インフィニット・ストラトス ~紅の騎士~   作:ぬっく~

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第35話

「一夏くんはどこにいるのかしら?」

 

IS学園の屋上で、楯無はISを展開し、エンペラーに問いかける。

エンペラーは、楯無たちの反応が楽しくて仕方ないといった様子で、さらに笑みを濃くした。

 

「うふふ、もちろんここに居りますわよ・・・・・・」

 

踊るようにステップを踏むエンペラーは、地面に円を描くように、くるっと回る。

 

「 わ た く し の 中 で す け ど ね 」

 

放たれる気は異常だった。

楯無はこの殺気は知っていた。

始めて赤騎士に会った時に感じた殺気と全く同じだった。

エンペラーはくすくす笑いながら歩み寄って来る。

 

そして、優雅な仕草で髪をかき上げる。

全員それを見て、眉をひそめる。

明らかに、異常だった。

無機的な金色に、数字と針。

そうーーーエンペラーの左目は、時計そのものだったのだ。

 

「何ですかあれは―――」

 

「ふふ、これはわたくしの『時間』ですの。SEーーー活動時間と言い換えても構いませんわ」

 

言いながら、エンペラーがその場でくるりとターンする。

 

「わたくしの()使()は、それはそれは素晴らしい力を持っているのですけど・・・その代りに、ひどく代償が大きいんですわ。一度力を使うたびに、膨大な私の『時間』を喰らっていきますの。だからーーーこうして、()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「な・・・・・・っ」

 

エンペラーの言葉に、専用機持ちは戦慄した。

すぐさまに確認するとSEが少しづつ削らていた。

 

「さて、お話はここまでにしましょう」

 

エンペラーは右腕を前に伸ばす。

 

「展開・・・」

 

エンペラーは光に包まれ、黄騎士を展開する。

それを見た専用機持ちもISを展開する。

 

「うふふ、ふふ。ああ、ああ、怖いですわ。恐ろしいですわ。こんなにもか弱いわたくしを相手に、こんな多勢で襲いかかろうだなんて」

 

微塵もそんなことは思っていない様子で、またも楽しげにくるりと身体を回転させた。

 

「でも、わたくしも今日は本気ですの。---ねえ、そうでしょう?()()()()()()

 

「えーーー?」

 

奇妙な物言いに眉をひそめる。

ーーーだが、次の瞬間。

 

『な・・・・・・っ!?』

 

セシリアと、鈴と、シャルロットと、ラウラと、楯無。

5人の声が被った。

しかしそれも当然だ。

屋上を覆い尽くしたエンペラーの影。

その中から、幾本もの白い手が一斉に顔をだしたのだから。

しかも、それだけではない。

 

「なに・・・よ、あれ・・・っ!!」

 

思わず、のどを絞って叫び上げてしまう。

だがそれも当然だ。

何しろ、這い上がって来た白い手たちはーーー

全員が、『エンペラー』だったのだから。

広い屋上を埋め尽くさんばかりに、何人も、何人も。

黄騎士を纏ったエンペラーが、影の中から這い出てきた。

 

「くすくす」    「あら、あら」    「うふふ」    「あらあらあら」    「驚きまして?」    「楯無さん」    「さあ、どうしますのォ?」    「あはははははッ」    「いひひひ」    「美味しそうですわねえ」    「さあ、さあ」    「遊びましょう?」    「いかがして?」    「ふふっ」    「ひひひ」    「ふふふふふふ」    「どうしましたの?」

 

無数のエンペラーが、思い思いの笑いを、声を発する。

 

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