シグルってたまるか   作:風袮悠介

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49話・わりぃな、お前ら大したことないわ!!!

 真剣と槍を持ち、突っ込んでくる一刀流門下生たち。それを遠目から、興味なさそうに見つめる小野忠明という男。

 

 俺は後ろから突かれた槍を振り向きざまに躱し、肘と膝を用いて柄を砕く。

 

「ふん!!!」

 

 かつて伊良子の兄者に行った武器破壊技、ベキャ! と音を鳴らして、柄の半ばで砕ける槍。

 折られた槍を持ったままの呆けた奴を蹴飛ばして、まず一人。壁に叩きつけられ、そのまま悶絶していた。

 

 次に真剣を持って突っ込んでくる奴。上段構え、踏み込み、そのままの勢いで切りつけようとしてくる。

 ちょうどいい、お前の刀を貰おう。

 刀身が額に触れる瞬間に膝から力を抜き、体を沈み込ませながら手を動かす。

 

 パァン! と真剣を白刃取りで掴みとり、刀身を捻り引っ張り上げる。

 それだけで門弟の手から真剣がするりと抜け、俺の手に収まった。

 

 自分の手から奪われた刀を呆然と見ていた門弟の額の一撃、手加減した峰打ちを喰らわす。

 ゴンっ、と硬い音が鳴って、白目を剥いてから門弟が崩れ落ちた。

 そのままスッ、と周りの門弟に切っ先を突きつけて牽制をする。

 

 一瞬にして二人を戦闘不能にしたオレに対し、警戒したまま動かなく門弟たち。ジリジリとオレの周りを囲み、逃がさないようにするが一定の距離からこっちに来ることがない。

 

「どうした? 天下の一刀流は道場破りに臆病風を吹かせて、かかってこないのか!?」

 

 でかい声で挑発する。門弟たちのこめかみに青筋が立つが、一向にこっちに掛かってくる気配がない。冷静にオレの隙を窺っているのか、それとも本当に臆病風吹かれて立ち止まってるだけなのか。

 

 オレはぐるりと視線を巡らせ、門弟たちの膝、視線、呼吸を観察。

 結果、後者。ビビって掛かってこないだけと判断。

 

「そうか、掛かってこないか」

 

 ふぅ、と息を吐いてから膝を曲げて刀を反転、峰打ちの格好を。さらに脇構えへと移行し、素早く目を動かして包囲網の隙を探す。

 

「だったらこっちから行くぞ!!」

 

 オレは一気に門弟の一人との間合いを詰める。まさかオレから突っ込んでくるとは思ってなかったのだろう、門弟は身を強張らさせた。

 あまりに無防備な姿、その顎へ峰打ち一閃。すこん、と小さな音と共に門弟は失神。

 

 振り抜いて刀身を手元に戻し構えを取る前に、オレは振り向きざまに身を屈めつつ左薙ぎを放つ。

 

 ゴンッ!

 

「い、ったあぁぁああああ!!!」

 

 ちょうど後ろから襲いかかってきていた門弟の膝を強打し悶絶させる。

 さすがに骨折みたいな関節破壊は行わない。この時代に半月板損傷させて元に戻るとかないと思うし可哀想過ぎる。威圧にはこれで充分!

 

「ああああああ! な、んで! 後ろに、目が!?」

「バーカ、音を鳴らしすぎた。バレバレなんだよ」

 

 オレは悶絶する門弟を見下して言うが、嘘である。

 

 虎眼流氷面鏡。

 

 奪った刀身が結構手入れしてあり、後ろの様子がボンヤリと見えるから利用しただけだ。

 それで後ろの気配を探っただけだ。

 しかしこの氷面鏡、結構使える。

 目の前と視界限界まで知覚を広げつつ、刀身で見えない後ろの一部分だけでも見えるのは有用だぜ!

 

「は! お前ら大したことねぇな!!!」

 

 オレはそのまま周囲の人間に襲いかかり、打ち据えていくのだった。




 今までにあった全ての予定や行事のタスクがようやく終わったので、連載を再開します。
 長らくお待たせして申し訳ありませんでした。
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