インフィニット・ストラトス ~紅の騎士~   作:ぬっく~

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第38話

「ようやく、黄騎士が目覚めたか……」

 

そこは奇妙な部屋だった。

部屋の至る所に機械の備品が散らばっており、ケーブルが樹海の様に広がっていた。

 

「残りは青騎士と土騎士、風騎士、黒騎士の4機だけか……」

 

そんなかに一人の女性がいた。

ISの開発者にして、世界中が未だに探し続けている人物。

篠ノ之束、本人だった。

 

「~♪~~~♪」

 

PHANTOM MINDSが流れる。

学生時代に紅葉からもらった曲を未だに使っていた。

 

「! この着信音は…」

 

束は携帯を取るとすぐに出る。

 

「やあやあやあ! 久しぶりだねぇ!」

 

「―――。……姉さん」

 

「もしかして、欲しくなちゃった?」

 

電話の相手は実の妹である篠ノ之箒だった。

学年別では全く手も足も出すことができず敗北。

そのことから、自分もある物が欲しくなり、電話をしたのだ。

 

「箒ちゃんの誕生日にそっちに行くから、その時に答えを出すよ」

 

「わかりました」

 

時間にして、数分の会話だった。

だけど、篠ノ之束はその会話である決意が決まった。

 

「くれっちの言った通りになちゃったな……」

 

束の横には3人の女子の写真があった。

右に千冬、左に束……その真ん中に紅葉が映った写真だった。

世界に3枚しか存在しない写真。

 

「始まるのね……進化が」

 

 

 

 

「海だァ~~~~~~っ!!」

 

俺たちは今、海に来ていた。

7月初旬…俺たちはIS学園の行事で臨海学校に来ていた。

と言っても、各国から送られて来たISと装備の稼働試験を二泊三日を使ってやりに来たのだ。

一日目は自由行動と言う訳で、そのまま海に来たのだ。

 

「一夏!」

 

「シャル」

 

学年別の後、シャルロットは本当の性別を明かして女生徒としてIS学園を通うことになった。

あの後、俺のISについて聞きにくるが、このISについてはあんまり知らないことだらけで教えにも教えることが出来なかった。

エンペラーは何故かあの後、一人籠っているのだ。

まるで、凄い怖いのを見たのか完全にそとに出てこようとしなくなった。

 

「そう言えば、ラウラは?」

 

「え~と……」

 

目線を建物の方に向けると何かがいた。

 

「もしかして……」

 

「うん……」

 

タオルを全身に巻いた如何にも怪しいのがそこにいたのだ。

タオルの正体はラウラだった。

復学した後、ラウラがなぜか嫁宣言をしてきたのだ。

それ以降、俺の事を嫁、嫁っと言ってくるのだ。

ラウラに間違った知識を植え付けた奴に一発パンチを与えたい時があったが、諦めた。

 

『『!!』』

 

その時、フレアたちは何かを感知したのだった。

 

(ん? どうしたんだ?)

 

《マスター、あそこの岩山に行ってもらえませんか?》

 

(お、おう)

 

他の生徒たちの誘いを断りながら、フレアが指示した岩山を目指した。

そこは生徒たちから見にくい場所で、話場としてはいい場所だった。

 

「フレア、ここに呼んだ訳はなんだ?」

 

『出てきたらどうですか?お母さん』

 

フレアがお母さんと言うと、景色の一部が動いた。

 

「あらあら、ばれちゃったか……」

 

そこにいたのは篠ノ之束だった。

 

「束さん?」

 

「久しぶりだね。いっくん」

 

『不思議な国のアリス』を思わす服装の束は頭に付いた機械のウサミミをピコピコさせながら近づいてきた。

 

「イフリートにプリンセスも元気にやっているみたいだね。うんうん」

 

俺のブレスレットを見ながら一人理解していた。

 

「なんでここにいるのですか……束さん?」

 

「野暮用でね……」

 

そう言って、また景色と同化して姿をくらましってしまった。

 

「一体何しにきたんだ?」

 

『『…………』』

 

未だに束さんの行動は理解できない。

この世で理解できるのは千冬姉かファイさんぐらいだった。

束さんが立ち去った後、俺は皆の所へと戻った。

 

 

 

 

「いただきまーす!!」

 

夕食になり、みんなで食事を取っていた。

 

「そう言えば、フレアたちの下の名前って決めてるの?」

 

学年別に色々やらかしたので、このISにAIが付いていることを話したのだ。

一部では『それずるくない!?』って声があったが、試合などのルールにはAIを積んではいけないとは書かれていなかったので、無理に押し通したのだ。

それどころか、今の第三世代ではAIは積む事ができないのだ。

 

「まあ、決めてあるが?」

 

「へ~、どう言う名なんですか?」

 

「フレアがフレア・スカーレット。サーはサー・ガウェインで、エンペラーはエンペラー・エヴァって名前にしているんだ」

 

「サー・ガウェインって確かアーサー王の甥の名前ですね」

 

そう、ちょうどその時、アーサー王の本を読んでいて白騎士にちょうどいい名前って事で付けたのだ。

なんだかんだと、楽しく食事を取り時間が進んでいった。

その後、千冬姉が専用機持ちを自室に招待していた。

 

 

 

 

「ふう~……」

 

女子達が自室に入ったので、俺は風呂に入って来たのだ。

流石に時間が限られた中で入るので、あんまり漬かれなかったのが残念なところだった。

そう言っていられたのは、そこまでだった。

前から浴衣姿の男性が歩いてくる。

それが、おかしかった。

ここはIS学園が貸切で借りている宿なのだ。

だから……()()()()()()()()()()()()()()()

 

「あなたは誰ですか……」

 

「へ~、よく気付いたね。プリンセス」

 

男は俺の事を何故かプリンセスと呼ぶ。

俺のISの白騎士がプリンセスという名前があったからすぐに理解できた。

そいつは、騎士シリーズを知っている。

 

「俺のISが狙いですか?」

 

「いやいや、僕程度では君に勝てないよ」

 

両手を上げ、降参の意思を見せる。

 

「お初にお目にかかるね。DEMインダストリーのアイザック・ウェストコットだ」

 

言って、その鋭い双眸を細めてくる。

くすんだアッシュブロンドに長身。

そしてどこか猛禽の類を思わせる鋭い双眸が特徴的な男だった。

月あかりで見えた顔を見て、その名を聞いて、一夏は微かに眉をひそめた。

 

「アイザック……ウェストコット」

 

現在、ISのシェアでトップを維持し続けている会社が1つある。

それが、DEMインダストリー。

そして、そこの業務執行取締役がアイザック・ウェストコット。

人並みにテレビや新聞などを見ていれば、一度は耳にしたことがある名だった。

 

「即直に言おう……プリンセス。いな、オリムライチカ。我々の元に来ないか?」

 

アイザックが出した提案は勧誘だった。

もちろん、そんな話に乗るわけがなかった。

 

「お断りさせてもらいます」

 

「そうか……残念だよ。女性の時は“ヤトガミトオカ”だったな……」

 

「!! なぜおまえが、それを知っている!!」

 

不気味な笑顔を見せる。

 

「〈鏖殺公〉!!」

 

とっさに〈鏖殺公〉を展開し振り下ろすが、その剣は届くことはなかった。

 

「―――アイクに向けられる剣は、全て私が折ります」

 

レイザーブレイドで受け止める女性。

 

「邪魔をするなぁ!!」

 

そのまま、押し通そうとしたが、後方から女子の声が聞こえてくる。

 

「ちっ……」

 

お互いに得物を仕舞う。

 

「僕はまだ諦めたつもりはないからね……もし、入る気になったら……いつでも歓迎だ」

 

言って、アイザックと女性は引き下がった。

 

「もう一度、入るか……」

 

先程の衝撃でまた、汗を掻いて仕舞った為、再度風呂に入ることにした。

 

 

 

 

 

私は知ってしまった。

一番知りたくないことを……

 

「そうか……残念だよ。女性の時は“ヤトガミトオカ”だったな……」

 

織斑くんを探している時だった。

織斑君を見つけたので声をかけようとした時だった。

彼は誰かと話していた。

話の内容はそんなに聞き取れなかったが、これだけは聞き取れた。

織斑君が夜刀神十香?

その後、何かがぶつかり合う音が聞こえた。

 

「なぜおまえが、それを知っている!!」

 

この時、確信してしまった。

織斑一夏は夜刀神十香だってことを……

 

「更識さん、そこで何をやっているんですか?」

 

「うんん……何も」

 

「そうですか」

 

クラスメイトの女子が通りかかり、いつの間にか織斑くんの話相手はいなくなっていた。

そのまま、自室に向かい。

すぐさま、布団の中に入った。

そして、私は泣いた。

私が恋した人物は幻想だった。

この時、心がすごく引き裂かれた感じがした。

涙が枯れるまで、私は泣いた。

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