インフィニット・ストラトス ~紅の騎士~   作:ぬっく~

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第62話

夏休みに入り、IS学園は殆どの生徒が実家や祖国へと戻ってしまった為、無人に等しかった。

もちろん残っている生徒もいるが、訳ありの生徒が殆どだが特に問題はない。

一夏もその一人だが、夏休みと言うことで自由気ままに外へと出ている。

フレア、サー、アクアの付き添いで秋葉原に行ったりと、軽い旅行をしていた。

マル、モロ、ライラ、ステフは仕事が忙しいみたいで、たまに帰ってくるぐらいだった。

そんな日々しかなかった夏休みはついに終わりをつげ、騒がしいIS学園生活がまた始まった。

 

 

 

 

IS学園に生徒が戻って来て数日後、SHRと一限目の半分を使って全校集会が行われた。

内容は、今月中程にある学園祭についてである。

 

(久しぶりだな……この感覚)

 

騒がしい。

それを通り越して姦しい。

 

「それでは、これより生徒会長から説明をさせていただきます」

 

静かに告げたのは生徒会役員の一人だろう。

その声で、ざわつきがさーっと引き潮のように消えていく。

 

「やあ、みんな。おはよう」

 

壇上で挨拶する楯無。

全く生徒の前に姿を現さない彼女がついに姿を現したのだ。

 

「さてさて、今年は色々(赤騎士の誕生、白騎士の復活、ゴーレムの襲来、エンペラーの暴走、福音事件、一夏の呪い)と立て込んでいてちゃんとした挨拶がまだだったね。私の名前は更識楯無。君たち生徒の長よ。以後、よろしく」

 

にっこりと頬笑みを浮かべて言う生徒会長は、異性同性を問わず魅了するらしく、列のあちこちから熱っぽいため息が漏れた。

 

「では、今月の一大イベント学園祭だけど、今回限り特別ルールを導入するわ。その内容というのは」

 

閉じた扇子をなれた手つきで取り出し、横へとスライドさせる。

それに応じるように空間投影ディスプレイが浮かび上がった。

 

「名付けて、『各部対抗織斑一夏争奪戦』!」

 

ぱんっ! と小気味のいい音を立てて、扇子が開く。

それに合わせて、ディスプレイには夏休みに撮ったメイド服を着た女装姿の俺の写真がデカデカと写し出された。

 

「あっ…………」

 

「きゃああああああ――――――っ!!」

 

割れんばかりの叫び声に、ホールが冗談ではなく揺れた。

 

「虚ちゃん、写真が違うわ!」

 

「し、失礼しました」

 

楯無の秘蔵の写真が出た為、一斉に俺へと視線が集まってくる。

写真は変わりいつもの俺の写真へと変わった。

 

「静かに。学園祭では毎年各部活動ごとの催し物を出し、それに対して投票を行って、上位組は部費に特別助成金が出る仕組みでした。しかし、今回はそれではつまらないと思い―――」

 

びしっ、と扇子で俺を指す楯無。

 

「織斑一夏を、一位の部活に強制入部させましょう!」

 

再度、雄叫びが上がる。

 

「うおおおおおおっ!」

 

「素晴らしい、素晴らしいわ会長」

 

「こうなったら、やってやる……やぁぁぁってやるわ!」

 

「今日からすぐに準備を始めるわよ! 秋季大会? ほっとけ、あんなの」

 

秋季大会をあんな呼ばわりするなよ……。

 

「というか、俺の了承とかないぞ……」

 

楯無の方に目を向けると、

 

「あはっ♪」

 

ウィンクを返された。

 

……いや、その、ウィンクされても困るのだが……。

 

「よしよしよしっ、盛り上がってきたぁぁ!」

 

「今日の放課後から集会するわよ! 意見の出し合いで多数決を取るから!」

 

「最高で一位、最低でも一位よ!」

 

そして、一度火が付いた女子の群れは止まらない。

かくして初耳&未承諾のまま、俺の争奪戦は始まったのだった。

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