丁寧に手に持った得物を床に置き、両手を挙げたまま膝を突く。
完全に無抵抗の格好だね。ごめんよ、舟木流のみんな。
舟木兵馬数馬の両名が気絶をしている前でやっている。未だに双子は目を覚ましてない。
どうしよ、本当にどうしよ。
マジもぅムリ……こぅさんしょ……。
「な、何をしておる??」
「いや、その……本当に道場破りをするつもりなんてなくてですね……」
一伝斎の爺さんがこっちを警戒してる。警戒するだろうな、そうだろうな。仕方ねぇよな。
だって双子を倒したあとに「争いをするつもりはないんです!」なんて言い訳が通様するはずがないもん。
ならなんでやったかって?
なんでこうなったんだよ!!
「えっと……有名な兜投げって奴に参加させていただきたかっただけで……こうなったのは事の成り行きといいますか……」
「事の成り行きで息子を倒して退けたというのか」
「え、ご、ごめん」
一伝斎の爺さんにいつもの調子が戻ってきたのか、しゃんとしてきた。どうやらオレの敵意のなさを知って警戒を解いてくれたらしい。いや、嘘だわ、バリバリ警戒してるわ。片手が脇に置いてる刀に手を伸ばそうとしてるもん。
「それでー……そのー……兜投げには」
「此奴を座敷牢に放り込んでおけ!!!」
え。
「な、な、え?」
「え、ではないわ!!! こんな狼藉を働きおって、座敷牢にて反省しておれ! 誰ぞ此奴を座敷牢に放り込め!」
「そ、そんなぁ」
「ここに入ってろ!」
後ろから蹴られて座敷牢に放り込まれる。後ろでがちゃん、と鍵を閉められた。
蹴っ飛ばされたことで倒れたオレは尻をさすりながら振り返った。
「痛いなぁ! ここまで大人しくしてたんだから、そんなことまですることなくない!?」
「やかましいぞ虎眼流! 殺されないだけありがたく思え!」
「はーん、どうやって殺すんですかねー? 日坂最強の双子を一気に倒したオレを、どうやって殺すんですかねー?」
「っ!!」
オレをここまで連れてきた門弟は顔を真っ赤にして怒り狂いながら去って行った。
その後ろ姿を見送るしかなかったが、オレは咄嗟にあることに気づいた。すぐに座敷牢の外に向かって叫んだ。
「ちょっと待て!! オレの刀と荷物はどこだ!!」
「没収だバカもん!!」
それだけ言われると、門弟はさっさと去って行ってしまった。
シーン、と誰もいなくなったとき特有の静寂さが耳に響く。ホントに誰もいなくなった。
ここで暴れても仕方なし。大人しく寝ることにするか、とオレはごろりと座敷牢の畳の上に寝転がった。
「知ってる天井だ……座敷牢特有の……」
……ボケても誰もツッコんでくれねぇ。
え、マジで? マジで座敷牢に放りこんで放置するってことぉ??
思わずガバッと起きたが……何の反応もない。
座敷牢の格子の隙間から外を見ても、誰もいない。
え? マジで? 本当に放置決定?
「ええ……どうすりゃいいのぉ……?」
思わず呟くものの……やはり誰の反応もなかった。
放置プレイなの?
勘弁してくれよ……。
諦めてとりあえず寝ることにした。くすん。