「もう夕方だね」
強盗事件から二時間後、ふたりは残っていた買い物を済ませて駅前のデパートから出ると外はもうオレンジの景色に変わっていた。
「今日一日大変だったね」
「うん・・・」
「?どうしたの簪さん」
「え・・・もう今日が終わちゃうと考えると・・・」
簪は十香ともっと居たい・・・けど、彼女にも帰る場所がある。
その時間ももうない。
「あ、あの・・・」
「ん?」
「あ、アドレスを・・・教えてくれませんか!」
「アドレス?」
ちなみに、こんな事があろうかと携帯を二つ用意していたのだ。
「いいわよ」
簪は十香のアドレスを手に入れるとすごく喜んでいた。
そして、IS学園行のモノレールが到着する。
「じゃあ、ここでお別れだね」
「あ、あの・・・ま、また・・・会えますか」
簪は勇気を振り絞り、尋ねた。
「生きていれば、また会えるさ」
「は、はい!」
いつも以上の笑顔を見せ、彼女は行ってしまった。
「で、いつまでそこにいるのですか?楯無さん」
「あらあら、いつから気付いていたの?」
物陰から姿を現したのはデジカメラを片手に持った楯無と千冬姉だった。
「・・・・・・」
まさか、千冬姉までいるとは思っていなかった。
「いや~、とても面白い一日だったわ~」
「・・・・・・」
楽しげに話す楯無。
「フレア・・・〈
『え?』
十香の手に炎が収束していき、巨大な戦斧の形に変貌した。
「そのデータを寄越せぇ!!」
「ちょ!」
楯無は『ミステリアス・レディ』を展開して避ける。
その後は楯無を追いかけての戦闘が勃発した。
もちろん、これもカウントされたので無事に元の姿に戻れた。
◇
「十香さんのアドレス・・・」
IS学園の寮で一人、恋する乙女がいた。
なんと簪はあの十香に恋してしまったのだ。
「また、会いたいな・・・」
今日の彼女の戦う姿に見惚れ、完全に惚れてしまったのだ。
この後、ルームメイトが帰って来るが、そんなのを気にせず携帯を持ちながらベットの上をぐるぐると転がっていた。
◇
夕日がビル群の谷間に落ちた頃。
ビルの屋上の縁に腰掛けるようにしながら、ファイ・D・フローライトは気怠げに首を回した。
背後には、数名の人間が倒れている。
「・・・?」
ファイは不意に後ろを振り向いた。
「久振りだね・・・束ちゃん」
「うん・・・そうだね・・・くれっち」
ISの開発者がふたりそろうなんて相当ないことだった。
束はファイの隣へと座る。
「そうそう・・・一夏くんが白騎士を覚醒させたんだよ」
「へ~、いっくんが・・・」
夜景を見ながら静かに話すふたり。
「黄騎士が多分近い内に覚醒すると思うんだけど・・・束ちゃんはどう思う?」
「黄騎士か・・・今は、赤と白が覚醒しているんだよね?」
「そうだね・・・後5つ覚醒すれば私たちの願いが叶うんだね・・・」
「そうだね・・・」
子供のように足をぶらぶらと振りながら、学生時代の夢の話をするふたり。
「くれぐれも、反転だけはさせないでね」
「そうだね。あれを今のわたしたちではどうにも出来ないからね」
束はそれを言い残して闇へと消えた。
「私たちの夢物語を見せてちょうだい・・・一夏くん」
ファイも闇へと消えて行った。