透き通る世界で魔王は何を見る?   作:いぶりがっこ

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正体

 

──ゲヘナ学園、ゲヘナ風紀委員会本部。

 

休憩に入ってからというもの、俺達は談笑に花を咲かせていた。

 

静かながらも盛り上がる話題というものは存外見つかるもので、この穏やかな空気にも慣れてきた頃だった。

 

「……アノス・ヴォルディゴード。貴方に聞きたいことがある」

 

それまでとは一変変わって、神妙な面持ちでヒナが話し掛けてきた。その雰囲気には若干の剣呑さも混じっている。

 

まるで本当に話したかった話題はこちらの方だとでも言わんばかりだ。

 

「聞こう」

 

ヒナの言葉に対し、承諾の返事を返す。

 

「いきなりこんなことを聞くのはどうかと思うけど……貴方、いったい何者なの……?」

 

ヒナはまるで怯えるような視線で俺を見つめる。額には脂汗が滲み、その手は僅かに震えている。

 

先生やチナツも、普段のヒナからは考えられないその様子に驚きを隠せないでいる。

 

なるほど。初対面の時から警戒の色を覗かせていたのはその為か。ヒナの戦闘者としての勘が、俺を危険だと判断したのだろう。なかなかどうして、よい判断力だ。

 

「……ふむ。俺が何者か、か」

 

俺は口角を僅かに上げる。

そしてニヤリと笑みを浮かべ、答えた。

 

「俺は暴虐の魔王──」

 

「アノス・ヴォルディゴードだ」

 

 

 

 

その後、俺はヒナに一通りの事情を話した。

 

先生も無理に隠す必要はないと判断したのか、事情説明には口を挟まないでいる。

 

「……なるほど。にわかには信じ難いけど、確かに真実なのでしょうね」

 

納得したのか、妙にあっさりと受け入れるヒナ。

 

その聞き分けのよさに、俺は心当たりがあった。ゆえに、言葉の続きを静かに待つ。

 

「……貴方は、強い。恐らく、この世界に存在する何よりも。根拠はないけれど……私の勘が、これは確信に近いと告げているの」

 

ゆっくりと、ヒナは語る。

 

「この私の戦闘者としての勘が、貴方に対する畏怖が、そう告げているの。貴方の中に眠る、強大な何かが。例えるならば魂……いえ、根源とでも言うべきかしら」

 

「ほう?」

 

俺はこの少女の洞察力に素直に驚愕した。まさかとは思ったが、深淵も覗かずにそこまで俺を理解するとはな。

 

「その根源が、私の勘に告げてくるの。決して貴方に敵対してはならないと」

 

なるほどな。

 

「正解だ」

 

「……?それはどういう意味かしら」

 

いきなり訳の分からぬ言葉を発した俺に、怪訝な表情を浮かべるヒナ。よい機会だ。

 

「これは先生にも話していなかったことだが……この際だ。信頼を得るついでに、お前達にも語るとしよう」

 

ここから先は俺の力について、より詳しく語る必要が出る。それでよい。協力してくれる者を増やすに越したことはない。

 

そして何より、この少女が抱く不安を和らげる為にも、話さねばならぬ──

 

「俺が何者かを、な」




ヒナちゃん、可愛いなぁ。
そういえば最近、ヒナとキサキのイベントストーリーが新規追加されましたよね。皆さんは見ましたか?私は残念ながら、見ていません……。
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