シグルってたまるか   作:風袮悠介

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24話・保健体育の授業を子供にするのはなんか難しいよね。でもちゃんとしないとダメなんだ。

 ようやく落ち着いたちーちゃんを布団に座らせ、オレは対面で同じく座る。

 ぐすぐすと泣いてはいたが、もうオレを攻撃する気はないらしい、ようやく安心して落ち着いたようだ。

 だが、自分の身体の異変をまだ受け入れられないらしく、涙がとめどなく溢れてる。

 

 つーかさぁ。服着ようぜ。裸はダメだろ。

 オレも服を着たい。脱がされてるから寒い。

 男女裸で布団の上に座って話をするって、なんだよこれ。

 

「ちーちゃん」

 

 オレが呼びかけると、ちーちゃんの肩がビクッと震えた。

 

「落ち着いた?」

 

 優しく微笑んで聞くと、ちーちゃんは頷いた。でもまだ泣いているけど。

 

「千加は落ち着いてる」

 

 そんな風に答えるもんだから、なんというかさ。

 

「オレはキミの不安に寄り添いたい。強がって落ち着いてるって言わないで欲しい。オレも悲しくなる」

 

 思わずこう言っちゃったよ。

 ほんと、歯の浮くような台詞だぜ。こんな状況じゃなけりゃ、オレだってもっとニヒルに決めてたよほんと。

 オレがちーちゃんの右手に手を沿えると、彼女の身体がビクッと震えた。

 

「聞いてくれるかい?」

「……何をでしょうか?」

「キミの身体の異変。それは日本の外でちゃんと解明されてる体質なんだ」

 

 嘘です。海外の話にしときゃ未来知識を誤魔化せると思ったからです。

 だが効果てきめんらしく、ちーちゃんの目が驚きで見開かれた。

 

「それは、なんだ?」

「陰核肥大という体質なんだ。ちゃんと名前がある」

 

 オレは知ってる限りの陰核肥大についての説明をした。

 ほとんどがネットの情報を参照としたものだが、個人の体質であることなどを。

 

 そして、大事なこととして。

 

「それを治療することはできない。ムリに切除すると、キミの身体に後遺症が残る可能性がある」

「そんな……」

 

 ちーちゃんはショックのあまり涙を止めて項垂れてしまった。

 もちろんオレの意見は医者でもなければ医学的知識を修めた人間の言葉ではないので確証はないし、実際はどうかはわからない。本当は参考にすらならないだろう。

 わかった上で、この時代に彼女の悩みの種を問題なく治療する術はない、という事実を元にして、言うしかなかった。

 

 良い子のみんなはネットの情報とかにわか知識とかで、医療従事者としての資格がないのに医療、医術の知識をひけらかすのは止めようね。

 大事なことだぞ。ホントに大事なこと。

 

 オレの宣告にちーちゃんはショックを受けたままだが、オレはちゃんと説明しないといけない。

 彼女の体質は彼女が一生付き合っていかないといけないことなのだ。

 説明はちゃんと聞いてもらい、そして受け入れないと彼女が不幸になる。

 

 もう一度言うが、 良い子のみんなはネットの情報とかにわか知識とかで、医療従事者としての資格がないのに医療、医術の知識をひけらかすのは止めようね。

 大事なことだぞ。ホントに大事なこと。

 

「だけどね。それを含めてキミ自身なんだ。不安なこともあるだろう、恐怖を感じたこともあるだろう、自分自身の体で懊悩したと思う。でもね、キミはキミだ。舟木一伝斎の爺さんの子、舟木千加であることは間違いない。

 オレが見てきたちーちゃんと、何も変わらない」

 

 ちーちゃんは、オレの目を見た。

 

「一緒に稽古をする可愛い女の子、ちーちゃんの魅力に、何ら陰りをもたらさないと、オレが断言する。もし、キミのそれを見て受け入れずに恐れてバカをやる奴は、キミの魅力に何一つ気づかない愚鈍な男さ。あいつは千加の魅力に気づかぬ大馬鹿者だと笑って蹴っ飛ばしてやれ。

 それを受け入れる度量がある男なら、きっと舟木の一族に入るに申し分なき器を持った、素晴らしい男だ。そいつときっと巡り会えるさ。だから、泣くことはない。怖がる必要もない。

 舟木千加は舟木千加である。オレが断言する」

 

 ほんっとさぁ! オレはこんな浮ついた台詞を言う奴じゃないんだよ! 殺されるかもという恐怖と、目の前の女の子の涙でお人好しなところが出ちまっただけなんよな!!

 他に言うべき奴がいるだろうが!!! 双子とか、あの爺さんとか、家族がちゃんと寄り添って言うべきなんだよなぁ! 部外者のオレが踏み込む話じゃねぇんだわ!!

 

 微笑むオレが心の中で叫んでいると、ちーちゃんはまた泣き始めた。

 

「千加の身体に、やましいところがない、と」

「何もない。綺麗な身体だと思う」

 

 もうオレを殺してくれ。

 

「そうか……そうか……」

 

 再びちーちゃんが泣いてしまったので、側で頭を撫でてよしよしと慰めることになってしまった。

 泣き疲れたちーちゃんがそのまま寝てしまったので、オレは彼女を自分の布団に寝かせ、服を着てから壁に寄りかかって寝る。

 

 本当に、長い夜だったよ……生き残れてよかったよ……。

 あと今のちーちゃんは原作登場時よりも5歳若いので、手を出すのも躊躇われるところがある。

 体質のことも合わせて、保健体育の話もした方がいいよなぁ、と思うのだった。

 あと、双子はシバく。

 

 

 

 

 

 

 ついでに白状するが、オレはアスリート系美少女が好きである。

 うっすらと浮き上がった腹筋や筋肉が好き。

 それをちーちゃんに言わないだけの分別はある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あとよぉ、お前の存在は気づいてるぞ。

 床下から、お前の気配を感じるからな。

 

 屈木頑之助。




R-18にするつもりはないっ(ドンッ)
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