シグルってたまるか   作:風袮悠介

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4話・決着! 悪童藤木源之助!(生死は問わないと言ったはずだ)

「こやつ、こやつめ、この百姓が!! この藤木源之介にこのような狼藉を働くとは、覚悟はできているのだろうな!」

 

 肘の痛みに耐えながら俺が目を開くと、悪童藤木源之介が脇差しを抜き放っていたところだった。油断から右肘をやられたせいで、右腕が動かねぇ。

 だけど、ここで動かないと殺される!

 

「う、おぉおおおお!」

 

 気合い一喝、俺は肘の痛みに耐えながら立ち上がる。

 ちらりと視線を巡らせば、未だに源之助アニキは立ち上がらない。気絶したままかっ。

 いかん、このままだと殺される。俺は右肘の折れた箇所を、無理矢理元に戻す。

 

 ゴキン、と音を鳴らし、通常の位置に戻した。

 

「うぐぉ……はぁ……!」

 

 痛みのあまり意識が飛びそうになったが、今はこれでいい。これで良いが……なんか右腕に違和感があるな。なんかこう、急激に痛みが引いたというか。

 ……まさか。

 俺は自分の予想を確かめるべく、時間稼ぎを始めた。

 

「は、覚悟だぁ? (さむらい)さまが、百姓に覚悟を問うのか?」

「なに?」

 

 悪童藤木源之介が俺を睨む。いいぞ、そのままだ。そのまま怒り続けろ。

 

「覚悟を問うべきは(さむらい)同士の尋常の場でだろう、たかが百姓に覚悟を問うなんて……ははぁ? さてはお前、(さむらい)の友達がいねぇな?」

「何が言いたい……?」

「俺もよくわからん。頭が痛みで鈍ってる。ただ、今更覚悟を聞いたって仕方なくねぇ?」

 

 俺は悪童藤木源之介に向けて左手を差し出して、ちょいちょいと挑発する。こっちに来いよ、と。

 

「ここまでやったんだ。お前をぶっ殺して川に投げ捨てねぇと、俺ら殺されっちまうからさ? そっちこそ、覚悟を決めろよ?」

「っ……!」

「お前が俺らを殺せるように、俺も、お前を殺すからよ」

 

 ここまで来たら、俺も覚悟を決めて目を鋭くして睨み付けた。

 

「さぁ、殺し合おうぜ。どっちが生きるかくたばるか、てな」

 

 悪童藤木源之介が、足を一歩引かせた。

 気合いで勝ってる。

 あとは、勝負に勝つだけだ!

 

「うおおおおぉぉぉお!!」

 

 一気に走り、詰め寄る。右腕を隠すように半身となり、左腕を突き出した。

 悪童藤木源之介はビビりながらも、脇差しを振った。滅茶苦茶な袈裟切りだ、余裕で躱す。

 左腕に警戒した悪童藤木源之介の腹に、

 

 俺の右ショートアッパーが、突き刺さる。

 

「ぅぉっ」

 

 悪童藤木源之介は口から涎を垂らし、脇差しを手から落とした。

 そのまま前に数歩だけ進んで、どうと前のめりに倒れる。

 ピクピクと痙攣しているから、生きてはいるらしい。すぐには立ち上がられないだろうがな。

 

 思い切りを腰を捻り体重を乗せた、一撃必倒の拳。

 予想通り、()()()()()()()()()宿()()()()()

 怪我が瞬時に治る、不思議な能力が。

 さすがに首を切り落とされりゃ、死ぬだろうがな。

 

 だから、右腕を無理矢理戻したとき、痛みが引いて骨の違和感が引いていったときに、賭けに出た。

 

 この一撃で終わらせるために。

 

「よっしゃあああああ!!」

 

 俺は倒れた悪童藤木源之介を前に、勝ち鬨を上げた。

 

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