インフィニット・ストラトス ~紅の騎士~   作:ぬっく~

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第60話

それは突然の出来事だった。

無人機の荷電粒子砲ごと切ってしまう者がいることに。

 

「何よあれ……」

 

一時離脱した専用機持ちの鈴は一夏を助けたISの戦闘を眺めていた。

見た事ないISは残りのゴーレム3機を同時に相手していた。

 

「一夏、大丈夫!?」

 

「ああ、なんとか」

 

ゴーレムは専用機より正体不明のISに目標を絞る。

その隙に専用機持ちは一夏の方へと集まる。

 

「あの者は……一体」

 

ドイツの代表候補生であるラウラは彼女の戦いに疑問を持ち始める。

彼女は代表候補生でさえ、手を焼いたあのゴーレムを3機同時に相手している。

それどころか、全く隙を見せない。

ゴーレムの攻撃を一つ一つ対処し、カウンターを放つ。

 

「なんて、強さなんですの……」

 

「性能差だけじゃない……。彼女自身が強すぎる」

 

セシリア、シャルロットはまるで踊っている彼女の戦いに見惚れていた。

彼女の剣舞はゴーレムを破壊し尽す。

ついに最後の1機になると、ゴーレムは適当に攻撃を始める。

そこで出来た煙幕に紛れ、ゴーレムは逃亡する。

 

「私が逃がすと思っているの?」

 

七罪は逃げるゴーレムに向けて〈鏖殺公〉を投げ飛ばした。

地面が陥没するほどの力を入れて投げられた剣は、逃げるゴーレムより早く、そのままゴーレムの背中を突き刺さり、大爆発を起こした。

 

「殲滅完了っと」

 

たった数分足らずでゴーレムを4機、倒してしまった七罪は専用機持ちを警戒させるのに十分な理由だった。

SEも殆ど残っていない専用機持ちで彼女を相手しろと言われても、無理があるだろう。

一切のダメージを受けていない、ゴーレムを全て撃退。

 

「そんなに警戒しなくてもいいのに」

 

「っ!! あんた何者なのよ!!」

 

彼女のやる気のなさに怒りを買ったのか、鈴が特に警戒していた。

それにつられて他の専用機持ちも武器を構える。

 

「はぁ……。!?」

 

突如、七罪は空を見上げた。

空に亀裂があり、そしてガラスが割れたように崩れ落ちた。

 

「今度は何よ!?」

 

七罪はすぐさまに、そこから下がる。

先程いた場所には純白のISが着地する。

七罪はそのISに見覚えがあった。

 

「簪!?」

 

「見つけた」

 

簪の専用機である「折紙」を纏って現れる。

突如現れた新たなISに事態は悪化し、セシリア、鈴、ラウラは攻撃を開始してしまった。

 

「人が話している時は、攻撃しないの」

 

簪の頭部にある白いベールが形を変える。

ベールは光の幕となり、全ての攻撃を無効化させた。

 

「うそでしょ!?」

 

「ありえませんわ」

 

「ちっ!!」

 

実弾からレーザー兵器、空間兵器を無効にする幕に打つ手がなくなった、鈴、セシリア、ラウラは次の手を考えるも簪はその隙を見せなかった。

 

「〈絶滅天使〉―――【光剣】」

 

無数の光線が専用機持ち全員を取り囲み、光の檻を作り出した。

身動きが取れなくなった一夏、鈴、セシリア、シャルロット、ラウラは絶対絶命までに落とされた。

 

「これで、大丈夫だね」

 

檻を作り終えた、簪は再び七罪の方へと向き直るがまたしても、邪魔が入る。

 

「参る」

 

その一言が聞こえた瞬間、簪は光の粒子となる。

少し離れた場所に現れ、先程いたところには無数のブレードを持った織斑先生がISスーツを着て立っていた。

 

「ちっ……。手応えがあったと思ったのだがな」

 

いつもの織斑先生とは違い、本気でISを相手する気満々の織斑先生がいた。

先程の攻撃で光の檻が消え、専用機持ちも織斑先生の後ろで戦闘態勢に入る。

 

「…………なぜ、貴様がここにいる? 更識妹」

 

「お答えしますので、武器を下ろしてもらえますか? 織斑先生」

 

「いいだろう」

 

お互いに停戦を約束し、ISを解除する。

七罪もISを解除するが、「贋造魔女」の効果が切れ、子供の姿へとなってしまった。

 

「貴様らは何者なんだ?」

 

「簡単に言えば私たちは平行世界の人間です」

 

「平行世界だと?」

 

「ええ。こちら側に来てしまったこの子を連れ戻しに来たのですが、戦闘が始まってしまったのでこちらで黙らせました」

 

戦闘の経緯を話すと千冬は納得する。

 

「そうか、それはすまないことをしてしまったな」

 

「いえ、特に問題はなかったので」

 

お互いに納得できたので、簪はISを展開する。

白いベールが徐々に大きくなり、空間を歪め始める。

 

「空間とのシンクロ率80……85……90」

 

90%を過ぎると空間に罅が入り、簪はそこを無理やりにこじ開ける。

 

「では、失礼します」

 

簪は七罪を抱え、空間の中へと入ってしまった。

その後すぐに空間は何もなかったように消えてしまう。

 

「行ってしまったな……」

 

それを見送った千冬はなぜか心細かった。

あの子は何処かと一夏に似ていたためだろう。

だが、それを知ることは一生なかった。

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