあトラウマなんだよなぁ......!)

 

 

建前では冷や汗をかきながらも冷静で余裕そうに見えるが、内心は心臓バックバクな上、前にゲブラーと手合わせした際のトラウマを思い出していた

 

 

「そういうお前も、『黒い沈黙』と釣り合う程の実力があると見た......だからちと本気出すぜ?

 

 

そう言って新調したガンブレードの性能を試すことにした......ソレは弾丸を発射しない、だが弾薬を利用して威力とパワーを上げる*1......引き金を引いて2本の剣の棟についてあるブースターが火を噴き、出力を上げてローランのデュランダルによるガードごとローランを吹き飛ばす

 

 

「オラァッ!」

 

ドゴォンッ!!

 

「なっ——!?」

 

「へっ、こっちも悪くねぇな......まぁでも」

 

 

ブレードを再びしまい、司書補達がその隙に攻撃しようとした......そして懐から取り出したのは、「本物」のリボルバーだった

 

 

ダン!ダン!ダァンッ!!

 

 

「やっぱりこっちが使いやすいな!」

 

 

そうして司書補が膝をついて混乱状態になり、行動不能になる......ヌベスがそれを狙おうとするが、ローランが『ホイールズインダストリー』を取り出してヌベスが発砲した銃弾を弾いた後にデカい一撃を喰らわせる

 

 

ドガーンッ!!

 

 

「——っとぉ!?」

 

「やらせねえよっ!」

 

 

そのままローランの猛攻は続く、ローランはムク工房の刀とクリスタルアトリエで攻め続ける......ヌベスは攻撃しようとするが、ローランのクリスタルアトリエによる反撃の方が速度は速く、ヌベスに攻撃を浴びせる

 

 

「くっ......やるな!」

 

「そう言われると何だが気が楽になるよ......そもそもアンジェラが図書館の力で俺の体に都市の最高級並みのすごい強化手術をしてなかったら俺はあんたと同等に張り合える程の実力はない」

 

「へえ、図書館にはそんな力もあるんだ——なっ!

 

 

ヌベスはすぐさまガンブレードの引き金を引いて、その両手の剣から繰り出される銃弾によって爆発的な威力を得た刃で猛攻を仕掛ける

 

しかしながら、ヌベスはローランの取り巻きである司書補達を侮っていた......司書補は手元にあるページを手に取って姿が変わる

 

 

「なっ——」

 

 

—— コアページ・剣契頭目 ——

 

 

剣を抜こうとする司書補にヌベスは攻撃して止める......ただしそれが罠だった......

 

 

—— 骨断 ——

 

 

「しまっ——!?」

 

 

ズババッ!ズシャッ!!

 

ヌベスが攻撃に備えようとするがその時はもう遅く、剣契頭目のコアページによって繰り出される「骨断」の威力はヌベスにかなりの傷を負わせる

 

 

「ケホッ、ケホッ...痛ってえな、そんなものも......あったのか......油断した

 

「痛いで済むアンタの方がヤバい気がするが......それよりおい、◯◯。何でコアページなんか持ってんだよ?確かアンジェラが本になった奴らを解放したんじゃ無かったのか?」

 

 

そうローランが問うと、司書補達が口を揃えて「アンジェラ様が彼女の記憶を元に本のコアページに書いてあった情報を元にコピーを作った」と......それに対してローランは呆れながら答える

 

 

「お前らそれ早く言ってくんねえかなぁ!?今までの郊外での接待全部舐めプだったらすげえ大変だったっての!俺や他の階の司書達が苦労してるのは一体......」

 

 

そう少しトボトボしているローランをよそにヌベスは体勢を持ち直して立ち上がって構える......だがその姿は少し疲弊しており、満身創痍の状態......先程の骨断のせいで体の出血が止まらない

 

 

「こフッ......はぁ......来いよ......!」

 

「.................」

 

「ほら、どうした......さっさと——」

 

「ヌベス」

 

「............?」

 

「どうやらアンタに、お客さんが居るみたいだ」

 

 

ローランが振り向き、ヌベスもその方角を見ると......そこから誰かがゆっくりと歩いてきた......だがその影は、その姿は、ヌベスが誰よりも知っていた

 

 

赤く揺れる長い髪、どこか決意に満ち溢れた瞳、その貫禄は「あの時」と変わらない......()()は黒いコートをなびかせながら「ミミクリー」を片手に担ぎ、煙草をフカしながらヌベスにゆっくりと歩いて近づく

 

 

「...........ッ」

 

「久しぶりだな......」

 

「......カーリ-...いや、ゲブラーだったな」

 

「.................」

 

 

ゲブラーは黙り込んで更にゆっくりと近づいてヌベスの目を鋭い眼光で見つめる......ヌベスは一歩も引かずに目を合わせる

 

 

「......良い眼になった」

 

「...............」

 

「最後に見た時のお前は、迷いがあった......私はそんな眼をするヤツが都市や裏路地の次に嫌いだ。......けど——」

 

 

ゲブラーは何かを堪える様に歯を軋ませながら、ヌベスのことを見た......彼女は続ける

 

 

「——今のお前の眼は、そんなものなんて見当たらない...... 昔と......あの時と何一つ変わらない......希望に満ち溢れたその眼が......」

 

「......ゲブラー」

 

「私はずっと...お前に謝りたかった。......今でも何であの時お前の事をあんな風に言ったのか....その時の私を殺してしまいたいくらいに呪った......」

 

「...............」

 

「ごめん、ヌベス...私は——」

 

 

ゲブラーが何かを言い終える前にヌベスは優しくゲブラーに抱きつき、ゲブラーが目を見開きながらも、優しく、そして強く抱き返す

 

 

「......俺は赦すよ、ゲブラー」

 

「.......ありがとう」

 

 

それを見ていたローランと総記の司書補達はただ武器を担ぎながらも彼らを暖かく見守った

 

しばらくしてお互いが抱き合いから離れた後にヌベスは再び構え、司書補達も構える

 

 

「悪い、すっかり待たせちまったみたいだなローラン。......それじゃ——」

 

「——ヌベス」

 

「?......今度はなんだよ」

 

 

ゲブラーは少し悩み、そして頬を指でかきながら答える

 

 

「その......お前がゲブラーって呼ぶの、なんだかしっくり来ねえ」

 

「?......何言って——」

 

「それに、そんな状態でまだ戦おうってのか?」

 

 

そう言いながらゲブラーがヌベスの隣に立って、同じ方角......ローランと総記の司書補達の方へ振り向いてミミクリーを構える......一同は嫌な予感がした

 

 

「だからよ、ヌベス——」

 

 

—— またあの時みたいに、もう一度()()と呼んでくれねえか?

 

 

「———!......ゲブラー」

 

「はっ、だから...違えだろ?」

 

「......ああ、———」

 

—— ()()

 

 

この瞬間、ローランと総記の司書補達武器を再び構えては確信した......

 

 

今日、最強2人のフィクサーが再び手を取り、この瞬間からまた舞い戻ってきたと......

 

 

——伝説2人、『赤い霧』『灰の煙雲』が帰ってきます...

 

 

「「遊びは終わりだ...掛かってこい!!」」

*1
リンバス第8章のレイホンが使ってるやつの二刀流バージョン(リボルバー型とショットガン型)




どうも、作者です

えー、赤い霧と灰の煙雲編。無事に完結できました

そして前回のエピソードで言っていたご褒美ですが...少し長引くかボツになりそうです.....



何がともあれ、次の鏡世界の「都市の右腕」...誰の相棒になるか皆さんに選んでいただきたい......リクエストは感想と同時に伝えていただければ光栄です


......それでは、次のシリーズもお楽しみに
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