透き通る世界で魔王は何を見る?   作:いぶりがっこ

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では、投下しますね〜


昏き闇の果て

 

そこは闇に覆われた領域だった。

 

何も見えず、何も聞こえず、何も匂わない。

 

立つことはおろか上下の感覚も曖昧で、自身が存在している感覚さえ希薄になっていく。

 

先行きが見えず、途方もない暗黒に包まれたそこはキヴォトスと呼ばれる方舟の外。時間も空間も超えた、世界の外側とさえ呼べる最果ての領域。

 

ここでは無数の平行世界(平行宇宙)が漂っており、それらは生成と壊滅の輪廻を繰り返している。

 

そんな昏き領域の中空に無数の白き影が見えた。

 

「──何故だ?」

 

「理解できぬ」

 

「理解できぬ」

 

「理解できぬ」

 

それは真っ白な司祭服に身を包み、白き仮面を被った無数の者達──名もなき神々を崇拝する者。無名の司祭と呼ばれる、方舟(キヴォトス)の旧き支配者達だ。

 

司祭達は困惑を隠さず、壊れたように延々と同じ言葉を繰り返す。

 

「何だ、この闇は」

 

「何なのだ、この力は?」

 

そこには尋常ならざる闇が鎮座していた。

 

あまりにも昏く、あまりにも深い闇。

 

方舟(キヴォトス)が存在する時空への干渉が絶たれた──?」

 

「いや。この方舟(キヴォトス)はおろか、別の方舟(平行世界)への干渉も断絶されている」

 

「忘れられた神々による妨害ではない……」

 

領域には夥しい闇が充満している。あたかも、そこは■■■の領域であると主張するかのように。

 

闇の深淵を覗けば、それは災人イザーク以上の力を常に発している。そしてその力は深層十二界に満ちている魔力のそれとも酷似していた。

 

「ならば一体、何だと言うのだ?」

 

「分からぬ」

 

もしこれが何者かの仕業なのだとしたら、それは決して並の者ではないだろう。

 

不可侵領海級か、あるいは──

 

「神秘でも、恐怖でも、崇高でもない」

 

「こちらに興味を持った色彩の干渉でもない」

 

「…………」

 

「分からぬ」

 

「理解できぬ」

 

全て無意味となった。

 

「……それどころか、この力は」

 

「色彩はおろか、崇高さえ───」

 

「……箱の所有者(先生)による干渉ではない」

 

「あれは神秘も恐怖も、崇高も持たぬ」

 

全て無駄になってしまった。

 

「如何に自身の生や時間を削り、奇跡を起こそうとも──これほど強大な力を発揮する術を、箱の所有者(先生)は持たない」

 

無名の司祭は、眼下に広がる暗闇に対して困惑と畏怖、そして憤怒を織り交ぜたかのような恨めし気な視線を送っている。

 

「これでは、忘れられた神々を方舟(キヴォトス)から追放できぬ」

 

「許されぬ」

 

「許されぬ」

 

「決して許されぬ──!!!!」

 

仮面に覆われたその顔を確認することはできぬ。

 

だが怒りに満ちた声が。

 

怨嗟に塗れたその咆哮が、彼らの感情の大きさを物語っていた。

 

方舟(キヴォトス)への干渉はできぬ──」

 

「では、どうするか?」

 

司祭達はしばらく方法を模索していたが、やがて一人が声を挙げた。

 

「──方法はある」

 

方舟(キヴォトス)とも違う、異世界に力を求める」

 

「かつての我らが遺産を漁る、あの怪人達(ゲマトリア)の住まう世界ならば。あるいは───」

 

「この闇を祓う術も、忘れられた神々さえも──」

 

もしかすると、と奴はその可能性に賭けようとしているのだ。

 

「……上手くいくか?」

 

「分からぬ」

 

おそらく、想像以上に分の悪い賭けなのだろう。

 

「だが現状として、これ以上の手段を我らは求めることができない」

 

「その道程で如何なる犠牲を払おうとも構わない」

 

「ただ」

 

一人、また一人と司祭達が声を挙げていく。

 

「すべての時空の『忘れられた神々』が消滅するまで、我らは──」

 




次回もダラダラと進めていきます。
それと先に謝罪を。予定していた通りに物語が進行できない可能性が高いです。
まあ、暇潰しに書いている小説なので大目に見てもらえれば助かります。では、また次回。
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