クラス対抗戦は侵入者の乱入により、中止となった。
まあ、一部の女子生徒が悲しんだ程度ですんだのが、幸いだった。
ちなみに、箒に関しては一ヶ月の停学処分が下されたそうだ。
俺はと言うと・・・
「完全に女体化しているな・・・」
白騎士を使った代償・・・女体化の呪いで今は『夜刀神 十香』になっている。
「フレア・・・これってどうにかならないのか?」
『そう言われましても・・・』
これを作った本人はここにいないし、どうしようもない。
ガラガラとドアが開く音がし、検査室に誰かが入ってきた。
「どうやら、元気のようだな。織斑」
入ってきたのは、千冬姉だった。
「とりあえず、着替えを持ってきた」
「と言っても女性物だろ?」
「まあな」
どうせ部屋に戻っても楯無さんの悪戯三昧が待っているし、回避不可能な未来しかない。
「ちょうど、明日は休みだ。買い出しに行ってこい。織斑」
「はい?」
「いつまでも、更識のを借りていないで、自分専用のを買ったらどうだ?」
「うっ・・・確かに」
借りぱなしは確かに悪いが・・・
「しょうがねぇ・・・そうするよ」
どのみち、他の騎士の副作用が解らない以上、買ってもそんはない。
◇
翌朝、俺はIS学園の近くにあるデパートにいた。
(とりあえず、さっさと買って戻るか・・・)
山田先生からは最低限の必需品はメモで渡されているので、楽に終わると思っていた。
後ろから声をかけられるまでは・・・
「十香さん?」
振り向くとなんと簪さんがいたのだ。
「か、簪さん」
まさか、ここで出会うとは思って居なかった。
簪さんの手元には何かの袋紙があり、どうやらあちらも何かを買いに来ていたようだ。
「十香さんは今日どうしたのですか?」
「ああ、久しぶりに日本に戻ってきたから、必需品を買いにね」
「そうなんですか。ご一緒になってもいいですか?」
「いや、いいよ。簪さんもまだ、買うもんとかあるでしょ?」
「うんん、大丈夫です。もう、買う物はすんでいますので」
なんと言う、タイミングの悪さ。
これ以上断ったらなんか悪いし・・・しょうがない。
「わかったわ。そんじゃ、一緒に行きましょ」
「はい」
この時、何故か簪さんは嬉しそうだった。
◇
下着から私服までの必需品を買って、ちょうど時間は12時を過ぎたところなので、ふたりはオープンテラスのカフェでランチをとっていた。
簪さんは日替わりパスタを、俺はラザニアをそえぞれ食べていた。
「そういえば、簪さんは何しにここに?」
「えっと・・・」
「あっ・・・ごめん、失礼だったね」
「あ、いえいえ。大丈夫です」
一瞬戸惑いながらも、簪さんは気持ちを一旦落ち着かせて答える。
「特撮ヒーローのアニメを・・・」
顔を赤らめて恥ずかしそうに答える簪の姿に、十香は嬉しそうに笑う。
「そっか。簪さんはアニメが好きなんだ」
「うん・・・」
恥ずかしそうに答える簪は可愛いかった。
「どうすればいいのよ・・・」
ふと、十香は隣のテーブルの女性に気が付く。
年は20代後半で、かっちりとしたスーツを着ている。
何か悩み事があるらしく、注文したであろうペペロンチーノは冷め切ってしまっていた。
「はぁ・・・」
深々と漏らすため息には、深淵の色が見て取れた。
「どうしたのだろう・・・」
「なんかあったのかな・・・?」
「とりあえず話だけでも聞いてみようかな」
そう言って、十香は席を立つなり女性に声をかけた。
「あの、どうかされましたか?」
「え?」
ふたりを見るなり、椅子を倒す勢いで女性が立ち上がる。
そのまま、十香の手を握った。
「あ、あなたたち!」
「は、はい?」
「バイトしない!?」
「「え?」」