インフィニット・ストラトス ~紅の騎士~   作:ぬっく~

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第63話

同日、教室にて放課後の特別HR。

今はクラスごとの出し物を決めるため、わいわいのと盛り上がっていた。

 

「…………」

 

クラス代表として、俺の意見をまとめる立場にあるんだが―――

 

(内容が『織斑一夏のホストクラブ』『織斑一夏とツイスター』『織斑一夏とポッキー遊び』『織斑一夏と王様ゲーム』……って、あのなあ)

 

「却下だ」

 

ええええええー!! と大音量サウンドでブーイングが響く。

 

「お前らの頭はどこまで腐っているのだぁ!!」

 

「別に腐っていないもん!」

 

「そうだそうだ! これが一組の特権を生かした出し物なんだよ!」

 

「織斑一夏は共有財産である!」

 

「他のクラスから色々言われてるんだってば。うちの部の先輩もうるさいし」

 

「助けると思って!」

 

「メシア気取りで!」

 

なんだそれは。

というか、どうしろっていうんだ……。

助けを求めて視線を動かすものの、すでに千冬姉はいない。

 

『時間がかかりそうだから、私は職員室に戻る。あとで結果報告に来い』

 

うわあ、優しいお姉様。

 

「山田先生、駄目ですよね? こういうおかしな企画は」

 

「えっ!? わ、私に振るんですか!?」

 

おい、副担任。

 

「え、えーと……うーん、わ、私はポッキーのなんかいいと思いますよ……?」

 

やや頬を赤らめながら言う副担任・山田真耶先生。

……くそう、地雷だった。

 

「とにかく、もっと普通な意見をだな!」

 

「メイド喫茶はどうだ」

 

そう言ってきたのは、なんとラウラだった。

……え?

俺だけでなく、クラスの全員がぽかんとしている。

 

「客受けはいいだろう。それに、飲食店は経費の回収が行なえる。確か、招待券制で外部からも入れるのだろう? それなら、休憩場としての需要も少なからずあるはずだ」

 

いつもと同じ淡々とした口調だったが、あまりに本人のキャラにそぐわない言葉だったため、俺もクラスのみんなも理解に時間を要した。

 

「え、えーと……みんなはどう思う?」

 

とりあえず、多数決を取るにしても反応を見ないことには仕方がない。

しかし、急に振られたせいかクラスの女子全員がきょとんとしたままだった。

 

「いんじゃないかな? 一夏には執事か厨房を担当してもらえばオーケーだよね」

 

そう言ったのはシャルロットだった。

ラウラの援護射撃と思われるそれは、見事に一組の女子全員にヒットする。

 

「織斑君、執事! いい!」

 

「それでそれで!」

 

「メイド服はどうする!? 私、演劇部衣装係だから縫えるけど!」

 

一気に盛り上がりを見せるクラス女子一同。

さすがにこれを鎮めるというか、水を差すのはためらわれる。

 

(まあ、変わった衣装の喫茶店だと思えばいいか)

 

「メイド服ならツテがある。執事服も含めて貸してもらえるか聞いてみよう」

 

そう言ったのは、またしても意外な人物―――というか、ラウラだった。

え? と全員が目を丸くする中、ハッと気が付いて咳払いをするラウラ。

 

「―――ごほん。シャルロットが、な」

 

注目されたのが照れくさかったのか、ラウラは僅かに顔を赤らめている。

そして、いきなり振られたシャルロットは困った顔をするばかりだった。

 

「え、えっと、ラウラ? それって、先月の……?」

 

「うむ」

 

「き、訊いてみるだけ訊いてみるけど、無理でも怒らないでね」

 

不安げに告げるシャルロットに、クラスの女子は声を合わせて『怒りませんとも!』と断言をする。

かくして、一年一組の出し物はメイド喫茶『メイドカフェ☆AIESU』に決まった。

 

 

 

 

生徒会室では今回の出し物のリストが着々と集まり始めていた。

それを処理するエンペラーは一年一組の出し物に目が止まった。

 

「楯無さん。どうやら、一組はメイド喫茶をするそうですわ」

 

「えっ!? それ本当なの!?」

 

隔離されたIS学園と言えども、あくまで高校の文化祭である。

自由そうに見えて意外に縛りは多い。

『学生に相応しくない』と判断されたなら、そもそも許可自体下りないのだ。

その点こういった接客メインの店舗は微妙なラインに位置づけられるはずだった。

 

「最初はキャバクラで攻めてくると思いましたのですが……」

 

「ぶッ!?」

 

楯無は思わず吹き出した。

エンペラーがからからと笑う。

 

「最初の案を囮にして、本命を通りやすくすると思いましたが、最初か攻めてきましたわね」

 

「確かに……。よく織斑先生が許可したよね」

 

「メイド喫茶と言うことは、一夏さんも…………あとでカメラを用意しておきますわ」

 

「よろしくね。あと一眼レフとビデオカメラも用意しておいてね。経費は生徒会宛で出していいから」

 

またしても一夏の男の子の心の大事な部分が汚れてしまう計画が進められていた。

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