透き通る世界で魔王は何を見る? 作:いぶりがっこ
今回も楽しんでいただけたのなら、私としても嬉しい限りでございまする。では、どうぞ!
ミレニアムスタディーエリア。図書館。
店を去った後、俺はこの世界について知るべく、巨大な図書館へと足を踏み入れた。
手っ取り早く情報を手に入れるには、図書館が一番だ。蔵書も多く、これならば早い内に、ここについての情報が得られるだろう。
調べていくにつれ、この世界については大凡理解できた。
どうやらここはキヴォトスという名の学園都市らしく、数千もの学園が密集して、一つの都市を形成しているとのことだ。
そして、この世界にとっての学園とは、いわゆる国に相当する概念らしい。パブロヘタラのように、多くの学院が集ってできている都市のようだ。
それにしても子供が国を、学園を統治するのか。碌なことにならない気がしないでもないが、今は気にしても仕様があるまい。なかなかどうして、学園都市と呼ばれているだけのことはある。
そして、どうやらこの世界に満ちている力の正体は、神秘というものらしい。
それがどういったものであるのか、未だ解明はされていないが、どうやらこの世界の万物が内包する不思議な力であるということは、この書物からも見て取れる。
俺はこの世界の深淵に
そうして、この世界についての知識と情報を一通り得たため、俺はその場を後にしようとしたのだが──
「すみません。少しよろしいでしょうか?」
俺は足を止め、振り返る。
すると車椅子に乗り、美しい白色で纏められた容姿をした、儚げな印象を感じさせる少女がそこに居た。
彼女は足を止めた俺の様子を見計らい、自己紹介を始めた。
「私の名前は明星ヒマリ。超天才清楚系病弱美少女ハッカーであり、ミレニアム史上三人しか存在しない学位「全知」の称号を持つ、ミレニアムサイエンススクールの3年生です」
◇
ミレニアムサイエンススクール。とある部室。
「エイミ。少々、こちらに来てください」
「どうしたの?部長」
そこには二人の少女が居た。一人は科学的に証明しがたい事象を追うとされる特異現象捜査部。その部長である明星ヒマリ。暑そうにしているもう一人の少女は、同じく特異現象捜査部の部員、和泉元エイミだ。
しかし少女の、何より目を引く部分はその露出だろう。上半身は服をはだけさせ、ブラジャーには謎のファスナーが着いている。とても正気とは思えぬ格好だ。
「このエネルギー反応を見てください。」
「いきなりどうしたの?事前の話もなく本題に入るなんて、部長らしくないね」
「シャーレの先生より、特異現象捜査部として緊急で調べてほしい事象があるとの依頼を受けました」
普段の明星ヒマリであれば、無駄に長い自画自賛と多少の話も挟みつつ、話を進めるだろう。だが、今回の彼女は、至って真剣な面持ちで本題となる話を進めていた。
彼女の言う通りにタブレット端末に目を向けると、途方もなく莫大なエネルギーの反応が見て取れた。前の、キヴォトスの覆った赤い空とは比べものにならないくらいのエネルギー量だ。
「……何、この凄いエネルギー?」
「分かりません。ですので、この反応の正体についてを調べて欲しいと、シャーレから正式に依頼を受けました」
はじめ、ヒマリは先生からの依頼を受けた時は、デカグラマトンに関する調査だと思った。しかし、話を聞くにつれ、それがアビドス砂漠にて原因不明の超高エネルギー反応について調査であることを聞かされ、驚いた。
普段は、優しげな声で生徒達を慮る先生が、真剣な声で私が頼みの綱だと言わんばかりに調査を依頼してきたのだ。
よっぽどのことだろう。普段は生徒に頼られ、大人としての責任を果たそうとする先生が
先生の力になりたいと思った。今まで私達を──生徒を救おうとしてくれた先生の力に。故に、今回は一切の前口上もなく、本題に入ったのだ。
「どうやらこの反応と並んで、生体反応も存在するようなのです。その生体反応については、先生からデータが送られているので、それを元にこの現象について解明していきますよ」
「……えらく、張り切ってるね。部長」
「当然でしょう!このミレニアムの高嶺の花であり、超天才清楚系病弱美少女ハッカーである私に先生が自ら、頼み込んできたのですよ?本来、改める必要もありませんが、改めて先生に私の有能さを──」
「あ、戻った」