臆病者が行くIS学園   作:灰人

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おっしゃあああまあまあ早い更新だぜ!


17話ヘタレ喧嘩する

「織斑先生も休憩ですか?」

 

後ろから声を掛けてきたのはクラスの副担任を勤める山田麻耶教諭であった。千冬も別に断る理由もないので、首肯して同席を促した。

 

「今日の安部君凄かったですよね~何か昔を思い出したみたいで!」

 

「そうだな……全く私は本当に幸せ者だ。あんな才能の塊を受け持つ事ができるのだから」

 

だがあの性格は頂けないがな、と苦い顔をして見せたが心の奥底では興奮は抑えられていなかった。

麻耶もそれを分かっていたのか、顔を綻ばせる。

 

「私決めました! やっぱり教員試験を受けようと思います! 今よりももっとあの子達に頼りされたいですから……今のままじゃ全然フェアじゃないような気がして……おかしいですかね? こう思うのって」

 

「……そんな事は無い。今は私のような教育は合わないんだろうな……安部の態度を見て良く分かったよ」

 

千冬は椅子から立ち上がり麻耶に頭を下げた。

 

「私もこれから変わりたいと思う。だが私は教員としても大人としてもまだまだ不十分だ……これからも迷惑を掛けると思うが、付き合ってもらいたい……いや、お願いします!」

 

今まで見たこと事の無い、麻耶は驚き椅子から立ち上がろうとしたが勢いが着きすぎたため、派手に転んでしまった。

涙目になる麻耶であったが、ゆっくりと立ち上がり深呼吸をした。

 

「はい! こちらこそよろしくお願いします!」

 

学校中に響き渡ろう様な元気一杯な声で返事をした。

 

 

○○○

 

 

「あーべーやんおっはー」

 

む……この気の抜けるような声は本音だな。てかべーやんやめろ。

 

「ああ、おはよう。丁度よかった朝飯でも食いに行こうぜ。もう朝からボッチ飯は飽きたからさ」

 

「おおー朝からだいたん~べーやんってば結構なタラシだね~」

 

「ほほぉまだべーやん呼びを止めようとしないのか……次言ったらくすぐりの刑な」

 

ああこんな妹が欲しかったあああああああああああ! まじで! 同年代見えないくらいに挙動が幼いんだもんなーこれでモテない方が可笑しいだろ。なんでや!

 

「恐いこというなーもーまあそう言うなら、やめるよー」

 

「そうそう。本音は賢いなーそんな君には飴をあげよう」

 

妹の部屋からパクってきた黒飴を一個渡す。最初は顔を輝かせていた本音だが、黒飴とわかった瞬間に顔を曇らせた。

……まあ仕方ないっちゃ仕方ないんだけど、少し正直過ぎやしませんかね……そう言うところも可愛いけど。

 

「今から朝飯食うから、後から「案外おいしいね、これ」……そうだな。俺が悪かったよ」

 

まあ、本人が幸せそうだからいいか! 

ふと時計をみるとそろそろ急がなくては行けない時間になっていった。今回朝飯抜くか、ちょっと用事もあるしな。

 

「本音ちゃんすまんが、俺用事があるからやっぱ食えねえわ。また昼飯でも一緒に食べようぜ。勿論俺の奢りでな」

 

本音の返事も聞かずにさっさと走り出す。こりゃあ絶対怒られるわ、どうせ口を3の字にして何か言うんだろうな。

それを想像すると少しわらいそうになる。

 

「さあて! さくっと決着着けてきますか!」

 

目指すは教室! 目標はイジメっ子! 勝利条件は――――ボコボコだああああああああ!

 

 

○○○

 

教室まで全速力で走ってきたが、幸いにも先生にも見つからなかったので比較的早く着く事が出来た。教室には他のクラスメイトがいるが、そんな物には構っていられないし構うつもりも無い。目標はイジメっ子だけだ。

 

「おっはーイジメっ子」

 

「……アンタに構ってる暇は「俺にはあるんだよ」なに゛!」

 

腕の力を全部使って座ってるイジメっ子の胸ぐらを掴み無理矢理立ち上がらせた。教室では悲鳴があちこちから起こるが構いやしない。

 

「おいおい、俺をあんだけボコって今更シカトって訳じゃないよなぁ!」

 

胸ぐらを掴んでいるせいか、思うように呼吸が出来ない様子。なんか拍子抜けしたわーまあ所詮女だし、こんなもんかコイツにISがあるわけでもないし。

 

「……あん……たが…………わるいのよ……ばぁ……か」

 

「今度は人のせいかよ……お前も良い根性してるぜ。ま、俺も人の事言えないし言わないけどな……でもな俺はやられた分はしっかりと返すから、そこん所よろぴく☆」

 

俺はイジメっ子を掴んだまま壁に叩きつけた。

おーおー痛そうな顔をしやがる。まあ俺はコイツにゲロ吐くまで蹴られたわけだが――それに比べるとまーだ軽い軽い。

 

「今謝ってもう二度と俺に近付かないって誓うなら止めてもいいけど? どうする」

 

「……ばぁ…か………死……ね」

 

「あっそ。お前が死ね」

 

いい加減手が疲れたので、手を離してやる。咳き込む姿を見ると何と情けない! て言うか普通に可哀想になってきた……んじゃさっさと止めを刺して終わらせようかねーああ虚しい。

 

俺はへたり込むイジメっ子の腹めがけて、思いっきり蹴り込んだ。

 

「あ、やべ」

 

「ああああああああああああああ!」

 

なんか爪先がめっちゃ良いところに入った……こうメリッと。まいっか。報復だと思えば。

周りを見ると教室がシーンと静まりかえっていた――――当たり前ではあるが、うーん自分が蒔いた種ではあるがここまで静かだと、逆に怖いな。

 

「べーやん! 後ろ!!」

 

後ろを振り向く、そこには椅子を降り下ろすイジメっ子の姿が!

 

ガッッッ!

 

頭に衝撃が走った。一瞬視界に星が見えた。

足元が覚束ない……て言うか視界がドロドロ……? 俺何してたんだっけ?

 

ガッッッガッッッガッッ

 

いてぇ……何か誰かが騒いでる? 耳がキーンってなって何も聞こえない、視界もドロドロで赤いし……どうなってんだ?

ん? 赤? 俺は辛うじて動くて右手で頭を触ってみる。そこには今の状態でも分かる位になっている真っ赤な手であった。

 

「死ねええええ! 死ね!」

 

立っていられずに思わず尻餅を着いてしまう。すぐ近くで風を感じる。

 

「ああ……そう言うこと……」

 

俺はここで漸くイジメっ子の椅子を受けたことを理解した。

 

「……ここまでやるかぁ? ふつー」

 

誰が答えるわけでもなく、勝手に出た一言。ああイジメっ子が椅子を振りかぶった。これさあ……もしかたら次来たら俺死ぬんじゃねえの……これ。

 

「だからってやられっぱなしは性にあわねええええんだよおおおお!」

 

気合いで立ち上がりでイジメっ子の両手を掴んだ。そのまま押し合い動きを止めたのはいいけど、この窮地を打開する策が見当たらない。

 

「あ、やっべ……」

 

イジメっ子は一瞬の隙を着き、両手を振り払い椅子を横凪ぎに振るった。

当然避けれる訳もなく直撃を貰う俺。机とか椅子とかを盛大に巻き込み、転がる。

 

「何をやっている!」

 

声が聞こえる、それもとびっきりの怒号。誰もが直立不動になるなか、ただ一人は俺に向かってこちらに向かってくる。

こう言うときぐらい先生の言うことぐらい聞いた方が良いんじゃないの? ま、俺もだけど。

 

「な……にも、やって……ませんよ……ちょっと俺が……あいつの……スカート、めくっ」

 

もー無理しゃべれねえ……おやすみなさい。織斑先生が何か喋ってるような気がするが知るもんか。

相変わらず視界は赤いままだが、意識を暗闇に手放した。

 

○○○

 

目が覚めると知らない天井が目に入った。でもこの匂いはなんか覚えがある。ここはいつぞやの病院じゃん。うっわ懐かしい。

 

「起きたか安部」

 

「……なんすか。止めでも刺しにきましたか? 先生」

 

隣には正直居てほしくない人が一人。まーた糞面倒くさい話を聞かせられるのか。憂鬱だね。

だが予想に反して先生は安心したような顔をして、フッと小さく笑った。

 

「彼女は一週間の謹慎――それはお前もだ安部。だがトーナメントには出て貰うぞ。嫌だと言わさん」

 

「先生に言われなくても出ますよ。もっかいアンタの弟ぶっ飛ばしたいですからね」

 

「そうか。一夏を倒すのは良いが、ちゃんと退院したら反省文10枚隙間無くみっちりと書いた奴を提出しろ。私が言いたいのはそれだけだ。じゃあな」

 

「はあ!? ちょっとぉそこはこの怪我に免じて云々って感じじゃないんですかぁ!?」

 

「これでもかなりの温情をかけているんだ。ガタガタ抜かすな。それに退院してからで良いといっているだろう」

 

ええ~なんか超腑に落ちないんですけど……ってもういないし。ったく言いたい事だけいって行きやがって、暴君スタイルは依然変わらず。相変わらずイヤ~な先公だこと。

織斑先生がいなくなった数分、扉がノックされた。開いてますよ、と一言かけ来客を待った。

 

「えらい事してくれたじゃない安部君」

 

「いや~申し訳ないです。姉さん」

 

来客は姉さんだった。でもこのタイミングで来たってことは墾々とお説教タイムだなぁ……ああああせめて日を空けてくれませんかねぇ? 俺の体はいいけど精神的にくるみたいな?

 

「本音が泣いていたわよ? 私のせいだーって、本当に手がかかるわね君は!」

 

「ちょっと待ってくださいよ。俺は何もしてませんって!」

 

なんで本音が泣くんだ? 全く理解出来ないんだが。まあいいや、今度お菓子でもあげたら機嫌なおすだろ。

全く退院したら仕事が一杯ありますな。まあ充実してるから良いんだけどさ。

 

「……でもイジメは俺の手で解決しましたよ? すごいっしょ」

 

言い終わったら軽く頭を叩かれた。あっれー俺なんかおかしい事いったっけ? 

 

「今そう言うことを言ってるんじゃないの! 全く君は本当に……」

 

あかんこれ……久々のガチ説教タイムやん……あーあ早く終わらんかな~この人まじスイッチ入ったら拘束時間が長いこと長いこと、でもこうやって怒ってもらえるってすっげー幸せなのかもな……もしかしたら。

 

「何にやけてるの? まーた変なこと考えてたんでしょ!!」

 

「ち、違いますよ。こうやって怒ってもらえるのって、凄く幸せなのかもって思ったら笑えてきちゃって……すいません」

 

「……そう。ならいいけど! あともう少し自分の体を大切にしてね。言いたいことはそれだけ。じゃあね!」

 

「はーい。これからはあんまり喧嘩しないようにしまーす」

 

「ちっがああああああああう! 喧嘩をするなって言ってるの! 良い! わかった!?」

 

「はーい……もうしません。人を泣かせません」

 

なら良し! と快活に答えた生徒会長様は満足したのか、お大事にと一言言って病室を出ていった。

 

「ふー昔はこんな事考えられなかったんだけどなぁ」

 

この時間だったら俺何してたんだろうか? ああ授業中か。そういえば授業と言えば、

 

「織斑先生の雰囲気が何か違ったような気が……しないでもない。気のせいか」

 

多分気のせいだろ。あの人が変わるとか無いな。我ながらバカな事を言っちまったぜ。もういいか寝よ。

 




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