臆病者が行くIS学園   作:灰人

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10話 ヘタレ強さを求める

「うわああああああああああああああああああああああああああああ注射キライイイイイイイイイイイイイイイイイイ嫌だああああああああああああああああああ」

 

「お、落ち着いて下さい!」

 

「だってだってすごい太いもん!ヤダヤダヤダァ!」

 

看護師さんが数人で俺を押さえつけ、刺そうと頑張る。俺も刺されないように必死で頑張る。

それを遠目でみる更識さん。

 

「ほら彼女も見てるんだから頑張って!」

 

「あの人違うもん! あの人が脱臼させた張本人だもん!」

 

瞬間室内の空気が凍りつくそして視線が更識さんへと注がれる。急に静かになったので何事かと思ったら看護師さんの早業に成すすべもなく、腕に注射を刺された。

 

「ハゥアッ……ここで終わりか……」

 

「終わりじゃないんだけど……でもやっと終わった……ハァ疲れた」

 

看護師さん数人は疲れた素振りを見せながら部屋を出ていった。負けた……俺は注射に「黄昏てないで私の相手をして欲しいな」かまってちゃん帰れ。

 

「かーえーれかーえーれかーえーれかーえーれ」

 

「帰れコール知ったって帰らないよ」

 

「じゃあ何がお望みでお嬢様(笑)」

 

あ、説明遅れました。俺こと安部双真はただいま入院しております。何でって? そりゃまあ脱臼したとか左拳にヒビが入っていたとかで速攻入院しろとのお達しで……でも退院は明日ぐらいらしいのでそんなに心配はいりません。まる。

 

勿論メンドイ手続きもやりました。ええそこの更識さんが……一応言っときますけど彼女生徒会長様なんですって知ってました奥さん?

 

「そんなわけで私の相手をして欲しいのです」

 

「アンタには仕事があるでしょうが! 帰れっ! 帰れえええええええええええええええええええええええ「もう終わった」なん……だ…と」

 

「トランプにする? ウノにする? それともわ・た「言わせねえよ!?」つまんない!」

 

「あ、じゃあカバンの中に入ってるIPOD取って下さい」

 

「わかったよ」

 

更識さんからIPODをもらいそれをスピーカに取り付けて……よっしゃ! スイッチON!

 

〜〜♪〜♪〜♪〜〜

 

音楽っていいな〜和みますわ。

 

「なんの曲?」

 

「ほら今流行りの歌手ですよ。知らなかったらこの機会にどうぞ」

 

さりげなく宣伝したとこで曲が終わり、次の曲が流れ始める。激しいテンポの前奏が終わり、歌い手さんが歌いだす。確かこの曲は……ヤッベお気にの曲きた!

 

「〜〜〜♪〜〜♪〜〜♪〜〜〜」

 

思わず歌ってしまう。好きな曲だから仕方がない。

 

「あーあ学校帰りたくないな〜」

 

そんなことを呟いても現状は変わらないから困る。でも真面目に考えてみると俺の行動がいけなかったのでしょうがない。自分で解決するしかない。

 

「お姉さんと一緒にいたくないの?」

 

「なんでさっきの呟きからそういう発想になるんですか……俺が退院したらもう関わりなんて無いですよ」

 

勿論あっちから絡んできても無視を決め込むつもりだけど……色々してもらったしなあ。それはそれで非道いのかもしれない。でもなあ〜どないしよ?

 

「一応言っときますけど貴方生徒会長様。俺雑魚。ここんところ理解してくれたら嬉しいんデスケド」

 

「そんな事百も承知だよ」

 

「じゃあ分かりきってるじゃないですか……なんであんな落ちこぼれが我等が学園最強とツルんでるんだってなると思いますけど?」

 

そしたら更に俺への風当たりが強くなって、もっと生活しにくくなるじゃないですか……。

 

「そうだね。でも元はと言えば君が悪いんだし、そんなことは自分で解決してよ〜」

 

「はい正論きました。わ〜俺の負けですね〜」

 

「そうそうそれで良いんだよ」

 

とは言った物のぶっちゃけた話、別に無視しとけばいい話なんだけどさ……出来るかな俺に……。

俺が大怪我負って虐めた奴ら自主退学! みたいなシチュエーションが個人的には好ましいな、うん、よし! この作戦で行こう!

 

「そうですね! 自分でなんとか解決してみせます!!」

 

「そうだよ! その意気で頑張ろ!」

 

俺の薄っぺらい言葉に騙されてくれたのか、妙なテンションで乗っかってくれた。

 

「じゃあ困ったときは「大丈夫です! 自分でなんとかします」…そう?」

 

「任せてください姉さん……あ」

 

「……姉さん?」

 

「違いますって! きっと姉がいたらこんなんだろうなって……俺なに言ってんの?!」

 

何かいろいろ間違ったあああああああああああああああああああああ。違う! 俺は墓穴を掘ったのかああああああああああああああああ。不覚!

 

「いやほらっ、あれですって先生の事を間違って母さんって言ってしまうあれですよ! かかかかかかか勘違いしないで欲しい……です……」

 

「あ、うん、分かってるよ」

 

なんとか誤解は免れてくれたか。

 

「でも本当に困ったときはお姉さんに任せなさい」

 

「は〜い」

 

この人優しいな……きっと姉がいたらこんな人なんだろうな……しかも美人っていう……。姉さんって呼んでもいいかな……聞いてみよ……恥ずかしいけど。

 

「……やっぱ姉さんって読んでいいですか……」

 

更識さんは俺の言葉に目を丸くする。引かれたかな……俺…当たり前「いいよ」ゑ。

 

「良いんですか!? 本当に!」

 

「それくらいだったら構わないよ。勿論そ「ありがとうございます!」……うん」

 

なんか素直に嬉しい! なんか友達が出来たみたい、いや家族? になるのか? まあいいやとにかく嬉しい。俺は更識さんの手を取って何回もお礼を言った。

 

「近い! 近いよっ!」

 

「あ、ごめんなさい……つい嬉しくて」

 

更識さんは顔が赤くなるくらい怒っていた。やっぱ手を握ったのがが駄目だったのか……そりゃそうか、普通に考えたら嫌だよな……軽率だった。

 

「もうしません……許してください」

 

「そこまで言わなくても良いんじゃないかな……あはは」

 

若干呆れながらも許してくれた。

 

それから更識さん改め姉さんとしばらく話して、面会終了のアナウンスが鳴り姉さんは帰っていった。

だれも居ない病室で明日からの考える。

 

「やっぱ迷惑掛けたくないよな……うん」

 

姉さんはいつでも相談に乗るとは言っていたが、俺にも辛うじて男してのプライドがあるのか、つい迷惑掛けたくないという考えが出てしまう。

 

「やっぱ俺は馬鹿だな」

 

自嘲気味に呟き目を閉じた。

 

 

〇〇〇

 

「退院おめでとう! もう帰ってこなくて良いわよ」

 

割と本気の目で帰ってくるなって目が語ってるんですけど……怖いんですけど。

 

「やだなあ〜俺も好き好んで注射されに来ませんよ」

 

内心ビビりながらも、冗談を言って誤魔化す。

 

ここの中央病院からIS学園の距離は短い。大体歩いて5分程度くらいのものなので、看護師さんに適当に別れを告げ、IS学園かんごくへと歩いていく。

 

「うわっ見えてきた」

 

病院生活楽だったな〜なんもしなくてもいいからさ。イジメもない、暴力もない、まさにパラダイス! 桃源郷! 素晴らしかった。

 

校門が見えてきたところで誰かが立っていた。

 

「……校門の前に誰かいる?」

 

少し気になりながらもゆっくりと歩いていく。焦らない焦らない一休み一休みってね(笑)。

 

「……久しぶりだな。安部」

 

「あや〜これは織斑先生じゃないですかっ! ちゃんと教師やってました?」

 

「……人を馬鹿にするのも大概にしろよ」

 

「嫌〜だな。冗談ですよ」

 

今度変なこと言ったら教育的指導てっけんせいさいをされてしまうので、何も言わない。お口にチャック!

 

「そういえば織斑君達は元気にしてました? それと授業はどのくらい進みました?」

 

「落ち着け。織斑達も元気だし、授業もそんなに進んでない。それと安部」

 

織斑先生はポケットから、ネックレスを取り出した。

 

「これを返しておくぞ。お前も一応国家に「分かりました」……そうか」

 

深緑を受け取り、無造作にポケットの中にしまう。久しぶりの対面って言うのに中々テンションが上がらない。

 

「どうかしたんですか? 顔色が悪いですよ。保健室にいきますか?」

 

織斑先生は静かに首を振って、校舎の中へ消えていった。まあ世界最強なのだから体も丈夫だろ。俺が気にすることでは無い、今の問題はイジメだ。

 

何気なしに時計を見ると8時半。もうすぐホームールームが始まってしまう……まあいいか。どうせ対した事言われないんだろうし。行っても無駄無駄。

 

「ゆっくり行こう」

 

階段を上がりながら、好きな音楽を口ずさみ教室を目指す。

 

 

 

「意外と早く着いたな……まあ良いや」

 

ゆっくりと扉を開けて、バレないように入るか。扉を勢い良く開けて今までの俺とは違うんだぜアピールをするかどうか…………むむむ、迷う。

 

2chに安価取るか……どうしよう……ええい! 男は根性!

 

「ラウラ・ヴォ「遅れましたー!」……」

 

扉の大きな音と俺のデカイ声が合わさって誰かの自己紹介と被ってしまった。何か教壇の前に二人ほど並んでる……金髪と銀髪って(笑)なんか折り紙みたいだな。

 

「……ヴォーデヴィッヒ、もう一回自己紹介を頼む」

 

ボーデビッヒ? さんは織斑先生にビシッと敬礼をしたあと、自分の名前だけを言って黙り込んだ。

俺もそろそろ席につきにたいので、自分の席を座る。

 

「やっと帰ってきたわ〜何日振りだ……この席に座ったの……」

 

割とどうでも良い事を考えていたら、パシンッと音が鳴った。

 

「さっきのいい音はなんだ……」

 

どうやら銀髪さんが一夏にビンタ食らわせたっぽいな……でもあのレベルからすると俺が先生にぶん殴られたほうが絶対痛いに違いない。アレまじ痛かったから、オバケも泣いて逃げるレベルだったな。

 

閑話休題

 

あの銀髪の人大丈夫かな……一夏にビンタ食らわした事で、めっちゃ睨まれてるんだけど……狂信者に……虐められてたら出来れば力になってあげよう……。

 

そんな騒動も終わり、1時間目はグラウンドに出て実習との事。俺は騒動に巻き込まれたく無いため、こっそりと教室を逃げ出し更衣室に駆け足で向かった。

 

〇〇〇

 

「一着キタコレ!」

 

さっさと着替えたかいがあったってもんだよ本当に。俺がグラウンドをチョロチョロしている間に着替え終わった生徒たちが続々と校舎から出てくる。

 

早めに着替えて良かった……あれに巻き込まれてたら絶対遅刻だったわ。

 

「おいヘタレ〜」

 

「……なんですか。俺アンタ等の事知らないんですけど……」

 

「え〜そんな事言わないでよ。おんなじクラス何だから仲良くしようよ☆」

 

俺は別に仲良くしようとか全く思ってないけどな。

 

「で、言いたいたいことはそれだけ? 俺結構急いでるんだけど」

 

「へ〜『一着キタコレ!』って言ったてたくせに、暇なんだ……良いご身分だ、ね!」

 

知らない女から蹴りが繰り出される。かなりの速度があり避けるのは……いや避けなくてもいいや。

 

ビシッ

 

左足に直撃、結構痛い。屈したら駄目だ……心をOFFにするんだ……。

 

「…………で?」

 

「何スカしてんのよ。ほら土下座とかしたら〜?」

 

何それこわい……俺がいつも土下座すると思ったか? 大間違いだよボォケ! とは言えないので心にしまっておく。

 

「放課後体育館裏きなさい。来なかったら……分かってるわよね?」

 

「……」

 

なんかドラマみたいだな〜って思ったけど、これかなり危機的状況じゃね? まあいいか、アイツ等を自主退学にする為に俺は折れてはいけない。

 

「整列しろ!」

 

鋭い声が響き皆並んでいく。俺も適当に後ろに並び、なるべく目立たないようにする。

 

「では二人一組となって準備体操を始めろ!」

 

「……まじ?」

 

それなんて死刑宣告ですかこの野郎。チクショーコノヤローバーカバーカ……まあそんな事思っても仕方が無いけども……。

 

皆が次々と一緒にやる人が決まり、俺一人に……どうやらもう一人お仲間がいた。例の転校生である。

まあそんなわけで俺はヴォーデヴィッヒさんの所へ近づき声を掛けた。

 

「……良かったら一緒にやりませんか?」

 

「…………こちらとしては断る理由がない」

 

何か言い方が回りくどかったけど、了承? してくれた。

 

「ヴォーデヴィッヒさんはどこから来たんですか?」

 

「ドイツだ」

 

「……誰が?」

 

「貴様ふざけているのか?」

 

なんか発音がおかしかったような気が……どこのどいつだ? みたいな感じ。

 

「あ、ああごめん。ベルリンの壁があったドイツでしょ? 知ってる知ってる」

 

「そうだ」

 

会話が進まねえ……でもこれ以上と突っ込んだ事聞いたら殺されそうだしなあ。でも一応忠告はしておこう。

 

「そういえばさっき一夏にビンタしたじゃないですか」

 

「……そうだな」

 

「多分というか何というか、あれでこの学園の女子の何割かは敵に回した事は覚悟しといて下さい」

 

狂信者たちは絶対目を「下らん」OH……。

 

「群れなければ行動できんクズ共に屈すると? 馬鹿馬鹿しい、そんな物真っ向から叩き潰してやる」

 

…………ヤダカッコイイ。

 

「それに専用機も満足に持てない「ヴォーデヴィッヒさん!」なんだ」

 

「俺に……俺に戦い方を教えて下さいっ!」

 

精一杯頭を下げ、精一杯の誠意を見せる。駄目かなあ……でもこの人について行けば、確実に強くなれるような気がするんだけどなあ。

 

「断る」

 

「……訳を教えて欲しいのですが…よろしいでしょうか」

 

「貴様の軟弱な眼が気に入らん。それだけだ」

 

この人やべえな、俺がヘタレだって一瞬で見抜いたんですけど……。会社の人事課みたいな観察眼もった人だな。

 

「……でも俺諦めませんから」

 

ヴォーデヴィッヒさんは鼻で笑い、列に戻っていった。

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