ここから本編でございます。
あとがきでお知らせがあります。
では、投稿です。
第7弾 「……心とは‥‥儘ならぬ、ものだ」
世間では地球温暖化などが騒がれているが、4月上旬の朝は、部屋のなかと言えどまだ少し肌寒い。
しかし、もう2、3時間もすれば暖かくなるだろう。
春は美しい季節ではあるが、同時にそんな気温の変化による風邪にも気を付けなければならない時期だ。
コポコポコポ……
そんな春の朝、とある男子寮の一室からそんな水音が聞こえる。
それは、どこか高級そうなコーヒーメーカーが目覚ましの一杯を作っている音だった。
コーヒーを待ち望むこの部屋の住人は今、目玉焼きとサラダ、さらにはトーストをそれぞれ3人分作っている。
コポッ……ピー、ピー、ピー
どうやらコーヒーが出来上がったようだ。
コーヒーポットからマグカップに注ぎ、左で目玉焼きを皿に移しながら右でブラックを頂いている人物……蒼真は口に含んだコーヒーの出来に満足していた。
マグカップを置き、蒼真は朝食の品がトースト以外完成したところで、今日の昼食の準備に取り掛かった。
準備と言っても、昨日キンジが白雪から貰ってきた炊き込みご飯を弁当箱に詰めるだけだが。
ご飯を詰め終わったあと、今の時間を携帯で確認すると6時40分前。
そろそろ残りの住人を起こそうか。と考えていると、
「……ふわぁ~~っ。おふぁよう」
大きな欠伸をしながら朝の挨拶をする仔猫……アリアが寝間着のまま、リビングに入って来た。
「……おはよう、アリア」
蒼真は挨拶を返し、サラダと目玉焼きを盛り付けた皿をリビングのテーブルに3人分運ぶ。
皿を置き、蒼真は寝起きのアリアに注意する。
「……アリア‥‥はしたない、ぞ」
男の前でうら若き乙女が寝起きの顔&寝間着姿でいるのは、確かに乙女としてどうなのだろうか?
「蒼真なら別にいいわよ」
しかし注意された本人は、アンタ見慣れてるでしょ。と何でもないように返す。
そんなアリアに蒼真は苦笑し……
「……キンジに‥‥ジっと、見られるぞ」
と返す。
まあ、同じ部屋で寝ているのだからすでに見られてはいるのだが。
そんな蒼真の言葉にアリアは、
「……それは嫌ね。さっさと着替えて準備してくる」
昨日のことを思い出したのか、嫌な顔をしてすぐに洗面所に向かう。
「……アリア」
洗面所に向かうアリアを蒼真は呼び止める。
「あによ、アンタが早く着替えてこいって言ったんでしょ?」
「……終わったら‥‥キンジを‥起こしてくれ」
少しイライラしているアリアに用件だけ伝える。
それを聞いたアリアは、
「分かったわ」
と了承の意を返して、今度こそ洗面所に向かう。
蒼真は、途中だった朝食の準備を終えるために再び動き始める。
しばらく、アリアが起きるまであった静寂が戻ってきていたが、ちょうど朝食の支度が完了したところで
「バカキンジっ。ほら、起きる!!」
「ぐほぅっ!!!……ぐ‥あ、アリア、お前って奴は!」
朝から騒がしく怒鳴り合う2人に蒼真は苦笑した。
今日も昨日に引き続き、騒がしい1日になりそうだ。
△▼△▼△▼△▼△▼
「……えー、industrialとindustriousは綴りが似てはいますが意味が全く異なり、industrialの意味は…………」
カッカカカ、カッカ……
太陽がてっぺんに近くなり、春の暖かな陽気に晒されて、昼前にもかかわらず何名かはぐっすりと夢の中へ旅行に行っている。
俺は来年にはここを出ていくため、普通の高校でも頑張れるよう必死にノートをとっている。
だが、全然授業が耳に入らない。ノートも筆が止まってしまう。
何故ならば‥‥
(今もジーーっとにらんできてる仔ライオンのせいでなっ!!)
視線が気になってしょうがない。さらに、これからのことを考えてしまい余計に集中出来ない!
(俺の平穏な(?)日常がアイツのせいでダメになってしまう!!)
昨日の朝からホントに散々だっ!
神様、俺が何かしましたか!?
(……いや、まあ…………心当たりが無くもないが‥‥‥)
チラッと窓際の後ろを見ると、心当たりは机に肘をつき、空を見ていた。
(呑気だな、おい)
心の中で盛大なため息をつく。
それは呑気な元相棒への物か、今もにらんでいるチビへの物か、それとも…………
相棒との大切な約束を破った、最低な自分への物か。
「……はあぁ~~~」
ため息が知らず今度は口から出てきた。
(…………それは今は置いておこう。それよりも)
今はあの仔ライオンの方が厄介だ。
そう思い、俺は昨日の夕方の出来事を思い出す。
■
□
■
アリアは昨日、俺にドレイ(パートナー)になれと言ってきた。
(よりにもよって強襲科のパーティだと!?)
俺は全力で断ってやった。そしたら、
「『ムリ』『疲れた』『面倒くさい』。これは私の嫌いな言葉。人間の可能性を潰しちゃう言葉だから二度と私の前で言わないで」
そう言って、また俺がパートナーになること前提で話始めた。
そのあとも俺は嫌だと言っていたのだが、話が噛み合わず、最後には俺が頷くまでここに泊まると言い出しやがった。
俺はなんとしても阻止しようとして、何故か自分の部屋から俺が追い出された。
曰く、頭を冷やしてこい。ということらしい。
呆然としながらも、下のコンビニで雑誌を立ち読みしていると、ケータイに蒼真からメールが来た。
(もう帰っていいって知らせてくれたのか?)
そう思い、メールを開けると……
From 蒼真
Sub まだ帰るな
Main アリアお風呂ナウ
お前のために帰ってくるな
(なっ!?何いぃーーーー!!?)
ふ、ふふふ風呂だと!?
あのデコむすめ、そのために俺を追い出したな!?
蒼真は気心の知れた仲。しかも料理中だから追い出せない。ていうか蒼真の性格知ってたら追い出す必要などないだろう。
それはさておき、とりあえず蒼真に感謝のメールを送ろうとして……
(…………待てよ)
アリアは今風呂に入ってる。ならば武装も解除されてるはず。
(この隙にアイツの武装を没収すれば、アイツの武力を半減できる!!)
だがしかし、これはヒステリア持ちの俺にとって危険なミッションだ。実行するか?俺っ!?
ポク、ポク、ポ
(えぇい悩んでも仕方ない!思い付いたのだから実行に移す!!)
このミッションは時間が命だ。そう思い俺はコンビニを出て、急いで駆け出した。
………………。
…………。
……。
今思えば、何で蒼真に相談しなかったのだろう。
アイツに相談していれば全てが上手くいったはずなのに。
あのあと、チャイムを押そうとしている白雪に出くわし、それを追い返すのに時間がかかった。
白雪が持ってきた炊き込みご飯を受け取る時に、アイツが何か変なことを言っていた気がするが、焦っていたから思い出せないので別にいいだろう。
それで時間を喰ってしまい、最終的にミッション失敗。
俺の称号が《ドヘンタイ》と《ロリコン》になってしまった。
(なんたる屈辱かっ!)
それから蒼真の美味い晩飯を騒がしく(主にアリア)食べて、いざ就寝となったとき(蒼真は普通にアリアが泊まることを了承)
「……俺と、キンジは‥‥ソファー」
蒼真が信じられないことをぬかした。
俺が反対の意を唱えようとしたらアリアが
「別にいいわよ一緒で。泊まらせてもらってる側だし」
こちらはこちらで信じられないことをぬかした。
さっき言えなかった反対の意を言おうとして、
「ただし、私が上でその下が蒼真。反対の下がバカね」
「……分かった」
(…………スミマセン、俺の話を聞いてください)
2人はすでに寝る態勢に入っていた。
「……はあぁ~」
俺は諦めのため息をつき、ふて寝するために自分のベットに向かう。
寝る前にアリアと蒼真が、
「いい、蒼真?アイツが私に近づいたら遠慮なく始末するのよ?分かった?」
「……ああ」
そんなやり取りをしていた。
(…………もう、何も言うまい)
そんなこんなで俺は、はた迷惑な台風を抱えたまま床についた。
■
□
■
(もうやだ、誰か俺を助けてっ!!)
昨日の夕方と夜のことを思い出していたら、この言葉を今、全力で叫びたくなった。
朝もそうだ。
いきなりたたき起こされるは、腕を噛みつかれるは散々だ!
まあ、さすがに蒼真が助けてくれたが。
(もう授業なんて知るか。今はそれどころではない)
過去から学び、なんとしてもあの仔ライオンをどうにか追っ払わねば!
まずは、今日の放課後は探偵科のクエストを取ろう。
これで強襲科のアリアは来れないはずだ。
その間に抵抗運動の準備だ。
次に蒼真だ。
蒼真はアリアを操るのがうまい。それは今までのことから分かる。
ホントに2人は兄妹みたいだしな。
だから、蒼真にアリアを説得してもらおう。
あとは、アリアの情報だ。
蒼真は頼れない。アリアが口止めしたからな。
蒼真もなんだかんだ言って、アリアに少し甘い気がする。
そんなところも兄妹みたいだ。
今のところはこんなものか。
(というか、なんで俺がこんなにも迷惑をかけられなければならない!)
そもそも、そもそもだ。パートナーなんかなれるわけないだろう!
だって…………
最高のパートナーを裏切ってしまった自分が!
そのパートナーの目の前で!
違う奴とパートナーになれるか!!
蒼真も蒼真だ。
いくら優しいからって、アリアが大切だからって、なんで何も言わないんだよ!
どうしてアリアを止めないんだよ!
どうして笑ってられるんだよ!
そんなお前を見てたら、俺が……俺が!!
どんなにちっぽけで弱いクズなのか、どこまでも思い知らされるじゃねぇか…………。
…………………………。
(…………だめだ)
昨日、今日とで、蒼真とのパートナーを解消した件が思い出される。
頭を振って、自己嫌悪からアリアのことに戻ろうとする。
これは終わった話なのだ。
〈相棒〉から〈友達〉になっただけ。
俺が頼み、蒼真が頷いた。
それだけなのだ。
だから、これ以上蒸し返されないためにあの仔ライオンをどうにかする。
キーン、コーン、カーン、コーン……
4限の終わりを告げるチャイムが鳴る。
「さて、まずは」
「蒼真、弁当くれ」
△▼△▼△▼△▼△▼
コンコンッ
「開いてますのだ~~」
ドアの向こう側にいる部屋の住人の許可を得て、俺は入室する。
その部屋には色々な工具が床に散らばり、等間隔に並んでいるステンレス製の棚には様々な武器や防具が作りかけで置かれていた。
奥の方の棚には完成品らしき物もいくつか見える。
すると奥から、
バチバチバチバチッ!
そんな音を出しながら、閃光が見えた。
俺はそちらの方に、床の工具を避けながら向かうとそこには……
小さな体に似つかわしい大きな溶接保護具を被り、右手に溶接機を持って頑張って装備を作っている平賀 文が居た。
「オオー、蒼真くん。もうちょっと待ってほしいですのだ。区切りがいいところまでやってしまうのだ」
あやは振り返り籠り気味な声でそう言った。
「……分かった」
「じゃあ、そこに座って待ってますのだ!」
返事を返すと、あやは俺の隣にあるイスを溶接機で差し、作業を再開した。
バチバチッバチッ!
俺は言われた通りイスに座って、ぼーっとしながらあやを待つ。
今は午後2時頃。ここは装備科の地下だ。
昨日、あやと今日のこの時間に会う約束をした。
俺はあやの商品を贔屓にしてる。中々に面白い商品があるからな。
あやの商品は一般的に故障しやすいと言われているが、昔に比べれば全然安心できる。
俺は最初の1回しか故障したことがない。
そのときに、商品にするならちゃんとしろ。と叱ったからだとは思う。
まあしかし、あやを叱ったときは色々あった。それはもう色々あった。
あのときは苦労した。
が、今ではお互い頼り頼られの関係が成立している。
俺はもちろん商品を買い、あやは俺の《氣》を使った商品の開発に取り組んでいる。
バチバチバチッバチバチッ!
そんなあやは、ちっちゃい体で未だに溶接している。
(……なんか‥‥可愛い)
それは置いといて、まだかかるようだ。
……そういえば、キンジは探偵科のクエストに言ったみたいだが、多分アリアから逃げるためだな。
まあ、意味ないと思うが。
アリアは様々なところで活躍しているから、単位の心配がないはず。
(……頑張れ‥‥キンジ)
俺は平和を送りたい友に、心の中でエールを贈る。
キンジは兄の事もあるのだろうが、多分、俺の事もあってパートナーになりたくないのだろうと考えている。
キンジは変なところで優しいから、罪悪感を感じているのだろう。
(……俺は‥‥別にいいのに、な)
気にはしないけど、もし罪悪感を感じているのなら、せめてアリアのパートナーにはなってほしいと思っている。
だけど、俺はキンジに無理強いはしない。
逆にアリアの手伝いもしない。
(……これは‥‥2人の、問題だ)
ただ俺は、2人がパートナーになることを願うだけだ。
何より……
(……お似合いだと‥‥思うが、な)
素直になれない2人のことを考えていると。
「ふいぃ~~。蒼真くん、お待たせしましたのだ!」
どうやらあやは一区切りついたようだ。
ちっちゃい手で汗を拭うが、逆に手袋についた黒い煤がほっぺや鼻につく。
「……いや」
俺はそれだけ返し、ポケットにあるハンカチであやの汚れた顔を拭いてやる。
「うにゅ~~~」
「……ほら」
そして拭い終わり、あやを解放する。
「いつもいつもありがとうですのだ!蒼真くんはあやのお兄ちゃんみたいですのだ!」
あやはそう言って、俺の後ろの棚を漁る。
俺はその言葉に苦笑し、
(……妹、ね)
仔虎とゴスロリを思い浮かべる。
そうしていると、
「おー、あったあった!」
あやは両手にそこそこ大きい箱を抱えて戻ってきた。
箱を床に下ろし、その箱の中の中からまず最初に出したのが、
「じゃーん!!フルオート可能に改造した黒のDEですのだ!!」
俺はあやに2丁あるDEのうち、1つをフルオートに改造してもらっていた。
どちらもフルオートに改造しなかったのは、始めて改造したのでその使い心地を確かめてからにしようと考えたからだ。
決してあやを信じなかった訳ではない。決して。
「……不備は?」
「蒼真くんのは特に念入りにしてますのだ。安心してほしいのだ!」
もう一度だけ言う……決して‥‥だ。
「……ありがとう」
「いえいえ、どういたしましてなのだ」
今度強襲科に顔出すときに、ついでに射撃してみよう。
そう思い、あやが一緒にくれたホルスターを左につけ、そこにDEをしまう。
「これのお代は結構ですのだ」
「……ああ」
これの料金はあやの実験を手伝うことでちゃらになる。
他にも、オマケや値切りなど様々なサービスをしてくれる。
俺としては嬉しい限りだ。
そう思っていると、あやは箱を漁り色々取り出す。
これからが本番だ。
「これは軽さと硬さを兼ね備えた合金で作った棍棒なのだ。先生の物差し棒みたいにコンパクトにできるから、蒼真くんにオススメですのだ!」
「これは特注のスタンナイフなのだ。取っ手にスイッチがあって、これで刺した相手はダメージ&気絶&止血が一気に完了って感じなのだ!」
「お次は……」
あやは嬉しそうに、中々エグいことを言いながら商品を紹介している。
(……さて、どれを選ぶか)
………………。
…………。
……。
「お買い上げありがとうございますなのだ!!ふはふはは!」
「……おう」
あれから1時間ほどで、買い物は終了した。
結構いいのが買えたと思う。
あやは儲かっている時の笑い方をしながら、蒼真に声をかける。
「じゃあ蒼真くん。今から実験開始なのだ!別室にレッツゴー!!」
「……ああ」
俺の右手をあやがちっちゃい両手で引っ張りながら、この部屋を出る。
向かうはいつもの実験室。これからが俺の仕事だ。
………………。
…………。
……。
あはは。でねー-……
俺の横を3人の女子が楽しげに話ながら通り過ぎる。
俺は実験を終えたあとであやに飯を誘われたが、家に俺の飯を待っているペットが2匹居るんだと言って断った。
あやは、残念そうにしていたが最後は笑って別れた。
俺もキンジ1人なら、あやと一緒に飯を食いに行けるのだが、今の家には1匹猛獣がいる。
もし俺が帰らなかったら、キンジが小虎に喰われてしまうだろう。
俺はキンジを救うために帰路につく。
カー、カー……
カラスが羽ばたきながら俺の横から茜の空へとを去っていく。
その拍子に黒い羽根が数枚落ちた。
俺はそれを見て、昨日の夜中のことを思い出す。
■
□
■
「……どう、なさいますか?」
椿が俺に訊ねる。
その表情には、俺のことを気遣ってくれているのがみてとれる。
そんな椿に俺は‥‥
ぽむっ
「マ、マスターっ?」
椿の頭に手を置いて答えた。
「……大丈夫だ」
普段とは違い顔を少し赤くして、恥ずかしそうに俯いている椿の頭を撫でながら、俺は話続ける。
「……〈周りにいる者〉は‥警戒」
「……不用意に‥‥《陽》に、近づくな」
「……奴等は‥‥俺が、仕留める」
「マスター……」
俺の言葉に落ち着いてきたのか、椿は不満そうな顔をし‥‥
「……かしこまりました。そのように伝えます」
いかにも、納得してません。というふうに答えた。
そんな椿に苦笑して、
くしゃっ
「んっ。……マスター」
少し強めに撫でてやり、手を退ける。
「……ありがとう」
俺は椿に様々な感謝を籠めて礼を言って、椿に背を向けその場をあとにする。
その場に佇み、自身の主を見送る椿。
椿は両手を胸の前で握りしめ、主の背を見ながら呟く。
「…………マスターの」
───マスターの、バカ───
後ろから風にのって、そんな椿の声が聞こえた気がした。
■
□
■
(……バカ、か)
俺は寮の階段を登りながら、去り際に聞こえた椿の言葉を心の中で呟く。
(……確かに、な)
本当は頼ってほしいのだろう。
しかし、《陽》の者たちがバチカンと組んで200年。
よりいっそう闇の眷属たちに対してかなりのアドバンテージを持っている。
相手が悪ければ、瞬殺もあり得る。
せっかく命を狙う奴らから隠れているのに、俺が頼ってしまったら、また命を狙われてしまう。
それだけは避けなければ。
階段を登り終わり、自室の部屋の前で立ち止まる。
ふと、俺はアリアのことを思い出した。
俺のアリアに対する、頼ってほしいという願望。
それは、頼ることを知らない少女に、頼ることを覚えてほしいから。
椿の俺に対する、頼ってほしいという願望。
それは、頼れない事情は分かってはいるけれど、それでも自分が慕っている主人を助けたいと思うから。
そこまで考えた俺は苦笑して、思う。
(……本当に‥‥心とは)
儘ならないものだ…………。と
そんな俺に騒ぎながら近づく2人。
「……おかえり」
俺は振り返り、どこにいてもわかる‥‥そんな2人に言った。
「‥‥ただいま」
「ただいま、蒼真。今日のゴハンは?」
俺の言葉に2人は言い合いをやめ、それぞれの返事を返す。
「……今日は‥‥もやし炒めと、唐揚げ」
3人で話ながら部屋のドアをくぐる。
俺はキッチンにつき、先ほどの続きを思う。
心とは、儘ならないもの。
お互いを想いあってるはずなのに、すれ違う。
だけどいつかは、すれ違う道が巡り会う。
だけどいつかは、お互いをもっと分かりあえる。
何故なら。
───それもまた、心だから───
如何でしたか?
やっと本編入れました。いやー長かった。
あと、ご報告します!
メチャクチャあとにはなりますが…………。
ジャンヌ、ヒロイン決定です!!
投票数も多く、理子と繋げてエピソードが浮かびましたので。
出番はまだまだ先ですが、楽しみに待っていて下さい。
活動報告のヒロイン募集の途中経過更新しました。
それでは、
感想と優しい批評、評価待ってます!!
ヒロインも継続して募集中です。