臆病者が行くIS学園   作:灰人

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前回の投稿から三週間もたってしまった……さーせん


14話ヘタレ気まずくなる

「全然ダメだね~まあ初めて一週間でこんだけ出来たら上出来かな?」

 

まいっか、と姉さんは軽い口調で言う。

俺はと言う、姉さんに投げ飛ばされ畳の原料である井草の匂いを堪能中である。

 

「いつまで寝てるのかな? 態々君のために一週間分の仕事を終わらせてきたんだから、もうちょっと時間をゆーこーに使おうとか思わない?」

 

「……今起きますよ」

 

「そうそうそれで良いんだよ」

 

あ~身体中が痛え。強くしてくれって言ったのは俺だけどさ、毎日走り込みと道場で組手? みたいな事してるだけなんだよなぁ……まあいいや。基礎体力を鍛えてると無理矢理思う事にしとこう。

だらだらと立ち上がると姉さんが思い出したように、ポンと手を合わせた。

 

「そう言えば、あと一週間後に学年別タッグトーナメント? があるじゃない。君はもう相棒決まったの?」

 

「なんすか? それ。今知ったんですけど」

 

「も~学園の行事にもう少し興味を持って欲しいんだけどな」

 

説明するのが面倒じゃない、と首を横に振る。

いや、興味の無い事柄に興味を持てと言われても困るっすわーまじで。まあどうせクジかなんかで決まるだろ。だから相方なんて興味なーし。

 

そんな事を考えていると、姉さんが学年別タッグトーナメントについて説明しはじめた。

要約するとこんな感じ。

 

・気に入った人とタッグの約束を取り付け申請する。

・優勝したら食堂のデザートが半年ぐらい無料になる。

・申請が無かった奴は無かったもの同士で勝手に決められる。

 

大体こんな感じか。これ専用機同士で組むとやヴぁくね? ほぼ負けないだろ。ずっこいわー

興味もないから適当にやっとくか。どうせまだ弱いし、まあ今の強さを確認するためにガチでやっても良いんだが、疲れるからあんまやりたくないんだよな。

 

「……大体分かりました。でもこんな事をするんだから企業とかも見学に来るんですかね?」

 

「よく気付いたわね褒めてあげる。そう企業が自国の代表候補生のデータを見に来るのと、あともう一つあるのよ」

 

実を言うと本題は絶対に今から言うことの方が、どの事柄よりも優先されるんだけどねと姉さんは含みのある言い方で、俺に言う。嫌に回りくどいな。

 

「そう! 本題は君と織斑君にあるんだよ! 何でかって? そんなの分かりきってるじゃない。世界で二人しかないISを使える男がこのトーナメントに出るんだよ? データが欲しいに決まってるじゃない」

 

「ああ。そう言うことっすか。よーく分かりました。だったらマジにやんきゃ損だわ」

 

「珍しいじゃない。君がそんな事言うなんて」

 

俺は姉さんに顔をズイっと近づけ、口角を吊り上げた。

 

「だって公衆の面前で一夏をぶっ飛ばせるんだからマジにやんきゃいけねえっしょ。しかもここで良いとこ見せれば、給料が良いとこに行けるかもしれないじゃないですか。だから俺の進路の為に負けるわけにはいかなくなりました」

 

「…………そ。まあ頑張って応援してるから」

 

そう言うと姉さんは俺から離れて、構えをとった。どうやら休憩は終わったらしい。てか一週間後って時間が無いじゃん。やべえ、話してる時間が勿体ねえ……よしもっと頑張るぞ。

俺が当面の目標を決めた瞬間、世界が回ったあとような感覚が襲い畳に叩きつけられた。

 

「ぼうっとしてる時間があったら、受け身の一つも覚えたら?」

 

「…………ごもっとも……」

 

姉さんを前に考え事をしながら強くなろうとするには、まだまだ修行が足りないと痛感した。

 

 

○○○

 

休み明けの学校ってすげえ行きたくないよな。もうね起きたく無いの。あいつらの顔も見たくないし、織斑先生の顔なんて視界にいれたく無いもんね。不思議。

 

「あー行きたくねー」

 

バックレようかなと邪な事を考えていると、扉をノックする音が聞こえた。

 

「開いてませんよー」

 

するとガチャガチャと音が鳴り、カチンと嫌な音が鳴る

。これはもしかしてピッキングなんですかね?

 

「お早うございます」

 

ピッキングした当人は、事も無げに言ってのける。

俺のプライバシーは何処に行ったんすかね。てか誰だよ、この人。

 

「布仏虚です。以後よろしくお願いいたします」

 

あー! やたら眼鏡をくいっとあげる人か。ん? て言うか布仏? って何かもう一人いたような気がする。

 

「本音は私の妹です。まさか覚えていないんですか?」

 

「まあ。そうっすね。クラスの人数多いし」

 

そう言うと虚さんはため息を着いた。なんか態度がムカつくな。

 

「てか何なんですか? いきなり人の部屋をピッキングしたと思ったら、いきなり自己紹介。まずごめんなさいだろうが、教養が無いんですか?」

 

虚さんの額に目に見えるほどの血管が浮き出てきている。なんであんたが怒ってたんだよ。ふざけんな。

 

「………………………………………………………………ごめん「きこえませーん」ッッ」

 

「もっと大きな声で誠意を込めて言ってくれませんか?

本当さあ…………一応俺等初対面じゃないですか。貴方は初対面の人の部屋にピッキングされたら、どう思いますか?」

 

「嫌「俺もそうだよ、馬鹿が」…………」

 

「だからいはもうお引き取り願えませんか? こんな気分で話なんてお互いに出来ないでしょうから」

 

言うや否や虚さんはなにも言わずに出ていった。少し言い過ぎたかもしれない……反省。

てか何のために来たんだろうな、全く目的が分からない。

 

ま、いっか。次来たときに謝るついでに聞けば良いことだし。そーするべ。

 

「そうと決まれば食堂だっ」

 

目的も決まったことだし食堂へ行くことにした。 

 

扉を開け食堂までの道のりで敵意の視線しか感じないが、気にしない。こいつらは何かの野菜と思い込めば、あら不思議何気ない廊下が畑を横切っているような気分になる。やっぱ人間て心の持ちようなんだな。

 

「ハローハローオイラ一人の男道~成せばなる洗えば食える何事も~」

 

適当に思い付いた単語を繋げてそれっぽい歌を作る。今回は中々良い出来っすなー自分で自分を誉めてやりたい。

俺はこの歌の続きを真剣に考えていると、どうやら目的地に着いたようだ。

 

食堂は相変わらずの盛況っぷり、何時も余裕そうなおばちゃんの顔も若干険しくなっている。やはり朝の台所は戦場なんだな。

 

俺は冷奴と味噌汁とご飯の食券を買う。一般の男子生徒ならば二時間目が終わった辺りから早弁の体制を取りそうだが、朝はそんなに食わない俺にとってはこんだけで十分である。

一週間位前だったら、俺が食っている途中に女子が隣に座るという中学じゃあ考えられない事が多々起こっていたが、最近はもっぱらソロである。

 

騒がしい飯も好きっちゃ好きだが、あまりにもうるさかったらそれもそれで嫌。線引きが難しいよね。こういうの。

 

「いただきますよっと」

 

まずは冷奴に醤油をかける。んで一口たべる。んんーでりしゃす。鰹節と生姜のコンボは本当に殺人的だね。そしてそれを引き立たせる醤油! まさに至高の食べ物ですな。

そして味噌汁をすする。いいね、赤味噌。俺のツボをしっかりと押さえてくるなんて……やっぱここの食堂は最高だ!

 

「……おはようございます」

 

後ろから声が聞こえてきたが、どうせ俺じゃないだろ。無視だ無視。

 

「おはようございます」

 

おい、早く返事してやれよ。何か後ろの奴が不憫に思えてくるな。ここまで反応されないと。

そんな事を考えながら飯を口にはこんでいると、肩にを手を置かれた。

煩わしいので肩に置かれた手を払い、また飯を口に運ぶ。

 

「おはようございます。安部双真君!」

 

「……んだよ。うるせえな。飯食ったら相手してやるから、黙っとけよ」

 

「いい加減にしてください」

 

そう言うと、声の主は俺の対面へと座った。その正体はセシリア・オルコットさん。イギリスの代表候補生で《ブルーティアーズ》のパイロットである。

 

「なんだセシリアか。また俺に説教垂れにきたのか?」

 

「いいえ。ただ見掛けたので朝食をご一緒させて頂こうかと思いまして」

 

「あのなあんまりそんな言い方しない方が良いと思うぞ」

 

「? どうかしたんですか」

 

「そう言う事を言うと世の男共は勘違いするぞ。因みに俺はさっきのでドキッとした」

 

あの肩に手を置いた奴な、と付け加え俺はお新香を一口。

 

「…………貴方がそこまで女性慣れしていないとは思いませんでした」

 

「この御時世だからな。ま、そのお陰か何か知らないけどそんなに執着はしなくなったよ」

 

「なににです?」

 

「そりゃああれだよ。彼氏彼女の関係になるみたいな奴。だからと言って決してホモでは無いから安心しろよ」

 

それにやりたいことも出来たしな。まあでも童貞ぐらいは捨てときたいよな。もし俺が男女平等を成し得たとき、リーダーの安部双真は童貞だった!? みたい感じで新聞一面を飾ったら嫌だし。

 

「色々複雑なんですね。――そういえば話は変わるんですが」

 

「どうした」

 

「ソウマさんは学年別タッグトーナメントの相方って決まってますか?」

 

ああ、姉さんが言ってたあれか。俺はまだ決まってないと首を横に振った。それにして誰が良いかなあ……出来れば近接が得意な奴が好ましいな。俺が遠距離だし。

 

「そうですか。でしたら私と組みませんか? まだ決まってないので」

 

む……セシリアか。まあ代表候補生で腕前は俺より遥かに上でISのイロハを知っているから、ドンと来いなんだが……中距離なんだよなあ。まあ今の立場で選べれる程偉くは無いので、有り難くその提案に賛成しようではないか。

 

「別に良いぞ。俺も専用機を持ってる奴と組みたかったから、その提案は渡りに船ってわけだ」

 

「あら、どうして専用機同士なんですか?」

 

「そりゃ勝率が上がるからだな。おれは一つでも多く勝って強くなりたいから」

 

「……貴方がそんな事を言うなんて珍しい事もあるんですね」

 

「心境の変化だと思ってくれればいいさ。そうなったら……たちまち放課後辺りに一回アリーナでも使って練習するか」

 

「それは良いアイディアですわ。ええやりましょう」

 

決まりだな。んじゃ次の休み時間にでも登録&アリーナの使用許可願を受け付けに出しに行くか。

なんでそんな先の事を早くやるのかって? 

そんなの簡単だ。後手に後手に回ってちゃ目的を果たせない事が多々あるじゃん。つまりはそう言うことだ。

 

 

 

 




次はもうちょい早く更新します
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