呪い最終日の朝、ある事件が発生していた。
今回は幼女化なのはいいのだが、服がなったのだ。
それどころか、もう一つのベットには楯無さんが寝ておらず、男性版の俺が寝ていたのだ。
「どういうことだ……」
情報の少なさに、現状が把握出来なかった。
男性版の俺、服がない……つまり、ここは俺のいる世界ではない?
今ある情報をまとめる。
その時だった。
「一夏!! 起きているか!! 朝練に行くぞ」
扉越しから箒が怒鳴っていた。
あまりの声に一瞬判断が遅れてしまい。
「わ、わかったから…………」
「あっ」
寝起きの自分と目が合ってしまったのだ。
あちらも状況が把握できていないのか、一瞬フリーズする。
そんな状況なのに箒は堂々と室内に入って来る。
「いつまで待たせる…………」
箒は室内に入り最初に目に付いたのは、エメラルド色の髪を持つ幼女と一夏だったのだ。
「「あっ」」
お互いにこれはまずいと判断したのは言うまでもなかった。
「こ、この…………ロリコンがぁあああ!!!」
「ち、ちが…………」
この後、一夏の悲鳴が響きわたるのだった。
◇
一夏は箒に竹刀でコテンパンに絞られた後、ようやく本題に入ることが出来た。
箒の猛攻を止めなかったのは、あまりにも身体が小さかった為、無理だったのだ。
「一夏、この子供はなんだ」
「いててて…………。分からん」
一瞬、室内は静まり返る。
それもそのはず、一夏は知らないのだから。
「まさか! どこからから攫ってきたわかではないだろうな」
「そんなことする訳がないだろ!!」
こんな口論がずっと続き、ついにあの人までログインしてくるのだった。
「いつまで口論しているつもりだぁ!! 貴様らは」
ジャージ姿の千冬姉が室内に入ってくるなり、一夏と箒に出席簿アタックが炸裂する。
お互いに頭を押さえる。
「たく、お前らは何を……」
千冬姉もようやく幼女の俺に気が付いたらしく、一瞬固まる。
そのあとブリキ音を立てながら一夏の方を向き直った。
「織斑……言い残すことは」
「…………俺は無実だぁあああ!!!」
今までに聞いたことのない音が寮内か響いたのだった。
◇
「で、この子供はなんだ?」
「分かりません。入ってきた時からいましたので」
一夏の処刑が終わった後、千冬姉と箒は本題に入っていた。
一夏はあれだけの攻撃を受けてなお、ぴくぴく動ているのは奇跡と言いようがない。
「君は何者なんだ?」
まあ、そうなるだろう。
千冬姉は質問するが、その問にどう答えようか迷う。
髪をいじった時にある名前が浮かび上がった。
「七罪……」
エメラルドの髪に魔女っ子の衣装。
あの世界の子そのままだったので、そう答える。
「では七罪。君は何処から来たのだ」
「わからない。朝起きたらここにいた」
一瞬、千冬姉は考え出す。
大体予想は出来ているが多分違うだろう。
あの兎がこんなことをやってメリットがないのだから。
「とりあえず、この子は私が預かろう」
「わかりました。一夏いつまで死んでいるつもりだぁ!!」
「ぐへぇ」
「彼、死んじゃうよ?」
「あんな程度で音をあげるように育てていない」
「…………」
教育方針を間違っている気もするが…………。
今の俺ではどうにもすることもできなかったので、見守ることしかできなかった。
◇
その後は千冬姉に連れられ、食堂の方へと連れて行かれる。
そこにはもう生徒の姿なく、先生たちが集まっていた。
「おはようございます。織斑先生」
最初に挨拶して来たのは一年一組の副担任の山田先生だった。
その時、山田先生も七罪に気付いたらしい。
「お、織斑先生。この子は……」
「すまんが、私も分からんのでな」
「はぁ……」
教員の注目の的になりがら朝食を食べる。
その後、そのまま教室へと連れてかれる。
教室に入ると、やはりここでも注目の的にもなっていた。
「織斑先生、その子は?」
一人の生徒が質問してくる。
全員が多分思っていることだった。
「ゴホン。あ~、親戚から預かった子だ。今日1日だけだけど仲良くしろよ」
『はい!』
相変わらず元気が取り柄なクラスだった。
「自己紹介位はできるだろう?」
「七罪です。よろしくお願いいたします」
自己紹介が終わり、普通に授業が始まる。
席がないので後ろの方で織斑先生と共に授業を眺める。
授業内容はまだ臨海学校が始まる前のやつだった。
◇
休み時間になると外が騒がしかった。
いつの間にか一年一組の教室の前には大勢の生徒が集まっている。
目的は言わなくても分かる。
幼女化した俺だ。
いつの間にか学園にいる生徒たちに行き渡っており、一昔前の俺の状態になっていた。
だけど、誰も近寄らない。
その訳は、俺の近くに織斑先生がいるからだ。
その為、一目見る位しか出来ない。
そんなのが昼休みまで続き、ようやく解放されると生徒たちは一気に押し寄せてきた。
「ねえねえ、七罪ちゃんは何処から来たの?」
「七罪ちゃんは何歳なの?」
「アメあるけどいる?」
休み時間に聞けなかったことを生徒たちは今になって、押し寄せて来たのだ。
流石にこれは不味いので。
「あっ!」
指座した瞬間、生徒たちはその方向を向く。
その隙に俺は逃げる。
「七罪ちゃんが逃げたわよ」
「うそ!?」
「捕まえるわよ」
「皆の者、出会え出会え」
いつの間にか他クラスの生徒までもが集まり、俺を追いかけてきたのだ。
(まずい。このままだと捕まる…………。しょうがないアレを使うしかないか)
「贋造魔女!!」
七罪は箒を取り出し、それに乗る。
箒はそのまま、空に浮き、まるでその姿は魔女だった。
七罪はそのまま廊下を飛ぶ。
「どんだけ、元気がかけ余っているのよ!?」
速度としては自転車と同じ速度を出しているのに未だに追いかけてくるのだ。
右に曲がった瞬間、七罪は何者かに捕まった。
「廊下は走るな」
織斑先生だった。
その後、追いかけて来る生徒も織斑先生に見つけられ、逃げるも…………捕まった。
こんなことをしているあいだに、昼休みは終わってしまった。