臆病者が行くIS学園   作:灰人

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遅くなりました


18話ヘタレ衝突する

退院して一日が過ぎた。俺は一週間の謹慎と言うありがた~い処罰の真っ最中である。

当然客人等と言うものは影も形も見受けられない――当然ではあるが。

 

「あー反省文でも書くかなー面倒くせえ」

 

問題を起こした人間に平等に現れるイベント『反省文』を消化しようとも思うが、如何せん気だるさが先行してペンを取る気にもなれない。

 

このままトーナメントまで寝ていようか……なんて怠惰な気持ちになり始めた頃、扉をノックする音が聞こえた。

て言うか良いのかこれは? 俺一応謹慎処分者だぜ。気軽に部屋に来ては行けないような気がするんですが、それは。

 

取り敢えず待たせっ放しも悪いので、扉の鍵を開けて来客を出迎えに行った。

 

「あ、べーやん」

 

「……お休み」

 

「ちょ! 待っ「待たない」本当に!」

 

「なんすか。反省文を代わりにやってくれるんだったら、入れても良いけど」

 

「えーそれは……」

 

「冗談だよ。まあ入りなさいな」

 

ああー入れてしまった……こう言うのって、いけないんだよな? まあ良いか。どうせ授業終わってるんだろうし。

 

「……なんか用事? あんま長居してほしくないんだけど」

 

「まあー用事って言えば用事なんだけど……えーと元気?」

 

「椅子でぶん殴られた割りにはな。そっちはどう? クラスとかさ」

 

それから途切れ途切れであったが、会話をした。やっぱ喧嘩する前に変な会話したたから妙に緊張した。

て言うか今って俺と本音二人っきりじゃん! 

何か自然な感じで部屋にいれたけどさぁ……そう思うと何かドキドキしてきたぞ。

 

「アーナンカノドガカワイタナーチョットノミモノトッテクルワー」

 

俺が冷蔵庫に向かっていたら後ろから抱きつかれた。

 

「――――ッッ!?」

 

急な展開に言葉が出ないまま固まってしまう俺。

 

「のほとけさ、ん?」

 

声が上手く出せない。違うやろ! 俺ってこう言う場面でも普通に喋れたろ!? なのになんでどもってるんだ。

しかも本音の奴は何も喋らないしよお!

 

「あ、エアコンの設定温度が低すぎたか? 悪い。今上げるわ。だから放しなさい」

 

背中で首を振ってるんだろうか、そんな感触が伝わってくる。どうしたんだろうか、今日は何時にも増して意味が分からない本音に抱かれている状態で、自分が何かしたかを考えてみる。

 

あ! そう言えば姉さんが本音が泣いてたみたいな事言ってたな――もしかして喧嘩したから? でも考えられるのってそれぐらいだよなーしっかし何処に泣く要素があるんだ? 本音関係ねーじゃん。

 

「……私さあの日ね、君と普通に朝御飯食べて授業受けるんだろうなーって思ってたんだ」

 

ああそう言う事あの時止めなかった自分を責めてるって訳ね、納得。危うく変な勘違いしそうになったわ。もしかしたら俺の事が好きなのかって――具合に。

 

「あー別に本音が気に病む必要はないぞ。全くな」

 

「……でも何時も君が怪我してるからさ……心配なんだよ」

 

「俺の怪我は全部自己責任だからさ、本当に気にすんなよ。ほら離せ」

 

ああー何か知らない所ですげえ心配かけてたのか……つってもどうすればいいのこれ。最善な方法なんて無いぞ。

 

「本音は優しすぎるんだよ。あんまりこう言うことしない方がいいぞ。勘違いされ「勘違いしてもいい!」……は?」

 

「勘違いでもいい! だから私の側にいて……」

 

これは……一体どうなってるんでしょうかね……? 声を荒げる事が無いと思っていた、本音が叫んだ。しかも告白まがいの事を言ってるし――ああそう言うことですか。

 

一気に冷静になった俺は本音を引き剥がし、手を握りベッドまで引っ張って無理矢理座らせた。

そして自分にも本音にも言い聞かせるように言葉を紡いでいく。

 

「いいか。その気持ちは多分嘘。うっかり出たとかそんな奴だ、分かるか? 本音は賢いから分かってくれるよな。俺が喧嘩して大怪我じゃないけど入院したから、そんな気持ちになってるんだ」

 

「……違う……「違わねえよ!」……っ」

 

「あのほら何て言うだっけ……あれ吊り橋効果っつうの? 多分あれだ。だから今のは聞かなかった事にしてやるから、もう……部屋に帰れ」

 

本音は目に涙を溜めながら、ゆっくりと頷いた。それから立ち上がり袖で顔を覆い部屋から出ていった。

 

「また泣かせちまった……何なんだろうな。この感じ……ほんっといやだねぇ」

 

傷付けたのかは分からない……でも彼女も不安定だったらから、思わず出てしまった言葉。心配ばかり掛けたから変な事になるんだろうか? だがケジメだけは付けなければいけなかっただろうから――――要らないやり取りで本音が勘違いしてしまったわけか……これからはもっと周りの事と先の事を考えて動かなければ。

 

「ああーもう! 反省文書こ! 10枚位直ぐ終わらせてやるぜえええええ!」

 

うだうだ考えても仕方がないので心を入れ換えて、今出来ることから終わらせてようか。

 

○○○

 

本音とモヤモヤする会話を終え、そのテンションで反省文を終わらせた俺は、織斑先生以外にいない職員室へと訪れた。

 

「反省文できましたよっと。先生」

 

「遅いぞ。そんなに時間が掛かるものでは無いだろう」

 

「それはすいませんね。何分こちらも色々とたて込んでいましたねぇ」

 

俺の言い訳など既に聞きかずに原稿用紙をパラパラとめくっていく。そして立ち上がり、なにも言わずにシュレッダーへと原稿用紙を入れた。

 

「あのー他の先生とかに回さなくても良いんすか……いきなりシュレッダーはあんまりでしょ……」

 

「他の先生方はお前の事なぞとっくの昔に匙を投げているからな。無駄だ」

 

「はー!? 俺別に何もしてませんが? 今回の事だってイジメがあったからこそでしょ。俺関係ねえじゃん」

 

一息に言い肩で息をする。その姿をみて織斑先生は深く深ーくため息を付いた。て言うかまずイジメを見つけられなかった学園側に問題があると思うんだ、俺は。それをただ俺が勝手に暴れただけ見たいになって俺だけ悪者みたいにしやがって、本当糞だな。

 

「それ以前にも色々と問題はあるぞ。普通の生徒だったら退学ものの問題ばかりだ。分かるか? お前は『男』だから学園にいれるんだ。そこを少し分かれ」

 

「わ、分かるかよ! ふざけんな! だったらさくっと退学にしやがれ!! こっちだってこんな陰湿な学校辞めてやるよ! バーカバーカ 」

 

「全くお前は前にも同じような事を喚いていたな……そう言う所だよ、お前の一番悪いのは周りも人の事も考えられない阿呆だから匙を投げるんだよ。まあそれを矯正するのが私の役目ではあるが」

 

「無理。俺とアンタとは合わねえし言うこと聞くつもりも無えから「跳ねっ返りが……あまり調子にのるなよ」……うっ」

 

ただならぬ雰囲気に思わず言葉を詰まらせていまう。また拳骨か……こればっかりだよな。

 

「良いかそのまま黙って聞け。私はなお前みたいな馬鹿が嫌いだよ。自分の事しか考えれない人間だ……私もそうだ」

 

隙あらば自分語りですか。

 

「私の事などどうでもいいんだよ。問題はお前だ」

 

ここで一息着いてコーヒーを一口飲む。

 

「これから一緒に勉強していこうじゃないか。最近読んだ本だと教師と生徒が一緒に勉強する所が学校らしい……からな」

 

そう言って薄く笑った。この人がこんな事言うなんて明日は槍でも降って来るんか? それとも俺が面倒になって、下手に出て後は放置パターンか? わからん。

 

「お前に説教なんてこれ以上無駄だ。話しを変えよう」

 

「今度はなんですか? 俺を垂らし込もうたって無駄ですからね」

 

「信用されないな私は……まあ良い。模擬戦に付いてだよ」

 

アドバイスでも貰えるのか? まあこいつのする事だ。

余り信用はしてねえけど。

 

「良くやったな。武器の相性もあるが……それでもだ。正直私は一夏よりセンスがあると思っている」

 

あんな奴に負けてたまるか。次の大会でも徹底的に叩き潰すぞ俺は。

 

「そんな事言ったらアホの弟君は勘違いするんじゃ無いっすか?」

 

「勘違いでも何でもすれば良い――私はお前と一夏あと全員に強くなってほしい、私からすればお前がやる気出して一夏と戦う。寧ろドンと、来いだ」

 

そう言って不敵な笑みを浮かべる。良い年こいてそんな事言って恥ずかしく無いんですかねぇ……本当に自分勝手な先公だわ。

 

「一番の問題児を良いように使ってくれるから、こちらとしては生徒会長には頭上がらないな……殴っても言う事を聞かないのはお前とあいつぐらいだ……」

 

そう言って少し物憂げな顔をして、コーヒーを一口飲んだ。

 

◯◯◯

 

モヤモヤする会話を終え、自室へと帰る。

 

「あー終わった。謹慎中なのに疲れるって中々嫌なもんだな」

 

ベッドに寝転んで天井に視線を合わせ一人ごちる。中々平和に過ぎない毎日を思い浮かべると、中学時代が懐かしく感じる。

あの時だって――――俺が苛められる→斉藤と鈴木が笑う→田中と佐藤が女子を殴る→怒られる。

 

あれ? 全然平和じゃない……もしかして今とあまり変わってない? 泣けるぜ。

 

「そうだ佐藤に電話でもしてみるか」

 

気紛れで級友であった佐藤に電話をかける。

短いコール音のあと「もしもし」としばらく聞いてなかった声が聞こえた。

 

「久しぶりだなあ、骨なしチキン」

 

「開口一番にそう言う事言うのやめよう、その悪口は俺に効く」

 

「良んだヨ、そんな下らねえ事。てか何? 苛められてるから何とかしろって電話だったらきるぞ」

 

「残念だがそんな電話じゃないんだよな~それに苛めなんて俺が終わらせましたけどぉ?」

 

嫌味たっぷりに答えるが、電話越しの奴はどうやら信じていないらしく大笑いしていた。

何で笑われているのか分からない俺は何度も弁解を重ねるが「はいはい。君が一番ダヨ」と言ってまともに取り合ってくれない……まあ分かってたけど。

 

「ネタにしちゃあ面白かったぜ……初めて会ったときと比べてって奴だな」

 

「そうだよ! だから何回も言ってるじゃん」

 

「まあ次なんかあったら電話しろよ。そん時は助けてやるから」

 

「助かるよ。じゃあまた」

 

そう言って電話を枕元に置く。

やっぱ落ち着くよなぁこいつの声聞くと……ああ久しぶりに会いたいなあ。

 

「あ! ほかの奴等は元気なのかって聞くの忘れた!」

 

仕方ない次に電話すれば良いか。

 

「よし! 明日もがんばるぞ」

 

明日も何か良いことあります様に!

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