透き通る世界で魔王は何を見る? 作:いぶりがっこ
そして、また華麗に失踪(ビューン
「それにしても先生も薄情よねっ!アノスさんが居るなら教えてくれたって良いのに………」
むすっと頬を膨らませ、不機嫌そうにユウカは言った。
「くはは。確かにお前の気持ちは分からぬでもないがな、あちらにも立場や事情というものがある。そう責めてやるな」
「それは……分かっていますけど……」
俺もまたユウカに対して諭すように言ったが、それでもまだ彼女は納得しきれていないようだ。
時々、先生が彼女のことを話題に出していたが……なるほど。なかなかどうして、愛嬌がある。
今のユウカは、まるで怒った時のサーシャのような顔をしている。
「ふむ。そういえば先生に用があったようだが、どういった用でここへ来た?」
「あっ!そうなんですよ、アノスさん。聞いてください!!」
俺は話題を変えるように、先程から気になっていたことを口にした。
するとユウカは思い出したといった様子で怒涛の如く、その事情についてを語り始めた。
「先生ったら、またプラモデルやら変身ベルトなんかに手を出して、今月の出費が物凄いことになってるんですよ!?あっという間にお金が無くなることは先生自身も分かっているはずなのに、な〜にが『ユウカ。大人にはね、どうしても避けられない戦いというものがあるんだ』よっっ!!!少し節制すれば、どう考えても避けられる戦いでしょっ!?!?ホント、先生にも困ったものよね………アノスさん?」
呆れながらも何処か嬉しそうな表情の彼女に、俺はいつの間にかサーシャの面影を重ねていた。
無意識だった。
「……どうした?ユウカ」
「あ、いえ。気づいたのならいいわ」
それにしても散財か。
俺は
何より大人になっても、そういった行為を咎めてくれる相手など特に得難い。先生も良い生徒と交流を持ったものだ。
「安心せよ、ユウカ。先生の散財云々に関しては、俺の方からもよくよく言っておく。ゆえに、そう心配せずともよい」
「それは──」
ユウカを安心させるように言葉は選んだつもりなのだが、なぜか彼女は微妙な顔をしている。さて、変なことを口走ったつもりはないのだがな。
「そっ、それは私の方から言っておくわ!第一、アノスさんの手を煩わせるわけにはいかないし……」
「俺は別に何とも思わぬが──」
「私がそう思ってしまうんです!さ、先生が帰ってくるまで待たせてもらいますからねっ!!」
「ふむ」
まあ、当のユウカがそう言うのだ。先生が帰るまで、気長に待つとしよう。