シグルってたまるか   作:風袮悠介

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61話・殺してやる……殺してやるぞ……伊良子……!

 さて、蔦ノ市くんから快く伊良子の居場所を聞いたオレは、さっそく検校くんの屋敷の前に来ていた。

 どうやら伊良子の野郎はここで寝食をしているらしい。

 

 しかし……あの伊良子追放の日、オレはいくさんにさりげなく「牛股のおっさんの言う寺に行くと酷い目に遭うよ」と忠告していたんだけどな。

 これでどこか別の場所に逃げてサムライ野郎に会わず、逃亡生活のままになると思ったんだけど。

 しかも無明逆流れを身に付ける流れにもならないから、こうして復讐に来ても大したことにならないと思ったんだけど。

 

 いったい誰が何をしやがったんだ?

 

「まぁいいや。検校くーん!!! 点字絵本の裕次郎くんだよー!! 伊良子がいるんでしょー!!」

 

 屋敷の前で大声を出すオレ。周囲にいた町民さんが驚いた顔をしてこっちを見てくるが、無視。そのうち同心が来ると思うけど、来たら来たで逃亡するし平気平気!

 とりあえず大声出しときゃ誰か来るでしょ!!

 迷惑だって!?

 

 こっちが伊良子に迷惑掛けられとるんじゃ!

 迷惑ってレベルじゃねぇけどな!

 

「検校くーん!? あーそーぼー!!! 命を賭けてー!! 遊びましょー!! 伊良子を匿ってるんでしょー!! 匿うなら、命懸けの鬼ごっこしようぜー!! 蹴鞠はお前の頭なー!!」

「お役人さま! ほら、あそこ! あの裕次郎が人を殺すと大声で叫んでます!!」

 

 あ、やべ。

 

 

 

 

 

 検校屋敷の前で叫んでいたら、近くの人から役人に連絡がいってしまい追いかけられる羽目になってしまった。

 

 そらそうよ。

 

「くそ……どうするべきか……」

 

 オレは掛川の長屋の路地裏に身を隠しながら考える。

 このまま追われる立場のままなのがマズイ。何もできない。いややろうと思えばできるけど、掛川を血の海にするわけにいかないじゃない??

 

 となれば……とオレは考えを変える。急いで検校屋敷に押し入って、伊良子をKILLしてバイバイしちまうのが一番手っ取り早い。

 なんなら検校を一緒に斬り殺せばもっと良い。あいつ、点字絵本の利益を独占してる状態だろうし。ふざけんなクソ野郎が。

 

 ……待てよ? そうするか。

 

 だが、とか、しかし、とか反対意見を考えるまでもねぇ……夜中に押し入り忍び込み、チャンスを見つけて後ろから首を掻き斬れば早いでござるな……?

 その間に丸子や興津たちが襲われるかもしれないが、襲われる前に殺してしまえば解決ではなかろうか……。

 

 良いアイデアだぜ、オレ。

 

 オレは膝をポン、と叩いて気合いを入れ直した。

 

「おし、じゃあここからは忍者の如き動きで、伊良子をぶっ殺すか。ついでに検校も殺しておこう」

 

 というわけで、レッツゴー夜中の検校屋敷!

 血祭りにしてやんよ!!

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